WISEの提供した情報を頼りに次の世界へと異空間を走るグミシップ。
ネルは静かに窓の景色をみていた。
フラン「ねぇ、セイバー」
セイバー「はい、フラン」
フラン「ネルを強くするためにここまで旅をしてきたけどさ?ネル結構強くなったよね?」
セイバー「そうですね。キーブレードの扱いも前よりだいぶ上手くなりましたし、実力も上がっています。これも全て彼女の努力の賜物でしょう」
フラン「なら、なんでまだネルに過保護になるの?」
セイバー「まだネルはキーブレードをまだ扱いきれていません。まだ、力に振り回されている状態です」
フラン「確かにね。でも、それはこれから学べばいいんじゃないの?」
セイバー「ですが、もう残された時間が…」
その時、操縦室が大きく揺れる。
ネル「な、なに!?」
セイバー「敵襲です!」
フラン「この船に!?」
窓を見るとそこに緑のマントにフードを羽織った複数人の集団がいた。
ネル「なにあれハートレス?!」
フラン「ハートレスにしては人間っぽいよ?」
ネル「ねぇ、セイバー!あいつらなんなの!?」
セイバー「………」
セイバーには見覚えがあるかのように集団を見る。
マントの背中に白と青の翼のエンブレムが目に映る。
セイバー「っ!まさか"調査兵団"!?」
ネル「調査兵団?」
セイバー「かつてキーブレード使いが集まり世界を救った者たちが集まる兵団です」
フラン「あ、それフランも聞いたことある!世界を守る組織なんだよね!」
ネル「で、でも!なんでそんな人達が私達を襲うのよ!」
セイバー「それは…私には…」
すると、一人の兵士がキーブレードから放つ魔法でグミシップに攻撃を仕掛ける。
セイバー「くっ!このままだとグミシップが持ちません!レミリア卿に救援を…!」
その時、グミシップが急降下し、地面が近づく。
セイバー「な?!」
ネル「きゃぁぁぁ!」
フラン「わぁぁ!」
グミシップは地面に激突し、墜落した。
意識を取り戻したネルは状況を把握する。
確か、グミシップから放り出され、地面に強く叩きつけられ気絶していた。
ネル「う……うぅ……」
なんとか立ち上がろとするが、体に力が入らない。
すると、先程の調査兵団の兵士達が地面に降り立ちネルを取り囲む。
ネル「あ…あなた…達は…」
兵士A「貴様何者だ?」
兵士B「闇の勢力の者か?」
ネル「闇の勢力?いや、私はただの旅人ですよ!」
兵士A「我々調査兵団以外に世界を渡る者など闇の勢力の者しかいない!」
ネル「違う…!私は…キーブレード使いの…!」
「貴様、キーブレード使いの者か…」
ネル「え?」
一人のフードを深くかぶる兵士がこちらに近づいてくる。
兵士C「分隊長、この者はキーブレードを持っています。恐らく闇の勢力の者です!」
ネル「違う!私は……!」
「動くな!」
ネル「っ!」
その兵士は剣先をネルに向ける。
「貴様、何者だ?なぜキーブレードを持っている?」
ネル「わ……私は……キーブレード使いの……!」
「答えろ」
ネル「……っ!」
その時、ネルの周りに弾幕が着弾する。
その報告を振り向くと空中に浮かぶフランがいた。
フラン「ネルをいじめる奴はフランがやっつけてやる!」
ネル「フラン!!」
フラン「ネル!大丈夫?!」
ネル「うん!なんとか!」
フランはネルを立ち上がらせる。
兵士A「貴様も闇の勢力の者か?」
フラン「いや、違うよ!フラン達はただ旅をしている」
兵士B「とぼけるな!」
すると、兵士達は一斉に剣などの武器を構える。
兵士C「分隊長!この者達はやはり危険です!ここで始末します!」
分隊長と呼ばれる人物は剣を構えて、こちらに近づいてくる。
分隊長「あの奇妙な小娘はお前達に任せる。だが、キーブレード使いは私がやる」
兵士C「了解」
フラン「あはははは!そのケンカ買わせてもらうわ!」
兵士達が剣を構え、再びフラン襲い掛かる。
分隊長「さぁ、これで邪魔は入らない!貴様を倒す!」
ネル「っ!負けても恨まないでよ!」
ネルはキーブレードを分隊長に向ける。
ネル「やぁぁ!」
キーブレードを振り、分隊長に攻撃する。
しかし、分隊長は剣でキーブレードを受け止める。
ネル「っ!この!」
すると、分隊長は剣を振り払い、ネルを吹き飛ばす。
ネル「うわぁぁ!」
分隊長「やはり弱い、キーブレード使いの力はそんな貧弱なものなのか?」
ネル「くっ!確かに私は弱いけど、私はあなたを倒す!」
分隊長「なら見せてみろ!貴様とキーブレードの力を!」
ネルは立ち上がり、キーブレードを構える。
