ポケモン不思議のダンジョン Drop of Mind   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

ハロルドは夢の中で不気味な声に悩まされていた。
彼の夢の内容から、子供を守るお尋ね者の存在を推理したコーディリアは、嘆きの館へ向かう。
館では幽霊と遭遇し彼らを退けながら進むが、最上階でお尋ね者集団「非情なる鍵」と対峙する。
ルキウス達はウララの持つ「こころのしずく」を力ずくで奪おうとする。
ハロルド達は戦闘態勢を整え、激しい戦いが始まるのだった。


Chapter 21

 俺は、お前の弟だからだ。

 

 Chapter 21

 お尋ね者の真実 兄弟の悲しき別離

             -Bruder-

 

 お尋ね者集団「非情なる鍵」との戦いが始まった。

 

「我に力を!」

 ジオはみんなちからだまを使用し、ルキウス達の攻撃力を上げた。

「まずは先手必勝!」

「ぐおっ!」

 コーディリアは先手必勝としてルキウスにねこだましを仕掛ける。

 怯んだルキウスはウララに攻撃できなかった。

「アイアンテール!」

「コメットパンチ!」

 ジオはアイアンテールをマクベスにぶちかます。

 しかし、マクベスに効果は今一つなのでダメージはあまり喰らわなかった。

 マクベスはコメットパンチを放ち、ハガネールに反撃する。

「ムーンフォース」

 ミリアは月の力を借り、光の玉を作ってハロルド達に投げつける。

 光の玉が地面に命中すると眩い爆発が起こり、四匹の目を晦ませた。

「いくわよ!」

「参ります!」

「ぐおおお!」

「きゃああ!」

 コーディリアはとびひざげりを放ち、ジオの弱点を突いて大ダメージを与える。

 マクベスもミリアの弱点となるはがねタイプの技、コメットパンチをぶちかました。

「一気にいくよ! みずでっぽう!」

「サイコキネシス!」

「ぐおぉぉ!」

「はぁぁっ!」

 ハロルドが放った水鉄砲を、ウララがサイコキネシスで操作して広範囲にばらまく。

 ルキウスには効果が今一つだったが、ジオには効果が抜群で体力を大きく削られる。

「俺の邪魔はするな……かげぬい!」

 ルキウスはハロルドに狙いを定め、黒い矢を放ってハロルドの影を縫い付けた。

「う、動けない……!」

 ハロルドは身体を動かそうとするが、かげぬいの効果で身体が動かない。

 その間に、ルキウスはハロルドに近付き、彼に対し冷たい声でこう言った。

 

「ようやく会えたな、俺の兄よ」

「あ……兄ですってぇぇぇぇ!?

 ハロルドとルキウスが兄弟であるという事実に、コーディリアは素っ頓狂な声を上げた。

「そうだとも。俺はお前の弟なんだ、ハロルド」

「ボクが……キミの……?」

 ハロルドは人間の時の記憶がない。

 しかし、ルキウスはハロルドが自身の兄である事を知っている。

 この食い違いにハロルド側の四匹は混乱していた。

「そうだ。だからそいつが持っているこころのしずくを手に入れるために、貴様らを倒す」

「でも、どうしてあたしのこころのしずくが欲しいんですか?」

「――ネバーランド計画のためだ」

「ネバーランド計画?」

 ルキウスは「ネバーランド計画」のためにウララのこころのしずくを欲しがっていた。

 しかし、ウララにはその理由が分からなかった。

「ふん、貴様らに話したところで俺の考えは変わらんが……仕方あるまい、話してやろう」

「……」

 ルキウスの傲慢な態度にコーディリアとマクベスは怒りを隠せなかった。

 しかし、ここで手を出しても意味はない。

 四匹は歯を食いしばりながら、ルキウスの話を聞く事にした。

 

