前回のあらすじ
ナーベラル「アインズ様のために死ぬ!やっぱり死なない!」
朝になり、テントや椅子を片付ける。出発の準備を整えて、再び目的地に向かうため、モモンとナーベはハムスケの背に乗り、一応地図を見ながら、どんどん進み、行けるところまで進んでいく。
そして夜になるまで移動をし続けて、現在いる場所はやけに開けた場所であり、地図でも今の位置が確認できた。確か冒険者組合で聞いた話によると、野営に最適、だった気がする。これだけ開けた場所なら、グリーンシークレットハウスが使えるはずだ。
モモンはアイテムボックスから取り出して、拠点を作成する。
本当だったらテントで野営だったのになあ、と思わないこともないのだが、昨日の失敗から今回はテントでの野営は諦める。
モモンは作成した拠点に入ろうとすると、視界の端に不可視化した何かが見え、その何かが見えたところをよく見てみると
「あー、そこの
その声に
彼女の話した内容はこうだった──かなり前に来た7人組のチームと我々を勘違いして近づいてきた。その7人組を探している理由は世界を滅ぼす魔樹の復活が近くて、前にその7人組が封印した際に、また復活するときに来ると約束したらしい。その魔樹の周りは木が枯れていて、木の命を吸い上げているのだとか。魔樹の名前はザイトルクワエという名前のようだ。
「どうされますか、モモンさん」
ナーベの質問にモモンは考える。
世界を滅ぼす魔樹、か。どのくらい強いかわからないし、その魔樹を倒しに来るかもしれない人達も見てみたい気もするけど、その人たちが倒せなかった場合エ・ランテルも近いしなあ。一度様子を見に行ってみて、それで判断するしかないか?
「とりあえず様子を見に行って、倒せるようなら倒してしまおうか」
モモンは思いついた事を言うと
つまり、その魔樹を討伐しなくてはいけなくなってしまったようだ。
しかし相手の強さもわからない以上あまり無茶なことは出来ないだろうし、最悪、というかほぼ確実にアンデッドに戻るしかないだろう。
とりあえず、彼女に明日そのザイトルクワエの場所を案内をしてもらう約束をして、今夜は別れる。
彼女を見送った後、モモンとナーベとハムスケは拠点の中に入る。
そしてこの拠点で新たな発見があった。そう、風呂がある!!今まで求めていた風呂だ!公衆浴場などはエ・ランテルにもあったのだが、流石に指輪や足輪をつけたままの入浴は憚れたので、入ることはしなかったのだが、このグリーンシークレットハウスであれば別だ!
ウキウキ気分で、ナーベラルとハムスケに風呂に入ると伝えるとナーベラルは、なりません!と言うと思っていたのだが、特に何も言われることはなく、脱衣所の入り口の警備をしているからごゆっくり、と言われた。
ナーベラルの許可も降りたので、念願の風呂だーーー!
アインズはウキウキ気分で服を脱ぎ、指輪と足輪を外す。足輪を外したらアンデットに戻るのかと思っていたのだが、そんな事はなく人間の姿のままだった。そして
アインズはようやくこの世界に来て初めてのお風呂に入ることができる。
久々に、しかもスチームバスではなく浴槽のある風呂は非常に気持ちがよかった。マジックアイテムの効果で汚れは一切つかないので体は清潔そのものなのだが、風呂は体だけを洗う場所ではない。心も洗うのだ。
日本人という種族に深く刻まれたもの、それこそが風呂だよな。
エ・ランテルも宿じゃなくて、どこか適当な空き地でも買ってグリーンシークレットハウスを建てた方がいいかもしれないな。そうすれば風呂は入りたい放題で、宿代も取られない。もしや、俺こそが天才か?
