ポケモン不思議のダンジョン Drop of Mind   作:アヤ・ノア

8 / 34
~前回までのあらすじ~

ハロルド達はリンドの森の異変を解決した後、ベシク街を訪れた。
コーディリアは新たな知識を求め、街の様々な施設を探索する。
銀行や倉庫、商店などを巡り、各所の特徴を学びながら楽しむ。
途中、技教え屋や鍵開け屋にも立ち寄り、興味深い体験を重ねていく。
最後にカフェでリラックスし、街の雰囲気を満喫した一行は帰路につく。
しかし、彼らの背後には、何か不穏な影が忍び寄っていた。


Chapter 07

 ……求む、勇敢なる探索者……

 

 Chapter 07

 伝家の長ネギ 奪われた家宝を取り戻せ

               -Lauch-

 

 ベシク街

 

 私用にて人手を必要としている。

 ポケモンとの戦闘が予想されるため、勇気ある探索者を募集する。

 カモネギ

 

「アーマルドさん、このポケモンなんだけど」

「お、あんたらか。ようやく働く気になったか? 感心、感心……」

 これは、カモネギからの依頼だ。

 なんでも、長く使っていなかった山荘の大掃除を手伝ってほしいという。

「うーん、俺が説明するより、本人に直接聞いた方がいいだろう。

 そのカモネギの家までここからそれほど遠くないし、行ってみたらどうだ?」

 アーマルドの言葉に対し、コーディリアは首を縦に振った。

「そうか、行ってみるか」

 探索者達は早速依頼人の家を訪ねてみる事にした。

 この距離なら徒歩でも十分とかからないだろう。

 

「着いたわ」

 三匹は目的の場所に着いた。

 ハロルドがドアを丁寧にノックすると、カモネギがドアを開けて現れた。

「どなたじゃな?」

「実は……」

 カモネギは不審そうな顔をするが、探索者達が事のあらましを説明すると、

 すぐに友好的な態度になる。

「おぉ、あんたらが探索者か。わしが依頼人のカモネギじゃ。

 ……ここじゃ何じゃし、とりあえず中に入っとくれ」

 そう言って、カモネギはハロルド、コーディリア、マクベスを自宅に招き入れた。

「じゃ、早速じゃが仕事の話をさせてもらおう」

 カモネギは三匹をソファに座らせると、依頼内容を話す。

「わしはクロロ山に亡くなった祖父から譲られた山荘を持っておる。

 ところが最近、その山荘に悪いポケモンどもが住み着いてしまったらしいんじゃ」

「悪いポケモン……?」

「で、近く退治に行く事に決めたんじゃが、わし一人では心許ない。

 そこで、あんたら探索者を雇ったというわけじゃよ。

 報酬として3つのてきしばりだまを用意しておる。どうじゃろう。引き受けてもらえるかな?」

 てきしばりだまは、まあまあの報酬と言える。

 三匹は頷くと、カモネギに引き受ける旨を伝えた。

「おぉそうか、引き受けてくれるか。では、頼むぞ」

 

「ここが、カモネギが言っていた山荘ね」

「うむ」

 ハロルド、コーディリア、マクベス、カモネギは、問題の山荘に到着した。

「こほん。作戦遂行に当たり、まず諸君らに言っておかねばならん事がある。

 心して聞いて欲しい。屋敷にすくっておるのは悪しきポケモンどもじゃ。

 戦うとなれば建物を傷つけてしまう事もあるじゃろう。それはそれで一向に構わんが……」

「……?」

「ただし……ただしじゃ。最上階に安置されている長ネギだけは間違いなく回収して欲しい」

 どうやら、カモネギは大切な長ネギをなくしてしまったらしい。

 彼によれば、偉いカモネギより賜った大切な家宝の長ネギだという。

 家宝と聞いて、コーディリアは共感したのか、二つ返事で了解する。

「話は以上じゃ。では、そろそろ参ろう。覚悟はよいな?」

「はい! 行ってきます!」

 こうして、一行はカモネギの屋敷に入るのだった。

 

「へー。この屋敷って結構広いんだね」

(コーディリアさんの屋敷の方が広いけど)