ネル「はぁぁ!!」
再び分隊長に斬りかかるが再び剣で弾かれる。
分隊長「ふん」
そして、次々と連続攻撃を繰り出すがそれを防ぐように攻撃を受ける。
ネル「うおおおおおおぉ!!」
心から何かが感じる。
そう誰かに言われている気がする…。
ー心を燃やせー
ネル「今ならどんな相手でも立ち向かえる気がする!!」
キーブレードから炎が走り、炎が纏う。
ネル「うおぉ!!」
キーブレードを分隊長に向けて、振り下ろす。
しかし、分隊長はそれを防ぐがキーブレードの炎が剣を焼き斬る。
分隊長「なに?!」
ネル「くらえぇ!!」
炎の刃が分隊長に直撃する。
分隊長は膝を付き、地面に倒れる。
兵士A「な?!あの分隊長が!?」
フラン「やったね!ネル!」
分隊長「ぐっ……」
すると、分隊長のフードが破れ、顔が見える。
ネル「あ……!」
その顔は少女の顔だった。
長い黒髪に、青い瞳をした綺麗で整った顔。
ネル「女の子……?」
フラン「なんか、ネルに似ている気が…」
すると、分隊長は立ち上がると兵士達が駆け寄る。
兵士B「分隊長!大丈夫ですか?!」
分隊長「問題ない……。まさかこの私が負けるとはな……」
すると、分隊長が剣を収める。
兵士A「しかし、この者達は闇の勢力の者です!」
兵士C「そうです!ここで始末すべきだ!」
分隊長「いや、こいつらは闇の勢力ではない。剣を交えて分かった。こいつらは闇の勢力とは関係ない」
兵士A「な、なんですと!」
フラン「やったね!ネル!認められたよ!」
ネル「う、うん……」
すると、分隊長がこちらに向かって歩いてくる。
兵士C「な?!危険です!分隊長!」
兵士達は慌てて剣を構える。
しかし、分隊長はそのままネルの前で立ち止まる。
エミカ「私は調査兵団分隊長エミカ・サレンだ」
ネル「エミカ……?」
すると、別の場所から1人の兵士が近くで降り立った。
兵士A「まずい!団長だ…!」
団長と思わしき人物がこちらに歩いてきた。
「エミカ班、兵団の規則違反だ。今すぐ戻れ」
エミカ「しかし……!」
「命令だ。戻るんだ」
分隊長エミカはネルを見るがフランがこちらを睨み見返す。
エミカ「引き上げるぞ」
エミカ達はマントをなびかせながら去っていった。
フラン「行っちゃったね」
ネル「うん……」
フラン「ネル、大丈夫?」
ネル「うん……だけどなんか引っかかるんだよね……」
フラン「……何かって?」
ネル「いや、なんでもない…」
セイバー「ネル!フラン!ご無事ですか!?」
フラン「セイバー!遅いよ!」
セイバー「申し訳ありません……グミシップでなんとかレミリア様と連絡を取り、"彼"に来て頂いたのですが…」
ネル「そういえば団長って…」
団長と思わしき人物はフードを取ると中から金髪の青年が姿を現す。
アルミン「僕は調査兵団団長のアルミン・アルレルトです」
ネル「あなたが……」
調査兵団本部。アルミン団長の私室に案内されたネル達。
彼は紅茶を淹れ、ネルの前に差し出す。
アルミン「どうぞ」
ネル「ありがとうございます……」
アルミン「驚いたかい?」
ネル「え?何がですか?」
アルミン「いや、かつて世界の危機を救った調査兵団に襲われるなんてと」
ネル「はい……でも、私達キーブレード使いを敵視していたのはなぜなんですか?」
アルミン「あぁ、それは闇の勢力と敵対しているからね。皆、余裕がないというべきかな…」
ネル「そうなんですか…」
フラン「でも、なんでネルみたいなキーブレード使いを敵視してるの?だってここはキーブレード使いが集まる組織なんでしょ?」
ネル「もしかして…私の父のせい…」
そう、死神様が言っていた父エレンのもたらした惨事。真実かはわからないが、もしかしてそれが原因で…
フラン「はっ…ごめん…ネル…」
アルミンはその様子を見て首を傾げる中、セイバーが問いかけてくる。
セイバー「ですが、かつて調査兵団はキーブレード使いが世界を守るために動いてきたのは事実…そうですよね?」
アルミン「うん……昔は確かにキーブレード使いの人たちが集まっていたんだ。けれど、20年前かな?あの時から全てが始まったと言うべきかな」
ネル「20年前……」
アルミン「うん……。かつてⅩⅢ機関と呼ばれる組織があった。その当時その組織はキングダムハーツを使い世界を支配しようと企んでいた。その組織を僕達は倒したんだ」
ネル「XIII機関……」
