ポケモン不思議のダンジョン Drop of Mind   作:アヤ・ノア

4 / 34
~前回までのあらすじ~

ハロルド、コーディリア、マクベスは探索者として初めての依頼を受けた。
依頼内容は、洞窟に住み着いた悪いヤングースとデカグースを退治する事だった。
三匹は洞窟に到着し、様々なポケモンと遭遇しながら進んでいく。
協力して敵を倒し、依頼を終えた彼らは報酬を受け取り、無事に探索者協会に戻った。


Chapter 03

 きのみを採取できる木までの護衛求む。

 

 Chapter 03

 護衛求む 探索者ときのみ採りをする鳥

        -Dorfbewohner Eskorte-

 

 依頼を終えたハロルドは、コーディリアとマクベスが住む屋敷に泊めてもらい、

 ゆっくりと心身を休んだ。

 既にハロルドは、床下でぐっすり眠っている。

「休ませてもらったって事を忘れないでよね。私と貴方は違うんだから」

 ハロルドは異邦人、コーディリアは貴族、マクベスはコーディリアの執事。

 コーディリアは身分が違うハロルドに対しては、このような扱いをしている。

「ベッドで寝ていいのは、私とマクベスだけよ」

「お嬢様……相手が気付いていないとはいえ、お客様に対してそのような扱いは無礼ですよ」

「それじゃあ、今度は平民用の寝室を作って、そこに寝かせましょう。

 ちゃんと布団は用意するからね。じゃ、そろそろ私も寝るわ」

「お休みなさい、お嬢様」

 コーディリアは自分の寝室に、マクベスは使用人の寝室に行き、それぞれで眠りについた。

 

「オタズネモノハ ドコデスカ?」

「ミツケタラ ニガシマセンヨ」

「カナラズ ケイサツニ ツキダシマス」

 

「逃げるぞ」

 森の中を、ジュナイパーが走っていた。

 そのジュナイパーの傍には、ハガネールとサーナイトがいる。

 どうやら、三匹はコイル、レアコイル、ジバコイルから逃げているようだ。

 

「大丈夫か、____、____」

「はい、私は平気です」

「……」

 無言で頷くハガネールと、丁寧に応対するサーナイト。

 ジュナイパーはハガネールとサーナイトの名前を呼んでいるが、はっきりとは聞こえなかった。

「俺達はお尋ね者だ……だが、信念を持って行動している。

 ……俺達にも正義はあるんだ、分かってくれ、警察よ」

「____様……」

 どうやら、この三匹はお尋ね者らしい。

 ジバコイル警察に目を付けられているようで、ジュナイパーは逮捕されたくないようだ。

 彼の言葉は、逮捕から逃れるための言い訳のように見えるが、

 ジュナイパーの表情は真剣そのものであった。

「____、いるなら返事をしてくれ。お前を……」

 次の瞬間、その場が光に包まれた。

 

「……あ」

 太陽の光が窓から差し込み、ハロルドは目を覚ました。

「今のは……夢だったのかな? ふああ……」

 ハロルドは起き上がり、夢の事を思い出す。

 ジュナイパー、ハガネール、サーナイトが、警察から逃げている夢……。

 そのジュナイパーは、誰かを呼んでいるようだが、誰を呼んでいるのかは聞こえなかった。

「あの夢は、一体なんだろう……」

「あ、ちょっと待ちなさい」

「どうしましたか、ハロルド?」

 ハロルドが屋敷を出ようとすると、コーディリアとマクベスが彼の前に来た。

「何の話をしていたの?」

「ジュナイパーが誰かを呼んでいた夢だよ。多分、コーディリアさんには関係ないと思うけど」

(……気になるわね、それ)

 コーディリアはハロルドの夢が気になったが、あえて口には出さなかった。

「それよりも、まずは依頼を探しましょう」

「ま、探索者として稼ぐためにね」

 そう言って、ハロルド、コーディリア、マクベスの三匹は探索者協会に行った。

 