風呂に入ったことでテンションが上がりに上がっているアインズ。服を着た後に、入り口で警備しているナーベラルにも風呂を勧めるのだが、断られてしまう。
なんでもナーベラルが風呂に入ってる間にアインズにもしものことがどうのこうの、らしい。じゃあ、ナーベラルのように脱衣所の入り口で待機している場合は、と聞くのだが、それでも反応が遅れてどうのこうの、らしいので何とかしてナーベラルにも風呂を味わって欲しいと思ったアインズは禁断の技──命令を使う。
「命令だ。ナーベラル・ガンマ、風呂に入れ!そして──髪を乾かすのだ!」
「…はっ。お風呂に入って参ります」
命令とまで言われてしまえば、ナーベラルも流石に断らず、お風呂に入ってくれるようだ。アインズはお風呂に向かうナーベラルに、部屋で待ってるから、髪を乾かし終わったらおいで、と伝えておく。
ちなみにだがアインズは既に、ナーベラルと別室になることは諦めている。風呂でさえ命令を行使しなければ離れようとしないのだ。部屋であれば尚更だろう。また夜の会話相手もいなくなってしまうので、アインズ自身もそこまで別室になることにこだわりは無かった。
少し時間が過ぎた頃、髪を乾かし終わったナーベラルが部屋に入ってきて、いつものポニーテールではなく髪を下ろした姿をぼーっと見てしまったが、すぐに我に返り、二人で腰をかけていつものように朝になるまで二人で会話に明け暮れたのだった。
朝になり、アインズとナーベラルは既にモモンとナーベの格好をして活動を開始している。グリーンシークレットハウスも片付け、あとはピニスンが来るのを待つだけだ。
「おぉ〜い。約束通りきたけど、君達本当に戦うつもりなの?絶対に無理だって!前に来た七人組も──」
「おい、いい加減舐めた口を効くなよ植物が」
ピニスンがこちらに来るなりいきなり喋り始めるが、ナーベにこれでもかというほどの殺気を浴びせられながら怒られてしまい、黙ってしまう。
「あーコホン。それではピニスン案内して貰えるか?まだ戦うと決めたわけでもないし、とりあえず様子を見てからだな」
アインズはとりあえずピニスンに案内してもらうことにする。
ナーベにちょっとやり過ぎだ、と叱責し、ピニスンの後をついて行く。
少し歩くと木々が枯れている地帯に入り始め、彼女の話よると、ここら辺の地帯らしいのだが。敵の姿は見当たらない。ハムスケもナーベも感知できないと言っているし、たくさん木が枯れているだけにしか見えない。
「どこにいるんだ?その世界を滅ぼす魔樹、ザイトルクワエというのは」
「この枯れた場所の中央だよ」
モモンは彼女に疑問を投げかけると、どうやらこの先に行ったところに魔樹がいるという。
しかしどこに敵がいるのだろうか?
そんな疑問が頭に浮かんだ瞬間、何やら大きな音と共に地面が揺れ始める。物凄い騒音──まるで瓦礫が崩れ落ちるような音が鳴り響く。そしてその音の正体など探すまでもなく、すぐに見つかる。
木だ。
巨大な巨木だ。頭痛が痛い、というような表現となってしまうが巨木とだけではとてもではないが言い表せない大きさだ。それが地面から勢いよく生えてきている。確かに、あれだけの大きさであればこの世界は滅ぼせるかもしれない。
「高さおよそ100mの巨木か。その巨体に見合った枝の触手、長さは300mを軽く超えると言ったところか。それが6本」
「何冷静に分析してるのさ!!ど、ど、どどどどうしよう〜〜」
モモンが分析している横でピニスンは恐怖からか体を震わせ、叫んでいる。
にしてもザイトルクワエ、と言ったか。ユグドラシルでは見たこともないモンスターだ。油断はできないだろう。ん?あのモンスター、周りの木を食べているのか?
「つまりは草食…そんなはずはないよな。もしそうなら鋭い牙なんて必要ないだろうからな」
「流石はモモンさ──ん。素晴らしき御慧眼です」
「世辞はいい」
この状況でも褒めることを忘れないナーベのお世辞を聞きつつ、モモンは考える。
果たしてどうしようか。問題は薬草がアイツのどこに生えてるかだけど。
「モモンさん。あれをご覧ください」
モモンはナーベが指を指した方向を見る。
ザイトルクワエの頭頂部分に薬草、というよりは苔のようなものが見える。恐らくあれが今回の依頼の薬草だろう。
「あれが求めていた薬草か。正直言って、なんだかなあという気分だな」
確かに世界は滅ぼせるかもしれないが、あいつは言ってしまえば、ただのでかいだけの木だ。あまり強そうにも見えないし、少し拍子抜けだ。
一人はそれどころではないようだが。
「あのさあ!そんなこと言ってる場合じゃないよ君達!!早くここから離れよう!!あんなに凄いなんてこれっぽちも思ってなかったよ!」
