未知なる触手を夢に求めて   作: るるいえ

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ちょっと古ぅい国々のお名前が色々書いてますぅ
だいぶ古文書感がすごいですねぇ……
当時の話なので現在とキャラ設定が違ったりもしますよぉ
こちらもかなぁり加筆修正してますぅ


1

始まりの街、酒場にて。正確だが、塗り絵のような幼稚さが拭えない大陸の地図をうねらせながら、私は悩んでいた。

最初に踏み入れる国を何処にしようか、である。

酒場にいる人達からオススメの国はいくつか聞いた。

カリスマの権化たる魔王とその配下達が治める魔族の国、トイフェル魔王国 、出来たばかりの時期に戦争に挑み、見事生き残った武勇の国、オルヴィエート王国 、この世で1番美しい景色が見れるという月の観測所が有名な国 、しろい月の観測所等…。

 

問題は旅程が2日である事だ。国王に日程を聞かれた時適当に答えてしまった。真面目に考えればよかった。

巡るだけならばいくつか回れはするが、それでは新種の触手の調査も観光もできないだろう。

さてどうするか。

頼んだジンジャーエールをちびちび飲みながら唸っていると、ひょこりと、珊瑚色した髪を頭の横でふたつに括った幼女が地図の向こう側に顔を出した。

 

「こんにちはーっ!さっきから難しい顔で地図眺めてるけど何考えてるのーっ?建国でもしたい感じ?」

 

「いいえ、私小旅行中の身でしてぇ…ただどの国に行こうか未だ迷っているだけですよぉ〜」

 

バサバサと地図を机の上に広げ、候補の国をいくつか指差して示す。

ツインテの幼女はふんふんと頷き、幾ばくの間もなく答えた。

 

「どの国もおすすめだよーっ!!あ、でもでもっ、今はトイフェル魔王国?のおーさまが女の子になっちゃってるねーっっ!」

 

ふんすと得意げに胸を張る彼女に私は首を捻った。

 

「人間、そう簡単に性転換できましたっけぇ…?あぁ、いや、そういやできましたねぇ……転生事故ですぅ?」

 

「そそそっ!!これを見てーっ!」

 

鼻先に新聞記事が突きつけられた。

顔を引いて一面を見ると、確かにでかでかと「トイフェル魔王国の国主、転生事故でTSし幼女に!?」

と見出しが書いてある。

続けて記事を読むと、魔王が転生の際に何故か幼女になってしまった旨、普通ならそこまで珍しいことでは無いが今回の場合中身も幼女のようになってしまった旨が綴られている。

 

「新聞なんてあったんですねぇ〜」

 

新聞には他にも、国民の募集や催しの日取り、更には天気予報ならぬ教皇様、黒い厄災出現予報など、かなり内容が濃いものであった。

これは定期購読してもいいかもしれない。

 

「なんか酒場の噂を集めて有志が新聞作ってくれてるらしいよーっ!最新情報追ってくれてるから超便利っっっ!しかも格安っっ!」

 

誇らしげにツインテが揺れる。

 

「へぇ…有難いことですねぇ〜!教えて頂きありがとですよぉ…ええっとぉ。」

 

そういえば名前を聞いていなかった事に気づいた。言い淀んだ私に彼女も言わんとしていた事に気づいたらしく、にこりと人の良さそうな笑みを浮かべた。

 

「あ、名前?コーラルって言いますのーっ!よろしくねっ!」

 

握手、とばかりに手を差し伸べてきた。それに応えながら私も自己紹介する。

 

「私はるるいえと言いますぅ〜!未知なる触手を求めて旅行中なんですよぉ〜」

 

「触手…という事は触手ランドの人?ランドから出てくるの珍しいねーっ!」

 

「ちょっと旅に出たくなったものでぇ…」

 

たまにあるよねー!と、うんうん頷いて共感してくれるコーラル。

暫く色々な国についてコーラルとお喋りをするも、全く行先は決まらない。

 

「うぅん、迷いますねぇ……その辺のてけとぉに順々に回ってみますかぁ〜!」

 

「お、いいねいいね!じゃあ私が直々に…」

 

コーラルが言いかけたその時。背後でテーブルと椅子が砕ける音を皮切りに、大柄な男性二人が取っ組み合いを始めた。

どうやら酔った勢いの喧嘩らしい。2人とも酔いか怒りか分からないほどに顔を真っ赤にして殴りあっている。

周りも止める気がないのか、ヤジが飛び、賭けを始める者も現れる。

 

「おぉ、乱闘ですか…酒場って感じですねぇ、コーラルさ…あれぇ?」

 

乱闘を暫し眺めていると私の横を一陣の風がすり抜けて行った。風はそのまま乱闘している男たちの所まで行くと、壊れたテーブルの上に仁王立ちする。

 

「コラーっっ!喧嘩はまだしもテーブルと椅子まで壊しちゃダメーっっ!!やるなら闘技場行きなさーいっっ!」

 

