英雄と美姫の物語   作:ながしながされ

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今まで早足で進めてきた為、アインズ様とナーベラルはこの世界についてまだよくわかっていないのでそれらを説明する回です。


前回のあらすじ
ナーベラル「ハッ夢か!感情が昂る出来事はあれど、理性が強くなる出来事はない。」


六話『結成』

 感情が抑制され冷静になったモモンガは、未だ泣きそうなナーベラルをどこか二人で会話できるところはないかとナーベラルに問いかける。それでしたらとナーベラルの宿泊している宿にモモンガを案内する。

 ナーベラルを落ち着かせるためにナーベラルに案内させるのっておかしいよな──そう思ったのだがモモンガはまだついたばかりで土地勘も全く無いため案内に従う。

 

 

「──え?ここ?」

 

 

 モモンガは素っ頓狂な声でナーベラルに確認すると、ナーベラルはすぐさま跪く。

 

 

「はっ。申し訳ござ──」

 

 

 

「ちょっと待てー!うむ、話は中で聞かせてもらえるかな?」

 

 

 跪いたナーベラルの腕を掴み立ち上がらせる。

 モモンガにしてみれば、人通りの多い場所で跪かれるのは勘弁してもらいたかった。ナーベラルは返事をし、モモンガを自分の宿泊している部屋に案内する。部屋へ向かう途中──モモンガには確信めいたものがあった。ナーベラルが宿泊しているというこの宿──間違いなく超高級宿だ。

 思わず素が出てしまったが、外観の佇まい、そして置かれている装飾品の数々。どうやって──と思うがとりあえず今はナーベラルについて行く。こちらです、とナーベラルは扉を開けモモンガが部屋に入るのを待っている。さっきも思ったのだが、跪いたり、扉を開けたりと──まるで従者だ。

 モモンガは頷き部屋の中に入る。ナーベラルも入室したので、モモンガは彼女の現状について聞こうとするが、その前にいつの間にかに後ろで跪いている彼女は口を開く。

 

 

「申し訳ございませんモモンガ様。御身が赴くにはこのような場所は不適当でございました。また先ほどのご無礼の数々、我が身一つ自害したところで足りません。どうか相応の罰をお与えください。」

 

 

 ナーベラルのそのシモベのような行動に驚くモモンガだったが聞き捨てならない言葉について聞く。

 

 

「自害、と言ったのか?」

 

 

──もしかしたら聞き間違いかもしれない。

 無礼を働いたとか言うけど、いきなり抱きしめた俺の方が無礼だよ!心の中でモモンガは言うがナーベラルから返ってきたのは、先の言葉は聞き間違いではなかったと証明する。

 

 

「はい。私は先ほどモモンガ様にお会いする前に賜っていた、平伏しろとのご命令を遂行しなかったことはおろか、あまつさえ、、だ、抱きしめてしまい、ただいまとおっしゃられたモモンガ様に対しても、言葉を返すのが遅くなりモモンガ様を待たせてしまいました。なのでモモンガ様から相応の罰をお与えいただいたあと自害し、今までの──」

 

 

「馬鹿野郎!!!」

 

 

ポワーン

 

 

 ナーベラルの言葉を遮り、モモンガは声を上げる。一気に怒りが込み上げる。しかしその感情は抑制され、逆に今度は少し悲しい気持ちでナーベラルに声をかける。

 

 

「いや──すまないナーベラル。お前を落ち着かせる為にここに来たのに、むしろ私が落ち着かなくてはいけない立場になってしまった。しかしナーベラル、先ほどの言葉は聞き捨てならんぞ?お前は二式炎雷さんが自分の娘のようなものだと言って、もう来られなくなるからと、わざわざ私に頼み込んでくるほど二式炎雷さんに愛されていたんだぞ。二式炎雷さんだけではない、私もナーベラルからたくさんの思い出や、楽しみを貰ったのだ。今日初めてナザリックの外で活動しているお前を見て、また大切な思い出ができたと、そう思っていたんだ。──なのに自害するだと?」