ピニスンは喚いているが、それを無視してモモンとナーベは会話をする。
「ナーベ、魔法を使ってあいつの強さはどの程度かわかるか?」
「はっ!只今。────レベルまでは分かりかねますが、体力のみが特化しており、測定不能です」
「体力が測定外?レイドボス化じゃあるまいし。魔法が通用するということは、特に対策もないのだろう。ということは、出番だぞナーベ、いやナーベラル・ガンマよ」
「はっ。お任せくださいませ、アインズ様」
あれだけ体力が多いのであれば、ナーベラルの十八番だろう。正確にはナーベラルに持たせている装備、ではあるが。
「ちょ、ちょちょちょっと!人の話を無視して何を君たちは──」
「黙れ、雑草風情が」
バシッ
あ。ナーベラル…やってしまったか。まあ、死にはしていないようだし、俺よりはマシか…。それに気絶しているなら、それはそれで好都合かもしれない。何故なら今から、ナーベラルに全ての装備を着用させて、チート技とも言える、その一部を使うのだから。
ピニスンのことはハムスケに任せて、避難させておき、ナーベラルに命令する。
「ナーベラル、全ての装備を着用しろ──
「はっ!」
ナーベラルは装備を全てアインズに与えられた物に変更する。見た目はいつもの、プレアデスの戦闘メイドの姿で杖をもっているだけだが、装備の効果が全て違う。
「せっかくだ、この戦いをより大袈裟にして、とてつもない敵だったと思わせることにするか。ナーベラル、超位魔法だ!あたり全体を吹き飛ばしてやれ!」
「はっ!超位魔法
ナーベラルが超位魔法を発動するや否や、ザイトルクワエを中心に枯れた木々も超高熱原体に覆われ、あたり全体を一気に吹き飛ばし、残ったのは砂漠と触手を2本落としたザイトルクワエだけだ。
敵陣の中心に、紅蓮の光が瞬いた。次の瞬間、轟音と共に爆風が吹き荒れ、大地を丸ごと抉り取る。
超位魔法──
ナーベラル・ガンマは平然と指先を下ろし、敵を無言で見つめている。
本来、彼女のようなNPCが超位魔法を使うなどあり得ない。
Lv.63の彼女には、第九位階魔法ですら扱えないのだ。
だが、今は例外──いや、“例外”を可能にする装備があった。
アインズが先ほど装備させた、
攻撃系の超位魔法を、一日一回、即時発動可能とする化け物のような代物だ。
もちろん制限はある。
威力は本来の八割、強化魔法による底上げも不可能。
そして、発動時にはMPかHPの三分の一を代償として支払う必要がある。
ナーベラルは魔法詠唱者。ゆえに、迷うことなくMPでの行使を選ぶだろう。
このアイテム、プレイヤーが使っても特別な増加効果はない。
たとえば、一日四回使える超位魔法持ちがこれを用いれば、残りは三回。帳尻はきっちり合う設計だ。
かつて、ユグドラシルが終焉を迎える少し前。
アインズはこのアイテムを、解散間際のギルドから譲り受けていた。
そして今、その真価を発揮する時が来たのだ。
超位魔法を食らったザイトルクワエは痛覚でもあるのだろうか、その場で暴れており、こちらに攻撃してくる気配はない。
「次だナーベラル!
「はっ!
ザイトルクワエを龍の形をした雷撃が巻き付くように襲いかかる。これだけでザイトルクワエのHPは削りきれない──が、ナーベラルの放った魔法は別である。
ザイトルクワエは、のたうち回っていた。
触手を振り乱し、魔法の束縛から逃れようと必死にもがいている。だが、それは無駄な足掻きに過ぎなかった。
ナーベラルが使用したのは、
本来、どんな種族・
だが、彼女が手にする特製の杖には――その効果が、”付与されている”。
効果は単純明快。【魔法の効果が永続化される】。
魔法持続時間延長《エクステンドマジック》の上位互換とも言えるその力は、戦術次第で絶大な効果を発揮する。
だが当然、制約も重い。
永続化の代償として、魔法発動中はナーベラルのMPが絶えず削られ続ける。
MPが尽きるか、あるいは敵の攻撃が一撃でも当たれば、効果は即座に打ち切られる。
さらに、この状態ではガード以外の行動は封じられ、スキルの使用も不可能。つまり──避けることすらできない。
そして、もう一つの装備──MP回復効果を持つ特殊なメイド服。
効果はシンプルだ。敵にダメージを与えることで、わずかにMPが回復する。
本来、これらの装備は実戦向きとは言いがたい。
永続魔法は消費MPが重すぎる上に、与えられるダメージも魔法二回分の消費でようやく通常の九割程度。
最悪、魔法一回分の火力すら出ないこともあり、実用性に欠ける。
MP回復効果も同様で、回復量がダメージに対してあまりにも少なく、わざわざ装備枠を一つ潰すほどの価値はない──通常であれば、だ。