「おお、あんた達か。今、ちょうどつながりオーブに呟きが投稿されたぞ」

「ん? 何だろう?」

 探索者協会に着いたハロルドがつながりオーブを確認すると、ケララッパの呟きを見つけた。

 

 どうか、きのみの木まで護衛をお願いします

 報酬は300ポケです ケララッパ

 

「また300ポケなのね」

「これならボクでも簡単にクリアできるね。アーマルドさん、お願いします」

「あいよ! そんじゃ、依頼人がいる場所の地図を渡すぞ」

 アーマルドは寿司屋のような掛け声を言った後、依頼人がいる地図をハロルドに渡した。

 

「あなた達が依頼を受けてくれた探索者ですか?」

「はい、そうです」

 ハロルド、コーディリア、マクベスの三匹は、依頼主であるケララッパがいる場所に着いた。

「ありがとうございます! 早速詳しい依頼の話をしますね!」

 そう言って、ケララッパはハロルド達に依頼内容を話した。

「全四階層の『リンドのもり』の奥にあるきのみの木までボクを護衛していただきます」

「そうですか。道中はどのような事が起きますか?」

「キャタピーやナゾノクサなどむしタイプやくさタイプのポケモンと戦闘になるかもしれません。

 ……それと、ここ最近、盗賊が出るとか」

「盗賊?」

 どんなポケモンなんだろう、とハロルドは首を傾げる。

「と、そうだ、忘れていました。出発の準備は大丈夫でしょうか?

 何も無いのが一番ですが、もしもの事もありますから……」

「大丈夫よ」

 コーディリアは自信たっぷりに依頼主に言った。

 ケララッパは彼女の表情と言葉に元気づけられ、すっかり安心した様子になった。

 

 そして、三匹はケララッパとの待ち合わせ場所に行った。

「探索者の皆さん、早速出発しましょう!」

「これからよろしく頼むわね」

 ハロルド、コーディリア、マクベス、ケララッパはきのみの木へ向け出発した。

 リンドのもりの中では、色々なポケモンの鳴き声が聞こえてくる。

 ツツケラ、キャタピー、タマゲタケなど、

 小さく可愛らしいポケモンが、三匹の心身を癒していた。

「可愛いねぇ」

「下手に刺激しなければ襲う事はありません。敵意を持たれないように行動しましょう」

 一行はマクベスの助言に従い、敵意を見せないように行動した。

 落ちているリンゴやピーピーエイダーを拾い、鞄の中に入れていく。

 ポケモンが襲い掛かってくる事はなく、依頼人と談笑する余裕すらあった。

「ケララッパはどんな家に住んでるの?」

「ボクは普通の家ですよ。ハロルドさんやコーディリアさん、

 マクベスさんはどんな家に住んでますか?」

「根無し草のハロルドを私がお屋敷に入れたのよ」

「凄いですね」

 ケララッパは、コーディリアの屋敷に憧れていた。

 コーディリアはうふふと微笑んだ後、続きを話す。

「まぁ、世界に一つだけの家宝があるから、私の家はかなり潤っているのよね」

「家宝?」

「じくうのオーブン、ベトベタフードを元の食糧に戻す事ができるわ」

「おおお!」

 腐って食べられなくなった食べ物は、

 他のポケモンに投げたり、安値で売ったりするしかなかった。

 しかし、コーディリアの家宝を使えば、そのような行為とはもうおさらばなのだ。

「これはお嬢様の御父上が遺した家宝ですから、大事にしなければいけませんよ」

「分かってるわよ」

 そんな会話をしながら階段を下りていくと、死角になる場所が増えてきた。

 注意して進まなければ、不意打ちを受けてしまう。

「……いた!」

 コーディリアが調べると、進行方向にキャタピーが3匹ほどうろついている。

 こちらにはまだ気づいていないようだ。

「頼むわよ、ハロルド」

「うん。ラ~ラララ~♪ ! しまった!」

 キャタピーが気付いてハロルド達に体当たりを仕掛け、

 攻撃が命中した後にキャタピー達は全滅した。

 