 

 

 モモンガの話を聞き、ナーベラルはまた泣いてしまう。頭を下げながら、申し訳ございません──と繰り返す。その居た堪れない姿を見て、跪いているナーベラルに自分も膝をつき、彼女の肩に手をおき話しかける。

 

 

「わかればいいんだナーベラル。もう二度と、自害などと言うな。それと、私がさっき言った言葉をよく覚えておいてほしい。お前が死んだら、私も二式炎雷さんも悲しむ。──ついでに今後跪くのも禁止な?」

 

 

 はい──とだけナーベラルは返事をするのだが、また泣かせてしまった自分に対する不甲斐なさは残る。そのままナーベラルが落ち着くまで待ち、肩から手を離し近くのソファーに腰をかけ、ナーベラルにもソファーに座るよう言うとナーベラルは隣に座る。

 

 え!?隣??

 

 困惑するが、今から対面に座れとも言えないので、そのままにしておく。

 

 隣に座る彼女にナザリックのことや、他のNPC達のことを聞いてみる。しかしナーベラルも自分と同じようなことしかわかっていないようだった。予想はしていたことだが、ナーベラルも一人でこの世界に来ていたらしく、違うことといえば転移した時間と場所だ。ナーベラルが転移してきたのは昨日の午前中でどこかの草原、モモンガは一昨日の夜でどこかの森の中。今のところわかるのはそれだけであり、有益な情報も無さそうである。他に聞くことはなかったか頭を巡らすと、そういえば──モモンガはナーベラルに聞く。

 

 

「ナーベラル、先程は何をしていたのだ?私と会ったのは偶然だろう?その前は何をしていたのだ?」

 

 

 ナーベラルはその質問に答える。

 

 

「はい。昨日冒険者登録をしたのですが、ゴミクズが今日の昼過ぎにまた来てほしいと。ナザリックについての情報と、面談がどうとか言っておりましたので、冒険者組合に向かっているところ、モモンガ様を見つけ、あ、あのようになりました。」

 

 

 ナーベラルは説明する途中で言い淀み、顔を真っ赤にしながら報告する。 

 あの事を思い出してしまったのだろうか…。

 モモンガも内心恥ずかしくなるが、それ以上にもっと重要な情報が伝えられ、思考はそちらにシフトする。

 めちゃくちゃ大事な予定じゃないか!今から行っても間に合うか?あとゴミクズってなんだ?

 モモンガはその予定をかなり重要であると考え、ナーベラルに冒険者組合に向かうよう促すが──彼女はそれを許してはくれない。

 

 

「御身をお一人にすることなどできません!」

 

 

 いや別に留守番ぐらい一人でできるのだが。むしろこの場合、待つ方ではなく行く方を一人というのではないだろうか。どうにも先ほどからのナーベラルの態度を見ると、一般の従者やシモベの、主人に対するものというよりはそう、神に仕える騎士とでも言おうか、謙り方が半端ではない。今ここでそれについて聞いても良いのだが、約束の時間は当に過ぎている。──ただナーベラルは一人で行くのは嫌みたいなので、モモンガは一緒に行くことにした。

 

 冒険者組合に行くのなら、ナーベラルとそのままチーム組んだ方がいいのではないのか。流石に一人で冒険者をしている人は少数であろうから、せめてナーベラルとチームを組むことによって、二人で活動すれば良いのではないか。というか一人で冒険者をするとしても、一人で冒険などさせられません!と過保護な母親のような文句を言って、許可してくれないのではないだろうか。ならば今からナーベラルに着いていき、組合でナーベラルとチームを組む旨を話そうとモモンガは思い付いた。

 

 その際、ナーベラルに自分はいまモモンと名乗っているからそう呼んでほしいと伝え、様はつけなくていいと言うと、不敬だどうのこうの言うので無理矢理言いくるめ「モモンさーん」と呼ぶ彼女に及第点を与える。そしてナーベラルは今はナーベと名乗っていることを聞く。ちゃんと偽名を使っていたところと、ネーミングセンスが自分と同じことに感動を覚える。

 

 ナーベとモモンは宿から出ていき、冒険者組合に向かっている途中にナーベが転移してきてからの話を詳しく聞きながら歩いていると、ふと思い出す──ナーベと抱き合ったのは組合の前ではないか。

 

 え、そんなところ行くの?めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!時間にしてまだ2時間経ってないくらいだから、絶対見てた人もいるじゃん!!

