今回の見所はモモンさんが食事できるところ!
前回のあらすじ
ナーベラル「あなた。いや私の主人から指輪を貰った!」
最後に、いつも誤字報告ありがとうございます。
失言だったか。
夫婦みたい、と言ったのをナーベラルに聞かれてしまい顔を上げてくれなくなってしまった。すまない、特に深い意味があって言ったわけではないから気にしないでくれと謝ったのだが、分かっておりますとだけ返され、また口を閉ざしてしまう。2人きりでしかも指輪によってお互い睡眠は不要なので、このまま無口でいると流石に居心地が悪い。
少し間を空けるべきだなと思い、外の空気を吸ってくると伝えると、ご一緒しますと言われてしまい、意味ないじゃんと思わないこともないのだが、このまま2人で街でも歩けば少しは居心地の悪さもなくなるだろう。ナーベラルに外ではモモンと呼ぶようにと念を押し、2人で街へと出かけるが特に何もなく1時間ほど街を散歩して、会話もできるようになり居心地の悪さもなくなったので宿に戻る。
宿に戻ってから朝まではひたすらナーベラルと会話とか色々しながら過ごし、ナーベラルは意外と喋るのも聞くのも好きなタイプなんだな、と思うのだったがそれはまた別の話で語ろう。
朝になり人もちらほら出てきた頃、2人は会話をやめ、予定通り冒険者組合に向かう。
依頼が貼られている掲示板に目をやるが、やはり読めん。ナーベラルも字は読めないだろうし。よし、ここは誰かに聞くか。
あたりを見回し、気の良さそうな冒険者を探す。1人に目が止まり話しかける。
「あの、すみません。遠方から来たもので、この国の文字にまだ慣れていなく、どの依頼がどのランクなのか教えてくれませんか?」
これぞ適当な言い訳をして、依頼を探してもらう作戦だ。目に入った紙を受付に持っていくのでもよかったのだが、仮に
「それでしたら、私たちの仕事を手伝いませんか?」
聞いた冒険者は思わぬ提案をしてくる。向こうから仕事が転がって来たのだ。とりあえず話を聞いて、それからこの仕事を受けるか受けないかを決めよう。
モモンとナーベは詳しい話を聞くべく、その冒険者に案内され説明を受ける。
その冒険者チームは4人で構成されており、チームリーダーのペテル・モーク、
しかしそれよりも有名なタレントを持っている人物がンフィーレア・バレアレという人物で、あらゆるマジックアイテムの使用が可能という能力らしい。
「その人間、危険かと。」
ナーベがこっそり耳打ちしてくる。わかってる、と答えその人物についてモモンは考える。
あまりにも危険だ。今自分が持っているマジックアイテムを使用されるだけでもかなり危険なのだが、それよりもナーベラルに持たせているマジックアイテムなど使用されることだけは避けなくてはいけない。
要注意人物として心の中にしまっておく。
彼らの自己紹介とタレントについての世間話も終わり、ルクルットという男がナーベに求愛するが一蹴される。
そんな様子を無視して、ペテルは内容を説明し始め、実はこの仕事は依頼ではなくエ・ランテル近郊のモンスターを退治して、倒したモンスターの報奨金が仕事料となるらしい。仕事もないので快諾し、こちらはモモンとナーベだと自己紹介する。一緒に仕事する仲間なので、と人間になった顔を見せると、南方の国にこういった顔立ちの人間がいる国があるということを教えてもらう。
自己紹介も仕事の内容も聞いたので早速出発しようとするが、受付嬢に呼び止められる。
「モモンさん?カルネ村に向かう護衛をしてほしいという方がいまして、モモンさんカルネ村からいらしたのですよね?でしたらこの依頼どうでしょうか?」
ラカロから聞いたのだろうか、あのお喋りめ。
その依頼について少し考えるのだが、先に仕事を貰った方が優先だろうということで断ろうとすると、ペテルにせっかくの依頼なのだから断るのは勿体無いと言われ、話を聞いてその後決めると伝える。
