今日の触手   作: るるいえ

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3日分まとめられてまぁす


第2話

10/16

 

「あっ…ここ11層ですぅ…間違えちゃったぁ…」

 

日課の祝福掘りに4層に来たはずが、全く違う層に来てしまった。来たからにはしょうがない、少しだけ探索して帰るか…とうろうろしていると、1匹のモンスターが現れる。

黒いボロ切れを纏い、幽玄な死の雰囲気を漂わせ、鈍く光る鎌を持った死神のようなモンスター…11層ボス、エクスキューショナーであった。

 

「げぇ!?エクスキューショナーぁ!?」

 

想定外の遭遇に慌てる私は、落ち着こうと自分に言い聞かせるように鼓舞する。

 

「い、一応勝ってますしぃ??今生ばさふぉだから魂滅にも強いしぃ????単騎だしぃ??」

 

ペロリ、と自らの能力を底上げする粘液を舐め、同時にどす黒い粘液を生産する。

 

「ぬっとぬとにしてやりますぅ!!」

 

エクスキューショナーにべっとりとしたそれを頭から被せると同時に、エクスキューショナーの体が鈍く光った。何かしらのバフだろう。

 

「ごぼ…ごぼぼ…簡単に死にはしませんからねぇ…!」

 

じっとりと睨めつけ、さて本番、と本命のスキルを出そうとしたところで、エクスキューショナーの鎌が目にも止まらず閃いた。

私の体力が全損し、辛うじて先程のラストスタンドの効果で踏みとどまる。

 

「ひぃ〜!!やっぱり刺客運ゲー嫌いですぅ!!」

 

直後、不気味な紫の光が私の体を貫く。同時にMPがごっそりと減っていくが、既にラストスタンドの効果でスキルが打てない私には関係ない。

 

「こうなりゃヤケですぅ!!それぇ〜!!」

 

ぽこぽことエクスキューショナーを殴っていると、目の前に隕石が見えた。

 

「…あっ」

 

気づけば私は11層の入口に立っていた。どうやらエクスキューショナーのメテオストライクで蒸発させられたらしい。

 

「えぇ〜ん!酷い目にあいましたぁ…やってらんねぇですぅ!!帰るぅ!!」

 

こんな日はやけ食いするしかない。地団駄を踏んで私はランドに帰ることにしたのだった。

 

 

 

10/17

 

触手ちゃんに連れられ来たは山奥の隠れ処、その神社。触手ちゃんが水色の長い髪をもつ巫女さん、龍匠になにやらやいのやいのと言うと、彼女は掃除の手を止め、部屋へ案内してくれた。

 

「突発ですが三麻なら出来そうですね。」

 

「さんまぁ?お魚ですぅ?」

 

聞いた事のなかった単語に知っている知識を当てはめ、首を傾げる私に龍匠は丁寧に解説してくれた。

 

「麻雀ルールの1種ですね。3人で出来ます。後は4麻の時よりも牌が少ないですね。」

 

「あぁ…だから触手ちゃん、私を連れてきたんですねぇ…」

 

「ルールはご存知で?」

 

触手ちゃんが龍匠に教えてもらったであろう知識とこちらに来る前にたまたま知った知識を合わせれば、プレイは問題ないだろう。そう判断した私は頷いた。

 

「なんとなぁくぅ…?点数計算は微妙ですぅ」

 

「それなら大丈夫です。私がしますので。」

 

「ピュピュ〜!!」

 

得意げに点棒を振りかざす触手ちゃん。如何にも自分も出来ますという顔だが、5匹フュージョンしても誤字が消えない知能で計算はできるのだろうか。

 

「触手ちゃんも出来るって顔してますけどぉ…」

 

「出来てなかったですね。」

 

「ですよねぇ…」

 

案の定、出来ないらしい。少々の哀れみをこめて触手ちゃんをみると、何処吹く風で既に卓につき、ぺちぺちと卓を叩いて催促していた。

 

「まぁ、楽しめればいっかぁ!たいよろ?ですぅ!」

 

「よろしくお願いします。」

 

まぁなんとかなるだろうと気楽に考え、私は席についたのだった。

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「あ、それロンです。」

 

「ピギュ!?」

 

触手ちゃんが驚いたあと、しんなりとしょぼくれる。まだそんなにやっていないはずなのに、振込はこれで4回目だろうか。

私と触手ちゃんはぼろ負けしていた。触手ちゃんの方が酷い戦績である事は主張しておきたい。

 

「せっかくリーチだったのにぃ!」

 

「ふふ、惜しかったですね。」

 

リーチに使用した点棒が無慈悲にも回収されていく。嬉しかったのか、牌を混ぜなおしながら少し龍匠は微笑んだ。

 

「むぅ……次はあがりますからねぇ!」

 

「ピュピュピァ!!!」

 

触手ちゃんがなにやら私の知らない単語で意気込みを熱く語っている。麻雀用語なら目の前の巫女さんは詳しいだろうと、とりあえず聞いてみることにした。

 

「ところで触手ちゃんがいってる「放銃」ってなんですぅ?得意技?らしいんですけどぉ……」

 

「……相手の待ち牌に振り込むこと、ですね。」

 

なにやら言いづらそうに、しかし丁寧に意味を教えてくれる龍匠。

 

「触手ちゃん……なんでそんな得意技だって言っちゃってぇ……」

 

「ピュ?ピゥギュァ!」

 

思ったよりこの触手ちゃんはおバカらしい。ちょっと呆れていると先程よりさらに言いづらそうに龍匠が口を開いた。

 

「そのですね、少しからかってみたら……本気にされてしまいまして。」

 

ぽかん、と私は口をあけてしばらく龍匠を見ていた。触手ちゃんがカチャカチャと牌を混ぜる音だけが聞こえる。

 

「意外とお茶目さんなんですねぇ?んふふ!!」

 

私がそう言うと、照れてしまったのか恥ずかしかったのか、特に返答せずに龍匠は無言で牌を積み始める。その様子にまた少し私は笑いをこぼしながら自分の牌を積み始めた。

 

「よぉし次ですぅ〜!!」

 

なお一度も1位は取れなかった。無念。

 

 

 

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