ポケモン不思議のダンジョン Drop of Mind   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

お尋ね者ミリアとの戦いが始まり、ハロルドとマクベスは彼女を阻止しようと奮闘する。
ミリアはコーディリアの命の残り時間を告げて挑発する。
激しい攻防の中でハロルドとマクベスはミリアを倒すが、彼女には逃げられてしまった。
ハロルドとマクベスは急いでラムのみを手に入れ、万能薬を作成してコーディリアを救う。
無事に退院したコーディリアは、過去を振り返らず前向きに未来を見据える。
三人は再び力を合わせ、冒険の旅を続ける事を誓うのだった。


Chapter 12

 Chapter 12

 ベトベトの穴倉 汚物は消毒せよ

         -Desinfektion-

 

 コーディリアを毒から解放し、やっとパーティーは三匹に戻った。

 まだ彼女の容態は万全とは言えないが、毒殺は阻止したためひとまず安心する。

「マクベス! 今度からちゃんと、紅茶には毒が入ってないか見なさい!」

「……本当に申し訳ありません」

 この事件がきっかけで、紅茶が出た時はまず、マクベスが毒見をする事にするようになった。

 理由はもちろん、マクベスには毒が効かないためである。

「だってさ。執事が言うなら安心だよね」

「ええ、当然よ。もし裏切ったら、相打ちになって果てるわ」

「お嬢様がそうおっしゃるのであれば、私も了承しましょう」

 お互いにガッツポーズをするコーディリアとマクベス。

 改めて、コーディリアとマクベスは強い絆で結ばれているな、とハロルドは感じた。

 

「さて、気を取り直して。次はどんな依頼を受けようか」

 ハロルドは、つながりオーブに映っている依頼を探した。

 オレンのみ探し、山賊退治など、めぼしいものは何一つなかったが、

 マクベスが気になる依頼を発見した。

 

 村の近隣にベトベターの一群が住み着きました。

 畑をヘドロで汚しており、村民一同は非常に難渋しております。

 そこで、400ポケの報奨金にてこれを駆逐してくださる探索者の方を募集致します。

 ミジュマル

 

「これは……!」

「ほう、そんな割のいい仕事があったのか」

 アーマルドが良い依頼を見つけたと思われるマクベスに声をかける。

「……これは……どうですかね」

「よりによってベトベター、しかも群れ……。あれは、臭いがちょっと……」

 ハロルドとコーディリアは、依頼内容を見て微妙に嫌そうな顔をした。

 ベトベターはヘドロが固まったポケモンなので、とにかく悪臭が強いのだ。

 そんな場所に好んで行くポケモンは、この街ではまずいないだろう。

「……でも、400ポケは惜しいわね」

「最近の若い連中は、全く……」

 報酬か身体か、迷っているコーディリアに呆れるアーマルド。

 しばらく迷っていたコーディリアは、依頼を受ける事にして、ハロルドに連絡した。

「……ん? なんだ、行く気になったのか?」

「ええ。……仕方ないけどね。前の毒が少しダメージになったし……」

「そうか」

 アーマルドは少しがっかりしながらも、地図を三匹に渡した。

「洞窟の場所はこの裏にある通りだ。たかがベトベター相手とはいえくれぐれも備えは十分にな」

「はいはい」

 

 こうして、探索者達は探索者協会を後にして、

 ベトベターが住み着いたという洞窟、ヘドロ洞窟に入った。

 

「聞いた通り、さほど大きな洞窟でもないわね」

「早めに片付けてご飯に間に合いたいな」

「この洞窟にいるポケモンはどくタイプが多いです、私ならば毒は浴びませんよ」

「ありがとうね、マクベス」

 毒が効かないマクベスを先頭に、一行はヘドロ洞窟を歩いていった。

「あー……ヘドロがこんなに」

 進もうとした道は、ベトベターの分泌物のようなものでドロドロになっていた。

「……少しきついけど、通りましょう」

 ハロルド、コーディリア、マクベスは、ドロドロの道を慎重に通った。

 マクベスは毒を浴びないため余裕で通る事ができ、ハロルドも何とか通り抜ける事に成功。

 だが、コーディリアだけは上手く渡る事ができず、ヘドロまみれになってしまった。

「うぅ……ヘドロまみれになっちゃったわ。どうしてくれるのよ、あいつら」

「みずでっぽう」

 ハロルドは威力を弱めたみずでっぽうをコーディリアに放ち、

 彼女の身体についたヘドロを取った。

「はあ……こんな依頼は受けたくなかったわ」

「でも報酬は400ポケだし、ね?」

「……はいはい」

 

 三匹はベトベターの群れを技で退けながら、洞窟の奥に進んでいく。

 どくタイプ故に、主にそのタイプに効果抜群なじしんを使って倒した。

 罠も、どくばりスイッチやどくびしなど、毒を与えるものが中心だったが、

 マクベスが安全に取り外した。

「マクベス、ありがとね」

「私はお嬢様を守る者ですから」

「まあ! 頼もしいわ、マクベス!」

 ぐっと握り拳を作るマクベスの背中を見て、コーディリアは目を輝かせた。

 

