クソほど強しかっこいいけど金の亡者でボケ倒す糸目なお姉さんは好きやろがい   作:テムテムLvMAX

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変なやつほど面白いのは動物園で動物を観る感覚と似ている、そばにいると落ち着かない。
だけど動物同士なら、それは普通のことですよね。


全然かっこよくなくて四六時中嘆いてるけど不死の馬鹿野郎が好きだってぇっ!?

「金! 富! 財宝! この世の全てはそれに尽きる! そう思わへん? ミッシュア、今回の報酬はギルドにしちゃマシな端金やったなぁもうちょい出せよ命賭けて仕事やったっとるのにメイク道具一個も買われへんで」

「いやいや、いーやいやいや! ラブとロマンスとほんの少しのビターで出来ているべきと思いまぁす! ていうか貴族御用達のメイク道具って全部ハンドメイドなんだから高いに決まってるでしょ金銭感覚王様かっての……」

「なんやアホなやっちゃな、愛でおまんま食われへんで? 人類皆がお前とちゃうんやぞ。それんな、メイクはボクの命の次に大事や……おいなんやその顔」

「真面目な話メイクいる? 無駄になってるよレーヴェレ」

「腹立つやっちゃな、非常識が服着てるお前に言われとーないわ」

 

 例の女とミノムシの人物が仲良く街を歩いていた、ミノムシの人物は別にミノムシ状態を抜け出せば普通のどこにでもいるこれと言った特徴のない普通の男だった、ただ糸目の女と比べると身長は低い、頭一個は低い、と言うか逆に女が背が高いとも言える。

 

 改めて女はレーヴェレ、男は別に覚えなくていいがミッシュアと名前を持っていた。

 

 レーヴェレはいつも微笑んでいるように見える糸目の女、雪のような白を持つ髪を中央で分けて半分を編み込み、半分はそのままにして後頭部で全てまとている、彼女の民族の伝統的な髪型だ、彼女曰く二面性を表すのだとか。

 ミッシュアはぼさっとして跳ね返って短いのに毛むくじゃらで目が死んでる、この見た目で目の下にクマがないことが良く驚かれる。

 二人は街を歩きながらミッショアがもう何度目かの死を振り返った、ミッシュアは不死者だ、生まれた時から死ねなくなってしまった。

 

「いやぁ~でもあの熊の魔物は痛かったなぁ〜、2回くらい死んだ、でもその後のレーヴェレので10回死んだかな」

「はぁ? 10回ぃ? ボクのアレ10回分しか無かったん? アホ抜かせもっと死んどけよ」

「単純に僕が成長したとは認めてくれないのかよ……とほほ」

「転生したくらいで不死身になってそう簡単に強くなれるっちゅう都合のいい話は聞いたことないなぁ」

「そうですかい」

「それに死ぬっちゅーことは弱いってことやろ単純にぃ、ほれ!」

 

 バチコーン! とレーヴェレの張り手がミッシュアの背中を捉えると吐血してその場にひざまつく、ガリガリでもデブでもない一般的な体格のミッシュアが一撃で沈んだ。

 

「うっ……今ので一回死んだ……」

「ほら、そこらのネズミの方がマシな体やろ」

「お前が強いんだろうが!?」

「ボク、神の血を引く尊き民族なんよ? ごめんな強くって」

「むっきぃぃぃぃあぁぁぁぁぁい!」

「ブハハハ! その顔最高やわ!!」

 

 ゲラゲラ腹抱えて笑いまくるが一向に糸目は開いてないがこの二人は四六時中こんな感じで街中でいちゃつくと巷で評判だった、二人はそんなこと知らない、知らせないのが住民たちの共通認識だった、おもろい見せもんは残しときたいよな。

 

 そんな二人の会話に割って入るツワモノ男が現れた、身なりからして他所から来た冒険者だろうが、あからさまに身なりが良くて女受けする香水をつけていた。この男他所の街でナンパの有名人として知られていた、確かに若く美形で優しげなこの男に惚れる女は多いだろう。