依頼主は先ほど話題になったンフィーレア・バレアレで、それを聞きナーベが飛び出すのだが、頭にチョップを叩き込む。
「フキュッ!」
ナーベは声を出し頭を両手で押さえながら、申し訳ございませんとモモンに謝る。
噂の彼の依頼なら危険なので断りたいが、断ったところで彼の危険度が下がる訳じゃない。むしろ情報収集の方が優先かもしれない。必要であれば殺すこともできる、と思い依頼の内容を聞くことにする。
ンフィーレアの依頼を聞くに、カルネ村とその帰りまでの護衛と近くの森での薬草採取らしいのだが、モモンは今かなり能力が制限されており、解除したところでそもそも第三者を守るスキルなどは持っていないので、漆黒の剣を個人的に雇うことにする。
しかし話を聞いてると、この依頼はモモンに
早速エ・ランテルを出発し、道中は穏やかな時間が流れる。会話もほどほどにしばらく進んだ後、ンフィーレアの提案により休憩することにする。
この辺りからはそろそろ危険地帯で森の賢王のテリトリーらしい。森の賢王についての説明を求めると、叡智に溢れ言葉を理解し、魔法の行使すら可能な、白銀の四足獣との噂があると知る。
休憩も終わり、まだ先は長いので再び進み始めと、その途中ルクルットはナーベとモモンは恋人同士なのかを聞いてくることがあったが、ナーベは何も答えずモモンの方を見るので、代わりに仲間です。とだけ答える。
そうこうしているなか、ゴブリンやオーガなどのモンスターが現れ、モモンはそれらを一刀両断し、漆黒の剣も援護してくれ、そのチームの連携力に感動を覚えながらカルネ村への歩みを続ける。
辺りも暗くなった頃、これ以上は進むのは危険なので一行は野営をすることに決める。漆黒の剣のメンバーがモモンとナーベの分の料理も作ってくれ、ありがたく受け取り、夕食となるのだが。
美味そうだ。アンデッドになってしまってから、食事はもうできないと思っていた。そもそも前世でもロクな食事は取ったことがない。野営料理といえど、これが人生初のまともな食事かもしれない。
モモンは逸る気持ちを抑え、ヘルムを外し、いただきますと言いながら目の前で手を合わせる。ナーベもそれに続く。
その様子を物珍しそうにンフィーレアと漆黒の剣の人たちが眺めてくるので、説明する。
「これは私たちの地域の風習といいますか。食事をする前に食材、肉や野菜などの命に感謝し、料理をしてくれた人、またこの食材を収穫してくれた人など、食材とそれに携わった者全てに感謝を込めて、食べる前にいただきますと言うんですよ。」
その説明にダインが口を開く。
「モモン氏達の来られた地域では動物だけでなく、植物の命にも敬意を払うのであるのだな。それに料理を作った者だけではなく農家の人にも。それでは私もそれに倣うのである。いただきます」
彼は
スープを一口分掬い、口へと運ぶ。その瞬間今までに食べたことのない味が口全体に広がり、脳が悦ぶのを感じる。なんの味だかはわからない。
今まで食べていたのは、人間の活動に必要な栄養が全て入っているゼリー状の、とても美味しいとはいえないものだった。しかし今食べているものは、口触りは柔らかく、とてもクリーミーでいて、最初に来るのは塩味。その塩味の後から甘味が襲いかかり、二人が出会ってしまった。その織りなすハーモニーはとてもじゃないが言葉では言い表せない。後味には満足感が残り、早く次を寄越せと手が勝手に動く。
「美味っ!!」
思わず大声を上げてしまうが、食べる手は止まらない。ニニャは料理を美味しく食べるモモンに、美味しく食べてくれてこちらも嬉しい、と話しかける。
「ナーベもどうだ?美味しいか?」
この美味しさを誰かと共有したいモモンはナーベに問いかける。
「オイシイデス」
ナーベはカタコトでそう言った。
実際のところナーベの内心としてはモモンが「美味しい美味しい」と言いながら食べるので、それに逆らうような言動はしたくはない。
