英雄と美姫の物語   作:ながしながされ

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今回はナーベラル視点書くだけなので気が楽です!
果たして15話完結できるのだろうか?
え?まだアニメ一期すら終わってない?そんなバカな……

前回のあらすじ
モモンガ「飛び級で冒険者なれた!ナーベラル…ギュー(つ・ω・つ) どうか泣き止んでおくれ。」



五話『再会』 ナーベラル視点ver

 ナザリック地下大墳墓、玉座の間に通じる廊下にて──私は姉妹と自分の上司であるセバス様と共に控え、至高の御方のお帰りを今か今かと待ち望む。しかし──もしかしたら今日はいらっしゃらないかもしれない、そんな考えがよぎった瞬間、思わず顔が綻びそうになる出来事が起こる。敬愛する御方の気配を感じたのだ。

 モモンガ様がお帰りになられた。探知阻害の指輪を付けていても溢れ出る偉大さ強大さは隠しきれない。

 

 私は喜びでその場で打ち震えたくなるが、今は何のご命令も賜っていない。打ち震えて良いとの許可も頂いていない。私はただここで立っていることだけを許可されているのだ。

 

 今日は私たちのところにお姿をお見せして下さるだろうか。いや、そんなことを望むのはシモベとして不敬だわ。ただモモンガ様が今日もナザリックに赴いて頂いただけで満足するべきよ。

 

 自分に言い聞かせるが、その考えはいい意味で裏切られる。

 

 モモンガ様が突如として私達の目の前に現れ、その尊きお姿をお見せになったのだ。なんという喜びだろうか。ただの一介のシモベである私たちの前にまで来ていただけるだなんて。

 

 

「今日はこの装備を試してみるか」

 

 

 モモンガ様は私の前で呟く。そう、モモンガ様は弐式炎雷様との一件の後、毎日のように私の装備やアイテム、スキルなどをご確認され、それをより良いものにして下さろうとしている。

 

 

──あの一件。

 あの時の弐式炎雷様は恐らくナザリックとシモベたちとの別れの為こちらに赴いて下さったのだろう。日に日に弐式炎雷様はナザリックに来られる日が減っていき、久しぶりに弐式炎雷様が来て下さった日は大変嬉しかったのだが、私の前で会話するモモンガ様と弐式炎雷様の会話を聞き、嬉しさは消え、先の考えのように結論づけたのだ。

 その日のことは今でも鮮明に覚えている。もちろん常日だろうと至高の御方の発せられた一言一句を覚えていないものがいれば万死に値するのだが、そんな不敬なシモベはナザリックにはいないだろう。

 

 弐式炎雷様はモモンガ様に、私のことをよろしく頼むと言い、私の頭を撫でた後、ナザリックからお姿をお隠しになった。それ以降弐式炎雷様のお姿を見ることは無くなり、あれが弐式炎雷様の最後の言葉だと理解した時はこれまでにない絶望感に襲われたが、そのあとからはモモンガ様はほぼ毎日、ナザリックへお帰りになられた際には必ず私の前にお姿をお見せ下さる。

 しばらくは悲しんでいた私だったが、モモンガ様は残られている他の至高の御方々に私の装備品などを相談したり、新たなアイテムを用意したりと、これ程までにない程私を気にかけて下さったのだ。モモンガ様以外の至高の御方々の姿が見られなくなっても──モモンガ様のその行動は続いていった。

 

 弐式炎雷様にもう会えないと思うと今でも少し悲しい気持ちになるが、モモンガ様がして下さった行為は──悲しみを癒すには十分過ぎるほどであった。

 

 むしろ今では弐式炎雷様に感謝している。至高の御方々のまとめ役であり、最後までお残りになられた慈悲深き御方であらせられるモモンガ様が毎日のように私の前まで来てくれて、毎日のように私如きのことで悩んでくれて、毎日のように頭を撫でて下さる。これ程までに幸せなことがあるだろうか。他のシモベ達もたくさんいる中、私()()を特別に愛を注いで下さる。

 

 私が創造された頃は弐式炎雷様も似たようなことはして下さったが、それも少しすれば徐々になくなっていき、寂しさを覚えることもあった。しかしこの御方はいつまでも──他の御方々がお隠れになられようとも──愛でて下さる。

 

