龍が如くシリーズに欠かせない渋オジが足りない……せや!増やしたろ!と言う感じでオリキャラ注意です。
加賀実探偵事務所の所長である加賀実甲斐。彼は事情聴取を終え、取り調べ室より開放されていた…!違法賭博場のならず者達を相手にしていたとは言え、暴力と不法侵入をしていたとなれば治安局は黙っている筈もなく、一通りの質問や確認を念入りにした後に通報と捕縛による報奨金の手続きを半ば死にかけながらやり終えたのだ。
久々(1日も満たない)の
「よう探偵。出所した気分はどうだ?」
「あのさぁ、普通そこは労いの言葉を掛けてくれるもんじゃないの?ナベさん」
「ま、今回はお前の落ち度だ。違法賭博場を見つけて通報したまでは良かったが、ちゃんと治安官の到着を待つ必要があったが、そのまま喧嘩ってのは駄目だろ」
ナベさんと言われた治安官は胸ポケットから慣れた手つきで煙草を取り出す。鏑木ナベヒラ。加賀実甲斐とは色々と付き合いが長く、今年で還暦を迎えた
「あっ、おい!何するんだ!?」
「ここは禁煙スペースです。タバコを吸うならちゃんと喫煙所で吸ってください」
「なんだよケチくせぇ、一本くらい見逃してくれたって良いだろ」
ナベヒラが口を尖らせて言うが、白い毛並みを有するシリオンである青年が断固の姿勢で彼に言い放つ。
「鏑木先輩は前の健康診断で引っ掛かってたじゃないですか、俺は見逃しませんよ」
チェッ、と名残惜しそうにタバコを懐にしまう警官を前にセス・ローウェルは満足そうに頷いた。そんな彼に探偵である加賀実は関心の声を漏らす。
「流石はセス、先輩相手に怖けず言えるのは相変わらず凄いもんだなぁ」
「自分が正しいと思った事を実践してるだけだからな。それはそうと甲斐、これで何度目だ?何度捕まれば気が済むんだ?」
「い、いや……本当に悪かったって!もう朱鳶さんに説教されて来たんだから許してくれって!」
「全く…で、今回は何をやらかしたんだ?」
真顔で詰めてくるセスに対して降参と言わんばかりに事情を説明する。加賀実は正義感の強いセスとの付き合いは長い方であり、しっかり起きた事を教えれば許してくれると理解していたので何があったのか包み隠さず詳細に伝えた。
「成り行き上だが違法賭博を抑える結果になったと…」
「いやぁ立派なもんだなぁ、そーゆー運の良い所も探偵に必要不可欠なもんだぜ坊主」
「ま、ナベさん運が悪い方だしね……あ、健康もか」
「おいおい。定年前の治安官にそんな事言うもんじゃねぇだろ」
先程の揶揄ったお返しか、加賀実は意地悪そうな表情を浮かべる。そんな彼にセスはうんうんと同調の意を見せる。
「それはそれとして、甲斐は市民の安全を守り悪党を捕まえた!とても良い事だと思う!」
「おう、ありがとな」
「けど、本来なら俺達治安官を頼るべきだった!そうすれば事情聴取なんて事わざわざしなくて済んだからな!ちゃんと反省するんだ!」
至近距離で大声をあげ二重の意味で耳が痛くなる。キンキンとする片耳を押さえていると先ほどまでとは一変。冷静な声で告げてくる。
「それはそれとしてだ…やっぱり治安官になる気はないのか?」
「あぁ…なぁセス。前にも言ったけど、前にやらかしてる俺が治安官になるのは不味いって。脛に傷持ってる俺が入るのは不味いっての」
「何が不味いんだ?俺は甲斐がどんな過去を持ってたとしても気にはしない」
「そう言うところ本当にありがたいな…まぁ、セスは大丈夫だろうけど、俺や周りは気にしちまう。だから俺はこのまま探偵業をやってるさ」
過去に犯した誤ちがある。この探偵業や治安官に入らない事は彼にとって贖罪の一環だ。例えどれだけ罪を清算しようとも、赦されるものではない。
