生きる怨霊の地上生活   作:にけth

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2度目の死

「……退屈だなぁ」

 

 黄泉が楽しんでる中、魔理沙は怨霊達を眺めていた

 怨霊はちまちま減ってはいるが、本当にちまちまである

 

「私も向こう行った方が良さそうだな!」

 

 『見張っておく』とは言ったが、ここから変わる事なんて無いと思ったのだろう。同士討ちしてる怨霊に背を向け、博麗神社の方へ向かおうとする

 

「っ!!『ナロースパーク』」

 

 背後で数十体の怨霊から急に発射される太いレーザー

 何かを感じ取ったのか、急に振り返ってミニ八卦炉から魔理沙の腰から肩くらいの太さのレーザーを発射しする。威力の差で押し返し、直線上の怨霊はいなくなっていた

 

「移動を狙ったって事は霊夢の方もやり合ってるって事になるな」

 

 黄泉にとって、合流されて2対1になる事が一番まずく、魔理沙を動かさせる訳にはいかない

 今は人間の黄泉が怨霊同士で潰し合わせていて、魔理沙がそれを見張っている状態

 それならそれを利用しよう

 同士討ちが終われば魔理沙は必ず合流するだろう。しかし、逆に言えば終わるまで縛っておくことが出来る

 途中で移動した場合は後ろの怨霊を操って攻撃させれば良い。同士討ちに比べて削れる速度は早くなるが、最低限時間は稼げる

 

 魔理沙が行動するのが早い場合、戦力が減らずに魔理沙の体力と魔力を削れる

 魔理沙が行動するのが遅い場合、合流までの時間を稼げる

 どっちらにせよある程度の利があるのだ

 ちなみに、人間の黄泉によってつけられた『人間を襲わない』という制限は霊夢が黄泉に攻撃した事によって消え、霊夢の仲間である魔理沙まで影響が出ていた

 

「まぁ、私はこっちで楽しむだけだな!」

 

 弾幕ごっこは遊戯なのだ。楽しんだ方の勝ちだ

 

 ◇ ◆ ◇

 

 一方、黄泉は焦っていた。魔理沙が動き初めたために猶予が減った事もそうだが、それよりも霊夢に弾が全く当たらないのだ

 

「しっかり狙ってはいるんだけどなぁ」

 

 300程度の怨霊から常に霊夢を狙って攻撃しているが、一発も当たらない

 何度か怨霊を一掃されており、数をこれ以上増やしたくない黄泉は当たらない理由を探っていた

 怨霊が破壊されると霊力と核を残して消えるのだが、霊夢の攻撃で破壊されると強制的に成仏しているせいか、核が回収出来ない

 現在の手持ちには2から30万ほどの核があるが、本来集めるのが困難であるために大量に出したくないのだ

 数でごり押すなら、その数一つ一つに価値を持たせてからすべきだろう

 他には一気に展開すると本気出される可能性もある。史上最強の博麗の巫女と言われる霊夢の本気など、勝てるとは思えない

 

「神技『八方龍殺陣』」

 

 霊夢が2枚目のスペルを起動した

 赤と黄の御札がそれぞれの色同士で隙間無く発射され、逃げる場所が潰される。その後に霊夢は自身を中心に小弾、その小弾を赤い鱗弾に変化させて全方位に発射する

 囲んでいた怨霊は全滅し、鱗弾に被弾しまくる黄泉だけが残る

 

 (終わるまで耐えないと…御札さえ当たらなければ大丈夫)

 

 12発の追尾弾だけだった夢想封印の対処は出来たが、今回は大量の弾幕をばら撒くタイプ。怨霊を出してもその場で破壊されるため、自力で弾幕を張れない黄泉にはどうする事も出来ない

 

 (私の体を盾に……)

 

 自身の背後の30体の怨霊を出し、それらを全て消費して太めのレーザー弾を発射する。もちろん、先に避難してからだが…

 

「体張ってまでしてやる事がそれなら、やめた方がいいわよ」

 

 少しだけ移動して回避する。無理にダメージを受けて一発反撃するのと、反撃は諦めて回避にだけ徹するのだと時間制限のあるスペルカードルールでは後者の方がいいだろう

 

「これだけならね」

 

 レーザー弾が消えた直後、残った空間に大量の怨霊を出す

 先ほどのレーザー弾の攻撃はオマケで、強引にでも反撃のチャンスを作り出すのを目的として発射したのだ

 霊夢が回避ではなく防御した場合?当然無意味の一言で終わるが?

 

「2回目!」

 

 出した怨霊たちが破壊される前にそれら全てを消費して複数のレーザー弾を放つ

 それと同じタイミングで霊夢の発射していた弾幕が全て消え、黄泉はスペル終了を確認した

 

「あと少し早ければ良かったけど、惜しかったわね」

 

 怨霊を展開しようとした瞬間、正面でレーザー弾に囲まれているはずの霊夢の声が真後ろから聞こえてきた

 

「!!」

 

 結界同士を繋いだ

 ケア出来たかどうかで言うとギリギリ出来る範囲だが、仕方ない。先に死神(小町)の能力を見ていたとはいえ、焦っている状態での攻撃の大チャンスに発動を見てもいない力への対応など無茶というものだろう

 

 (1万が限界か?)

 

 霊夢がお祓い棒を突き付け、陰陽玉を押し付ける。発射までの一瞬の間に全力で展開する

 

「置き土産だよ」

 

 陰陽玉が発射され、黄泉の意識は落ちる。肉体でほとんど吸ってるとはいえ、お祓い棒の除霊効果を受けたからだ

 やられるまでに出来る限りの怨霊を展開する。攻撃しない数十万の処理に時間がかかったのだ、攻撃する1万は十分対応が難しいだろう

 

「修行してないけどまぁ大丈夫でしょ、『伊豆能売』」

 

 第二次月面戦争の際、依姫がその身に降ろした巫女姿の神。その時は霊夢の放った厄を浄化するのに使われたが、今回は周囲の怨霊全てを浄化する。当然、範囲内にいた黄泉も含めて

 眩い光が周囲を包み、もとに戻る頃には黄泉は居なくなっていた

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