 これ程のご慈愛を頂いたからには、今まで通りの忠誠ではいけない。

 これまでモモンガ様が私にしてくださったことに対する恩義に報いるだけでは足りない。恐らく弐式炎雷様と同じようにもうお姿を見せることはないであろう御方々への忠誠、弐式炎雷様への忠誠も、想いも、全てモモンガ様に捧げよう。そうでなくては他の者たちにも示しがつかない。守護者統括のアルベド様も、御自らがご創造なされたバンドラズ・アクター様もこれほどのご慈愛を頂いていないのだから。弐式炎雷様もそれをお望みのはずだ。私の全てをモモンガ様に託して──去っていったのだから。

 

 

 モモンガ様に更なる忠誠を誓ったことを思い出しながら、いっぱいの幸せな気持ちを胸に抱き──今目の前にいるモモンガ様を見つめる。モモンガ様がご用意なされたものを私にお与えになろうとし、またまた幸せな気持ちで溢れそうになる。しかし、モモンガ様から発せられた言葉によりその気持ちは一転して、弐式炎雷様がお隠れなった時以上の──絶望感と恐怖に襲われる。

 

 

「あれ?これつけられないのか。使えないなナーベラル。お前などもう要らん!これ程慈悲をかけてやったのに、それに対する報いがこれかっ!!!貴様などナザリックにいる価値などない!ゴミ箱に行け!!」

 

 

 

「モモンガ様!!」

 

 

 叫びながら私は飛び起きる。先ほどのは夢だったと理解するまで時間がかかるが、辺りを見回し、昨日は宿に来てそのまま寝てしまったのだと思いつく。夢で感じた恐怖はまだ消えないが、とりあえずベッドから降りて、ふと窓の方を見ると日は既に傾き始めるくらいになっていた。

 今日はもう一度冒険者組合に行ってナザリックの情報があるか聞きに行かなくてはならない。時間はお昼過ぎと言っていたので、もうすぐ夕方になるが大丈夫だろう。少し時間をおき、恐怖も少し落ち着き始めたので髪を結びいつもの髪型──ポニーテールを作ってから宿から出て行く。

 

 黄金の輝き亭は冒険者組合からはそう遠くない。昨日通った道を思い出しながら歩いて行く。そこらへんに虫どもがいて、しかもこちらの方を見てくるので不快感を覚えながら先に進み、冒険者組合の建物が見えてきた頃、虫の一匹が話しかけてくる。

 

 

「あ!ナーベさん、こんちには!奇遇ですね。昨日はありがとうございました。お時間あればお茶でもどうですか?昨日言ったナーベさんに師事したいってお話もしたいですし。」

 

 

 どうやら昨日会った下等生物(ミジンコ)らしいが、虫どもの顔の違いなどわかるはずもない。ただでさえ不機嫌なのだ、二度と鳴けぬようこの場で消し炭にしてやろうか──と考えるが、目の端に映る冒険者組合の建物から出てきた人物に──目を奪われる。

 ただの人間相手であればそんな事はなかったのだろうが、私の視界が捉えたお方は神ですら凌駕する存在。

 姿形は違えど私にはわかる。私の全てを捧げてもまだ足りない、全ての忠誠を捧げている慈悲深き御君──モモンガ様

 

 認識してしまえば、私は自分の意思とは関係なく足が動き、走りだす。

 喋っていたやつにも、周りを歩っているやつらにも目もくれない。御方のあらせられる場所のみが光って見える。その光に向かってただ進むのみ。

ずっとお会いしたかった。やっとお会いすることができた。今朝見た夢のことなど思い出す暇もなく──もう一度相見えることができるという喜びを噛み締めながらひたすら走る。

 すると御方も私に気づいたのか──こちらを向く。

 

 

「ナーベラル?」

 

 

 聞こえる距離ではないはずだが──間違いなく私の名前を呼んだ声が聞こえる。ずっと聞きたかったモモンガ様の声が、私の名前を呼んでくれている。

 それだけでこの上ない幸せなのだが、なんとモモンガ様もこちらに歩み寄ろうとしてくれているではないか。主人こちらに来させるというのはシモベとして失格ではあるが、それは後で罰を受ければいい。

 

 今は足が止まらない

 

 もう一度会えたことが嬉しくて幸せで、これまた自分の意思とは関係なく──崇高なる御方のお名前を叫んでいた。

 