「ハロルド兄さんは地球で15年前に、俺は14年前に兄弟として生まれ、

 慎ましくも楽しい日常生活をしていた。……だが、ある時悲劇は起こってしまった。

 フレデリック父さんが交通事故で命を落とした。犯人はイリア母さんの兄、ヴァイスだった。

 それから、俺達には悲劇ばかりが降り注いだ。

 マスコミの記者がハロルド兄さんと俺の家に押しかけ、強制的に取材をさせ、

 結局母さんが謝罪する羽目になり、母さんは心も身体もボロボロになってしまった。

 怒り狂った俺は、とにかく記者に暴力を振るった。

 顔を殴り、身体を蹴り飛ばし、そいつらのありとあらゆる尊厳を奪った」

 ルキウスの言葉には怒りが込められていた。

 権力を振りかざして取材するマスコミに、ハロルド達は不安と悲しみの感情を抱く。

 中には義憤の感情を抱く者もいたが、なおもルキウスの話は続く。

「次第に、俺が憎む対象は加害者や記者だけでなく、全ての大人に変わっていった。

 そして、俺は決意した。『ネバーランド計画』を立てると。

 これはこころのしずくを使って人々の心を操り、

 大人を全員この世から抹消し、子供だけの世界にする計画だ」

 ネバーランド、子供だけが住む世界。

 しかし、その実態は――大人を犠牲に成り立った、理想郷とは言えない地獄そのものであった。

「じゃあ、キミ達が大人を襲っていたのは……!」

「大人がどれほど愚かであるかを証明するためだ」

「そんな事のために、キミ達は酷い事をしたんだね」

「その通りだ」

「そんな……」

 ハロルドは父親を亡くしてから豹変した弟を見て止められなかった、と落胆する。

 ルキウスはそんなハロルドを鼻で笑う。

「でも……お母さんはそんな事を望んでたの? そんな事ないよね、ルキウス」

 ハロルドはルキウスを説得しようとするが、ルキウスは再びかげぬいの構えを取る。

「兄さんは何も分かっていない。

 父さんを亡くし、母さんの心も身体も奪った馬鹿な大人を、憎んだりしないのか!?」

「分からないのはルキウスの方だ! 憎んだって空しいだけだよ!

 それに、大人にだっていい人はいるんだ!」

黙れぇぇぇぇぇぇっ!

 ルキウスはかげぬいを連続で放ち、ハロルド、マクベス、ウララの身体を影の矢が貫く。

 コーディリアには効果がなかったが、ハロルド達は確実にダメージを受けていた。

「本当に、貴方は大人が大嫌いなのね!」

「そうだ、そうでなければ俺はネバーランド計画を立てなかった」

「ルキウス様は大人の死が望みよ」

「だから、俺達はそれを叶える。アイアンテール!」

きゃぁぁぁぁぁぁぁ!

 ジオは固くなった尻尾をコーディリアにぶつけて吹っ飛ばし、壁に叩きつけ意識を奪う。

「……」

「お、お嬢様! よくもやりましたね!」

 マクベスはコーディリアを吹っ飛ばしたジオにコメットパンチをぶちかます。

 ウララはオボンのみを使って体力を回復し、空腹を紛らわすためにリンゴも食べる。

 

「技を使っていくとお腹が空いていきますね……」

「リンゴはたくさん持ってるけど、いつ尽きるか不安だな……」

 ハロルドは手持ちの食糧の数を確認する。

 食糧はまだ十分残っているが、長期戦なので尽きてしまう可能性もある。

 そうなれば、待っているのは「敗北」のみだ。

「でも、絶対にボク達は負けない! そして、こころのしずくも守る!」

「果たしてそれはできるかな?」

うあぁぁぁぁぁ!

 ジオはのろいで自分の攻撃力と防御力を上げ、地震を起こしてハロルド達を攻撃する。

 マクベスはじめんタイプに弱いため、大ダメージを受けてしまった。

「に、逃げなきゃ……!」

「逃がさないわよ! サイコキネシス!」

 ミリアは強い念力を放ち、逃げようとするウララの動きを止めた。

「あぁっ!」

「ウララ!」

 ミリアはサイコキネシスを調整し、ウララが首にかけているこころのしずくを外す。

 こころのしずくがルキウスの手に渡ってしまった。

「……!」

「ついに……ついに手に入れた……!」

 こころのしずくを奪われたウララは、思わず叫び出した。

返してぇぇぇぇぇぇぇっ!

「「ウララ!」」

「ウララさん!」

 ウララはルキウスに突っ込んでいくが、ルキウスはローキックで彼女を跳ね除けた。

 そして、もう用はないと判断したルキウスはあなぬけのたまを使い、

 ジオ、ミリアと共に姿を消した。

 

「そん、な……。あたしの、こころのしずくが……」

 こころのしずくを奪われたウララが落胆する。

 最初で最後の、ハロルド達の敗北。

 それが、よりにもよって弟が率いるお尋ね者集団だったとは、四匹は全く思っていなかった――




すっかり投稿を忘れてしまいました……。
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