 

「やぁ、はじめまして私は冒険者のエーデル、お嬢さん、私にお茶を奢らせてくれないかな?」

「ほー、奢ってくれるん? やったなぁミッシュアこの兄ちゃん奢ってくれるらしいで、どうせなら新しく出来た所いこや」

 

 自然にミッシュアに話を振るがそのミッショアは絶命した時よりビビった悲鳴を奏でて更に高速の首振りで残像残していた。もちろん横振りだ。もうぶるんぶるん振り回した。

 

「ぎぇぇぇぁぇぉぉぉぁぉっ!? バカ! おバカ! はぁぁぁぁぁ!?」

「な、なんや? 急に頭悪なったか? いや頭悪いのは昔からやな……なら変なモン食っ……てるのもいつもやな……ついに脳が腐ったんか?」

「お前僕のことマジでどんな目で見てんのかよーく分かった。

 んでもちげーよちげーよちげーよ! この親切な人はお前を誘ったの!」

「んなアホな、ホンマなん?」

 

 バチィ! とミッショアがナンパのエーデルを指差すと彼はビクッと肩を跳ねさせながら、肯定を示すため首を縦に何度か振った。

 

「へぇー変なやっちゃな」

「へ、変!? 私が……?」

「そらそうやろボクんこと口説くやつはバカか変人や、コイツより変やで」

「僕を引き合いに出すなぁい! ごめんなさい親切な人……コイツめっちゃふざけてるんです代わりに謝ります本当にすいません」

「私がバカで変人……だってぇ……!」

「あのー聞いてますか? おーい……ダメだ完全に自分の世界に入っちゃった……」

 

 その言葉に怒りのスイッチが入ったエーデルはレーヴェレに対して手袋を叩きつける。これは決闘の合図だった。

 エーデルという男、生まれてこの方イケメン、モテる、実家が太い、の三拍子揃った生活をしてきて褒められることはあれど変、バカ、罵られる事はほとんどなかったのだ、その僅かな罵りには何時もこうして決闘を叩きつけ、幼少から鍛えた剣技で黙らせていたのだ。

 

「君ぃ、そこまで人を馬鹿にするなら痛い目を見てもらわないと私の気がすまない、その様子だと今までも他人を馬鹿にして生きてきたのだろう? これを機に改めさせてやろう」

「変な上にプライドも高いやん、めんど……じゃほれいけミッショア、サクッと負けてボクのこと守ってや」

「お前コラァ!」

「どこまでも私を馬鹿にする!」

 

 レーヴェレ、今の所2人にバチバチのメンチ切られて平然としていた、全方位無自覚風自覚煽りと言うめちゃくちゃ嫌らしい煽り方に二人の怒りは頂点に達した。

 

「エーデル! コイツぶっ倒そうぜ!」

「何言ってるんだお前? 自分の姉ではないのか!?」

「姉ぇ!? バカ言えコイツとは腐れ縁だよだから容赦しねぇ行くぞオラァ!」

「ふっ! なら容赦しない!」

 

 2人の男がたった1人の女に向かって全力で挑みかかる、絵面が最悪だがもっと最悪なのはこのレーヴェレという女がもうこのやり取りに飽きて露店のスイーツに目移りしていたことだ。煽りに余念が無さすぎる。

 二人はそんなことお構い無しに同時に飛びかかる! 左右からの挟撃、即席なのに息ぴったりだなコイツら。

 

 しかぁし糸目は視野が広い。

 

「ボクはいちごミルクかな、あとたまごパン一つ、カラカラウオのトッピングで、あ、それそのままください」

「「何呑気に注文してんだ/しているんだコノヤローっ!」」

「おっと手が滑った」

 

