ポケモン不思議のダンジョン Drop of Mind   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

異世界から転移した少年ハロルドは、ポケモン達が暮らすベシク街で目を覚ます。
貴族令嬢コーディリアと執事マクベスは、彼の存在が引き起こす異変に気づく。
ハロルドは記憶を失っていたが、自身が異邦人である事を知る。
コーディリアは彼と共に小さな事件から解決を始めた。
三人はこの世界の謎を解くため、冒険の旅に出発するのだった。


Chapter 01

 ここが、あんた達の新しい職場だよ。

 

 Chapter 01

 異邦人と令嬢と執事 探索者の試験を受ける

               -Der Sucher-

 

 屋敷を出たハロルド、コーディリア、マクベスは、目的地を探して歩いていた。

「ハロルド、私達はどこに行けばいいの?」

「う~ん、分からないなぁ……」

「貴方、一応このパーティのリーダーなんでしょ……もうちょっと、しっかりしなさいよ」

「ごめん……」

 まだこの街の事を知らないとはいえ、コーディリアにそう言われたハロルドはしょんぼりした。

 もっとも、コーディリアもハロルドに負けず劣らず、世間知らずなのだが。

「お嬢様、あれを」

「え?」

 マクベスが指差した先には、コーディリアが住む屋敷と同じくらい大きな建物があった。

 人……いや、ポケモンがたくさん住んでいそうな、そんな、よく目立つ建物だった。

「そこに行くのね?」

「はい、お嬢様。ここに行けば、探索者になる事ができますよ」

「探索者?」

「様々な場所を探索し、ある者は富を、ある者は名声を、ある者は実感を求める職業です。

 ……職業と言うには、遠いですが」

「じゃ、入ってみましょう」

 

「やあ、いらっしゃい」

 ハロルド、コーディリア、マクベスが建物の中に入ると、

 その中には、たくさんのポケモンが住んでいた。

 ゼニガメ、ワニノコ、アチャモ、ナエトル、ポカブ、ハリマロン、

 ニャビーなど「御三家」と呼ばれるポケモンや、ピカチュウ、リオルなどもいた。

「あ~、やっぱりたくさんポケモンがいるね」

「でしょ? でも、一体どんな人なのかしら」

 コーディリアが頭を捻っていると、アーマルドとユレイドルが三匹を出迎えてくれた。

「俺は探索者協会の会長、アーマルドだ」

「副会長のユレイドルです。よろしくお願いします」

 アーマルドとユレイドルは、三匹に挨拶をした。

「は、初めまして! ボ、ボク、ハロルドと申します!」

 ハロルドは初めて彼らと出会うのか、緊張しながら二匹に自己紹介をする。

「……コーディリアです、よろしくお願いします」

「マクベスでございます」

 コーディリアとマクベスも、ハロルドには及ばないが少し緊張しながら自己紹介をした。

 アーマルドとユレイドルは彼らから悪意を感じなかったのか、ニコニコと笑う。

「この探索者協会では、あちこちにあるダンジョンを探索する『探索者』になる事ができるぞ」

「探索者になれば、傷ついて帰って来てもラッキー達が治療しますし、

 たとえ瀕死になったとしても集めた道具とポケをこちらに寄付する事により

 こちらに自動で送還されます。

 また、技教え屋、開封屋、倉庫を利用する事や、

 つながりオーブから依頼を受ける事ができるのは探索者のみです」

 この世界では、探索者には多大な権利がある。

 瀕死の重傷からでも助かったり、街の人の依頼を受けたり、一部の施設を利用できたり……。

 要するに、探索者になるメリットは大きいのだ。

「じゃ、じゃあ、ボク達、探索者になります!」

「それじゃ、これにサインをしてくれ」

 そう言ってアーマルドは台帳を三匹の前に出した。

 ハロルド、コーディリア、マクベスは、自身の名前と種族を台帳に書いた。

 