 屋敷は一つの部屋が広く、歩くのに少しだけ時間がかかった。

 広い屋敷に住んでいるコーディリアは慣れているため、迷わずに進んでいる。

「あ、モモンのみだ」

 ハロルドはモモンのみを見つけ、鞄の中に入れる。

 それ以外、この部屋には何もないように見えるが……。

「お嬢様、こちらの壁をご覧ください」

 マクベスは、この部屋に違和感を見つけ、そこにコーディリアを連れ出した。

「何かしら?」

「この壁を調べてみてください」

「調べてみても……ん?」

 コーディリアが壁を叩いてみると、何かがポロポロと崩れるような音がした。

 彼女の手には、壁が崩れた跡がある。

 つまり、この壁は崩れやすい壁なのだ。

「ここ、怪しいわね。押してみましょう」

「うん」

 そう言ってハロルドが壁を押してみると、音と共に怪しい壁が崩れ去った。

「おお、隠し通路を見つけたようだな!」

「これで、目的地まで一気に進めるね」

 ハロルド、コーディリア、マクベス、カモネギの四匹は、見つけた地下通路を通っていった。

 

「敵に見つからないように歩こう」

 四匹は、敵と遭遇して戦わないように、敵の死角を上手く歩いていった。

 モモンのみや60ポケを拾いながら、安全な場所を探して進む。

 その途中、カクレオン商店で攻撃道具を購入し、階段を見つけて上がる。

「順調だね、このままいけば目的地じゃないかな?」

「どうか、わしの家宝の長ネギが見つかるように」

「……た、助けてくれ……」

 カモネギが祈りながら一行の後ろを歩いていると、

 シシコの探索者が三匹のニャスパーに襲われているのを目撃した。

 ハロルドは困っている人を見捨てられない性格のため、彼女を助けに向かった。

「いくわよ、マクベス」

「かしこまりました、お嬢様」

 コーディリアとマクベスもハロルドと共にニャスパーと戦った。

 

「大丈夫でしたか、探索者殿」

 ニャスパーを全員瀕死にした後、マクベスはシシコを敵がいない場所に行かせる。

「怪我はなかった?」

「うん、わたしは平気だよ。そこのリボンのおねえちゃん、大丈夫だった?」

「ボクは男だってば。まぁ、大丈夫だったよ。それより、こんなところにいると危ないよ」

「……うん、分かった。無理だと分かったらあなぬけのたまを使って脱出するから。

 それじゃ、わたしを助けてくれたお礼に、あなたにこれをあげるね」

 そう言って、シシコはハロルドにがんせきだまを渡した後、彼らの前から立ち去っていった。

 

「他人を助けるのって気持ちがいいね」

「そうね、探索者は人助けもできるからね」

「おや、階段がありますよ」

 よく見ると、部屋の右上には階段があった。

 だが、そこに行くための道を塞ぐように二匹のポチエナがいる。

「戦うしかないのかしら?」

「避けては通れませんね。お嬢様とハロルドの技なら、ポチエナの弱点を突けます」

「とびひざげりと」

「チャームボイスだね」

 ハロルドとコーディリアは、ポチエナの弱点を突く技を持っている。

 二匹は頷いて、ポチエナと戦う準備をした。

「いくわよ! ……きゃっ!」

 コーディリアはポチエナにねこだましを仕掛けるが、

 ポチエナは彼女の攻撃をかわし、たいあたりで反撃する。

 ポチエナはとおぼえを上げて自分の攻撃力を上げる。

「お嬢様、大丈夫ですか?」

「わ、私は平気よ」

「なら、安心しましたよ。れいとうパンチ!」

「♪~♪♪~」

 マクベスはポチエナをれいとうパンチで攻撃し、

 ハロルドはポチエナ達に弱点タイプのチャームボイスで大ダメージを与え、

 マクベスが攻撃したポチエナを倒した。

「せーのっ! とりゃああぁ!」

 コーディリアはポチエナにとびひざげりを放ち、とどめを刺そうとした。

 しかし、ポチエナは彼女の動きを完全に見切って攻撃をかわし、

 勢い余ってコーディリアは地面に激突した。

「いったぁ~い」

「お嬢様、これをお召し上がりください」

 マクベスはコーディリアにオレンのみを投げ、コーディリアはそれをキャッチして食べる。

「ありがとね、マクベス。今度こそ! とびひざげり!」

 コーディリアは気を取り直してジャンプし、ポチエナを飛び膝蹴りで吹っ飛ばした。

 これで、全てのポチエナは倒れた。

 

