ポケモン不思議のダンジョン Drop of Mind 作:アヤ・ノア
コーディリアは毒入り紅茶を飲み、命の危機に瀕していた。
ハロルドとマクベスは、彼女を救うためラムのみを探し始める。
情報を集める中、盗賊によってラムのみが減少している事を知る。
彼らは依頼主のケンホロウと共に、盗賊を退治する決意を固める。
ハロルド達はついにラムのみの木を見つけるが、
そこに現れたのはコーディリアを苦しめた犯人、ミリアだった。
彼らはコーディリアを救うため、ミリアとの戦いに挑むのだった。
Chapter 11
異邦人と執事 希望を信じ絶望に挑む
-Hoffe-
お尋ね者、ミリアとの戦いが始まった。
「じしん」
マクベスは地面を揺らし、広範囲をまとめて攻撃する。
ケンホロウには効果がなく、ハロルドは防御し、攻撃はミリアに命中した。
「♪♪~~♪♪♪~~♪~」
「そんなもの、♪♪~」
「つばめがえし!」
ミリアは、ハイパーボイスでハロルドのチャームボイスを打ち消す。
ケンホロウはその隙にミリアに突っ込み、つばめがえしで斬りつけた。
「ぐっ! よくもやったわね」
ダメージを受けたミリアはバッグからオレンのみを取り出し、体力を回復した。
「ふふ……あの女の残り時間はあと三時間よ?」
ミリアはくすりと笑みを浮かべ、ハロルド達を嘲笑した。
わざわざコーディリアが死ぬまでの時間を言うという、
彼女の高慢な態度を見たマクベスは、ますます彼女への怒りを隠せなくなった。
「ミリア、貴方はお嬢様に手を出せる権利はありません。すぐに立ち去りなさい」
「それは無理ね。ルキウス様が止めない限り、私もまた、やめないわ」
もっとも、そうなる事はない、とミリアは言い切った。
「さあ、私を倒してみなさい! 時間まで相手になるわ!」
「時間まで、という事は……」
「コーディリアさんが死ぬまでの時間稼ぎか! そうはいかないよ!」
ミリアの作戦を見たハロルドは、それを止めるために先制攻撃を仕掛ける。
ハロルドは口から水鉄砲を放ち、ミリアの身体を濡らそうとするが、
彼女は超能力で水鉄砲を逸らす。
「その程度かしら?」
「く……弾かれたか!」
「特殊攻撃が弾かれたならば、この一撃はどうでしょうか? れいとうパンチ!」
マクベスは氷を纏った拳を至近距離からミリアにぶつける。
ミリアは腹部を押さえてダメージを軽減した後、ムーンフォースでマクベスを攻撃する。
効果は今一つだったが、ミリアの力は大きく、マクベスはそこそこのダメージを受けた。
「私、ルキウス様が望む事だったら何でもするわ」
「その結果がコーディリアさんの毒殺だって?」
「そう、それがルキウス様の望みよ!」
「もし私がお嬢様からそう頼まれても、きっぱりと断ります」
コーディリアは決して非人道的な行為はしない。
マクベスも彼女を信頼し、執事として仕えている。
非道な行為に嬉々として従うのは、マクベスにとっては従者とは言えないのだ。
「キミはルキウスに狂っているだけだ。だから、早くキミを止めてコーディリアさんを助ける!」
ハロルドはミリアに向けてがんせきだまを投げる。
ミリアはハロルドの攻撃をかわした後、サイコキネシスでハロルドを吹っ飛ばす。
「うわああ!」
「ハロルド!」
「よくもルキウス様を侮辱したわね。許さないわ、覚悟なさい! ムーンフォース!」
ミリアは月の力を使い、吹き飛んだハロルドに追い打ちをかけた。
「♪♪~~♪♪♪~~♪~」
さらに、ハイパーボイスで追撃して、ハロルドの体力を大きく減らしていった。
「う……うっ……きついよ、マクベス!」
「これをどうぞ!」
マクベスはオレンのみをハロルドに投げ、ハロルドがそれを受け取って食べる。
「あ、ありがとう、マクベス」
「いえいえ、お嬢様を助けるためですから。……それで、残り時間は?」
「一時間」
「もう、そんなに……!」
これ以上時間をかけては、コーディリアの身体がもたなくなる。
その前にミリアを倒さなければ、コーディリアは命を落としてしまう。
「♪~~~♪♪♪~~」
「つばめがえし!」
「コメットパンチ!」