 

 

ポワーン

 

 

──別に悪いことした訳ではないし、堂々と行こう。ナーベも別に気にしてないみたいだし。

 隣を歩くナーベは涼しげに歩いているので、モモンも気にしないことにするのだが、組合の近くまで来ると周りのヒソヒソと話す人たちが目に入り始め、自分たちの事を噂してるんじゃないのかと、やや被害妄想気味になり、また恥ずかしくなる。

 

 

ポワーン

 

 

「いや、むしろこんな美人と噂になるのであれば男冥利に尽きると言うものか」

 

 

 モモンは自分に言い聞かせるように呟く。それが聞こえたナーベはその言葉に顔を真っ赤にするのだが、例の如くモモンが気付くことはなく、そのまま組合に着き、中に入って行く。

 中に入ると外よりもヒソヒソと話す連中が目につくのだが、感情が抑制されまくったモモンに敵はいない。組合の中を歩くとちょうどアインザックがいて、こちらに気づき声をかけてくる。

 

 

「ナーベくん!来てくれたか!」

 

 

笑顔でナーベを見ると隣にいるモモンにも気付く。

 

 

「やあモモンくんも!さっきぶりだね。見てたよ。感動の再会だったようだね。ラカロくんからナーベくんはここには知り合いがいないってことを聞いていたんだが、いやぁ、良かった良かった。」

 

 

──前言撤回。

 感情が抑制されることはなかったが、普通に恥ずかしい。モモンはアインザックの言葉に頷くだけだった。

──って違う違う!こんなのではダメだ!私は戦士モモンだぞ!この程度でっ!!

 恥ずかしいので頭の中でロールプレイに逃げることにする。

 

 

「じゃあナーベくん、二階で待っててもらえるかな?私は書類とラカロ君を呼んでくるよ。」

 

 

 その言葉を聞いたナーベはモモンの方を見る。彼女の様子を見たアインザックはモモンにも話しかける。

 

 

「──ああ、モモンくんも良ければナーベくんと一緒に二階で待っててくれるか?」

 

 

 こちらを気遣ったのだろうか、モモンにも話しかける。

 

 アインザックは組合の前でのナーベとモモンの一件を遠目から見ている。最初はモモンと誰かが組合の前で抱き合ってるくらいの認識だったのだが、その時隣にいたラカロからモモンと一緒にいるのはナーベだと教わる。

 会ったことはなかったがナーベについてはその前にラカロから聞いていたので、あれが滅多に人を美人だ美男だとは言わない彼がとてつもない美人と評し、また冒険者泣かしといわれるほどランク付けの審査を厳しくする彼が、ミスリル以上は絶対条件だと──できることなら今すぐアダマンタイトでいいと評する、ナーベなのかと彼女を見る。

 顔はこちらに背を向けている為あまり見えないし、強さももちろんわからないのだが、ラカロが言うにはナーベには知り合いがおらず、詳しい話は彼にもわからないらしいのだが、ナザリックなる組織だか場所だかを探しているのだとか。

 そして、そのナザリックなるものの関係者がモモンで、彼女は会えたことを喜んでいるのではないのかと、隣でラカロは推察していた。

恐らくそうなのだろうなとアインザックもその推察に納得する。

 

