英雄と美姫の物語   作:ながしながされ

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次話投稿選んでるのになんで新規投稿になっちゃうんだろうか。

前回のあらすじ
ナーベラル「モモンガ様、ナザリックはどこ?下等アンデッド弱い!ゾウリムシが鳴いててうるさい!」




三話『漆黒の英雄モモンの誕生』

 モモンガは森の中を歩いてる途中ふと気づく。

 

 

「あれ、そう言えばさっきの人間、俺の姿見てめちゃくちゃビビってたな。もしかしてアンデッドのままだと会話できる人間と会っても、逃げられるんじゃ?」

 

 

 だとすれば今の姿ではダメだ。仮にリアルにこんな姿のやつがいれば俺もビビって腰を抜かして泣いているかも知れない。

 上位道具創造(クリエイトグレーターアイテム)を発動させ、全身を漆黒の鎧に包む。軽く体を見回して、全身を見たわけではないが今の格好は昔憧れたたっち・みーを彷彿とさせる。

 

 

「おぉ!なかなかいいじゃないの!」

 

 

 森の中1人で興奮している戦士が誕生した。

 

 

「…そうなると名前も決めなくっちゃな!どうしようかな〜う〜ん。」

 

 

 その場で座り込み顎に手をやらながらいろんな名前を思いついては逡巡する。ギルメンにネーミングセンスをバカにされた経験から、なかなか名前が決まらずにいたが──

 

 

「やっぱりシンプルにモモンかな!モモンガって名前もギルメンにバカにされたこともないし!これが一番無難だよな」

 

 

 バカにするも何も単純にモモンガはかつて日本に生息していた動物の名前なのでネーミングセンスとは無関係であることをモモンは知らない。

 何はともあれ──これが後に漆黒の英雄と呼ばれ、皆からの称賛や羨望の眼差しを一身に受ける英雄モモンの誕生である。

 

 

「よし!」

 

 

 気合いを入れて立ち上がり。一度周りを見渡す。そして今まで考えないようにしていたことを口にする。

 

 

「……いつになったらこの森抜けられるんだ?」

 

 

 絶賛迷子である。仮に森から抜けられても、そもそも知っている道などないので、どこへ行っても迷子は迷子なのだが、既に今は真っ暗であったはずの森は日の光があたり始めていた。魔法で空を飛ぶなり、木を切り倒して見晴らしをよくするといった方法もあるが、それを是としないのは今のこの状況は彼が憧れていた冒険──未知を既知とするという行為であったからだ。

 だからこそわざわざ徒歩で森を闊歩している。

 

 それからしばらく歩き続けて日が完全に昇り切った頃。

 

 

「はぁ…ダメだ。どこ行っても木だらけ。もしかしてこの世界は森しかなくて、開けたところなんてないんじゃないのか?」

 

 

 そんな現実逃避をしていると、何やら音(悲鳴かもしれない)が聞こえてくる。その方向へ行ってみると、2人の少女、姉妹だろうか──が今まさに騎士の格好をした者に切られる寸前であった。恐らく姉であろう少女が妹を庇うように抱きしめ、襲いかかる騎士の方へ背中を向ける。

 別に無視しても良かったのだが──

 

 

「今の俺、いや今の私は戦士モモンだ。私はいかなる者であろうと弱者を虐げる者をよしとしない!」

 

 

 今までは悪役ロールプレイをしていたが、今の自分は誰がどう見てもカッコいい戦士のはずだ。であるならば正義降臨といこう!目的のために手段を選ばないとはよく聞いたものであるが、今回は手段のためなら目的を選ばないという選択をする。ロールプレイとはそういうものだ。

 両手にグレートソードを装備し──

 

 

「とわあっ!!」

 

 

 自分がかっこいいと思う雄叫びを上げながらジャンプして少女と騎士の間に飛び込む。それを見た騎士は一瞬たじろぐ。

 

 

「ふっ、女子供は追い回せても、毛色の変わった相手は無理か?」

 

 

 

──私、エンリ・エモットは窮地に立たされています。父は先ほど私達を逃すため、自らを盾にして、恐らく今は…もう…しかし悲しんでもいられません。帝国の軍の人らしき人たちは今もなお、私と妹ネムを追い立てて来ています。何とか命からがらその場は逃げられましたが、追っ手を振り払えるほど私達に余裕はありませんでした。

 何とか一発拳を叩き込みましたが、それが通用するはずもなく、万事休すです。せめてネムだけでもと思いネムを、それこそ父が自らを盾にしたのと同じように庇います。しかしこの状況では私もネムもすぐお父さん、お母さんの後を追う形となるでしょう。せめて痛くないように死にたいな、もはや助かる希望はないと思い諦めの境地へと立つことにしますが、どこからともなく──