「ちょっと、痛かったかな」

「まったく、何やってるのよ……」

「まぁまぁ、こういう事もありますか……いたっ」

 マクベスはすぐ傍にあったイガグリスイッチに気づかず、ダメージを受けた。

「もう、マクベスまで」

「申し訳ありません、お嬢様……」

 キャタピーを退け、罠にかかりながらも一行はきのみの木への道を急いだ。

 鬱蒼とした森の中を、一行が歩む。

「この調子で行けば、きのみの木に到着すると思います」

「さらに森が深くなったわね。キャタピーとの遭遇もあった事だし、気を引き締めていかないと」

「……ん?」

「どうしたの、ハロルド?」

「あれ、見て」

 ハロルドが指差した先には、ズバット、ドガース、アーボがいた。

 これが、ケララッパが言っていた「盗賊」なのだろう。

「ヒャッハー! 探索者だー!」

「獲物だー! 金目のモン置いてけー!」

「襲え襲えー!」

「あ、あんのバカ! まだ落とし穴に引っ掛かってないだろうに!」

 そこに盗賊のリーダーらしきアーボックが現れる。

 ハロルドはこの盗賊達を「間抜けだな」と思った。

 とはいえ、彼らを倒さなければ、この先には進めない。

 ハロルド、コーディリア、マクベス、ケララッパの四匹は戦闘態勢を取った。

「ねこだまし!」

「そんなの当たるかよ」

 コーディリアはねこだましをズバットに仕掛けるが、ズバットは素早く彼女の攻撃をかわす。

 ケララッパは彼女をカバーするようにロックブラストで攻撃した。

 いわタイプの技は、ひこうタイプを持つズバットには効果が抜群で、

 二回当たったところでズバットは倒れた。

 

「美味しいところを持っていったわね」

「ごめんなさい、コーディリアさん」

「相手がどくタイプならば、これが効果的でしょう」

 マクベスは額に思念を集めてドガースに思いっきり頭突きした。

 どくタイプのドガースの弱点を突き、ドガースは一撃のもとに倒れた。

「後はアーボだけね、てやっ!」

 コーディリアはとびひざげりを放ち、いいところを見せようとした。

 しかし、アーボが紙一重で彼女の攻撃をかわし、コーディリアは勢い余って地面に激突した。

「いったぁ~い!」

「へへ、隙あり!」

「させません!」

 アーボがコーディリアに噛みつこうとすると、マクベスが庇って代わりにダメージを受ける。

「お嬢様は私が守ります」

「ありがとう、マクベス」

「お嬢様の敵は私の敵でございます、しねんのずつき!」

 マクベスは、しねんのずつきでアーボの弱点を突き、大ダメージを与えて倒した。

 

「……なんで、私がこんな目に遭わなきゃいけないのよ……!」

「ええい、情けない奴らだ! 俺達が出るぞ!」

 悔しがるコーディリアをよそに、二匹のアーボと一匹のアーボックが現れた。

 どうやら、アーボックが盗賊のリーダーのようだ。

「コーディリアさん、今は敵を倒すのが先だよ!」

「え、ええ……」

 コーディリアは歯を食いしばりながらも、目の前の盗賊を倒す事に専念した。

 

「やっ!」

「うおっ!」

 コーディリアはねこだましでリーダーのアーボックを怯ませる。

「盗賊はボクが倒します!」

 ケララッパは岩を連続で放ちアーボの盗賊を倒す。

 マクベスはアーボにすいみんのえだを振るが、アーボには当たらなかった。

「みずでっぽう!」

 しかし、それをハロルドがカバーし、みずでっぽうで攻撃する。

 アーボの怒りを買ったハロルドは巻き付かれそうになるが、ハロルドは攻撃をかわす。

「ふー、危なかった」

「よし……いくわよっ! とびひざげり!」

 コーディリアは怯んだアーボックにとどめを刺すため、勢いよくとびひざげりを放った。

 アーボックは彼女の攻撃から逃れようとするが、その途中で木に引っかかってしまう。

 彼女の攻撃を許したアーボックは、効果は今一つながらもその威力に耐え切れず、

 一撃の下に伏した。

 

