ポケモン不思議のダンジョン Drop of Mind 作:アヤ・ノア
貴族令嬢コーディリアが毒を盛られ、命の危機に瀕する。
彼女を救うため、使用人のハロルドとマクベスは解毒薬を探し始める。
二人はモモンのみを手に入れるが、毒はそれでは解毒できず、ラムのみが必要だった。
コーディリアの命は残り六時間。
ハロルドとマクベスは、彼女を救うために急いでラムのみを探しに出発するのだった。
Chapter 10
令嬢を救え タイムリミットはあとわずか
-Allheilmittel-
コーディリアがメイドの毒入り紅茶を飲み、倒れてしまった。
彼女の命が終わるまで、残り六時間。
執事マクベスと、コーディリアに助けてもらったハロルドは、
彼女を救うために必要な「ラムのみ」が生っている場所の情報を集めていた。
「ラムのみ、ですか? 分かりません」
「知ってはいますけど、場所までは……」
「知らんなぁ」
二匹は色々なポケモンに話を聞いてみたが、ラムのみがある場所の情報は得られなかった。
「誰かに譲ってもらうしかないのかな?」
「試してみましょう」
もしかしたら、誰かがラムのみを持っているかもしれない。
そう思った二匹は、つながりオーブを見るために探索者協会に行った。
「おや、あんた達、どうしたんだい?」
「実はかくかくしかじかで……」
ハロルドはアーマルドとユレイドルにこれまでの事情を話した。
「なるほど。コーディリアが毒を盛られて命の危機にさらされているのか」
「それで、万能薬を作るためにラムのみを探しているのですね」
「はい……それで、つながりオーブは?」
「こっちだ」
そう言って、アーマルドはハロルド達の前につながりオーブを出した。
ハロルドは大急ぎでつながりオーブを確認し、新しいポケモンの呟きを探した。
「繋がってるのは、どこなのかな……」
ハロルドはきのみと関係ある呟きを探すため、ケララッパと繋がっているポケモンを調べた。
すると、ケララッパの右から伸びている♂のケンホロウの呟きを発見した。
クスリのもりにラムのみが生っています
しかし盗賊のせいできのみが失われかけています
どうかこの森を荒らす盗賊を退治してください
報酬はラムのみです
ケンホロウ
「これだ!」
「お願いします」
「あいよ、大事な子を助けたいんだろ? 俺はあんた達を応援してるぜ」
「ありがとうございます!」
依頼内容を確認したハロルドとマクベスは、アーマルドにその依頼を受ける事にした。
アーマルドはラムのもりへの地図を二匹に渡して、二匹の無事を祈りながら彼らを送り出した。
ハロルドとマクベスは、目的地のクスリのもりに辿り着いた。
「ここが、クスリのもりか」
「きのみがたくさんありますね……ですが」
クスリのもりというだけあり、健康にいいきのみが多く生っていた。
しかし、肝心のラムのみは、どこにもなかった。
「おかしいなぁ……どうしてだろう」
「盗賊のせいできのみが失われかけている、のと関係があるかもしれません。
とりあえず、まずは依頼主のところに参りましょう」
「うん!」
「やあ、キミ達が依頼主かい?」
「おはようございます」
ハロルドとマクベスは、依頼主のケンホロウが待っている場所に向かった。
マクベスはまず、ケンホロウに挨拶をした後、彼にこれまでの出来事を話した。
「なるほどね、万能薬を作るためにラムのみを……。確かにラムのみはここにしか自生しないよ。
後、今は奥にしか生ってないんだよね」
「どうしてですか?」
「数が減ってるからだ。ラムのみは希少だからな、盗賊が狙うのも当然だよ」
元々少ないラムのみが、さらに少なくなっており、このままでは絶滅するという。