 

 

「とわあ!」

 

 

──と一度だけ都市で見た、13英雄の演劇の時のような大袈裟に叫ぶ声が聞こえますが、何の声だかは今となってはもうどうでもいいことです。私の意識が正常に動いているのももう後ほんの僅か、今願うのは一瞬で逝ければいいと、そんなことを考えていましたが──父と母と再会することはありませんでした。

 なかなか切り掛かってこない。どうして──疑問が浮かび、恐る恐る後ろを振り返ると、大きな剣を二本持った、大きな戦士の姿がそこにはありました。

 

 

 

 戦士モモンは騎士たちと向き合う。さっきはたじろいでいた騎士だが今は剣を構え対峙しようとしている。

 

 

「はあっ!!」

 

 

 モモンは蹴りを一発お見舞いする。その蹴りは鎧を貫き、恐らく内蔵にまで到達しているであろう──騎士の腹は無慈悲にも血が吹き出し誰がどう見ても死亡確定だ。その様子を後ろからもう一人の騎士が見ており、自分の手には負えないと思ったのか、それとも何も考えず恐怖に怯えたからかはわからないが、その場から背走する。

──もちろん、それをモモンが許すはずもなく、一瞬にして前に回り込み、大きなグレートソードを振る。一太刀であった。果たして鎧は何の意味があるのか、胸から上と下で身体は分かれ、先ほどの騎士よりも一瞬で死が確定された。

 

 

「す、すごい」

 

 

 エンリは人生でこのような(人の悲惨な末路)を見たことはなかったが、それに対する嫌悪感より、目の前にいる戦士が成した事に対する感嘆が勝り、賞賛の声をあげるしかできなかった。

 

 

「怪我はありませんか?」

 

 

エンリは声をかけられ、非現実な世界から戻ってくる。

 

 

「は、はい!大丈夫です。ありがとうございました!」

 

 

 漆黒の戦士は無事を聞いて少しホッとするような仕草を見せ、その場で腰を抜かせているエンリとネムに手を貸してくれた。

 

 

「あ、あの、まだ村で襲われてる人がいます!どうか、どうか助けてください。お願いします!」 「お願いします!」

 

 

 平静になったエンリは深々と頭を下げ、それを倣うようにネムもモモンにお願いする。

 

 

「もちろんですとも。困っている人がいたら助けるのは当たり前ですから。」

 

 

 ヘルムを着用しているため表情は窺えないが、少しテンションが上がり、まるで言いたくてうずうずしていたのではないか──と思うような口調で答え、エンリはゴブリンの角笛をもらう。なんでも吹けばゴブリンが現れ、自身の身も守り命令すればそれも実行してくれるという。

 

 

「ありがとうございます!」 「ございます!」

 

 

また深々と頭を下げ、エンリ達はモモンを見送る。

 

──村へと入っていったモモン、手当たり次第に同じ格好の者たちを薙ぎ倒していき、先へ進むと村の中央に住民が集められており、その周りを10人ほどの騎士たちが取り囲んでいる。──恐らくまとめて始末するためだろう。

 

 

「やあ。君達はここで何をしているのだ?」

 

 

 中央へと歩きながらわかり切っている質問を投げかけるモモン。そんな声が聞こえてくるとは誰も予想していなかった騎士達は一斉に顔を向ける。

 

 

「な、何だお前は?冒険者か?」

 

 

 隊長らしき人物が声を上げ、騎士たちは剣を構えながらモモンの前に来る。周りに転がっている村人たちの死体を見れば、何をしていたのかなどすぐわかる。

 モモンは問いかけを無視して、一気に距離を詰め剣を振ると──三人同時に助からぬ人となった。それを見て怯え始める騎士たちだが、お構いなしに一人、また一人と料理していく。そして三人残し、捕虜として情報を吐かせるため、生かしておく。その三人を縛り付けて動けなくした後、モモンは村人たちに話しかける。

 

 

「どなたか村の代表の方はいますか?こいつらをどこか尋問できる場所を貸していただきたいのですが。」

 

 

 村長が出てきて村の離れにある農業器具などを保管してある倉庫へと案内してくれた。そしてこの者達はスレイン法国から来て、村を襲うよう命令されていたことを知る。それ以外の有益な情報はなく、また縛り付けて後の処遇は村の人たちに任せることにした。

 

村の中央の方へと戻ると

 

 