 他にも、洞窟ではたくさんのドガースが飛び回っていたり、

 無数のベトベターがうろついていたりした。

 三匹は彼らの相手をせずに進み、腐った沼地や罠を避けながら歩いていくと、

 食べ物が置いてあった。

「これは……何だろう? うわ! ベトベタフードだ!」

「ラッキーね!」

 ハロルドがそれを拾うと、その食べ物はベトベタフードだった。

 ベトベタフードは食べるとお腹が少し回復するが、

 ベトベタなので色々な悪い状態になってしまう。

 しかし、コーディリアは何故か喜んでいた。

「コーディリアさん? なんで喜んでるの?」

「忘れたの? 私の家宝を使えば、ベトベタフードは元に戻るのよ?」

「あぁ~」

 コーディリアの家宝「じくうのオーブン」は、ベトベタフードを元に戻す効果がある。

 ベトベタだからと捨てたりせず、ハロルドはベトベタフードを鞄の中に入れた。

 

 そして洞窟の最奥まで進むと、四匹のベトベターと一匹のベトベトンが待ち受けていた。

 五匹の横にはミジュマルが怯えながら蹲っている。

「あれが……依頼主のミジュマルだね」

「待ちなさいよ、必ず助けるんだから」

「オウオウ? オマエラ ダレダ?」

「オマエラ ダレダ?」

 ベトベターとベトベトンは片言な口調でハロルド達に話しかける。

 コーディリアは冷たい口調でベトベター達にこう言った。

「私ね、これ以上この洞窟にはいたくないの。貴方達の臭いが、私にとって迷惑なの。

 だから、今すぐに消えてくれる?」

「キエル? オレサマハ ココデ イキルンダ」

「ココデ イキルンダ」

 コーディリアはこんな臭いところには二度と行きたくないようで、

 早めに依頼を終わらせたいという気持ちが強かった。

 ハロルドとマクベスも頷いて、彼女に同意する。

「お嬢様の言う通りです。こんな場所からはもうおさらばです」

「……キミ達を、倒すよ!」

 今ここに、探索者とベトベター、ベトベトンとの戦いが、始まった。

 

「やあっ!」

「みずでっぽう!」

 まず、コーディリアはねこだましをかけてベトベトンを怯ませる。

 ハロルドは続けて、ベトベターをみずでっぽうで攻撃、一撃で撃破した。

 コーディリアはベトベターの攻撃をかわしながら、

 効果は今一つながらもとびひざげりで反撃する。

「うっ……!」

 しかし、ヘドロばくだんを食らって毒を浴びてしまった。

 コーディリアの体力は、毒で徐々に減っていく。

「はぁ、はぁ……また、あの時の悲劇が起きてしまうの……!?」

「そうはいきません。これをお食べください」

 マクベスはモモンのみを取り出してコーディリアの毒を消した。

「よし、ありがとう! そーれ、とびひざげり!」

「皆様、離れてください。じしん」

 元気になったコーディリアはとびひざげりで二匹目のベトベターを撃破した。

 マクベスはハロルドとコーディリアを効果範囲から逃がした後、

 地震を起こしてベトベター達に大ダメージを与えた。

「ヤルジャネエカ」

「ふふ……私を舐めないでよね」

「ダストシュート!」

「きゃぁぁぁぁぁ!」

 ベトベトンはコーディリアの背後から汚いゴミをぶつけ、ダメージと毒を与えた。

 流石の彼女も、背後からの攻撃には対応できなかった。

「お嬢様!」

「だ、大丈夫よマクベス……できれば回復したいけど、それより敵を倒すのを優先させなさい」

「承知しました、コメットパンチ!」

 マクベスは彗星の如くパンチを繰り出し、ベトベトンを吹き飛ばす。

 さらに、じしんで瀕死のベトベター達に大ダメージを与えて気絶させる。

「もう許さないよ! みずでっぽう!!」

ガアアアアアアアアアアアア!

 そして、ハロルドの渾身の力を込めたみずでっぽうがベトベトンに命中すると、

 ベトベトンは目を回して倒れた。

 

 しばらくすると、ミジュマルが起き上がってハロルド達のところに来る。

 彼の身体にはヘドロが少しついていたのでハロルドがみずでっぽうで取る。

「皆様、本当にありがとうございました」

「それにしても、ホントにヘドロだらけで嫌な洞窟だったわ」

 コーディリアは女性らしく、ヘドロ洞窟について不満を漏らした。

 ミジュマルはそれを気に留めず、ハロルド達にお礼を言う。

「これは、お礼の400ポケです」

「ありがとうございます」

 ハロルドはミジュマルから報酬の400ポケを受け取った。

 コーディリアはしげしげとポケを見つめている。

「……ま、それなりの報酬でよかったわ」

 

「ただいま、アーマルドさん」

 ハロルド、コーディリア、マクベスは、依頼を終えて探索者協会に戻ってきた。

「……おう、上手くやったようだな」

「うん、本当に酷い臭いだったよ……」

 ヘドロ洞窟の臭いは、想像以上に酷かったようだ。

 貴族令嬢のコーディリアが受けたがらなかったのも、無理はない。

「……それじゃ、ひと風呂浴びるかな。とりあえず、この報奨金は貰っておくよ」

「ああ、行っておくれ」

 

 ハロルド、コーディリア、マクベスは熱い湯に浸かった。

 たっぷり一時間以上かけて、ようやく汗とヘドロとを綺麗さっぱり洗い流したのだった。




次回は第二ヒロインと出会います。
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