アルミン「でも、その被害は甚大だった。かつてⅩⅢ機関の一員でもあり現在も行方をくらませてるメンバーの1人ジーク。その男がその当時の団長エルヴィンさんと調査兵団のメンバー達を壊滅させたんだ」
ネル「え?」
アルミン「僕自身もその現場にいたからね……。今でもはっきり覚えてるよ……。そして、調査兵団にいるキーブレード使いはもう僅かなんだ。だから今いる兵士達はキーブレードは使えない人ばかり…僕も数少ないキーブレード使いだけど、実力はなくてね…」
フラン「でも、なんでⅩⅢ機関はなくなったのにジークって人はまだ生きてるの?」
アルミン「最近知った事なんだけど、ジークは闇の勢力を率いる言峰綺礼と仲間だったらしい」
ネル「言峰綺礼……」
まさか、ここでその名前を聞くことになるとは。
ネルは動揺するが、すぐに冷静を装う。
アルミン「そして、ここから君達にも関係している。ジークと手を組んでいる言峰の目的は『キーブレード戦争』を起こそうとしている」
フラン「キーブレード戦争?」
アルミン「レミリアさんから話を聞いたことない?大昔に起こった戦争だけど」
セイバー「私は知っています…」
アルミン「かつて昔、その戦争はキーブレード使いの間で起きた世界を破滅させる戦争だった。我々調査兵団その情報を追い求めて、つい最近とある情報を入手した」
ネル「それって……?」
アルミン「キーブレード戦争で起きた原因。書物やおとぎ話の共通では"光"を求めた戦いだった」
ネル「光を求める戦い……?」
アルミン「うん。しかし、その戦いに求めた物は光ではなく。1つの武器を求めた戦いだったんだ」
ネル「武器……?」
アルミン「その名は『Χブレード』」
フラン「キー…ブレード?」
アルミン「君や僕が持つキーブレードじゃなく。Χという名の武器だ」
ネル「どういうことなのですか?Χブレードというものは」
アルミン「全てのキーブレードの元になったと言われる伝説の鍵としか分からない。その鍵は昔、真のキングダムハーツを守護する役目のために与えられた武器でもあるらしい」
セイバー「その武器を言峰率いる闇の勢力が探していると…」
アルミン「うん……。そして、その鍵はキーブレード使いではなく特別な力をもった者しか触れぬと聞いている」
ネル「特別な力……?」
アルミン「7つの光と13の闇…その心を持つ者達の誰かがその鍵を触れると聞く……」
ネル「7つの光……13の闇……?」
アルミン「そして、今、闇の勢力はそれを揃えようと動き始めている」
ネル「集めさせてはいけない、その鍵は悪用される可能性が高いということなんですね!」
アルミン「あぁ……。だからこそ闇の勢力の手に渡るのを阻止しなくてはならないんだ……」
フラン「そうなんだ……。ところでさ、なんで言峰はキーブレード戦争を起こそうとしてるの?」
アルミンは紅茶を飲み干し、机に置く。
アルミン「……それは僕も分からないけど、奴は恐らく世界のリセットを目指していることは間違いない」
セイバー「世界をリセット…ですか……?」
アルミン「うん………"エレン"や"ミカサ"がいてくれれば…僕一人じゃ手に負えなくなってきたよ…」
アルミンが眉間にしわを寄せていた中、ネルはアルミンの言った人物の名前を口にする
ネル「エレン……?ミカサ……?」
フラン「待って、エレンって…」
アルミン「うん、今は亡き調査兵団の人達の名前だよ……。そして、僕と同じキーブレード使いだ」
ネル「待ってください!エレンって…私の父は調査兵団の一人だったんですか!?」
アルミン「私の父…?もしかして君はエレンの……!?」
ネル「え…?」
アルミン「なんてことだ…まさか君が……」
急に頭を抱えるアルミン。
アルミン「そうか……そうだったんだね……」
セイバー「もしかして、アルミン。ネルの母親は…ミカサという方なのですか?」
ネル「え?私のお母さん?」
アルミン「君は父エレンは知っていたけど母親はわからなかったんだね…。そうだよ、君の両親はエレンとミカサなんだよ」
ネル「ミカサという人は私のお母さん…」
セイバー「ネル…」
ネル「あの…教えてください。父と母…私の両親は今何処で何をしているのですか?」
アルミンは椅子から立ち上がり、本棚から1つの鍵を取り出しネルに渡す。
アルミン「この鍵を使えば君の両親を導いてくれるはずだよ」
ネル「これは……?」
アルミン「エレンの父親…君とっては祖父にあたるかな?グリシャ・イェーガーから託された鍵だよ」
ネル「祖父……?」
アルミン「うん、この鍵はエレンが大切に保管していたんだけど……。僕に預けたんだ」