 モモンとナーベにはそういった事情があったから、今はほんの僅かの時間でも二人は離れたくないのだろうと、配慮しモモンにも二階へ勧めたのだった。

二人は共に階段を登り、モモンが少し前に説明を受けた部屋に入る。前に座った椅子と同じ椅子に座りナーベも隣に座る。少し待つとガチャッ と扉が開き、二人の男が入ってきて、対面に座る。

 

 

「ナーベさん、よく来てくださった。モモンさんも、はじめまして。私はラカロ・パルネラと申します。以後お見知り置きを。それにしても、良かったですね!!いやぁ、何を隠そうお二人の再会を見ていたのですがね、正直どんな御伽噺や小説よりも泣けましたよ。ナーベさんとは昨日出会ったばかりだったのですが、見るからに元気がなさそうでしてね、それが昨日の今日でエ・ランテルに来てすぐ、どこの誰かわからない人と睦み合う訳ないだろうと思う訳ですよ。そのときちょうど隣に組合長がいましてね、ナーベさんと抱き合ってる相手を知っているようだったので誰なのか尋ねると、モモンさんっていうもんですからすぐピンときましたよ。昨日ナザリックについて知ってるか私たちに尋ねるときに、モモ…ってナーベさん言いかけてたのを思い出して、その時はわからなかったのですが、モモンさんを探していたのですね!にしてもモモンさんが羨ましい。こんな美しくて強い方が伴侶だとは!ただあれ程強いとなるとずっと尻に敷かれてるのではないですか?はっはっはっ!そういえば、モモンさんはエ・ランテルに来る前はどちらに?」

 

 

 別に伴侶ではないが、それの否定をしたところでこの男が黙ることはなさそうなので、カルネ村です──とだけ答えるのだが話はまだ続く気配を見せる。最早あのことを見られてた恥ずかしさよりも──永遠と喋るのではないか?この世界にラジオがあれば一人で放送できるだろう、といつ息継ぎをしているのかわからない男に感心する。しかし、どうやって会話を切り上げ本題に入ろうか。

 

 

「す、すまないがラカロくん世間話もその辺にそろそろ本題に移ろうか。」

 

 

 助け舟が出されアインザックはラカロのマシンガンを止める。彼は、あぁすみません、とにこやかに笑いながら謝罪し、その口を閉じる。ふぅ、と息を吐いたアインザックはモモン達に向き合い、説明を始める。

 

 

「まず、ナーベくんのランクについてなのだがね。暫定でミスリル級から、ということになった。まだ暫定なのはこれからする説明を聞いてもらった後に面談をする。それが終わったら晴れて君はミスリル級だ。面談の後に報酬の支払いの話をしよう。」

 

 

──え?ミスリル?モモンは誰にも聞こえないように呟き、考える。

 ナーベラルがここについたのは昨日って言ってたよな。もうミスリルなの?(シルバー)で喜んでた俺がバカみたいじゃないか!とは言っても別に俺は何かしたわけでもなかったから、しょうがないのかもしれない。

 

 

 何もしていなかったからそうなったのではない。

 カルネ村を襲う兵士たちを追い払ったという実績があるのはガゼフからもらった紙により、組合は把握している。にもかかわらず、ランクがナーベより下になったのは、ガゼフが組合に属するものではないからだ。いくら王国戦士長が実力を保証したところで、組合から見ればカルネ村を襲った兵士の実力もわからなければ、そもそもモンスターでもないので冒険者の役割からは逸脱している。

 また、ガゼフに限ってそんなことはないだろうが、モモンがガゼフを買収し無理矢理一筆書かせた可能性もある。ガゼフによる推薦状と、紙に書かれた内容が真であるならばモモンも最低でもミスリル級にはなれただろうが、しかしそれを認めてしまえば、ガゼフほどではないが地位の高い兵士を買収し一筆書かせる、ということをする輩が出てきてしまう可能性があるのだ。ガゼフは金では動かないのは皆知っていることであるが、ガゼフ以外の地位の高い者はその限りではないだろう。ただ、だからといって戦士長の推薦状を無碍にするわけにもいかないので、妥協点として(シルバー)になったのだ。