だがアインズは気づいた。
この“使えない”二つを組み合わせることで、特定条件下では異常な効率でMPが回復する現象が起きることに。
すなわち──継続ダメージによる自動回復。
もちろん、消費に追いつくほどの効率ではない。MPは削られ続けるし、正面から攻撃する方が総合火力は高い。
それでも、使い道は十分にある。
そして今、ザイトルクワエが反撃に転じようとしている。
──その瞬間こそ、ナーベラルの全ての装備が“真にチート”と化す瞬間だ。
「ナーベラル、ジャストガードだ。いけるな?」
「はっ!」
「よし!では今から攻撃が来るはずだ、それをジャストガードしろ」
「かしこまりました」
アインズは嬉々としてナーベラルにそんな事を言ったが、正直な話心配だ。ナーベラルの防御力はとても低く、HPも多い方ではない。
あのザイトルクワエの攻撃力はわからないが、ジャストガードが成功しなければ、ナーベラルの装備しているマジックアイテムで軽減してもらうしかない。
もし、その後に二撃目がくるようであれば、転移させて逃さないとだ。
余談だが、ジャストガードはパリィとは違って、その名の通り攻撃されたタイミングと同時にガードをするだけで、ダメージ量は普通にガードした時と変わらない。強いてメリットを挙げるとすればクリティカルが通常攻撃のダメージに変換される、というくらいだ。
しかしナーベラルの装備の一つに、ジャストガードをすると3回のみダメージが0という装備──この装備はユグドラシルの中でも最強クラス──があるが、スキルのパリィと違い、タイミングがかなりシビアでプレイヤースキルが問われる装備だ。
ザイトルクワエの様子を見ていると、触手がナーベラルに迫ってくる。ナーベラルはそれから目を離さずにタイミングを伺い、ちょうどナーベラルの頭に当たるかというところでガードをする。
ザイトルクワエの触手がナーベラルを打ち据える──直前、キィンッという澄んだ音が響いた。
ジャストガード成功。
ダメージは完全に無効化された。
その瞬間だった。
ナーベラルの周囲に再び灼熱の奔流が広がり、
その終息を待たずに、今度は
――これが、ナーベラルの“チート装備”その4。
その名も《リングホルダーネックレス》。
正式名称は存在しない。アインズが偶然、いや、無数の試行錯誤の末に“生成”してしまった特異な装備である。
元は、指輪とネックレス。どちらも微妙な、いわば“外れアイテム”だった。
指輪の効果はこうだ。【ジャストガードを成功させた際、自動でMP30を消費し通常攻撃で反撃する】。
言葉だけ聞けば悪くはない。だが、プレイヤーの意思とは関係なく“自動反撃”されるため、状況によっては致命的な隙を生みかねない。
敵が無防備でも、出るのは通常攻撃一発のみ。反撃の速度こそ速いが、それ以上のメリットはない。
ネックレスの効果もまた奇妙なものだった。【自分が一つ前と二つ前に使った攻撃を再実行する】。
一見ユニークだが、使いどころがわからない。
例えば通常攻撃→魔法攻撃とした後に発動すれば、それをもう一度繰り返す。が、それが戦局にどう寄与するかは極めて不透明。
発動タイミングも制御できず、わざわざ装備枠を使うほどの価値はなかった。
だがアインズは、“あの”
目的はなく、単なる総当たり。だが、結果として生まれたのがこの《リングホルダーネックレス》だった。
効果は驚異的だった。
【ジャストガードを成功させると、MP30を消費して“自分が行った直近2回の攻撃を再度発動する”】。
つまり、超位魔法と
しかも、この再発動によって使われた
さらに、何故かMP回復量が4倍に跳ね上がるというバグめいた副効果まで確認された。
ユグドラシルの中で、同じ装備を持っている者はおそらくいない。
この合成には
他の誰かが同様の結果を出せたという報告も存在しない。
──もしかすると、あの
……クソ運営だからありえない話ではないな。
アインズはナーベラルの自動反撃が発動したのを見て内心喜び、心の中でかつての友人にナーベラルを自慢する。
──やった!本当に発動されたぞ!ナーベラルもジャストガードを成功させたし、良くやった!!弐式炎雷さんどうですか!弐式さんはワンショットキルこそがロマンってよく言ってましたけど、ナーベラルも負けず劣らずロマンに溢れてないですか?Lv.63でも条件を満たせばLv.100相手でも倒せる可能性があるんですよ!何なら弐式さんだって、ナーベラルが全てジャストガードで防げば負けるかもしれませんね。今回は使ってないですけど、魔法に対する反撃方法もあるんですよ?どうですか──満足してくれます…よね?