ネル「そうだったんですか……」
アルミンは立ち上がり、部屋の扉の前に向かう。
アルミン「今、言峰達は闇の勢力を拡大するために様々な世界で暗躍している。君達は彼らを止めなくてはいけない」
ネル「はい……!」
アルミン「……それと可能ならエレンとミカサを見つけてきてほしい。君のキーブレードの導きならきっと導かれてくれるはずだ」
ネル「はい……!」
アルミン「……それじゃあ、僕はこれで失礼するよ。また、何かあったらレミリアさんを通じて連絡してね」
セイバー「はい、アルミン。ご協力感謝します」
アルミン「そうだ、ネル」
ネル「はい?」
アルミン「復讐に囚われていたいけないよ?復讐に囚われれば、心は闇に染まり取り返しがつかないことになるからね」
ネル「……」
アルミン「君と僕は数少ないキーブレード使いだ。お互いの健闘を祈るよ」
ネル「はい……気をつけます」
アルミンは手を振り、部屋を退出する。
セイバーとフランはネルを見る。
フラン「ねぇ、ネル。これからどうする?お姉ちゃんの所に戻る?」
ネル「ううん。旅は続けるよ?お父さんとお母さんが今どこで何をしているか気になるし…それに…」
セイバー「どうかしましたか?」
ネル「いや、なんでもないよ」
フラン「?」
廊下を歩くとそこにエミカが待っていた。
ネル「あなたは……!」
エミカ「自分の運に感謝するといい。本来ならば私が負けるなどありえないからな」
フラン「随分と余裕ねー?でもネルはキーブレード使いだよ?」
エミカ「キーブレード使いだからといって貴様は強いとは限らない。しかし、これだけは覚えておくといい。次会う時に我々の邪魔をするならば容赦なく貴様を始末する」
ネル「貴方こそ、なんでそこまで私に突っかかるの?私が何をしたっていうのよ?」
エミカ「貴様は私にとって邪魔な存在。それだけだ」
ネル「なん……ですって……!」
エミカ「再度忠告だ。次に会った時は貴様を始末する」
エミカはそのまま歩き出す。
ネル「なんなのよ……」
フラン「ねぇ、セイバー?」
セイバー「はい?なんですか?」
フラン「エミカの事どう思う……?」
セイバー「……そうですね……彼女からはとてつもない怒りと憎しみを感じました。しかし、その根底には何というべきか……何か別のものを感じます……」
フラン「……私も感じたけど何かあるわねネルとエミカの間に……?」
ネル「何を言ってるの?セイバー、フラン」
セイバー「いえ……なんでもありません……」
フラン「……なんでもない。それよりもこれからどうするの?」
ネル「どうするって、さっきも言ったけど旅に…」
しかし、フランは横に振りネルの言葉を遮る。
フラン「じゃなくて、エミカのこと!アイツ、ネルと次会うときに襲いかかるって言ってたじゃん?それが気になるっていうか……」
ネル「うん、そうだよね……。私もどうすればいいか分からないけど……今は旅をしようと思う」
フラン「そうなんだ!それじゃ行こ!」
セイバー「ひとまず、アルミンから託されたその鍵が重要ですね?」
ネル「とはいったけど、これなんの鍵なんだろう…?」
セイバー「それは分かりませんが、いつかその時が来るまでは大事に持っておくべきですね」
ネル「うん……でもさ!」
セイバー「どうしましたか?」
ネルは笑顔で答える。
ネル「この3人とならどんな困難も乗り越えられる気がする!」
フラン「うん!私もそう思うよ!ネル、これからもよろしくね!」
セイバー「……はい!よろしくお願いしますね!」
ネルは2人を見て微笑むと歩き出す。
3人の旅はまだ始まったばかり……。
廊下の角で壁に寄りかかるエミカはその様子を見ていた。
アルミン「そこで何してるんだい?」
エミカ「団長……!別に……」
アルミン「薄々感づいてるんじゃないかい?」
エミカ「何がですか……?」
アルミン「君も薄々気づいているんじゃないかい?君と彼女の関係はなんなのか?」
エミカ「……いえ、分かりません」
アルミン「そうなんだ。君があそこまで彼女にこだわる理由が知りたかったんだけどね……」
エミカ「ただ……気になるだけです……!」
アルミン「君らしいね。それじゃ僕はこれで失礼するよ。さて、これから忙しくなりそうだね」
エミカは団長を見送り、自分も歩き出す。
エミカ「私は認めないあんな奴がキーブレードを使えることに…」
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