 

 対してナーベがミスリルまでになったのは、まずその活躍をランク付け担当であるラカロが見ており、彼がナーベのモンスター討伐の証も持ってきているので、その実績は確たる証拠があるからだ。

 ちなみにランク付けの担当者には高い給料が支払われており、また昇格を認めた冒険者の報酬の一部は担当した者にも分配されている。逆にランク昇格を認めた冒険者が死ぬ、もしくは冒険者続行不能の大怪我などを負った場合などは罰金が課せられることになる。例外として依頼とは別の強大なモンスターが出てきた場合、例えばゴブリン討伐の依頼に行ったら出てきたモンスターがドラゴンだった、ということがあれば罰金が課せられることはない。

そういったこともあり、ランク付け担当は慎重に評価をつけるので買収されることはないのだ。そもそもが高い給料かつ、もし自分がアダマンタイトに昇格させた冒険者がドラゴンでも討伐してくればその額は破格だろう。

 

 

 アインザックはモモンにした説明と同じ、冒険者のルールなどをナーベに説明する。一通り終わったあと、じゃあ次は面談を始めようか、と体制を直す。

 

 

「ラカロくんの話によれば、第五位階魔法を行使できるとか。本当かね?第三位階でさえ選ばれた人間しか使えない、第四位階なんて使える者がいれば金も地位も約束されているようなものだ。それなのに第五位階魔法を行使できると?」

 

 

 ナーベに真偽を確かめるような目で問いかける。しかし返ってくる言葉にはその真実はわからない。

 

 

「あなたには関係ないでしょう?」

 

 

 人を見下し、お前からの質問など興味ないとでも言いたげな顔でナーベは言い放つ。へぇ〜そうなんだ〜と呑気に聞いていたモモンガだったが、ナーベの態度を見て焦りながら、ナーベ!と小さな声で叱責する。彼女は肩をビクッとさせ、再び口を開く。

 

 

「冗談です。はい。私は第五位階魔法も行使できます。」

 

 

 アインザックは、ふむ、と書類に目をやり報告と相違が無いことを確認する。はっはっはっ!と隣で笑っている男のことは無視して、続けて問いかける。

 

 

「しかし報告によると、伝説級アンデッドのデスナイトは魔法で倒したが、その他のアンデッドは鞘がついたままの剣で殴り倒して行ったとあるが、どういうことかね?君は魔法詠唱者(マジックキャスター)だろう?」

 

 

 ナーベはその質問に当たり前かのように答える。

 

「そのままの意味です。雑魚どもは殴り倒しました。」

 

 

 ナーベの態度から、嘘は言っていないと判断しアインザックは、うーん、と低い声を出す。

 確かにおかしな話なのだ。第三位階ですら珍しいこの世界で、第五位階魔法を行使できる稀有な魔法詠唱者(マジックキャスター)が強くないとはいえアンデッドを肉弾戦で倒せるというのは。──つまりナーベは言っているのだ。私はお前らとはレベルが、強さが違うのだぞと。アインザックの隣でニコニコ笑っている男は、ね?言ったでしょ?と得意げにアインザックに話しかけている。アインザックは、そ、そうかとだけ言い、気を取り直し面談を続ける。

 

 その後の面談の内容はというと、どうやら報告書と齟齬がないかの確認と、ホームはエ・ランテルなのかそれとも別の街に移るのかの確認、その他ちょっとした事務的な確認だった。

 

 面談はそれで終わり、次は討伐料の支払い料として1200金貨残っているというのを聞いたモモンは、え?とまたもや誰にも聞こえないように呟く。

 それを受け取り、組合からは以上、と二人に話して他に何か質問はあるかと、聞いてくる。モモンはナザリックの情報について聞くが、それは昨日も言った通り調査中なのでまだ待って欲しいと言われ、なんかナーベラルの話と違くね?と思うのだが、それは単純にナーベが話を聞いていなかっただけなので、話が違うも何もないのだ。