そんな根底にある罪の意識を向き合っていると、青衣が飲み物が入ってるのだろう。ここに居る人数分のコップが運んで来た。
「まぁお互いに思うところはあるのだろう。しかし坊よ、木は動かすと枯れるが、人は動かすと活きる。過去ばかりを見て止まってるでないぞ…ほれ、ナベヒラはこちらを」
「おう青衣ちゃんサンキュー…って、なんだこりゃ。お湯じゃねぇかよ」
「データベースにアクセスして健康記録を拝見させて貰ったが、ナベヒラは己を律する必要がある。そこで万病に良い白湯を分けてやろうと思ってな」
「ならせめてコーヒー粉も入れてくれたっていいだろ」
ちょうど豆を切らしててな、と誤魔化すように告げる青衣。そんな矢先、彼女は白湯を口にしながら加賀実に告げる。
「して坊よ、ぬしは武装組織の摘発作戦は知っておるか?」
「摘発って…それ言っていい奴なのかよ?なぁセス」
「えっ、あっ……青衣先輩ッ、その…それは重要機密で進めてた作戦で……あ〜…これはお前とは関係のない事で、いや!違う関係はあるんだ!でもお前に話せないことで〜〜〜〜ッ!」
「あ、うん。分かったか。分かったから落ち着け」
この反応、どうやら治安局での極秘作戦のようだ。それを何故に自分に教えてしまうのか…これが分からない。
「なぁ青衣先生、それを俺に教えて何を…」
「
「…!? 赤牙組だと?」
赤牙組。その名前を聞いた途端、加賀実の顔色が変わる。そんな彼に捕捉する形でナベヒラが言葉を紡いだ。
「ああ、治安局全体の動きとしてなんだが、もうすぐで赤牙組の中心メンバー達を叩く作戦が立てられてるのさ」
「うむ。だからと言って多数の人員を割いてしまえば街の治安維持を疎かにしてしまう…そこで、ぬしの民間協力者が我々としては心強い」
「………」
青衣とナベヒラの提案はこちらとしても有り難い限りだ。自分と赤牙組は切っても切り離せない因縁だ。奴等と接触できるまたと無い機会に肯定的な返事をする……直前、コツコツと足音を鳴らしながら何者かがやって来る。
「ですが正直に言ってしまえば反対です。確かに彼には山獅子組の構成員を捕まえた実績もありますし、斥候・調査能力も秀でています。ですが彼は一般市民であり、我々が守るべき対象。そんな彼を危険地帯に連れて行くのはどうかと思います」
「オイオイ、別にそれくらいいいじゃねぇか。加賀実の奴は腕っぷしも立つし赤牙組の構成員にやられるような事は…って簡単に首を振るタマじゃねぇよな2人は」
ナベヒラはコップに口を付けながら、朱鳶とセスに視線を送る。特別捜査班の中でも堅物である2人ならば青衣の提案を良しとはしない。例え彼が心強い味方であろうとも内なる"正義"が一市民を巻き込む訳にはいかないと叫んでいる。
「俺は大丈夫だ。それに赤牙組と正面切って叩きのめせる絶好のタイミングを逃す訳にはいかない」
「いいや、赤牙組の構成員ほとんどを相手にする可能性がある。それにホロウ内に入る場合もあるし、相手は銃火器を武装した集団だ。特別な装備を支給されてないコイツが参加するのはあまりにも危険すぎる」
「俺が実力不足だって言いたいのか?」
「違う!だがチンピラを相手するのとは訳が違うんだ!希望的観測で倒せるような奴等じゃないんだぞ!」
「んな事は分かってるんだよ!だけどな、俺はこの時をずっと待っていたんだ!」
加賀実とセスの口論が繰り広げられる。朱鳶が2人を止めるように言うがそれでも言葉による殴り合いはスピードを落とさない、寧ろ苛烈になって行く。
「いいか!今のお前はただ奴等と争う事だけしか考えてない!市民を守る為に奴等を捕まえる!そのことを理解してないお前を参加させる訳にはいかない!」