だが、ナザリックの料理と比べれば、全くもって足元にも及ばないので、モモンのように美味しいと感じることはなかった。
もちろん、そんなことモモンが気付く訳もなく、そうだろう、そうだろうととても嬉しそうなので、味はともかく至高の御方が喜んでいるのであればそれでいい、とナーベは何も口出しはしない。
食べている間、モモンは漆黒の剣の由来を聞く。
漆黒の剣は十三英雄の持つ剣に由来するらしいのだが、何が何やらわからない。ナーベが、何ですか?それ。と聞きたいことを聞いてくれて、人間と少しではあるが会話ができるようになったナーベに感動しつつ、説明を聞く。
何でも漆黒の剣とは十三英雄の一人“暗黒騎士“が持つ四つの剣のことらしい。
聞いた本人のナーベは、ふぅん。とあまり興味無さそうだったが、その漆黒の剣を探すのがチームの目標で、今はその代わりとして黒い短剣がチームの証らしい。その仲の良さそうな姿に、冒険者チームはこんなに仲が良いのは普通なのか聞くと、うちのチームは男だけだし目標も定まっているから仲が良い、と言われ、チームが同じ方向を向いていると全然違いますよね、と返す。
その物言いから気になったのか、ニニャはモモンもチームを組んでいたのか聞いてくる。その問いかけに、かつての話を聞かせる。そして、その過ごした日々は忘れられないとも。
「いつの日かまたその方々に匹敵する仲間ができますよ。」
少し悲しそうに語るモモンを励まそうとニニャはそんな事を言ってくる。しかしそんな言葉ではモモンは励まされない。
「 そんな日は、来ませんよ。いや、もうナーベという仲間がいるので、来ているといえば来ているのかもしれませんが、上書き保存はされないんです。ナーベではかつての仲間の代わりにはなりません。かつての仲間もナーベの代わりになることはないでしょう。」
ニニャはその言葉に察する。
自分も貴族に攫われた姉の代わりになる人はいない、今のチームメイトの代わりになる人もいない、モモンさんも同じ気持ちなんだ。奪われる悲しみは知っていたはずなのに、なぜ考えが及ばなかったのか。
ニニャはモモンにすぐ謝った。
モモンは許してくれるが、出来上がった空気が変わることはない。そんな雰囲気を変えようとンフィーレアが話題を変える。
「それにしても今日のモモンさん凄かったですね!」
ンフィーレアの発言にペテルも同意し、強さは王国戦士長クラス、つまりアダマンタイト級はあると評価する。しかし初めはフルプレートの鎧に嫉妬したそうだが、強さを見て考えを改めたと語る。
ルクルットもナーベちゃんみたいな美女も連れてよ〜、と嫉妬していた事を話す。続けて、あれ程強くて顔もいいんだ。寄ってくる女は数え切れないだろ?とモモンに問いかけ、ダインもそれに賛同し、強い男に好意を抱くのは女性の
たくさん褒められてしまい、何と言うべきかとわからないモモンだったが、ナーベが口を開く。
「いいえ、強さも顔も関係ありません。弱くても、顔がどうであろうとも関係ないです。私にとってモモンさーんはそういう御方です。モモンさんこそが絶対であり、私の全てです。」
今までの冷たい言い方ではなく、優しさを含んだ声でナーベが答える。モモンはナーベのその発言に、ナーベ!と咎めるが、その様子を見ていた漆黒の剣のメンバーとンフィーレアはモモンが恥ずかしがってそのような反応をしたのだと思っている。側から見ればただナーベが惚気ているだけに見えたのだ。
「何だよ。恋人じゃないって言っておきながら、ナーベちゃんめちゃくちゃ惚れてるじゃねえか。羨ましいぞこの野郎!」
ルクルットはモモンの膝を軽く叩く。一瞬殺気を感じるが気のせいだろう。ンフィーレアもナーベの話を聞いて、良かった、と言っている。その発言に、どういうことか、とモモンは尋ねる。
実はンフィーレアには想い人がカルネ村にいて、その子がモモンさんに惚れなければ良いなと思っていたのだが、先のモモンとナーベの様子からモモンには相手がいるからそうなることはないと思い、安心したらしい。