「リ、リーダー! うわぁぁぁぁぁぁ!」

 リーダーが倒れた事で残ったアーボは逃げ出した。

「盗賊にしては全然、統率が取れてなかったわね」

 ふっ、とコーディリアは倒れたアーボとアーボックを見て笑った。

 やがて、アーボックがゆっくりと起き上がる。

「ぐ……俺達の負けだ……! 許してくれ……!

 俺達はリンドのもりの住人で、盗賊稼業に手を染めなきゃいけねぇ理由があったんだ……」

「命乞いをする気なの?」

「待って、コーディリアさん。話は聞いた方がいいと思うよ。

 ボク、この人が本気で戦ってるようには見えなかったから……」

 優しいハロルドは、盗賊アーボックの話を聞く事にした。

 アーボックはありがたい、と言って口を開く。

「俺はリンドのもりの狩人だ。

 実は一月ほど前から、森に流れる川の上流にある洞窟に、何者かが住み着いたんだ。

 それが原因かなんだか知らねぇが、

 同じ時期から植物が枯れ始めて、ポケモンの様子がおかしくなっちまった。

 だから、俺達は稼ぐために盗賊紛いの事をやる事になったわけだ。

 俺には妻と小さい子供が居るんだ……許してくれ……!」

 ハロルドはアーボックの言い分を全て聞いた後、うん、と頷いてアーボックにこう言った。

「じゃあ、ジバコイル警察に突き出すよ。キミを殺すつもりなんてないからね。

 ちゃんと、罪は償ってほしいな」

「……そうか、罪は罪だからな。きちんと償う、約束するぞ」

「うん、約束だよ」

 ハロルドは、アーボックをジバコイル警察に突き出す事にした。

 彼は悪いポケモンではあったが、良心は残っているため、

 これくらいの処置が妥当だとハロルドは思ったのだ。

「ま、これで私達を邪魔する敵はいなくなったわね。

 えっと、落とし穴は……あ、ここにあったわ。いい、こっちの道を通るのよ」

「かしこまりました」

 

 一行が落とし穴を避けて進むと、森が開けてきた。

 目の前には、クラボのみや、モモンのみ、チーゴのみ、オレンのみなど、

 たくさんのきのみが生っていた。

「見えて来ました! あれがきのみの木です!」

 そう、これが目的地の「きのみの木」であった。

 こうして、探索者達とケララッパは無事にきのみの木に辿り着いた。

「わぁーい! きのみがたくさんあります!」

 ケララッパは空を飛び、きのみを次々についばんでいった。

 よほどこれを待っていたのだろう、ケララッパは夢中で食べ続けていた。

「きのみ、大好きなんだね」

「うん……」

「くいしんぼう、ですな」

「そこ! ボクの特性は『スキルリンク』ですよ!」

「あ……申し訳ありません」

 ケララッパはマクベスの一言に突っ込みを入れた。

 

 こうして、ケララッパがひとしきりきのみをついばんだ後、依頼した探索者達の前に現れる。

 そして、三匹に護衛をしてくれたお礼を言った。

「ここまでの護衛ありがとうございました!」

「ええ、どうもありがとう」

「報酬は……300ポケですね!」

 三匹は依頼の報酬である300ポケを手に入れた。

 こうして、探索者達は無事にケララッパの護衛依頼を終えたのだった。




コーディリアの家宝は、こんな感じになっています。

・じくうのオーブン
時空を超える力を持った究極のオーブン。
これを使うと、ベトベタフードになってしまったリンゴやグミを元に戻せるぞ。
じくうのオーブにそっくりだが、とっても嬉しい!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。