「あ、あの、あなた様は。」

 

 

 先程村長と名乗った者が尋ねてくる。そういえばまだ名乗っていなかったと気づき自己紹介をする。

 

 

「私はモモン。この村が襲われていたので助けに来ました名もなき戦士です。そういえばここにくる前姉妹と思われる2人の少女を助けたのですが、どなたか迎えに行ってもらえますか?」

 

 

 モモンと名乗っておきながら名もなき戦士というのはよくわからないが、どうやら危害を加えるような人ではないこと、エンリとネムも無事であるらしいことを聞いて村人達は安心する。

 

 

「──それで、モモン様は冒険者なのですか?」

 

 

 村長が尋ねてくるが、モモンはそれを否定し、冒険者とは何なのか逆に尋ねる。そこで冒険者とは名ばかりのモンスター退治の傭兵のような役割で夢のない仕事と落胆し、自分は遠方から旅をしながら来たため知らないことが多いという理由で様々なことを聞く。一通り聞き終わった後、村長はモモンに話す。

 

 

「そういえばまだ謝礼をしていませんでしたね。出せるものは少ないですが、望むものがあれば何なりとお申しつけください。」

 

 

 こういった場合なんの報奨も要らない──と言うのは、かえって村人達に不信感を与えるということはモモンにもわかってはいたが──しかし!しかしである!!この漆黒の戦士が、正義を執行するこの戦士が報奨目当てで人助けをするはずがない!弱きを助け強きをくじく、今回は正義ロールプレイなのだ。何であろうと、か弱きものを助ける、それが異業種でも人間でも関係ない、その思いから謝礼を受け取らずにいたが──謝礼を送りたい者から本当に何も貰わないのは逆にそれはそれで正義でもないなと思い直す。

 

 

「であれば、家を貸してくださいませんか?先程も申し上げた通り、遠方から来たので居住するところがなく困っていたんですよ。まだ旅の途中なのでいつも住んでいる、というわけではないと思いますが、こちらに住居があれば私としても安心です。」

 

 

 その申し出を聞いた村長は少しホッとした顔を見せる。その理由は、自ら言ったとはいえ、莫大な報奨であったり、この村にないものをねだられたらどうしようかと思っていたのもあるが──お返しをしたい、せめて何かを差し出したいという感謝を受け取って欲しかったのだ。

 

 

「もちろんですとも。こう言っては何ですが、何件か空き家もできたのでモモン様であれば他の者たちも歓迎してくれると思います。」

 

 

 そう言いながら、にこやかに笑う村長に突如一報が入る。一気に穏やかな顔は影を潜め、困り果てた顔に変わる。理由を聞くと、何でも戦士団らしき部隊が近づいて来ているらしい。

 

 

「また厄介ごとか。」

 

 

 せっかく助かった村人たちがまた襲われるのも忍びないので、村長のみを残し残りは家の中に隠れてもらう。──それから少しすると戦士団の姿が近くなってくる。村の中で待っていると、馬に乗った戦士団の先頭の者がモモンの前まで来て、馬上から口を開く。

 

 

「私はリ・エスティーゼ王国王国戦士長、ガゼフ・ストロノーフ」

 

 

 彼はそう自己紹介をして、近隣を荒らしている帝国の騎士達を捕まえるべく王命を受けて来たらしい。モモンの隣にいる村長は王国戦士長の名前を聞き驚いている。ガゼフはその反応をみて村長に話しかける。

 

 

「この村の村長だな。隣にいるのは一体誰だ。」

 

 

それに答えようと村長はモモンの紹介をしようとするが──

 

 

「それには及びませんよ。初めまして王国戦士長殿。私はモモン。この村が襲われるのを見て助けに参ったただの戦士です。」

 

 

 モモンはガゼフに名前を名乗る。その言葉を聞き、自分が無礼であったと思ったのか馬から降り頭を下げる。

 

 

「この村を救っていただき感謝の言葉もない──」

 

 

「戦士長!周囲に複数の人影、村を取り囲むような形で接近しつつあります」

 

 

ガゼフは部下からの知らせにより、感謝の言葉までしか言えなかった。

 

 知らされた複数の人影がどのような者たちなのかガゼフたち一行もモモンもわからないため、村長を避難させ一行とモモンは近くの建物の物陰に隠れ、その様子を確認する。人数は定かではないが、魔法詠唱者マジックキャスターが複数人いることが見受けられる。奴らは何者なのか──モモンはガゼフに問うてみると、スレイン法国の特殊部隊六色聖典のいずれではないかと推察し、モモンに覚えがないのであれば奴らの狙いは自分だ──自嘲気味に笑い、まさかスレイン法国にまで狙われてるとは思わなかったと語る。