漆黒の剣のメンバーはその話を聞き、好きな人はどんな子?などとンフィーレアを問い詰め、恋バナに花を咲かせるのであった。
ンフィーレアへの問い詰めも終わった後、夜が明けるまでは交代で見張りをし、他の者は仮眠をとることになった。しかしモモンもナーベも指輪により睡眠は必要ないので、見張りは二人でやるから、みんなは朝まで寝てて良いと伝えるが、断られそうになるので無理矢理説得してみんなの寝床の準備を手伝う。
準備も終わり、モモンは倒れている木に腰をかける。ナーベの方も終わったのか、こちらの方へやって来て隣に座る。
「モモン様。人間どもの寝床の用意は終わりました。」
他の者達は今寝床に入っているから少し気が抜けたのだろうか、またもや様がついている。
「ナーベ、気を抜くのは構わないがどこで誰が聞いているかわからん。敬称は私が良いと言うまで付けるな。それとあいつらを起こすかもしれん、もう少しこっちに寄って小さな声で喋ってくれ。」
ナーベは、申し訳ございません。それでは失礼します。と肩が触れ合う距離まで来る。思ってたより近くまで来たが感情抑制が…
来ない!今は人間の姿でアンデッド特性が無効化されているからだ。流石に近いので、魔法で会話を聞かれないようにして、今より少し離れた距離感で話しても良いのだが、誰かが起きてきた時に会話はしているのに声が全く聞こえないのはおかしい。そもそも今は盗聴防止の魔法が使える
自分で言っておきながらやっぱり離れろと言えば、ナーベは慌てて泣きながら謝罪しそうな感じもするし、仕方ないのかもしれない。
モモンは諦め、ナーベと会話をしながら朝を待つ。
日も昇り始め、そろそろ起こしに行こうか、と寝ているンフィーレアと漆黒の剣を人達のところへ行くと、彼らはすでに起き上がっておりちょうどペテルがンフィーレアを起こしている最中だった。ルクルットがこちらに気づき挨拶する。
「おはよーう!モモンさん、ナーベちゃん!」
またナーベを口説きにでも行くのかなと思ったのだが、挨拶だけして出発の身支度に戻る。まだ知り合って間もないが、その行動にモモンは違和感を覚える。昨日までの彼なら寝起きでもすぐさまナーベに詰め寄っていたと思うのだが、今はその様子はない。
別にそんなこと考えてもどうでもいいことなので、寝起きはそこまで元気がないのだろうと適当に推察し、おはようと返事して出発の準備を手伝う。
ちなみに、ルクルットは寝起きだから元気がないというわけではなく、昨夜自分たちが仮眠をとる時のモモンとナーベの様子を見ていたからだ。
見張りは二人でするから寝てて良いとは言われたが、
ナーベは目を瞑り、昼の冷たい顔付きではなく、蕩けたような顔で頭を撫でられている。
夕食の時は、ナーベはモモンにベタ惚れでモモンも満更ではない、くらいに思っていたのだが、今の二人の様子を見ると恋人同士ではなくとも、むしろ恋人や家族以上の信頼関係が見え、他人が付け入る隙など微塵もないのだなと思ったのだった。
そんなことがあり、ルクルットはナーベに言い寄るよりもモモンとナーベの二人を見ている方が良いと判断し、先のモモンの違和感へと繋がる。
出発の準備も終え、カルネ村へと進む一行。道中は何も危険はなく、ただモモンとニニャが昨日の一件で少し気まずいくらいだが、ニニャが語ったフロストドラゴンの名前を調べて欲しいとお願いする事で完全に仲直りすることになった。カルネ村が見えてきた頃、ンフィーレアが不思議そうに声を出す。
「あれ?おかしいな?」
ところどころに村を囲むように柱のようなものが建てられているのだが、以前来た時はそんなものは無かったと言う。モモンもそれに同意する。