ハロルドは傷つきながらも、ケンホロウと共にミリアを攻撃する。
マクベスは渾身の力を込めたコメットパンチを放ちミリアの弱点を突いて大ダメージを与える。
これにより、ミリアの体力は残り僅かとなった。
「……」
「さあ、もう逃れる事はできませんよ」
「早くラムのみを渡すんだ!」
ハロルドとマクベスはミリアにじりじりと迫っていく。
コーディリアを傷つけられた怒りは、頂点に達していた。
「これで、とどめです! コメット……」
マクベスがコメットパンチをミリアに放とうとした瞬間、
彼女はあなぬけのたまを取り出し、三匹に見せつける。
「そうはいかないわ」
「何!?」
あなぬけのたまを見たマクベスは、コメットパンチを放とうとした腕を止める。
「……今日のところは花を持たせてあげる。またいつか、会いましょう。……さよなら」
「待てっ!」
ハロルドの制止も空しく、ミリアはあなぬけのたまを使い、クスリのもりを脱出した。
「……そんな……逃げられたの……?」
ミリアを逃がしてしまった事に落胆するハロルド。
しかし、マクベスは険しい顔をしながら依頼主のケンホロウと会話している。
「……それで、戦闘には何分かかりましたか?」
「30分……だね」
つまり、コーディリアが死ぬまで、あと30分しかないのだ。
これはもう、うかうかしてはいられない。
「ケンホロウさん! 盗賊は逃がしちゃったけど、報酬のラムのみをお願いします!」
「あ、はいよ」
そう言って、ケンホロウは報酬のラムのみを取り、ハロルドとマクベスに手渡した。
「コーディリアさん、今、ボク達が行くよ!」
「お嬢様……耐えてくださいね」
こうして、ハロルドとマクベスは依頼を終え、ラムのみを持って探索者協会に戻った。
探索者協会に帰還した時間は、20分だ。
「これで、万能薬を作ってください!」
「はい、分かりました」
ラッキーはラムのみを受け取って、すぐに薬の調合に入った。
薬は5分で完成し、コーディリアに投与された。
「……大丈夫です、コーディリアさんは4分もあれば治りますよ」
「そうですか……本当にありがとうございます」
ようやく、コーディリアと再会する事ができる。
ハロルドとマクベスは安堵し、張り詰めた表情が嘘のように緩んだ。
「……ふう、一時はどうなる事かと思ったわ」
「お嬢様!」
「コーディリアさん!」
しばらくすると、病院からコーディリアが歩いて帰ってきた。
ラムのみを調合した万能薬を飲み、退院したのだ。
「まったく、この私に毒を盛るなんて……あのメイド、やっぱり私の敵だったのね」
「申し訳ありません、私がついていながらこのような事態になるとは……」
コーディリアが毒を盛られた事に気づかず、マクベスは心の底から謝罪した。
しかし、コーディリアは首を横に振った。
「いいのよ。私はもう治ったんだし。それで、私に毒を盛ったメイドは?」
「……それが……」
ハロルドは、メイドの正体がお尋ね者のミリアである事、そして彼女を逃がした事を話した。
それを知ったコーディリアは、いつもと違って落胆していた。
「そうだったの、それは残念だったわね」
「あれ? コーディリアさん、責めないんだ」
「だって、責めても何の解決にもならないでしょ。過ぎた事を考えるより、次の事を考えなさい」
コーディリアは満面の笑みを浮かべてハロルドとマクベスにそう言った。
彼女の前向きな態度に、二匹は勇気づけられる。
「私、貴方達が助けてくれる事をずっと待ってたわ。
死にそうだと思ったんだけど、でも、私は絶対に死なないと思ってたの。
だって、ハロルドとマクベスなら、私を助けてくれるとずっと信じてたもの」
「コーディリアさん……」
「だから、これからも、私の傍から離れないでね。
二度とあんな事がないように、そしてこの広い世界を見るために」
そう言って、コーディリアは両手でハロルドとマクベスの腕を握った。
「お帰りなさい、みんな!」
「「ただいま!」」
今ここに、ハロルド、コーディリア、マクベスのパーティーが復活するのだった。
ミリアの捨て台詞は逆転裁判の美柳ちなみを参考にしました。
次回から再び三人パーティーで冒険します。