「……はあ、最近の私はついてないわ。攻撃はよく外すし、体力はよく減るし」

 コーディリアは、最近の自身の不運さに溜息をついていた。

 マクベスは彼女を励ますべく声をかける。

「お嬢様。その分の不幸は、必ず幸運になって返ってきます。

 だから、いつものように堂々と振る舞ってください。そうすれば、幸運は訪れるでしょう」

「……分かったわ。信じてみる。私が次は活躍できるって!」

 コーディリアはぐっと拳を握り締め、この探索で大活躍ができるように信じた。

 こうして四匹は目的のドアの前に辿り着く。

「この先に、犯人がいるね」

「わしの家宝のネギ……必ず取り返して見せる」

 カモネギは鋭い目で、ドアの向こうにいると思われる犯人を睨みつけている。

 コーディリアは覚悟を決めて、ドアを開けるのだった。

 

「ハロルド、コーディリア、マクベス、そしてカモネギ、来たよ!」

 ドアの向こうに現れたのは、ジュナイパー、ハガネール、サーナイトだった。

 ジュナイパーは、持っている長ネギを見ている。

 どうやら、彼がカモネギの家宝の長ネギを盗んだ犯人のようだ。

「あ、あんたがわしの家宝を取ったな?」

「取った、か。お前がそう言うならそうだろうな」

「どういう事だ?」

「紹介しよう。俺はお尋ね者集団『非情なる鍵』を率いるジュナイパーのルキウスだ」

「同じく、ハガネールのジオ」

「サーナイトのミリアよ」

 お尋ね者のジュナイパー、ハガネール、サーナイトはそれぞれ名前を名乗った。

 すると、ハロルドの頭に衝撃が走り、いきなり頭を押さえて苦しみ出す。

「う……!」

「どうしたの、ハロルド?」

「知っている……ボクは彼を知っている……!」

 ハロルドは苦しみながらもルキウスを真っ直ぐ見据えてそう言った。

「まさか貴方、ルキウスと知り合いなの?」

「分からない……でも、間違いないよ。ボクはルキウスを知ってるんだ。

 だから、一度彼と話をしないと……」

「おい、あんた、依頼を放棄する気か?」

「違うよ、説得して、戦わずに長ネギを貰う……」

 ハロルドがそう言った瞬間、彼の目の前に矢が飛んできた。

 ルキウスは苛々した表情で四匹を見ている。

「ごちゃごちゃと何を話している。無駄話をするのなら、俺達の前から失せろ」

「……やる気なのね、貴方達。でも、消えるのは貴方達の方よ。

 ハロルド! マクベス! こいつらを片付けてちょうだい!」

「うん!」

「かしこまりました、お嬢様!」

 ハロルド、コーディリア、マクベスは、カモネギを守るように構えた。

 相手はお尋ね者なので、手を抜いてはならない。

 非情なる鍵との戦いが、始まった。

 