一昨日村を出たばかりだったが、一昨日はあんなものは無かったと伝え、村の近くまで行くと武器を構えたゴブリンが出迎える。しかしそのゴブリンは戦う意志はないから武装を解除してくれと頼んできて、どうしようか模索していると一人の少女が出てくる。その姿を見たンフィーレアは心配そうにその少女の名前を叫ぶ。
「エンリ!」
その声の主に気づいたエンリは、ンフィー!と彼の名前を呼び、モモンにも気付く。
「モモン様?お帰りになられたのですね!あの日はロクなお礼もできず、申し訳ありませんでした。」
エンリはモモンに謝るが、モモンは軽く手をあげて謝罪の必要はないという素振りを見せる。
「構わないさ。私も誰にも何も言わずに村を出て行ってしまったからな。お互い様さ。」
なんと人徳の厚きお方なんだ、と目を輝かせ、それでもお礼は言わせてください。ありがとうございました。と改めて礼を言われる。当たり前の事をしたまでだ、と返し、ンフィーレアはエンリとこちらを交互に見てくるが、昨日ンフィーレアからエンリが好きだと聞いていたので、おそらく嫉妬に似たような気持ちなのだろう。
エンリとンフィーレアは話があるとのことで二人でどこかへ行ってしまい、モモンは外に出ている村人達から口々に感謝を述べられる。ナーベにはそういえばこの村の事はあまり説明できていなかったなと思い出し、ナーベを連れてカルネ村の自宅に入り、この村の人間には特に敵対心を出すな、と教える。
ナーベに軽く村の説明をして外に出ると、ンフィーレアは既に外に出ていて、それではそろそろ薬草採取に向かいましょう、と言うのでみんなで森の中に入っていく。この森は森の賢王がいるから、もし出てきたらナーベと撃退するのでみんなは逃げて欲しいと伝えておく。
薬草の生息している地まで進んでいき薬草採取をしていると、突然地響き、いや地響きと言うよりは大きな足音と言った方が適切か、轟音が森の中に鳴り響く。漆黒の剣にンフィーレアを連れて逃げろ、と指示を出しモモンとナーベは森の賢王を迎撃しようと身構える。
音が近づいてきて、とうとう森の賢王がその姿を現す。
その姿はまるで、いやまるでですらない、むしろ間違いなく、ただ大きいだけのジャンガリアンハムスターだ。
何やらそのハムスターはブツブツ言っているようだが、モモンを戦士と勘違いしたことで完全に興味は失せ、ナーベに死なない程度に一発殴れと命令し、ナーベは実行する。
その一発で完全に戦意を喪失した賢王は忠誠を誓うと言ってくるので、仕方なく配下とすることに決める。
森の賢王あらためハムスケと名付け、みんなのところへ連れていく。ハムスケの姿を見た人々は、なんて立派な魔獣なんだとか、とてつもない叡智を感じるとか言うのでナーベにも聞いてみると、強さはともかく力強い目をしていると答えるので、何が何やらだ。
森の賢王がいなくなると、カルネ村が危ないからチームに入れてくれ、とンフィーレアが言ってくるが断る。あまりメリットはないし、むしろ危険だし。
その後薬草採取も無事終わり、村の人たちが今度こそお礼に料理でも、と言ってくるが今は依頼中だから、とこちらも断り再びエ・ランテルへ戻る。
エ・ランテルには夜着き、ハムスケに乗って街の中を歩くのはかなり恥ずかしかった。正直ナーベラルを抱きしめた時よりも恥ずかしい。なんでいい歳してハムスターに跨らなくちゃならないんだ。しかも市民からめちゃくちゃ注目されてるし。
そんなことを思いながら、ナーベとモモンはハムスケの登録をするため組合に向かい、漆黒の剣の人たちは薬草の荷下ろしに行く。
組合でハムスケの登録が終わると、老婆が話しかけてくる。ンフィーレアの祖母らしい。昨日ンフィーレアと共に組合を出発する姿を見ていたらしく、わかったそうだ。その老婆はリイジー・バレアレと名乗り、こちらはモモンとナーベとハムスケだと紹介する。リイジーはハムスケが森の賢王だと知り驚くが、ただのでかいハムスターがなぜそんな反応になるのか未だにわからない。リイジーはその後、孫は今どこにいるのかと尋ねるので、今は薬草を下ろしに帰ったと伝え、リイジーと共にバレアレ家へと行く。