 聞きながらモモンは一行が従えてる天使に目を向け、炎の上位天使(アークエンジェルフレイム)がいることに疑問を覚える。あれはユグドラシルのモンスターだ。なぜこの世界にユグドラシルのモンスターがいるのか──考えているとカゼフは口を開く。

 

 

「モモン殿、良ければ雇われないか?報酬は望まれる額を約束しよう」

 

 

 モモンは悩むそぶりすら見せず、即座に言い放つ。

 

 

「お断りします。私は報酬目当てで人助けはしません。」

 

 

 言葉の意味がわからなかったのかガゼフはモモンを見る。対してモモンは更に言葉を続ける。

 

 

「こういう時はこう言うんですよ戦士長殿。『私と一緒に村人を守るため、協力してくれないか』とね」

 

 

 ガゼフはその言葉に驚きの表情だ。モモンは報酬なんかで釣ろうとするな、人助けをするのにそんなものは必要ない──と暗に伝えているのだ。

 

 

「モモン殿に何と感謝を申し上げたらいいかわからないが、重ねて感謝を申し上げる。今差し出させる物はないが、これが終わったら必ずその恩義に報いると約束する」

 

 

 深々と頭を下げた後、作戦を立てる。まずガゼフが部下の半分を引き連れ村から出ていきそれを囮として、ガゼフの後を追って来たスレイン法国の特殊部隊をモモンとガゼフの部下で挟撃するといった形だ。もし全滅した時のために部下は二人だけ村に残す。これは防衛のためでなく、村人たちを避難させるために置いていくだけだ。それを聞きモモンは納得し、村長にも説明に行く。

 

 作戦の通りガゼフ達がまず村を出ていく。それを追っていく特殊部隊。少し遅らせて出発するモモン達。先程の作戦は言うは簡単だが、後から来るモモン達は特殊部隊に気づかれることなく目的のポイントへと移動することが必要である。気付かれなかったとしても、今度は到着が遅れガゼフ達は戦闘に入り全滅しているという可能性もあるため、タイミングと速度が重要だ。

 

 

「そろそろだな、行くぞおおお!!」

 

 

 バレてはいけない作戦なのに大声をあげて出発するモモン。ガゼフと特殊部隊の後を追う。特殊部隊はこちらに気付くことはなく、モモン達は追いつくことはできたが、今まさに戦闘が開始されるところであった。タイミングとしてはやや遅めではあったが、ガゼフにしてみればモモン達の部隊が気づかれたとしても人数を割くのは必ずガゼフ側であり、モモンであれば時間をかけることなく特殊部隊を倒し合流するであろう──という確信めいたものがあり、むしろ自分の部隊が全滅する可能性の方があるため、ガゼフは戦うまでの時間をギリギリまで稼いでいたのであった。

 モモンの到着に気付く特殊部隊の顔に傷がある隊長らしき男がこちらに気が付く。

 

 

「何者だ?挟撃などで我々を倒そうと思っているのであれば、とんだお笑いものだ!」

 

 

 特殊部隊の部下と天使がモモン達の方へと向く。

 

 

「何者だと?貴様に名乗る名などない!行くぞ!!とわあっ!!」

 

 

 モモンの十八番──ジャンプである。しかし今回はただ飛んだのではなく、攻撃も兼ねており、天使に2本のグレートソードを振り下ろす。なす術なく消滅する天使、それを見てモモンを天使達が取り囲む。

 

 

「ふんっ!!」

 

 

 掛け声に合わせてモモンは剣を振る、全ての天使が一撃で消滅していく。

 

 

戦気梱封(せんきこんぷう)!」

 

 

 今度は逆側から声が聞こえる。ガゼフの声だ。ガゼフもモモンに負けるまいと一撃で天使を屠っていく。

 

 

「六光連斬!流水加速!!」

 

 

 二人は次々と天使を倒していき、特殊部隊の面々の表情は徐々に曇っていく。隊長らしき人物はそんな状況を打破すべく動く。

 

 

監視の権天使(プリンシパリティオブザベイション)行け!」

 

 

その天使はガゼフではなくモモンを狙う。

 

 

「はあっ!!」

 

 

 しかし先程までと変わらず一太刀で消滅する天使。流石に特殊部隊にも焦りが見え始める。

 

 

「隊長、我々はどうすれば。」

 

 

 一人が助けを乞うように、隊長へ声をかける。見かねた隊長は懐に手を伸ばす。

 

