生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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物語

 怨霊回収してきた

 

「と、言う訳で読み聞かせね〜」

 

 ……まぁ色々言いたい事はあるけどいっか。紫のチョイスも気になるし

 

「何読むの?」「書簡集」「……………………」

 

 書簡集(他人の日記)…うん?うーん……

 なんか思ってたのと違う

 

「ご不満?」「あー、えっと…うん。」

「それじゃあ、普通の物語にするわね」

 

 からかわれてた感じか……

 

 ◇ ◆ ◇

 

「これはとある国の物語」

「おお!昔話っぽい!」

 

 こーいうのだよこーいうの

 

「王である兄は死んだ。葬式が終わったと思ったらすぐに王妃は結婚し、新たな王が生まれた」

「待って?ストップ?」「ふふふっ、」

 

 急に重い話なんだけど??

 

「王の弟はそれを不思議に思っていると、夢の中で兄が現れて一言。『現王に殺された』と」

「………………」

 

 まって、展開。展開早い

 

「弟は、兄のかたきを討とうと一緒に暮らしていた妹の事を置いて必死に努力し、情報を集めました」

「サラッと登場人物増えたね」

 

 主人公・死んだ兄・妹・王妃・新しい王様の5人ね

 

「努力のかいもあって情報は集まりましたが、その間に王にそれがバレてしまいました」

「まぁ、そうなってもおかしくないよね」

 

 お城の中ガサゴソしてたりしたらそりゃそーなる

 

「王は弟に対してこう言いました。『決闘をしよう。貴様が私から勝利を掴んだ場合、私を殺す権利を与えよう』と」

「……?」

 

 ごめん、訳わかんない。情報持ってるのが分かってるならその場で口封じすればいいのに

 

「そして、続けました。『貴様が私から勝利を得られなかった場合。全てを話し、永遠に牢の中で生きてもらうぞ』と」

「なるほど!嫌がらせか!」

 

 それと、協力者とか聞き出すのかな?

 

「しかし、王は卑怯者でした。決闘の際、その刃に毒を塗っていたのです」

「聞き出すんじゃないの!?」

 

 これが昔話クオリティか

 

「そして、王は勝者の飲むための高いワインに毒も入れました」

「お偉いさんが決闘申し込んで毒に毒なんて…ププッ」

 

 保険用意するとか何がしたかったんだろ

 

「王と弟は戦い、弟が王を切り殺す事に成功しましたが弟は傷を負い、刃の毒によって亡くなりました」

「なんとなく読めてたよ」

 

 まぁ、そーなるだろうね

 

「そして愚かな王妃は、その毒入りワインを誤って飲んでしまい、死にました」

「!??????」

 

 ばか?

 

「結局、残ったのは何も知らないまま二人の兄を失った妹だけでした。おしまい」

「なに?このゴミみたいな話」「ふふふ……」

 

 ◇ ◆ ◇

 

 次の話が始まった

 

「むかしむかしあるところに、とあるありふれた農民がいました」

「さっきは王様だったけど今回は農民か」

 

 期待が全く持てない……

 

「その農民の住む村は、ある日権力者によってありとあらゆる物を搾取され続ける事になってしまいました」

「物語とは思えないスタートだね」

「その農民は怒りました。自分達だけでなく、子孫まで同じく搾取され続けるのだと思ったからです」

 

 まぁ、そうだろうね。確実に

 

「そして、その農民は一人で動きました」

「ほう?」

 

 さっきと同じパターンだ。主人公が自分も含めた誰かのために行動するの

 紫ってこういう話が好きなのかな?

 

「農業用の鎌を持ち、一人で数多の兵に立ち向かいました」

「待って待って待って待って!?」

 

 さっきのパターンだと裏でなんかやるのかと思ったけどまさかの正面から!?

 

「ふふっ、そして彼は戦いました。武器を持ち、数も質も揃えたその兵達と」

「…………」

「しかし、彼は強かった。強すぎた。簡単にその兵を皆殺しにしました」

「えぇ……」

 

 なんで勝ってるの……

 

「その後、彼は鎌だけを持って戦い続けました。気が付けば村から『救世主』と呼ばれるようになっており、彼の存在は村にとって希望の光でした」

「えげつないなぁ」

 

 力だけでやってけるんだなぁ

 

「そして、これ以上の被害を恐れた権力者は彼の前に現れました」

「おぉ!」

 

 クライマックス!

 

「彼はその権力者と戦いました。だけど、その権力者は強すぎた」

「……」

 

 思うんだ、なんで戦闘物って事務的な仕事をする人が強かったりするのかと

 

「彼は、なんとか逃げる事に成功しました。権力者に上手く痛手を負わせる事に成功したからです」

「まじで強いじゃん」

「そして、村に戻る途中。彼は追手に襲われました」

 

 これ、結果みえたな

 

「その追手は、強かった。彼の力じゃ全く手が届かないくらいには」

 

 ……うん

 

「それでも、彼は逃げ切った。しかし、片腕が無くなった」

「あ、逃げ切ったんだ」

 

 意外

 

「片腕が無くなりながらも、必死に逃げた。そのせいだろうか、彼は亡くなった」

「…………?あ、失血死か」

 

 一瞬分からなかった

 

「彼は結局、何も残す事ができなかった。希望はへし折られ、村はそのまま今日に至るまで搾取され続けるのでした。おしまい」

「…………だから、なに?このゴミみたいな話」

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