15話完結にしようとしていたが、このペースだと厳しそう
前回のあらすじ
モモンガ「モモンガではない!私は正義の使者モモン!報酬など要らぬ!が少しだけ貰っておかないと怪しいよね」
ナーベラル達一行はエ・ランテルへと向かう途中──カッツェ平野を抜ける前──にもう一体のデスナイトが出てきたが、ナーベと名乗る女性はまたもや二撃で倒したり、他のレベルの低いアンデッドはもはやナーベの相手にはならず、鞘付きの剣のままで殴り倒しながらカッツェ平野を抜けていく、
「いやぁ、ナーベさんのおかげでカッツェ平野が安全に抜けられました。やはりとてつもない強さですね!かれこれ20年程冒険者を見てきましたが、ここまでの者は見たことがありません。もしかしたら彼の13英雄と比肩しても遜色ないかもしれません。私も昔は13英雄に憧れて冒険者を目指した時期がありましたが才能がなかった為、今はこうして冒険者のランク付けの係をやっているんですがね。それにしても13英雄の物語も御伽噺の中の話で、眉唾物だと思っていたのですが、今こうして目の前で見ると〜」
──話が長い。
ただでさえ
こんなゴミ共に着いてきたのは失敗だったか──ナーベは内心考えるが今はなんの情報もない。全てはナザリックへの帰還、さらに最後にお会いしたモモンガ様にお会いし、命令を実行するという目的の為我慢するのであった。
それでも彼らの話は続く。
「それにしても──13英雄に美女や美男がいたという話は聞いたことありませんが、初対面でこう言っては失礼かもしれませんが、40年余り生きてきた中であなたは最も美しい。もしかしたらナーベさんは神から産み落とされた神の子、なんてこともあるんじゃないですか?はっはっはっは、冗談ですよ。あなたにも両親が──」
13英雄とやらの話からまたこちらへと話が変わったようであったが、この
ナーベは話を遮るように言葉を発する。
「その通りです。私はいと尊き御方自らに創造され、この世に生を賜ったのです。」
ラカロはまさかナーベがこの冗談に食いついて来るとは思わなかったのか一瞬目を丸くするが、すぐ理解し笑いながら話す。
「はっはっはっ!まさか冗談もノれるとは!!私がもう少し若ければ今すぐにでも交際を申し込んでいたでしょう。いやね私は──」
交際を申し込むという言葉を聞き、先ほどの評価は過大であったとすぐさま評価を下げ、やはりゴミはゴミなのだと考えなおす。こいつらと話すだけで自分の価値が下がる、そう思い、今までは情報収集の為少しは会話を聞いていた。だが、やはりゴミから出る情報はなんの役にも立たないゴミ以下のものだと考え、会話全てを雑音とするのであった。
その間、相槌を打っていた一人が先ほどの会話を聞き──自分はまだ弱いからナーベとは釣り合わないので交際とは言わないが、今後仲良くなれないか、もしよければ自分も
しかし男はその様子を見て、何も返事がないのは俯き悩んでいるのだと都合よく解釈し、もしかしたらがあるかもしれないと内心喜んでいた。
──少し時は進み、ナーベが一切反応しなくなったのもあるが、三人はやや疲れも見え始め、会話も徐々に無くなり静寂に包まれながら歩みを続ける。太陽もその一部が隠れ始めるかという頃──エ・ランテルの門が見え始める。
「あれがエ・ランテルです、ナーベさん。私は先に言ってエ・ランテルに入るための手続きをしてきますね」
ラカロは小走りで門の方へと走っていく。それを追いかけるようにナーベ達は歩き、門の前で手続きをしているラカロの方へと向かう。
「──わかりました。ナーベという方が身分証はないが、このまま冒険者登録をするため一時入場許可という形でよろしいですね。そのナーベという方は?」
門番がラカロに確認を取っているのが聞こえる。ラカロはこちらを見つけこの方がナーベさんです、とこちらに手をやりナーベの紹介をする。門番はナーベの顔を確認し。唖然とする。その美貌、スタイル、ナーベの全ての造形に見惚れてしまい、一瞬対応が遅れるが今は職務中ということを思い出し、対応する。
「え、えっとナーベさん。一時入場を許可しますが、入ったらそのまま冒険者登録をして頂き、その書面をこちらに提示して頂いた後、一時ではなく完全な入場許可となります。その際ナーベさんに一人こちらから付かせますので、その者に冒険者登録証をお見せください。」
ナーベは説明を受けるが返事はしない。代わりにラカロが、わかりました。ありがとうございます。と答え、ナーベはエ・ランテルの中へと入っていく。ランク昇格の審査を受けていた二人の冒険者も組合に報告があるのだが、その役目はラカロに任せ、ナーベにお礼を述べた後去っていく。
「──それでは行きますか。」