 

 じゃあ次に、と前置きをしナーベとモモンでチームを組みたい旨を話す。それはすぐ承諾され、チームを組むのなら、とまた説明が始まる。

 なんでも、モモンとナーベはランク差があるから受けられる依頼に制限があり、(ゴールド)までの依頼であれば受けられるらしい。チームの結成は今決まったばかりなので今日は依頼は受けられないが、明日からは大丈夫とのことだった。チーム名はどうするか聞かれるが、それはまた後日考えると伝える。

 

 他にはもう聞くこともないので、別れの挨拶をして組合から出る。外は既に暗くなっており、モモンは自身の宿を探すとナーベに伝えると、ご一緒します、とどうやら宿探しを手伝ってくれるらしいのだが、そういえばお金がないんだった。ナーベにそう言うと組合から貰ったお金を差し出して来るのだが、流石にそれは彼女が自分で稼いだものなので受け取れない、と言うとナーベはそれでもよこして来るのだが、説得し、渋々了承する。

 最悪、人目に付かないところで魔法を使うかと考えると、ナーベが提案する。

 

 

「であれば、今私が滞在している宿であと六日間宿泊できるのですが、こちらをキャンセルし、返金されたお金でご宿泊なさるのはどうでしょうか、モモンさーん」

 

 

 ん?それナーベラルどこに泊まるの?あ、そうか、今までのナーベラルの行動を鑑みるに、俺が一人で泊まれるわけがない。一緒に宿を探してくれてるんじゃくて、一緒に泊まるつもりだったのか。

 そうなると、無事に宿に泊まれるようになってたら、今ナーベラルが滞在している宿に泊りもせずお金だけ払ってたってこと?もったいなすぎるだろ!…それにしても一緒に泊まるのか、それはなぁ。でも絶対、一人で泊まってはいけません!みたいに言われるだろうし。もったいないのもあるしなあ。

 

 一人で宿泊するのは叶わないと悟ったモモンはナーベの提案を断り、折衷案を投げかける。

 

 

「いや、私もその宿に泊まろう。あと六日間滞在できるのであれば、一人分の追加料金も賄えるだろう。金はすまないがあとで返そう。」

 

 

 お金をナーベに借りるという行為に不甲斐なさを感じるのだが、他にいい案も思いつかないので彼女に甘えることにする。

 

 

「お金は返して頂かなくても、あそこはゴミクズが私にお礼と用意した宿でありますので、私はお金を払っていません。しかし、あのような場所でよろしいのでしょうか?あそこはモモン様が苦言を呈された場所、お望みとあらば今すぐ更地にして参ります。」

 

 

 ナーベがお金を払ったわけではないと聞き、それなら返さなくてもいいのかもと思うのであったが、それよりも──いや苦言なんていつ言ったよ!?様に戻ってるし、しれっとヤバいこと言うし。てかゴミクズってもしかして誰かのことなのか?宿に着いたらここら辺も言わないとだな。

──と物騒な発言の方が気になった。

 

 

「いや、更地にはしなくていい。今からあそこに滞在するのだからな。金の件はとりあえずわかった。それと、宿に戻ったらお前に話したいことがあるが良いか?」

 

 

 ナーベの態度言動に言いたいことが多々あるのだ、その問いかけにナーベは答える。

 

 

「はっ。もちろんでございますモモン様。」

 

 

 うむ、と頷き二人は黄金の輝き亭へと向かうのであった。




今回の反省点として、モモンガさんの精神がちょっと人間に寄りすぎました。ナーベラルと再会できてテンションが高いため、こんな感じになっていると解釈してください。

できれば毎日投稿したかったのですが、構想もストックもない為間に合わなくなってきましたので、次回からは毎週月曜日投稿にさせていただきます。そうすればもう少し書きたいところも書けるようになるので、ご容赦ください。
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