「コーディリアさんも治せなくなっちゃうし、きのみの生態系にも悪影響が出るしね……」
心無い盗賊がこの世界を壊し、さらには一匹の命も失われる。
こんな最悪の事態を避けるためにも、
一刻も早く盗賊を退治してラムのみを採取しなければならない。
「……私は必ず、お嬢様を助けます。お嬢様のために、そして、私自身のために」
「……」
マクベスは拳を握り締めている。
ハロルドはいつになく真剣なマクベスを見てごくりと唾を飲み込む。
そうだ、この依頼はコーディリアの命がかかっているのだ……と自覚する。
「マクベス、ケンホロウ。この依頼、必ず成功する。だから、ボクを信じて」
「ハロルド……」
「時間は気が付いたらあと僅かになる、急ごう!」
「はい!」
ハロルド、マクベス、ケンホロウは、森の奥深くへ飛んでいった。
万能薬の材料、ラムのみを手に入れるために。
「しねんのずつき!」
「チャームボイス!」
「つばめがえし!」
三匹は森の中にいる、キャタピー、ツボツボ、チラーミィを技で倒していく。
しかし、無駄な戦闘は避けなければならない。
罠にかからないように、多少のダメージは気にせずに、尊い命を救うため、彼らは進む。
「依頼だけを迅速にこなすのです。こうしている間にも、お嬢様は苦しんでおりますから」
「これ以上、コーディリアさんの苦しむ顔は見たくないよ!」
「おお、やる気満々だねぇ」
「だって、もう時間がないんだもん。コーディリアさんは死なせないよ」
奥へ進むごとに敵や罠の数はどんどん増えていく。
まるで、ハロルド達を足止めするかのように。
それでも、彼らは諦めなかった。
全ては、万能薬の材料となるラムのみを手に入れるために。
「あれが、ラムのみ……!!」
そして、三匹はついに、ラムのみが生る木がある場所に辿り着いた。
周りには何もなかったが、ハロルドとマクベスは油断せずに身構える。
「ほら! みんな、ラムのみだ! これで万能薬が作れるぞ!」
ケンホロウがラムのみを採った瞬間、彼をサイコキネシスが襲った。
これにより、空を飛んでいたケンホロウは地面に叩きつけられる。
「あいたたた、何をするんだ……」
「ラムのみは渡さないわ」
そう言って姿を現したのは、メイドだった。
「キミは……」
「……私が、あの女を毒殺した……ミリアよ!」
そう言って、メイドはアクセサリーをはぎ取って正体を現した。
コーディリアに毒の入った紅茶を飲ませたのは、お尋ね者のサーナイト、ミリアだったのだ。
「ど、どうしてこんな事をしたんだ!」
「お嬢様に何か恨みでもあるのですか!?」
ハロルドとマクベスはミリアに対し怒りを露わにする。
しかし、ミリアは涼しい顔で二匹に話す。
「正義のための戦いなんてどこにもないのに、あの女は正義ぶっちゃって。
気に入らないから毒殺したのよ。もっとも、まだ死んではいないけど」
「何ですって……! お嬢様の命を何だと思っていますか……!」
「そんなの関係ないわ、ルキウス様の目的が達成できればそれでいいのよ」
コーディリアの事をどうでもいいと思っているミリア。
ハロルドとマクベスは、もうミリアに対する怒りを隠せなかった。
ケンホロウも、彼らに続いて戦闘態勢を取る。
「もう許しません、私は貴方を倒します!」
「キミのくだらない考えのせいで、コーディリアさんは死にそうなんだ!
何としてでも、キミを止める!」
「オレは彼らを信じている。その期待に応えるためにも、オレは負けない」
ハロルド、マクベス、ケンホロウの目は、本気だ。
三匹の目を見たミリアは、くすっと笑った後、笑みを消して鋭い目で睨み返す。
「……仕方ないわね。返り討ちにしてやるわ!」
ミリアはそう叫び、サイコパワーを解放して戦闘態勢に入った。
次回は初のお尋ね者戦いです。