ンフィーレアやーい、とバレアレ家に着いたリイジーは彼の名前を呼ぶが誰からの反応もない。モモンもそのことに違和感を覚える。
何か事件でも起きたか?ンフィーレアからまだ報酬はもらっていないから、漆黒の剣は既に帰っていて、ンフィーレアは出掛けているなんてこともないだろうし。警戒は必要か、何もなければそれでいい。
ナーベにリイジーを守ってやれと伝え、奥は保管庫いうことなのでそちらに向かう。扉を開けると、人間
「ゾンビ!」
その動いている死体を見たリイジーは叫び出す。モモンはそれらをなんの躊躇いもなく真っ二つにして、その死体の方に行く。
死体を見るとニニャを除く3人はゾンビにさせられていて、ニニャだけは人間のまま嬲り殺されている。女だったのか。ニニャはサラシを巻いていて、女である事を隠しながら冒険者をしていたようなのだが、今はそれよりも少しばかりの不快感が気持ち悪い。
今は人間の姿だが、少し不快になる程度の感情しか持ち合わせていないことから恐らく精神性はアンデッドのままなのだろう。しかし、その精神性を持ってしても同じ釜の飯を食った者達を殺された怒りは湧いてくる。
リイジーがンフィーレアがいないと報告してきたので、死体を見るに刺突武器で殺されており、ニニャ以外は一撃なので相手はそれなりに強く、外の誰もこの騒動に気付かなかったことから、犯人は複数人で死体をアンデッドに変えられるのであれば少なくとも第三位階の使い手もいる。持ち物は荒らされていないので、ンフィーレアを攫うのが目的だろう。と伝える。
「さてどうする?リイジー・バレアレ。今目の前にいるのはこの国で最高の冒険者だぞ。私達を雇わないか?」
その言葉にリイジーはモモンとナーベを雇うことに決め、報酬はいくらで満足する、と尋ねてくる。
「知識だ!お前の持つ知識と情報の全てを差し出せ。」
その程度であれば安い物とリイジーは快諾したので、モモンはナーベと作戦を立てるから一部屋借りるぞと、ある一室でナーベと相談を始める。
先程調べた死体には冒険者プレートは無かった。つまりハンティングトロフィーとして犯人が持ち去ったのだろう。それならば、魔法でどこにいるのかはすぐわかる。
ナーベに
「今回の相手はこのくらいで、いや待て。」
モモンは途中で話すのをやめる。
死体を見た感じ、相手はそこまで強くない可能性の方が高いがンフィーレアを連れ去った先にいる、やつらの仲間に関してはわからない。ガゼフを最強レベルだと思い込んで、それよりも少し強いくらいだろうって警戒じゃ足りないかもしれない。何より魔法を使うのはナーベラルだ。カウンターが来ればナーベラルの防御力じゃダメージは確実に食らう。
そんな思いからモモンは再び
「追加であと5枚
ナーベに
画面に映されたのは、アンデッドの大群とその真ん中にいるンフィーレアだった。
さてどうするか、モモンは考えていると、ナーベが転移か
しかしそれはどうなのだろうか。確かにンフィーレアを助けるだけならそれで事足りるが、そもそも犯人はなぜンフィーレアを使ってまでアンデッドを召喚させたのかわからない。それに、こんな大きな事件なのに、一瞬でンフィーレアを助けて犯人達も始末して、はいおしまい、では味気ない。なんとかこの事件に意味を持たす事はできないか考えると、一つ、まだ計画など何も固まっていないが思いつく。
「いや、それはなしだ。アレだけのアンデッドを用意したんだ、何か大きな事をしようとしているに違いない。うむ、そうだな、決めたぞ。あのアンデッドの大群を使って名声を高めるとしようじゃないか。名声を高め、こちらが情報を求めずとも勝手に情報が転がり込んでくる程の名声を。そして、人間どもを羨望や敬意という名の呪いで操るのだ。」
ナーベの提案を断り、今回の事件で名声を高めるという目標を掲げる。