「よし、これであんた達は探索者だぞ」

「ありがとうございます!」

「……と言いたいところだが、

 探索者になるためにはちょっとした試験をクリアしなきゃならなくてな」

「試験?」

「あんた達が探索者に相応しいかどうか、こっちでテストするんだ。ま、簡単だから平気だろ」

 どうやら、正式に探索者になるためには、試験を受ける必要があるらしい。

「なんで、そんな下賤なものを私が受けなきゃいけないわけ?」

 コーディリアは、貴族でありながら試験を受ける事に不満を抱いていた。

「お嬢様、そんな我儘を言ってはいけませんよ」

「ここでは全てが平等です。犯罪者も貴族も、探索者になるためには同じ事をします」

 マクベスは、コーディリアを思ってこそ彼女にそう言った。

 ユレイドルは、犯罪者も身分の高い者も、

 試験さえ突破すれば探索者になる事ができる、と言った。

 ここは、良く言えば清濁併せ呑み、悪く言えば頭がおかしい場所なのだ。

「……分かったわよ。受ければいいんでしょ」

 コーディリアは不満な表情のままだったが、渋々、探索者試験を受ける事にした。

 

「ここが、試験会場となる、ムシャの祠です」

「エリアは地下三階まであります。

 地下三階にある『ゴーカックオーブ』を取れば、試験は合格となります」

「な、なんて安直な……」

 目的のアイテムの名前が安直すぎるため、ハロルドは思わず突っ込みを入れる。

「それで、出てくるポケモンは……?」

「安心してください、大した強さではありませんよ。それでは、ご武運をお祈りします」

 アーマルドとユレイドルはそう言って、あなぬけのたまで去っていった。

 

 残されたコーディリアが、ぽつりと呟く。

「……とりあえず、まずは階段を探しましょう」

「そうだね」

 三匹の目的は、地下三階にあるゴーカックオーブを取ってくる事。

 また、ダンジョンの中で歩くと次第に満腹度が減り、それが尽きると今度は体力が減る。

 それを防ぐためには、食糧を食べるか、ダンジョンをクリアするしかない。

「何も起こらなきゃいいんだけど……」

「……」

「どうしたの、コーディリアさん?」

 いきなり蹲ったコーディリアを心配するハロルド。

「うっ……寒い……! なんだか力が出ない……」

 祠で悪寒がした三匹の力が抜けていく。

 技を使うための力が減ってしまったようだ。

「ドー、ドー!」

 しかも運悪く、ドードーが飛び出してくる。

 三匹は急いで戦闘態勢を取り、ドードーに戦いを挑んだ。

 

「たぁ!」

 コーディリアはねこだましでドードーを怯ませる。

「では、参ります」

 マクベスは思念の力を額に集め、ドードーに頭突きした。

 ドードーはマクベスの攻撃を回避するが、

 ハロルドは回避した場所にみずでっぽうを放ち、ドードーを倒した。

「大した敵じゃなかったわね」

「お嬢様、油断大敵という言葉をご存知ですか?」

「ええ」

「ダンジョンや、そこに住むポケモンを侮れば罠に掛かり、全滅してしまうでしょう」

 マクベスは、決して慢心してはいけないとハロルドとコーディリアに教えた。

 つまり、最大の敵は己なのだ。

「マクベスがそう言うなら、ハロルド、気をつけて進みましょう」

「うん、コーディリアさん」

 三匹が敵に見つからないように祠を歩いていくと、三匹のアゴジムシに遭遇した。

「あ、アゴジムシだ」

「お嬢様、あのアゴジムシは私が苦手とするどろかけを使うようです」

 マクベスは、アゴジムシの攻撃で弱点を突かれる可能性を二匹に話した。

 はがね・エスパータイプのメタグロスは、じめんタイプの技に弱い。

 いくら相手がアゴジムシとはいえ、何度も食らえば瀕死になってしまう。

「……ハロルド、貴方、遠距離から攻撃ができまして?」

「……う、うん……」

「……その技で……」

 コーディリアは、アゴジムシに聞こえないように作戦を話した。

 ハロルドは頷くと、アゴジムシの攻撃が届かない位置から、

 魅力的な鳴き声でアゴジムシ達に気付かれないようにダメージを与えた。

 必中の全体攻撃、チャームボイスである。

「!?」

「今よ、てやあーっ!」

 コーディリアはその間に前に飛び出し、膝蹴りをアゴジムシにぶちかます。

 膝蹴りは命中し、アゴジムシは大ダメージを受けて吹き飛び、

 壁に叩きつけられて戦闘不能になった。

「まずは一匹!」

「参ります」

 続いて、マクベスは彗星の如きパンチでアゴジムシを一撃で倒す。

 残ったアゴジムシがマクベスに泥をかけてくるが、ハロルドがマクベスを庇う。

「マクベス、じめんタイプは苦手でしょ。ボクが守ってあげるよ」

「は、ありがとうございます」

「残ったアゴジムシは一匹! いっくよー、みずでっぽう!」

 ハロルドは口から水を吐き、残ったアゴジムシを攻撃した。

 アゴジムシはチャームボイスのダメージ分、体力が減っているため、一撃で倒された。

 