 

「モモンガ様!!」

 

 

 私は足を緩めることなくモモンガ様の前まで走っていき、ようやく目の前まで来ることができた。モモンガ様の存在を身近で感じることができて嬉しさが込み上げてくるが、私はモモンガ様と再び会うことができたなら、ひれ伏し自害しなくてはならない。

 嬉しさからか、やっとお会いしたのにすぐに別れなければならない辛さからか涙が出そうになる。しかし、そんな顔を見せるわけにはいかないと、必死に涙を流さないようにする。

──早くご命令を遂行しなくては。

 頭を下げ跪こうとするが、それは叶わなかった。なぜなら私が頭を下げる前に──モモンガ様に抱きしめられてしまったからだ。

 一瞬何をされたのかわからなかった。そして理解が及ぶ前にモモンガ様は私に仰る。

 

 

「ナーベラル、ただいま」

 

 

 その言葉は我慢していた私の涙のダムを決壊させ、抑えようとしても涙はただただ溢れていく。

 

 モモンガ様が帰って来たわけではないです。私があなた様の元に還ったのです。あなた様のいるところこそが私のいる場所なのです。

 

 心の中で私はモモンガ様に言うが、その言葉は出てこない。

 モモンガ様がただいまと仰ったのだ、私はそれに応えるほうが優先だからだ。しかし、それですら私には出来ず、モモンガ様のお名前を呼ぶばかり。

 

 

「モ、モモンガ様ぁぁ」

 

 

 早くモモンガ様のお言葉に返さなくてはいけない。きっと今の私の声は聞くに堪えない、なんとも情けない声である事だろう。

 こんなみっともない姿をお見せする訳にはいかない。

 私の頭はそれを理解しているはずなのだが、私の体と心は、私が何を言っても言うことなど聞かず、私の腕はモモンガ様の後ろへと回されていく。もはや意思も理性も役に立たず、感情に支配されてしまう。

 

 ずっとこのままでいたい。

 離れたくない。

 不敬だ。

 早く離れなくては。

 

 頭の中はどんどんぐちゃぐちゃになっていき、その間も自分の腕の力が緩むことはなく、むしろ力が入っていく。

 

 

「モモっ..ンガ様っ」

 

 

 ならば、せめて言葉だけでもお応えしなくてはいけない。

 そう思い、お名前までは口にできたのだが「おかえりなさいませ」まで言葉が続かず、自分の泣き声に邪魔される。

 早く言わないと、御方のお言葉を無視することになる。そんなことをすればこの命だけでは足りない。しかし私の涙は止まらず溢れて行き、腕など石になったかのように動かず──力が緩むことはない。

 早く──言わないと。

 僅かに残る私の意思も、モモンガ様によって完全に崩壊される。モモンガ様がいつもそうしてくださったように、優しく、ゆっくりと私の頭を撫でてくださってしまった。

 そのことで私の体も精神もとろけていってしまい、意思も理性も、感情に抗うために残された精神は全て感情に飲み込まれていくが。

 

 一つだけ気づいたことがある。

 

 私はモモンガ様に廃てられたわけではなかったのだ。いつもと変わらず、いやむしろいつも以上に、モモンガ様は私にご慈愛をくださっている。むしろこれで廃てられたと思う方が不敬だ。

 

 私はわんわんと泣きながら、見るに耐えないであろう醜態を晒し、モモンガ様の着けられている硬い鎧に縋りついては、モモンガ様の胸に顔を押し当て、私の体はしばらく離れそうもない。

 

──それからどれほど泣いていたのだろうか、感情に飲まれた精神たちも少しは戻ってきて、これでようやくモモンガ様に応えることができるまで私は冷静さを取り戻していた。

 腕も僅かながら動くようになり、力を緩めてモモンガ様から一歩下がる。しかしこんな泣いたままではいけない。まだ止まらない涙を必死に抑え、感情をなるべく顔に出さぬように、口を開く。

 

「モモンガ様、おかえりなさいませ」

 

 ようやく主人の帰りを歓迎することができたのだった。




ただでさえカンストしていた忠誠がまさかもう1周どころか41周してしまうとは。てか今回ナーベラル何回モモンガ様って言った?笑

次回は、どうしようかな。この話の一般人視点を書いてもいいのですが、それは後でおまけとして書くかどうか悩み中。
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