セカイコネクト!プリキュア 〜悪役転生者の活動記〜 作:HeroGirlに憧れて
我らがインベダー帝国の地球侵攻が始まって一月経った。
理由は不明だが、この世界で闇の力は溜まりにくいようで、コカーツは週に一回、無理して二回の頻度でしかセメンダーを生み出せないようだった。
そこもニチアサ風味なのかよ。と呆れはしたが、プリキュアもまだまだ中学生、この方が都合がいいのだろう。
そんな事はさておき、僕も遂にこちらでの資金調達の手段を得た。それは……
「いらっしゃーい。美味しい美味しいかき氷だよー」
「いちご味を頼むわ」
「はーい」
かき氷の移動販売だ。僕は雪や氷、冷気を操る力を持っているから、それを有効活用しようとしたらかき氷の屋台なのだ。
研究に研究を重ね、ふわふわとした食感に甘みさえ感じる氷の精製を実現。それに合わせたオリジナルのシロップをかけたかき氷は、早くも人気となっていた。
家もオンボロ格安アパート(風呂無し、和式便所、六畳間一つ)だが確保した。これでこちらの世界でも十分に過ごせるだろう。
「はい、いちご味お待たせしましたー」
「はい、三百円」
「ありがとうございまーす」
これまでのことを少し思い返しつつ、客からお金を受け取る。と、そこに女子中学生二人組がやって来るのが見えた。
その片割れはどこかで見た覚えがある。……というか、プリキュアだった。肩にかけてるカバンから見覚えのある妖精がぬいぐるみのフリしているのが見えたし。
「ほら、これが噂のかき氷屋さんだよ。優芽花ちゃん」
「けど、まだ春も先よ?身体冷やしちゃわないかしら」
「美味しいものには季節関係ないんだよ!」
……うわぁ~お、マジか。まさか店にプリキュアが来るとは……。
まあ、今は敵ではなく客と店員だ。気にせずにいよう。
そう考えて、彼女達の注文を聞こうとした時だった。
「くははははっ!今日こそこの世界を攻め滅ぼしちまえ!染め上げろ、闇の力!」
コカーツが現れ、歩行者信号機をベースにセメンダーを生み出したのだった。
逃げ惑う人々。……もう今日は稼げないな、これ。
「愛梨、早く逃げましょう!」
「えっ、えーっと……」
プリキュアとその友達は店の前で問答しているが、ここは怪しまれないように逃げるふりして離脱するか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ある程度離れ、周りを確認するも人の気配は無い。念の為、路地裏に入り、転移穴を開いて現場のすぐ近くのビルの屋上につなげると、店員の格好から戦闘服へと着替える。闇の力を使えば、指パッチンで着替えが済むから楽だな、本当に。
こちらの世界で買ったTシャツとジーパンから変わり、ファーが襟に装飾されている黒いオーバーコート風の軍服に同じく黒のアストラカン帽。足は黒のストッキングに覆われ、足首の周りにファーがあしらわれた黒いヴァレンキブーツを履いている。
全身黒のロシアンガール。そう言い表すのが的確なファッションだが、これでもれっきとした戦闘服である。防御力は折り紙付きだ。
「っと、まだ戦闘は終わってなかったか」
見下ろせば、セメンダーとキュアタンドレスの一進一退の戦いが繰り広げられていた。まだまだ技術は拙いが、十分に伸びしろのある戦いっぷりに、思わず感嘆する。
そんなキュアタンドレスの姿を忌々しそうに睨みつけるコカーツは、どうにかしてキュアタンドレスの邪魔をしようと考えているのか周辺を見回しているようだった。
と、そこで見つけたのは先程店の方にもキュアタンドレスと一緒に来ていた女の子だった。
ニチャアっと気色悪い笑みを浮かべたコカーツは隠れていた少女の背後に瞬間移動すると首に腕を回して持ち上げた。
「プリキュアーッ!この人間の命が惜しかったら、抵抗するんじゃねぇーっ!」
「くっ……ううっ……」
人質を取ったコカーツに驚愕の顔をするキュアタンドレス。その隙を突かれ、セメンダーに吹き飛ばされた。
その姿を見て気分が良くなったのか、コカーツは高笑いをしている。
「……冷めるなぁ」
そんな言葉が思わず溢れる。気持ちが冷たく冷めていく。一方的になぶられるキュアタンドレスの姿が見ていられなくて手を出そうかと考えた時だった。
「……もう、やめてー!」
ピカァアアアアアッ!!
「グハァアアアッ!?」
女の子の胸からあふれた青色の光によってコカーツが吹き飛ばされたのが見えた。そしてその光が収まると、彼女の目の前の宙に浮く青い宝石があった。
その後、妖精から投げ渡されたコンパクトを手に取った彼女は変身を果たした。
「世界にときめく無限の夢!キュアレーヴ!」
威風堂々、名乗りを上げると、キュアタンドレスと共にセメンダーへと立ち向かう。
セメンダーを浄化したのを見届けると、僕はその場から去ることにした。
それにしても、プリキュアは一体何人にまで増えるのだろうか。