ラカロはナーベを組合まで連れて行き、付いてきた門番の一人は組合の建物の前で二人を待つ。組合に入ると中にいる冒険者達はナーベの顔を見て──おぉ!と息を呑むがナーベはそれらを気にすることはなく、ラカロに連れられるまま受付まで行き、冒険者登録を全てラカロに任せ、作成された書面を受付の女性が外の門番に持っていく。
「──これで冒険者登録は済みました。それでカッツェ平野で約束した最低でもミスリル級というのはすぐにはできないので、とりあえず今日は
そう言い残し、ラカロは受付の隣の扉に入っていく。
それらを見ていた冒険者達はナーベ方へと寄っていき、一人が声をかける。
「おい姉ちゃん、さっき
低俗な笑みを浮かべながら、こちらに手を伸ばしてくる。ナーベがその手を振り払うと、冒険者は声を上げる。
「痛ててて!!あぁ〜、骨折しちまったな。こりゃ、看病してもらうしかねぇなぁ。」
明らかに演技とわかる仕草をしながら、下品なことを言ってくる。ここまでかなり我慢してきたナーベだったが、それも限界でこの場で殺してやると行動しようとしたが、その前に戻ってきたラカロが声を荒げる。
「おい!何しているんだ!!この方はお前なんかとは比べものにならない方だぞ!こんなことばかりしてるから貴様はいつまでも
その言葉を聞き、冒険者は反抗しようとするがラカロが続けた言葉により大人しくなる。
「今の行動は冒険者として相応しくないので罰として
冒険者は舌打ちをし、言われた通り元いた席に戻る。ラカロはナーベに頭を下げて謝罪する。
「ウチのものが失礼しました。新人への挨拶の一環なのですが、何分相手を選ばなくて。まぁ今回のは相手がナーベさんでなくてもやりすぎなのですが。むしろ本当に新人でまだまだ実力もない女性冒険者だったら、さっきの口車に乗せられて、最悪な事態となっていました。ただそんなことをすれば一発で追放処置を取れるんですがね。いやぁ惜しかったですね。はっはっはっ!
おっと、忘れるところでした、こちらがプレートと明日の面談の書類です。先程も申した通り、明日こちらの書類を持ってきて頂き、受付に見せてください。時間はそうですねぇ、お昼すぎであれば私も組合長もいると思いますので、そのぐらいにきていただけると良いですね。あとナーベさんが探しているナザリックについてですが、こちらはもう少しお待ちください。組合でも情報を持つものを探してみますので。」
ナーベはそれを聞きながらプレートと紙をもらう。ここでやることはもうないと、組合から出て行こうとするが──例の如く呼び止められる。
「あぁ、しまった。これも忘れていました。ナーベさんが討伐したデスナイトやその他アンデッドの討伐料を出していませんでしたね。計算したところ1700金貨程となりますが、こちらもすぐには用意できず今日は500金貨をお支払いします。残りは明日お支払いします。
あと、今晩の宿はお決まりですか?もしまだ決まっていないのであれば、黄金の輝き亭への宿泊をオススメします。本日のお礼も兼ねて代金は私がお支払い致しますので、こちらの小切手でお支払いお願いします。」
ラカロから金貨の入った袋と小切手を新たに受け取り、明日お待ちしています──という言葉を無視して黄金の輝き亭に向かう。
外に出ると日は完全に沈んでおり、辺りは暗くなっていた。
紹介された黄金の輝き亭に着き、受付嬢に小切手を渡す。その際、受付嬢がナーベの顔の美しさに見惚れていたことをナーベは知らない。
部屋の場所を教わり、部屋に入ったナーベはソファーやその他の装飾に目をくれることもなく、ベッドまで行き、後ろで結んでいる髪を解きベッドで横たわる。
ここまで平然そうに見えていたが、ナーベ、いやナーベラルは正直なところ疲弊していた。体力的にはこの程度で根を上げることは絶対にないが、それよりも精神がかなりきつかった。
ナーベラルにとってナザリックの外は初めてで、そのナザリックも今はどこにあるかわからず、至高の御方のお姿はおろか、同僚や姉妹もどこにいるかわからない。ナーベラルの考えはどんどんマイナス思考になっていく。
「あぁ、私はやっぱり廃てられたのだわ。誰の姿もない、ナザリックもないこのゴミ箱に。せめて最後のご命令だけでも遂行し、それができたら自害しよう。…うぅっ…ううぅっっ…モモンガ様…モモンガ様ぁ…」
涙が溢れてくる──モモンガにされた最後の命令を遂行するということだけが今のナーベラルの唯一の生きがいだった。
この状態のまま眠れる訳はないが、目を閉じナザリックやモモンガに思いを馳せながら、夜を過ごすのであった。
ナーベラルの心情を考えながら書くとこっちも悲しくなってきますね。ところでデスナイトの討伐料ってどのくらいなんだろうか…??金貨の価値がどの程度なのかわからない…(ゴブリンの角笛が金貨数千枚らしいので、少なくとも4桁は行くはず)