「この石頭が…正直に言っちまえばどうだ!俺が
「…ッ」
加賀実甲斐、今は探偵と言う役職に就く新エリー都民の1人。しかしその昔彼は赤牙組に拾われ、そこに所属していた経歴がある。
昔こそ自警団として活動していた赤牙組だが時が経つにつれ活動は過激なものとなり、一般市民にも被害が及ぶ事すら厭わない反社会集団と化している。
加賀実にとってその過去は恥ずべき事であり、無垢な人々に手を出してしまった罪の象徴でもある。そんな過去を背負っているからこそ自分には仕事の一端を担う事ができない。そう解釈した彼は拳を握る。
「この…いい加減にしろッ!さもないと…!」
「なんだ、俺を止めたいなら力づくで…!」
「お前らいい加減にしろッ!」
鏑木ナベヒラの怒号が2人を貫く。
「テメェら揃いも揃って言いたい放題言いやがって。少しは冷静になって相手の意見を聞いて判断する事とできねぇのかよ、ええ?」
「鏑木さ…」
「待て朱鳶よ、ここはナベヒラに任せるとしよう」
宥めようとする朱鳶と静観の姿勢を見せる青衣を他所にベテランの刑事は若者2人に詰め寄る。
「ここが何処だか分かるか?治安局の分署だぞ?喧嘩する場所じゃねぇだろ」
「「………」」
「別にお前等は悪い事は言ってねぇ、どっちも正しい事を言ってる。けどな?自分が言いたい事だけ言ってハイ終わりじゃねぇんだ」
お互い譲れないものがある。だからこそ頭に血が昇ってしまった。それをセスと加賀実は理解していた、それでも口喧嘩に発展してしまったのは年齢的にもまだ若く活気盛んであるからだろう。
まるで借りて来た猫のように静かになった2人にナベヒラは告げる。
「まぁ作戦までまだまだ期間はあるからな、じっくり話し合ったりして参加するかどうか決めりゃ良い……よし、声を上げたし腹も減った!昼飯休憩に入るとするか!」
「え、ええ!?この直後に食事ですか!?」
ナベヒラの一言に驚愕する朱鳶。あの説教の後に切り替えて行くのは無理があるのでは無いか?と怪訝に思ってしまうが、そうこうする内にセスと加賀実は部屋から退出してしまう。
「……大丈夫でしょうかセス君と甲斐君…」
「まぁ、あの2人だ。なんとかなるだろ」
「ほう?随分と信頼している様子。その心は?」
別にそんなんじゃねぇよと言いながら煙草を一本取り出す。
「あの2人は根本的に誰かの助けになりたい。そう思ってるからな、勝手に仲直りするだろ…あとは刑事の勘だ」
フゥー、と紫煙を吐き出す。あの2人が成長する様子は紛れもない自分が見て来た。だからこそ己が目と若者の力を信じている。ナベヒラは煙草を味わいながら行く末を見守るのだった……。
「それはそれとしてナベヒラ先輩、良い感じの雰囲気出しる所すみません。健康診断の結果分かってますよね?煙草吸うのやめてください」
「……許してくんねぇの?」
「当たり前です」
どうやらナベヒラ自身、若者よりも先に己が健康の行く末を見守る必要があるらしい。還暦の刑事は泣く泣く煙草の火を消すのであった。
ルミナ区の商業都市ルミナスクエア、ここでは数々の飲食店が立ち並んでいる。その中でも署の近くに存在するラーメン店『滝湯谷・錦鯉』はその場で出来立ての料理を提供してくれる。加賀実イチオシの店となっている。
そんな加賀実だが署内でトラブルに発展仕掛けた為、1人寂しくラーメンを注文する……。
「って、全員同じところで昼飯かよ!!!」
事はなくセス、朱鳶、青衣の3人と鉢合わせる事となったのだ。
「現在署内の食堂が改装中で空いてなかったので仕方なく…」
「まさかお前までここを選ぶとは…」