「これで、アゴジムシ達はみんな倒れたね」

 アゴジムシが全滅したのを確認したハロルドは、向こうに何かを発見する。

「あ、コーディリアさん、マクベス!」

「何?」

「階段だよ、階段!」

「本当だわ!」

 それは、三匹が探している、階段だった。

「早く、下りましょ」

「かしこまりました」

 

 地下二階に着いた三匹が祠を歩いていると、先輩探索者のニャオニクスが三匹の前に現れた。

「あら、あなた達は探索者の試験を受けるところ?」

「うん……まぁ、そうだけど……」

「先輩からアドバイスしておくわ。役に立たない道具なんてないわよ。それじゃ、私からこれを」

 そう言って、先輩探索者はコーディリアにカゴのみを渡した。

「これを使えば眠りから覚めるわ」

「ありがとね」

「それじゃあ、ご武運を祈るわ」

 ニャオニクスは、アーマルドとユレイドルと同じ事を言って、去っていった。

 

「うふふ、売ったら何ポケになりそうかしら。あ、でも、お屋敷よりは安そうね」

「……コーディリアさんのお屋敷にはいくら入ってるの?」

「「600億ポケよ(です)」」

えええええええええええ!!

 コーディリアの屋敷はとんでもなく裕福であった。

 彼女が試験を受けたがらなかったのも無理はない、とハロルドは考えたのだ。

 そんなやり取りをしている中、三匹のヤングースと戦ったり、

 すいみんのタネを手に入れたりと、ダンジョンらしい出来事が起こった。

「あ、50ポケだ! これで何か買えるかな?」

 ハロルドは、50ポケを拾った。

 ちなみに、この世界でのお金の単位「ポケ」は、5ポケ=1円という計算になっている。

 つまり、コーディリアの屋敷のお金は……。

「見て! 階段よ!」

 数分後、コーディリアが階段を見つける。

 すぐに階段を下りるコーディリアを追って、ハロルドとマクベスも階段を下りた。

 

 そして、地下三階に、一際大きな宝箱があった。

「罠にお気をつけください」

「分かったわ。……鍵も罠もないみたいね」

 コーディリアが宝箱を調べてみると、鍵も罠もなく、安全な事が分かった。

 彼女が頷いた後、宝箱を開けると、中にはゴーカックオーブが入っていた。

「やったわ! ゴーカックオーブよ!」

「お嬢様、これで探索者試験は合格ですね」

「これでボク達は、晴れて探索者だね!」

 ハロルドがゴーカックオーブを取った瞬間、三匹の姿は祠から掻き消えた。

 

 三匹が転移した場所は、探索者協会だった。

 ハロルドの手には、しっかりとゴーカックオーブが握られている。

 彼は、それをアーマルドに渡した。

「……よし、本物だな。おめでとう! これであんた達は晴れて探索者の仲間入りだ!」

「わぁーーーーい!」

「こんなの、私にとってはケーキの欠片だったわ」

「ケーキの欠片って……」

「A piece of cake、でございます」

 要するに、コーディリアにとって、ムシャの祠はとても簡単なダンジョンだったらしい。

 コーディリアは余裕たっぷりな表情をしていた。

「だが、忘れるなよ。この試験はゴールじゃない。探索者としてのスタートなんだ」

「あなた達は第一歩を踏み出したのです。それを誇りに思ってください」

「「「……はい!」」」

 ハロルド、コーディリア、マクベスの三匹は、

 晴れやかな声でアーマルドとユレイドルにそう言った。

 マクベスは無表情だったが、内心は彼らと同じ気持ちだろう。

 

「さあ、探索者になったわ! どんどんダンジョンを探索するわよ!」

「オッケー!」

 こうして、彼らは探索者としての第一歩を踏み出すのであった。




最初から最終進化ポケモンがパートナーだと非常に頼りになりますよね。
ジェ○ガンポジションにならないようにしていますが、そのせいで成長を書きにくい。
だからコーディリアは少し問題のある性格にしました。
そこから彼女がどう成長していくのかを見守ってください。
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