ポケモン不思議のダンジョン Drop of Mind 作:アヤ・ノア
ハロルドはコーディリアの優しさに触れながら、日常を送った。
しかし、暗闇の中で彼女を狙う者達が計画を練っていた。
コーディリアの正義感が彼らにとって脅威となり、彼らはコーディリアの暗殺を企てる。
メイドに変装したミリアが、毒入りの紅茶を持って屋敷に忍び込み……。
お嬢様が……毒を!?
Chapter 09
命の危機 毒を盛られし貴族令嬢
-Vergiftung-
「ふわぁぁぁあ……。ん~、気持ちよかった」
使用人の部屋でしばらく眠っていたハロルドはコーディリアを出迎えるためにリビングに戻る。
この時間、ちょうどマクベスも戻るところだろう。
「そろそろ、依頼を受けようかな……」
ハロルドがコーディリアに会おうとすると、彼は衝撃的な光景を目にしてしまった。
それは……割れたカップと、テーブルに広がる紅茶と、倒れているコーディリアの姿だった。
「コーディリアさん! コーディリアさん!」
「お嬢様、お嬢様!!」
マクベスは急いでタオルを取り出し、紅茶を拭いてテーブルを綺麗にした。
ハロルドはコーディリアに声をかけるが、彼女はピクリとも動かなかった。
「そんな……。コーディリアさん、どうなっちゃったの!? い、急いで助けなきゃ……!
うん、せ……!」
ハロルドは慌ててコーディリアを抱こうとするがコーディリアを持ち上げる事はできなかった。
マクベスはテーブルを綺麗に拭き取った後、ハロルドとコーディリアの傍に近寄る。
「お嬢様! 目を開けてください!」
「……ぅ……ぁ……」
マクベスの呼びかけに、コーディリアは僅かだが答えた。
意識はまだ残っているが、治療をしなければ命に係わる。
「ハロルド、このままでは危険です。すぐに探索者協会の病院にお嬢様を連れていきましょう」
「う……うん!」
マクベスは大急ぎでコーディリアを探索者協会のラッキー病院に連れていった。
「お嬢様がお倒れになりました。治療を頼みます」
マクベスは、倒れたコーディリアをラッキーに治療してもらうように頼む。
彼女は「かしこまりました」とお辞儀した後、コーディリアを運んでいった。
「ねえ……依頼はどうなるの?」
「……お嬢様がこのような状態では、依頼を受けるのは不可能です」
「そっか……それは仕方ないね」
頼りになるコーディリアが毒を盛られた以上、依頼の遂行は困難になるとマクベスは判断した。
困ったハロルドはマクベスに提案をする。
「コーディリアさんが休んでいる間に、ボク達は彼女のために何か買おうか」
「はい、お菓子でも買いましょうかね」
ハロルドとマクベスはコーディリアの病が治る事を信じて、まず、パッチールカフェに行った。
「いらっしゃいませ~」
「これをお願いします」
二匹は今までの探索で手に入れたポケを支払い、
ベリーミルク、よつばのクッキー、ミニドーナツを購入した。
退院のお礼に相応しいものは、食べ物だ。
特に、コーディリアは甘いものが好きなので、
お菓子を渡せば喜ぶだろうとマクベスは考えたのだ。
その頃、コーディリアは……。
「うぅ……あぁぁぁぁ……!」
身体に毒が回る毒で苦しんでいた。
ラッキーは「大丈夫ですか」と彼女に優しく声をかけ、病状を和らげようとする。
「あいつ……私に罠を仕掛けたのね……。まずかったわ……紅茶的にも、展開的にも……。
まだ……死にたくないというのに……!」
「この薬を!」
コーディリアの身体から徐々に生気が抜けてきた。
ラッキーは、コーディリアに薬を投与し、何とか毒の進行を食い止める。
しかし、彼女を蝕む毒は、まだ消えていなかった。
「マクベス……ハロルド……。どうか、私を治しなさい……。
見殺しにしたら、承知しないからね……! 一生、祟ってやるんだから……!」
コーディリアは恨めしそうな表情で、上の空になりながらそう呟いた。
その頃、ハロルドとマクベスは……。
「次は、毒に詳しい方を探しましょう」
「解毒方法を教えてもらわなきゃ」
コーディリアの毒を取り除く方法を探るため、ベシク街を歩き回っていた。
毒といえば、どくタイプのポケモンが専門なので、
二匹はそのポケモンに聞き込み調査をしていた。
「う~ん、毒ねぇ。モモンのみを使えばいいんじゃないかしら」
「解毒用のきのみだからね。持ってる?」
「私は持っておりませんが、ハロルドならお持ちでしょう」
「あ」
ハロルドが鞄の中を調べると、中にモモンのみが入っていた。
これを使えば、コーディリアを解毒できるだろう。
「よし、コーディリアさんに届けよう!」
「かしこまりました!」
ハロルドとマクベスはラッキー病院に向かい、
コーディリアの主治医のラッキーにモモンのみを渡した。
「どうか、これでコーディリアさんを……」
ラッキーはハロルドからモモンのみを受け取り、それを調合してコーディリアに飲ませた。
ほとんどの毒を治す事ができるこのきのみ、これならコーディリアは元気になるだろう。
「はい、これを……」
ラッキーはコーディリアの口に、モモンのみを調合した薬を入れた。
「ゴホ! ゲホッ! グホッ!」
だが、コーディリアの病状は良くならなかった。
この毒は、モモンのみ程度では解毒ができないようだ。
それでもラッキーは彼女の様子をよく見た後、ハロルドとマクベスに病状を知らせる。
「残念ですが、彼女の解毒はできませんでした」
「そんな……! 何とかならないのですか!?」
「モモンのみだけでは、彼女を蝕む毒を取り除く事はできません。
彼女を治すにはラムのみを調合した薬が必要です」
「ラムのみ……」
万能薬の材料になるラムのみ。
これさえあれば、コーディリアは治るのだが……そもそも、
どこに自生しているのかは二匹にはまだ分からない。
もちろん、このラッキーにも分からない。
その間にも、コーディリアを蝕む毒は、どんどん進行している……。
「……私の計算によりますと、コーディリアさんが亡くなるまで、あと、六時間になります」
「六時間……!」
コーディリアの命は、残り六時間。
それまでにコーディリアを救わなければ、彼女との冒険は、終わってしまう――
「お願いします! ボク達、必ずラムのみを採ってきます! だから、待っていてください!」
「どうか、私達を信じてください……」
「……分かりました」
ラッキーは神妙な面持ちで、コーディリアがいる場所に戻るのだった。
「……お嬢様、どうか、卑劣な罠なぞに負けてはなりません……!」
「ボクの恩人は、絶対に死なせない……!」
ポケダンにラムのみってないなーと思いながら書きました。
なのでラムのみは重要アイテムという扱いになっています。
次回はヒロインを助けるために主人公が特別なダンジョンに向かいます。