誰も返事してくれないことはわかっている。このナーベラルの姿を見てくれていないことも。しかし、アインズはかつての友人に語らずにはいられない。自分が丹精を込めて、本気でLv.100でも倒せるようなロマンと強さを追い求めたナーベラルが、初めてしっかりとした実戦をして、自分の思った通りの強さを見せているのだ。これが嬉しくないわけがない。
「ナーベラル、良くやった。あとは俺が引き受けるから、ナーベラルは転移魔法を使って薬草を回収してきてくれるか?」
アインズはナーベラルに薬草取りを任せて、自分はアンデッドの姿戻る。
せっかくの巨木だ。クリスマスツリーにでもして、ナーベラルに見せてやろう。
それから少しして、ナーベラルが戻ってくる。
「アインズ様、薬草の採取完了しました。」
「よし。ならばやるぞ。
ザイトルクワエの動きが止まる。いやザイトルクワエだけではない、ここら一帯のアインズとナーベラルを除く全ての時間が停止しているのだ。
「さてナーベラル。クリスマスツリーは知っているか?」
「はい、アインズ様。名前だけは存じ上げております」
「そうか。では見せてやろう。
「恐れながらアインズ様。時間停止中に魔法を発動させても、攻撃はできないのでは?」
「ふっ、まあ見ていてくれ」
それから少しすると時間停止が解除される。
そして魔法による爆発が起こる瞬間──
「さらに
魔法による爆発が起こった瞬間に再び時間が止まる。その爆発は星のように輝いたまま時を止め、その光景にナーベラルは目を見開いて、目を奪われている。
「とても…綺麗です……アインズ様」
「あれこそがクリスマスツリーだ。似ていると思わないか?」
「はい、仰る通りかと!流石はアインズ様です」
ナーベラルは褒めてくれるのだが、なんだかあのツリーはどこか少し違うような気がする。
「ツリーの
ツリーの天辺に星に見立てた隕石が現れるが、時間が停止しているので動く事はない。これでクリスマスツリーの完成といえるだろう。
「あとは時が動き出すのを待とうか」
アインズはそう言って、魔法の効果が切れる頃、再び時間停止が解除され、時が動き始める。
それを見ながらナーベラルはアインズの隣に寄って行き、感嘆の声をあげた。
「これがクリスマスツリーなのですね。なんと美しい…」
心の底から美しいと思ってくれているというのが声色からよく分かる。ここまで感情を動かすことができたのであれば、アインズとしてもとても満足ではある、が──この状態はクリスマスツリーとは少し違うんだけどなあ。まあ、でもせっかくナーベラルが感動しているしいいのかな。
そのままアインズとナーベはクリスマスツリーを眺め、魔法によってザイトルクワエが消し炭になっていく様を見守った後、ハムスケのところに行く。
ピニスンは目を覚ましていたようだが、まるで別人のようになっていた。
この世は簡単に滅びるし、そこらへんの石ころが今度は世界を滅ぼすとか、よくわからないことを言っており、恐らくナーベラルに思いっきり蹴飛ばされた衝撃で頭をおかしくしてしまったのだろう。ピニスンには悪いが、治し方もわからないのでここでそのまま平和な頭でいてもらうしかない。
アインズは鎧を身につけて、ナーベラルとハムスケを連れて帰路につく。
転移魔法で帰っても良いのだが、せっかくだし、帰ってもやることもないし、お風呂もないので徒歩で向かう。
結局帰りは2日かかり、本来なら片道3日らしいのだがその程度の誤差は、アダマンタイト級冒険者チーム漆黒だから──で通るだろう。
組合に着き、やけに丁寧な口調になっているアインザックに薬草を届けて、ナーベがその薬草の一帯を砂漠にしてしまった、それだけの戦いだった、後で確認しに行ってくれ──と伝えて、今後宿屋に滞在するのか、それともエ・ランテルにグリーンシークレットハウスを建てるかで悩むアインズだった。
今回はナーベラルの装備が判明しましたね。元ネタはFF7インターグレード版だっけ、のルビーウェポン戦のときの装備を少し変えただけです。
ユグドラシルでこういった装備ができるのかどうかは知らないですが、本当はもっとエグい攻撃にしようと思っていました。
このくらいならゲームとしても許されるやろっ!
ピニスンのセリフは長いので省略させていただきました。ファンの方は申し訳ありません。
次回からは旅行編です(多分長くなる)
次回『二人の旅行』〜出発〜