学マス世界に転生したV.Ⅱスネイルが月村手毬をプロデュースする話   作:雪浪夏鶏

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親愛度10「キャンパスモード到達」

 

 

 

 雨上がりの帰り道──道路にはまだ水たまりが残っているものの、太陽はその姿を露わにして道を歩く者たちの姿を照らす。

 スネイルと手毬の二人は、歩きながら他愛のない話をしていて──そして話題はいつに間にか、月村手毬がアイドルになった理由についての物になっていた。

 

 ──月村手毬は、何の取り柄もない自分自身の事が嫌いだった。

 だから、誰もが憧れる存在に──初めて見たアイドルの様な憧れの存在になる事ができれば、自分で自分の事を好きになる事ができるかもしれない。

 

 月村手毬は、おおよそそんな内容の話をした後に──そして、尋ねる。

 結局の所自分は、本物に憧れただけの偽物に過ぎなくて──それでも、本当にプロデュースする相手が自分で良いのか。

 その問いに対してスネイルは、特に悩む事もせずに言葉を返した。

 

「無論です。偽物が本物に劣るなどという道理はない──本物には無い、偽物なりの意地を見せつけてやれば良いだけの話でしょう。そもそも私は──天才に勝つために足掻き続けるその姿に感銘を受けて、あなたをプロデュースすると決めたのですから」

 

「……そっか。ありがとう」

 

「どういたしまして──自分の事が信じられないのなら、これからも企業たる私が太鼓判を押してあげましょう」

 

 そしてスネイルは一旦立ち止まり、隣り合って歩いていた手毬の方を向いて言葉をかける。

 

「この私が選んだ相手に、間違いはない──いえ、そうではない……貴方は──この私が、見込んだ以上の逸材でした」

 

 少しだけ微笑みながら、スネイルはそう言った。

 そう、月村手毬はスネイルが当初見込んだ以上の逸材だった──スネイルがプロデュース開始当初、わざわざアイドルを支援する為の会社としてアーキバスを立ち上げたのにはまだ理由があった。

 

 それは、このプロデューサー業が失敗した時のための保険──つまりは、最後のプラン。

 その内容は、三年かけてアーキバス社の規模を拡大していき──初星学園を運営する十王財閥に圧力をかけ、無理矢理にでも一番星(プリマステラ)の称号を手に入れて元の世界へと帰還するというものだった。

 

 およそまともではなく、常人であればまず思いつかない発想ではあるが──当時のスネイルにとってはプロデュース業という未知の職業一筋で目標に挑むよりも、企業運営という慣れきった手段で目標へと突き進む方がよっぽど簡単に思えていた。

 

 ──だが、最近になってそうでもないと気づいた。

 あの日スネイルは、月村手毬から並々ならぬ魅力を感じ取ってプロデュースすると決めていたが──しかし、月村手毬の有するアイドルとしての魅力は、当時のスネイルの予測を遥かに上回るほどに凄まじいものだった。

 

 いざという時の最後のプランなど、ただの杞憂にすぎなかったと言えるだろう──月村手毬なら間違いなく、そのままの実力だけで一番星(プリマステラ)になる事ができる。

 今となっては誰よりも強く、スネイルはそう確信していた。

 

「……ソロアイドル月村手毬。躾けすべき駄犬というのは訂正しましょう──貴方は、宇宙一のアイドルにだってなれる逸材だ!」

 

 ──虹が架かった空の下で、スネイルのその言葉が心地良く響き渡っていた。

 

 

 




これにて『学マス世界に転生したV.Ⅱスネイルが月村手毬をプロデュースする話』は、完結となります!
一応N.I.A編もやろうかなと考えはしたのですが、手毬と憐羽の話にスネイルが入り込む余地が無さすぎるので、やむおえず断念する形に……下手に大筋から改変しようとしても、未だに美鈴も燐羽も実装されてないので、後に親愛度コミュの中身が解禁されて思いっきり解釈違いって事になるのが怖いのもあります。
仮に書くことになったとしても、テスト期間が終わって暇になってから、かなぁ……(この作品を書いてたせいで勉学が疎かになってた)。
もしこの作品を読んでいて、まだ月村手毬のN.I.A編のシナリオを読んだ事がない方がいれば、スネイルのことは一旦忘れて学マスを進めて、N.I.A編のシナリオを読んでください。
難易度は高いけどめっちゃ面白いです。
あらためて、こんな悪ふざけが過ぎるクロスオーバー作品に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました……!
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