 レーヴェレは受け取ったスイーツと惣菜パンを受け取り、追加注文した真っ赤っ赤な粉末を2人にぶち撒けてやった。二人は悶絶した。激辛粉末だったのだ。

 

「「あーっ! ぎゃぇぁあ!?」」

「クックック……ボクに勝とうなんて百年早いんとちゃいます? いやぁ辛いわぁモテる女辛いわぁ、へっくしゅ……めっちゃカラいわ」

 

 終始煽られたまま2人の男は敗北したのだ、しかし同じ敗北を味わった2人の間に奇妙な友情が生まれていたのは、また別の話。

 辛味の地獄から復帰したエーデルはレーヴェレに対し、深い恐怖とそれと……エーデルは宣言した。

 

「……私は今回のことを忘れないでしょう、百戦錬磨のナンパ師としてのプライドを完全に打ち砕かれたのですから」

「えぇ……捨てていいよそんなもの」

 

 ミッショアは呆れた。

 

「いいえ捨てません、そもそも私、ナンパは手段に過ぎません!」

「じゃあ何やねん」

 

 レーヴェレが訪ねるとエーデルはその場に膝をつき、胸を手に当て、レーヴェレへ手を差し伸べた。これは良く告白に用いられる姿勢だがまさか告白じゃないだろうとミッショアは静観している、レーヴェレは何やこいつ程度の事しか思ってなかった。

 

「貴女に……惚れました。私が探していたのは貴女のような人だったんだです」

「うーんこのミッショアの目には見抜けなかった」

「ボクも見抜けんかったわ……背筋にサブイボ立ちまくり……」

「私にチャンスをください、貴女の望む男になります! ならせてください!」

 

 何かに目覚めたエーデルの目は本気だった、本気でレーヴェレに恋していた、何が一体そこまでさせるのかはレーヴェレ本人には分かってないしミッショアは想像できた上で理解を拒んだ。

 エーデルは止まらない、今度は立ち上がりミッショアを指差すと大声で叫ぶ。

 

「さぁ! 彼女を掛けて私と戦いなさい! それもただの戦いではありませんよ! どちらが彼女の心を引きつけるかと言うバトルです! さぁ貴方はこのバトルを受けざるをえないはずです! 愛しているのでしょう! 腐れ縁とは言っていましたがそれにしては距離感が近かったですよねぇ羨ましいぃぃ!」

「おいもう黙れ黙ってくれレーヴェレ見てみろよ火に油を注ぐ勢いで口角つり上がってるやろ見てみろ腹よじれてもう爆発しそうだ」

「更に! 貴方は先程本気で彼女に挑み掛かった私と違い怪我をしないように「はい黙れすぐ黙れおいもうその口閉じろもう帰ってくれ無差別暴露マシン!」もかが! ももー! がももが! ももがー!」

「オラァ!」

 

 ミッショア怒りのジャーマンスープレックスでこの試合は終了のゴングが鳴った、もう散々だ、もううんざりだ、エーデルを噴水に沈めた殺してやりたかったが人の目があるのでやめたミッショア、という所でふと気づく。

 

「おい……レーヴェレ……いつの間にこんな人だかりが出来てた……」

「その男が私を口説く所から」

「1番始めからぁぁぁぁ!」

 

 頭を抱えてその場にうずくまる、良くも悪くも悪目立ちするレーヴェレとミッショアのやり取りがエーデルで増幅され、ミッショアにとって地獄のような噂がまことしやかに囁かれることが確定したのだった。

 

「ミッショア」

「なにさ」

「ボクの事そないに考えてくれてたん? なんやこっちも恥ずかしなるわぁ……///」

「わざとかお前ぇぇぇぇ!!!」

 

 最後の最後で火に油を注ぐレーヴェレの行動で、しばらく街ではミッショアはレーヴェレとデキていると噂が流れた。彼にしてみたら母親と付き合ってるとありもしない暴露されるようなものだった。

 

 

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