 

「最高位天使を召喚する!」

 

 

 その掛け声に、おぉ!と声が上がるが、モモンはその手に握られた魔封じの水晶を見て、誰にもわからぬよう呟く。

 

 

「マズい、さっき最高位天使と言っていたな。もし熾天使(セラフ)級であれば今のこの状態じゃ倒せないぞ。その時はしょうがないから変身を解くしかないけど。それはダサいしなあ。──ならば!」

 

 

 天高く魔封じの水晶を掲げる隊長は、天使を召喚しようとする。

 

 

「たあっ!」

 

 

 それが叶うことはなかった。モモンが剣を隊長に向かって投げたのである。Lv100のステータスから投げられる剣のその速度は人間が反応できるはずもなく、真っ二つになった体は地面に倒れ込んだ。それを見ていた特殊部隊の隊員は戦意を失い、その場で座り込む。

 

 

「モモン殿…」

 

 

 見ていたガゼフもその場で起こった光景に唖然としていた。ガゼフの部下からは喜びの表情が見て窺え、特殊部隊の生き残った者たちは皆縛られ──完全勝利だ。村に戻る前にまたガゼフがお礼をしにくるが、モモンは当たり前のことをしたまでだと言い放ち、ガゼフはモモンの人柄にただただ恐れ入るばかりであった。

 

 村に戻り住民たちに安全を伝えると、皆安堵し笑顔も見える。もうそろそろ日が暮れるので、村長はガゼフ達に村に泊まらないかと提案するが、村が襲われたばかりでこの人数は負担になるだけだと言い、捕らえたスレイン法国の者達も王国へと送らないといけないので、そのまま出立するようだ。

 

 

「それではモモン殿、この度は本当に世話になった。しかし本当にあんなものだけで良いのか?カルネ村に滞在するのであれば遣いをよこして、モモン殿の望むものを用意することもできるのだぞ?」

 

 

 モモンはガゼフがどうしても報酬を寄越したいと言うので、村長の時と同じように断り続けるわけにもいかないので、報酬として冒険者登録するから、それに当たって手続きがスムーズに行くよう一筆書いてもらい、身分などを保証する旨を書いてもらっていた。

 

 

「構いませんよ。私としても冒険者に興味があったのですが、何分身分を証明するものがないので、王国戦士長殿が保証してくれるのであればこれに勝るものはないでしょう。それに、見ての通り私は強いのでお金に困ればいつでも稼ぐことは容易です。」

 

 

 ガゼフはこの人道厚き御仁は金では決して動かず、常に弱者と共にあるという御伽話に出てくる英雄そのものであると心底尊敬し、自分は貴族争いや王位を巡っての争いなどに巻き込まれ、やりたくてもやれないことが多い自分と見比べ自分を卑下するのであった。

 

 

「はっはっは。確かに君ほどの実力であればいくらでも金は稼げるか。あとこれは王国戦士長としての頼みではなく、私個人としての頼みなのだが、王都に来ることがあれば是非私の屋敷に来て欲しい、出せる物は少ないが歓迎するぞ。それではまた会う日を楽しみにしている」

 

 

 そう言い残し、ガゼフ達は村を後にした。

 帰る途中ガゼフはもしモモンが王国に滞在するのであれば馬鹿な貴族共にモモンを利用されてはならない。

 もしモモンの逆鱗に触れるようなことがあれば、王国は間違いなく滅びるだろう。そうなる前になんとかしなくてはいけないと気を引き締め、今回の件を王に報告するのであった。

 

 ガゼフが去った村では、村人達はモモンを歓迎しようと料理を作ろうとしたのだが、宗教上の都合で目の前で人の死を見た日の夕食はとってはいけないからと断り、新たな住居、エモット家の向かいに入っていった。

 

 

「明日はそのエ・ランテルってところに行って、冒険者登録したあと依頼でもこなして街でも散策してみるか」

 

 

 簡単な次の日の予定を立て、前の住民のものであろう物を片付けながら、おぉ!これが異世界の生活用品なのか!とところどころ感激しながら朝を待つことにした。

 




ニグンさんは名前もわからないままお亡くなりに。本当はハムスケ登場させる予定だったのに書いてる途中で予定変更、漆黒チームにハムスケは必須なので後々出すことにします。
ちなみにモモンガさんが原作ほど警戒をしていないのは単独転移だと思っており、守るべきものが自分だけだからです。
だとしてもこのモモンガさん、ノリノリである。

編集してて思ったけど自分の文章読むの恥ずかしすぎて死ぬ
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