一瞬の静寂。喧嘩はいいんだぁ……と私が思っていると、爆発的な歓声が響き渡った。

 

「『毒幼女』だ!面白くなってきたぞ!」

 

「やっちゃえ毒幼女!」

 

「ちょ、賭け直させろよ!聞いてないぞ!」

 

「コーラルちゃん可愛いよ〜!!!!!」

 

「おおっと『毒幼女』の参戦だぁ!これは賭け直しと行きましょう!さぁ皆さん張った張った!!オッズは現在『毒幼女』コーラルちゃんが1.4倍!その他の男共は両方76倍だ!」

 

沸き起こる声の量とその内容に私は感心した。

 

「人気者なんですねぇ…私も賭けよぉっとぉ」

 

あるけみすとに生きる民が全員持っている端末で賭けの情報を確認する。オッズはこの短時間でコーラルが1.2倍、その他の男達が両方97倍まで差が開いていた。

オッズを見るに大穴狙いか、男達に賭けた人も居るらしい。

コーラルに旅費の一部を投入し、顔を上げると、コーラルと男達で1対2の構図が出来上がっていた。

男達もまるきりのバカでは無いようで、先にやけに群衆に人気の乱入者を協力して倒す事にしたらしい。

 

「もー!そういう事考えられるなら外でやろっっ???今ならまだ手を引いてあげますのーっ!」

 

「うるせぇ!邪魔なんだよ糞ガキ!」

 

口を尖らせるコーラルに、男達が吼え、飛びかかった。それを軽やかな足取りでヒラリと躱す。

 

「くっそ……ひらひら躱しやがって……!!」

 

「だからーっ!!外でやろーって言ってますのーっっ!!」

 

コーラルはなおも続く男達の猛攻をひらりひらりと躱し、説得していたが、応じない男たちにとうとう我慢できなくなったらしい。

素早く男達から数歩距離を離すと、コーラルは空中に剣を投げ、その刹那、再びそれを捉えた。

 

「もう怒ったーっっ!!お仕置しちゃいますのーっっ!」

 

剣が舞い、男達も宙へ舞う。

 

観衆がどよめく。

 

「毒幼女のブレードジャグラーだぁ!剣も男達もいいようにお手玉されるぅ!これは男達、厳しいか〜?」

 

コーラル氏の攻撃が止んだ時、男達は傷だらけであった。が、まだHPは残っているらしく、肩で息をしているがまだまだ余力はありそうだ。

この男達、割と強いのだろうか。そんな事を考えていると隣で酒を飲んでいた金髪をモヒカンにした道着の男性が呟いた。

 

「あ〜、終わりっすねぇ。」

 

その言葉につい、声をかけてしまう。

 

「どういう事ですかぁ?」

 

「ほら、コーラルサンは毒幼女って呼ばれてるんっすよ?…まぁ見てたら分かりますってw」

 

「なるほどぉ…?」

 

なんとも言えない回答に頭の上に?を浮かべる。

そんな私を尻目にその男性は見てろ、とばかりに酒の入ったコップを揺らして戦っている面々を顎で指した。

改めて向き直るとちょうど2回目の睨み合いが始まる所であった。

が、交戦が始まるでもなく、男性二人が崩れ落ちる。

 

「おおっと!男性2人、共にダウン!私が見ますに原因は痺れ毒!流石、毒幼女の名は飾りでは無い…コーラルちゃんの勝利〜!!!オッズは1.1倍です!」

 

どよめく群衆をよそに、賭けの胴元と実況を兼任していた女性が決着を宣言した。響く完成とブーイング。賭けの配当を受け取った群衆は徐々に解散していった。

私も配当を受け取り、更に暫くすると、コーラルが戻ってきた。見た目からは想像もできない膂力で先程の男性二人を抱えている。

 

「せっかくだし他の国まで案内してあげたかったんだけど、ちょっとこの人達の処理しなきゃですの……。だから、気をつけてねーっ!まぁ無所属なら誰にもぶつからずに好きな国にいけるだろうしーっ!」

 

「ありがとですよぉ!」

 

気絶している二人をぶらぶらと揺らして申し訳なさそうにするコーラル氏に、私は大丈夫であると頷いた。

そのまま少しだけ暖かくなった財布を懐に、酒場を後にした。

 

「さぁて、行きましょっかぁ〜!!時間は限られていますしぃ?」

 

始まりの町から南へと足を踏み出し、いざ触手探しの旅へ。




この当時、まだ街の外が四角いマップだったのでぇ、地図も分かりやすかったんですよねぇ〜
ぬりえマップと個人的に読んでましたぁ
ちなみに諸事情で次の話はカットですぅ
旅行は楽しかったんですけどねぇ〜……ちょっと色々あったのでぇ、旅行のお話はカァッットですぅ

キャラお借りした方々
コーラル
DK
(敬称略)
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