「ねこだまし!」

「きゃ!」

 コーディリアはミリアにねこだましを放ち、彼女を一瞬だけ怯ませる。

「かげぬい」

「ぐぅっ!」

 ルキウスは遠くからマクベスの弱点であるゴーストタイプの技、かげぬいで攻撃し、

 彼をその場から動けなくする。

 ジオは遠くからロックブラストで遠くにいるハロルドを攻撃した。

「えーい! みずでっぽう!」

 ハロルドは口から水を放ち、ジオの弱点を突いて大ダメージを与える。

 ミリアはでんじはでコーディリアの動きを止めようとするが、

 コーディリアは飛び上がって回避する。

「私を足止めしようたってそうはいかないわよ。貴族の私がお尋ね者に負けるわけないじゃない」

「私も、お嬢様を守るために戦います。どうか、手を引いてください」

「そう言われて手を引く俺達ではない」

 ジオはそう言って、アイアンテールでマクベスを打ち据える。

 マクベスの身体は丈夫だったため、大したダメージにはならなかったが、

 物理防御力が少し下がってしまう。

「ジュナイパーよ! わしの家宝を返せ!」

「俺に勝てたらな」

 ルキウスは身軽に動きながらも、カモネギが伸ばす手を振り払い、ローキックで攻撃する。

 彼の特性は「えんかく」なのでカモネギは反撃できなかった。

「ルキウス様の邪魔はさせないわ。あなた達を必ず、ここで終わらせる」

「ボク達はまだ探索者になったばかりだよ」

「それでも容赦はしないわ! サイコキネシス!」

「うわああぁぁ!」

 ミリアはハロルドを超能力で壁に吹っ飛ばした。

「ハロルド!」

「く……これを食べなきゃ」

 ハロルドはオレンのみを食べて自身の体力を回復する。

 だが、非情なる鍵の体力は、まだ減っていない。

「負けるものか! みずでっぽう!!」

「そぉーれ!」

「ぐあああああ!!」

 ハロルドとコーディリアはジオを倒すべく、弱点タイプの技で攻撃した。

 みずでっぽうととびひざげりがジオに命中すると、

 ジオは大きく吹っ飛ばされ大ダメージを受ける。

「皆様、御下がりください。じしん!」

 マクベスはハロルドとコーディリアが攻撃範囲から離れた事を確認すると、

 地震を起こし三匹に大ダメージを与える。

 カモネギはひこうタイプを持っているので、マクベスのじしんを受ける事はなかった。

 ジオは大ダメージを受け、そのまま地に伏せる。

「よくも、ジオを……。ムーンフォース!」

「させません、コメットパンチ!」

「きゃあああああああ!」

 マクベスはミリアに突っ込んで、

 彼女のムーンフォースを打ち消しながらコメットパンチでミリアの弱点を突く。

 ミリアもまた、マクベスの攻撃の前に倒れる。

「これでとどめだ! チャームボイス!!」

「く……う……ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 そして、ハロルドのチャームボイスがルキウスを貫き、彼を瀕死にした。

 こうして、初めてのお尋ね者との戦いは終わった。

 

「……撤退だ! 今日のところは、ここまでにする」

「このまま戦えば、我々も不利だからな」

「また、どこかで会いましょう」

 そう言って、非情なる鍵は家宝の長ネギを残して姿を消した。

 

「うぅぅ、爺様になんとお詫びしてよいやら……。

 よもや、形見の長ネギを草ポケモンなんぞに渡してしまうとはっ!」

 カモネギは何とも言えない表情をしながら、家宝の長ネギを持ってそう言った。

 何はともあれ、これで家宝の長ネギを取り戻す事はできた。

「それじゃ、依頼を解決しましたし、戻りましょう」

「うん」

 依頼を終えた一行は、探索者協会に戻るのだった。

 

「お帰りなさいませ!」

「お、お帰り、どうだった?」

「はぁ……」

 アーマルドとユレイドルは探索者協会に戻った四匹を笑顔で出迎えた。

 しかし、カモネギはかなり落ち込んでいた。

「おい、なんか酷く落ち込んでるようだが……しくじったのか?」

「いや、成功したんだけどね。実は……」

 ハロルドは、アーマルドに事情を話した。

「ありゃま、ジュナイパーが家宝の長ネギを? そいつは気の毒になぁ……」

「……諸君、ご苦労じゃったな。これが約束の報酬じゃ」

 そう言って、カモネギはてきしばりだまを三匹に渡した。

「それじゃ、わしは失礼させてもらうよ……はぁ」

 カモネギは落ち込みながら、探索者協会を去っていった。

 薄汚れた家宝の長ネギを大事そうに抱えて。




非情なる鍵は某ゲームの某キャラがモデルになっています。
次回も彼らが登場します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。