「消えた…って事はあなたね。八雲紫」
魔力が切れ、地上で弾幕ごっこを眺めていたアリスが何も無い空間に話しかける
霊夢の神降ろしの直後、空中で黄泉が消滅した
アリスが巫女である霊夢でさえ当時は知らなかった伊豆能売を知っている訳無いのだが、巫女服の神というだけで封印や除霊だと考えた
そんな中、黄泉が消滅。黄泉には人間の体があるのにだ
考えられる理由は二つ、そもそも伊豆能売の力が除霊じゃなかった場合か第三者が介入したかだ
前者の可能性は低い、なぜなら霊夢は人を殺さないからだ。肉体ごと消滅するような力を霊夢が使うとは思えない
そうして後者の場合で考えるならば真っ先に疑う相手は当然紫だ。実現可能かつ、いくらでも動機がありそうな上に厄介事に大抵絡んでる
今回は怨霊の大行進とかいう幻想郷の危機にもなりかねない状況だったのだ。紫がどこかで干渉していると疑われるのも当然だ
「ご名答…さすがね」
何も無い空間からスキマができ、紫が現れる。その腕には黄泉が横抱きされていた
「何のつもり?私にはあなたがその子に取り憑いた怨霊を助けたように見えたのだけど」
怨霊は危険だ。人間に取り憑けば人間同士で恨み合わせ、妖怪に取り憑けばその妖怪を乗っ取る
幻想郷の賢者である紫なら真っ先に始末する対象だろう
そんなアリスの言葉に対して、紫は首を横に振る
「この子自体が怨霊なのよ。取り憑かれている訳ではなくて」
「……?有り得ないわ。肉体がある状態では魂は神霊以外に変質しないはずよ」
アリスは自立機動する人形の作成のために魂を長いこと研究している。研究する妖怪の代表とも言える魔法使いのアリスが有り得ないと言っているのだ
「また後で来るわね」「待ちなさ……」「終わったぞーアリス」
急に帰られるのを止めようとしたら魔理沙の声が聞こえた
紫を見るともういなくなっている
「相変わらず逃げ足早いわね……」
ここで話してる所が見られるとお互い変な疑いをかけられる可能性があるのはそうだが、少しモヤモヤした気持ちが湧いてくる
「今行くわー!」
そうして魔理沙の元に向かった
◇ ◆ ◇
「それで?結局さっきのは何だったの?」
博麗神社の縁側にて、3人集まっていた
「正直、私もよく分からないわ。私の経緯としては研究用の素材集めにでも間欠泉センターに来ていたら霊力の動きを確認、霊力を辿って行ったらさっきの子がいたのよ。名前は確か『霊 黄泉』だったはずよ」
間欠泉センターでの出来事を話し始める
夜美でも代美でもいける中漢字が当たっているのはスルーしよう
「気になってたんだが、そもそもなんで霊力がみえるんだ?」
魔理沙が口を挟む。 霊力は人間や幽霊の使う力であり、アリスが絡んでるのは違和感を感じる
「努力の結果よ。私も元人間だから素質はあったのでしょうけど、そっちじゃなくて魂の研究の過程で感じる事が出来るようになったのよ。正直、霊力を扱えなかったから役に立たないと思ってたけどね」
「なるほどな、すまん止めた。続きを頼むぜ」
一呼吸置く
「その時の彼女の髪は短髪で、ところどころ紫の混じった桃色だったわ。体は少し熱く、痙攣していて自由に動かせるようには見えなかったわね。そんな状態の彼女が一言、『怨霊が来ます、逃げてください』。さすがに怪しすぎて後で色々聞くために連れて行ったわ」
「『お願い』ってのはとりあえず保護であってた感じね。あとは髪に関してはよく分からないけど、怨霊云々の話は本人か取り憑いていた怨霊がそういった力を保持していたからで理解は出来るわね」
霊夢が話し終わった瞬間、何も無い空間からスキマが発生し、紫と意識の無い黄泉が出てきた
「面白そうだし、私も混ぜてくれないかしら?」
「またあんたなのね……」
霊夢は真面目に話し合ってたのが馬鹿らしく感じたらしい。何でも出来る、証明のしようもない情報ばかり出してくる、見かけたら大抵面倒事に巻き込まれると思え。とか、その他日頃の行いによって信頼が1ミリもない紫が出てきたらある意味普通の反応かもしれない
「ちょっと頼み事があるのよ、この子の保護なんだけど……」
その言葉に反応し、霊夢がお祓い棒を紫の喉に突き付ける
「あんた、ふざけてるの?」
横でアリスと上海人形がうんうんと頷いている
「正直、あんた以上に怨霊の危険性を知っている妖怪なんて居ないと思ってたくらいだけど。呆れたわ」
ついさっき暴れていて、危険性の否定が出来ない怨霊を保護しろなど、頭のおかしい話だ
「話は最後まで聞いてもらってからでいいかしら?この子がいつ起きるか分からないし」
「じゃあなんで連れてきたんだよ……」
ごもっともなツッコミに対して、紫は説明し始める
「この子はね、生きる怨霊よ」
3人揃って「何言ってんだこいつ」っといった風な反応をしている