「素晴らしいお考えです。まさにその智謀、至高の御身にふさわしきものと思います。」
ナーベも納得してくれたので今回の事件をどう扱おうか考えるが、この街の戦力や相手の狙いがわからないので、結局はそのまま突撃するしか作戦は思いつかない。
「ではナーベ、いやナーベラル・ガンマよ。何か良い案はあるか?お前の意見を聞きたい。」
あまり良い作戦が思い付かないのでナーベラルに助けを求める。ナーベラルも思い付かないのであればそのまま何も考えず突撃して、事件を解決したモモンだと言いふらして回るしかないが、ダサすぎる。
「はっ!それでは僭越ながら、名声を高めるという目的であれば街に被害が出るまで待ち、そこを颯爽と冒険者モモンが解決するというのが1番効率がいいかと愚考します。そこで、アインズ様のお手を煩わせることになってしまいますが、あの墓地に隠密能力の長けたシモベを召喚して送り込み、タイミングを見計らって突入するのがよろしいのではないでしょうか?」
こいつ、天才か!!確かにそれなら相手が何しようとしているのか、そもそも街を襲いにくるのかどうかもわかるし、エ・ランテルがどういう対応をするのか、それでこの街の戦力もわかる事ができる。その他にもメリットはたくさんあるし、断る理由はない。
「素晴らしいぞ!ナーベラル!ではお前の案を採用しよう。」
ナーベラルは至高の御方に褒められ、ありがたき幸せと喜ぶ。
ナーベラルの進言を受け、アインズはなんのモンスターを召喚するか悩むが、半蔵を召喚することに決める。半蔵ならば隠密能力は申し分ない。肢刀の暗殺蟲《エイトエッジアサシン》でも大丈夫だろうが、レベルを考えると半蔵の方が適任だろう。
アインズは手持ちの金貨を使い、半蔵を三体召喚する。
「我らを召喚せし主、至高の御方よ。ご命令を」
跪きながら命令を乞う半蔵を見て、こいつらもナーベラルみたいな感じなのか、と思いながら命令を下す。
「今墓地にアンデッドの大群がいる。その首謀者がいるはずだ。その首謀者とアンデッドの大群を監視し、動きがあればすぐ報告しろ。その前に、リーダーがいないと不便か。1番前のお前、貴様を隊長に任命する。何かあればすぐ知らせろ。では行くのだ!!」
ははっ!と3人の半蔵は目の前から姿を消す。あとは街に被害が出始めたタイミングに颯爽と現れ、英雄としての名声を得るだけだ。
その前に、とまだ人間の姿のままなので一度アンデッドに戻る。確かめたいことがあったからだ。
足輪は
人間の姿のまま使える魔法は限られるが、アンデッドの状態の時に召喚魔法や付与魔法なら変身したあとでも魔法の効果は消えないはずだ。それなら戦士化の魔法をかけておけば、人間として、戦士として民衆の前に立つことができる。
新たに知った足輪の情報から今後どうするか考えようとするが、今はそれどころでもないか、と自分に戦士化の魔法をかけて再び人間になる。感覚でわかるMPやHPの量が変化したことから、先の推察は間違っていなかったと確信する。
それから少し経った後、隊長の半蔵が帰ってきて跪く。
「報告します。首謀者らしき人物は二人、名前はカジットとクレマンティーヌでカジットは
なるほど。それならアンデッドが街に来て、騒ぎが大きくなり始めたタイミングで行くか、と考えていると、半蔵が続けた報告にもっと様子を見るべきだと決める。
「最後に、クレマンティーヌはカジットに魔封じの水晶を渡しておりました。」
「ダニィ!?」
原作よりもカルネ村の事件とアンデッド事件の間がかなり詰まっていますが、原作通りの時間経過にしてしまうとその間のアインズ様とナーベラルは何をしていたのか書きたくなってしまい、完結まで何話使うのかわからないレベルになってしまうので原作よりも縮めました。
種族魔法と職業魔法どうなっているんですかね。そこら辺に詳しくないのでクリエイトグレーターアイテムは種族魔法というか、共通魔法なのではと勝手に解釈しております。