「これもまた縁によって手繰り寄せられた巡り合わせ。同じ席に着いた者同士、仲良く食事と言うのは如何か?」
「さっきまで署内でピリピリしてたってのに…ますます気不味くなって来る奴だろこれ……」
そう言いながら別の店へ行こうとするが、青衣が「待たれよ」と呼び止める。
「坊よ、まさかラーメン屋に来たと言うのに注文を一切せずその場を後にする腹つもりではなかろう?冷やかしかえ?」
「くぅ、分かった!注文するよ!…ちなみに先生は何にする予定なんだ?」
「我はこの通り玉偶故に食事は必要ない。なに気にするな、隅の方で白湯を嗜むとしよう」
「一番の冷やかしはアンタじゃねーか!」
ラーメン店で白湯を注文するとはこれ如何に。店長の視線が青衣に突き刺さっても尚、彼女は知らぬ存ぜぬの顔持ちのまま席に着く。
「なんつーか、先生には敵わねぇよ。さて注文だよな、俺は……んー、野菜ラーメンで」
「私は黒鉢きのこラーメンに…餃子を付けてください」
「俺は白鉢の揚げチャーシュー麺…と、角煮トッピングで」
「白湯」
(((白湯かぁ…)))
それぞれが注文すると天狗の如き姿をした店長はアームを駆使してラーメンを作り、それぞれ注文した品を出して行く。箸を手に麺を啜りながら口にして行く。
すると加賀実は隣の席に居るセスに声を掛けた。
「セス、チャーシューやるよ」
「…いいのか?」
「いや、なんつーかさ……さっきは言い過ぎたって言うか…お前の言う通り冷静になって答えるべきだったと思って…本当にすまないと思ってる!こいつはそのお詫びだ」
先程もまでの問答にて己が言動を省みた後、セスには謝ろうと決めていた。その謝罪を込めて彼はラーメンの器に焼豚を一切れ乗せた。
「……そうか、俺もすまなかった。こちらもお詫びと言ってはなんだがこれを」
「おお、サンキュ…ってメンマじゃねぇか!?」
「まだまだメンマあるぞ」
「あ、それでしたら私のシイタケもどうぞ」
「ザーサイをやろう」
「野菜じゃなくて肉くれないかな!!??」
ラーメンの器に彩り豊かになっていく中、彼は叫ぶ。純粋に肉が欲しい。セスにチャーシューを上げた手前、言えなかったがせめて味玉とかタンパク質が欲しい。
「でもいつも野菜ラーメン頼んでるだろ?」
「1番安いから頼んでるんだよ…ッ!俺だってチャーシューマシマシのラーメン食いてぇよ!!」
「そうだったのですね…良ければ私のを差し上げます」
「うう、ありがとう朱鳶さん。朱鳶さんの心遣いが染み渡rこの流れでチンゲン菜入れてくるってマジ???」
治安官としてもこれから肉体と事務労働がセットで襲いかかって来るため肉系は譲れないのだろう。せめて餃子は欲しかった…と落胆しながら愚痴をこぼす。
「ああ、もう…ったく、高給の治安官ってのは羨ましいもんだなぁ」
「急にどうしたんだ?」
「だってよ、トッピングや白鉢の二倍もする黒鉢に加えてサイドメニュー付けてるのを躊躇いもなく注文するんだぜ?羨ましいったらありゃしねぇよ」
そう零す彼に朱鳶が一言告げる。
「しかし加賀実君、お金なら違法賭博場の摘発に伴う報奨金が支給された筈ですが…?」
「滞納してた家賃払うのに使う予定だから余計な出費は抑えたいんだよ」
「また家賃の溜め込みか…ちゃんと適切に払わないからそうなるんだろ」
「いやいや、仕事が全然舞い込んで来ないのもあるんだよ。猫探しとか浮気調査とかそればっかりで。後は臥龍さん用の修理費とかメンテ代とかが掛かってるな」
収入が少ない上に、別のところにかける費用が多々ある為、常に財布の中身を睨む日々を送る探偵業。そんな仕事を勤める彼に青衣は補足を入れる。
「ちなみに坊と共にいる臥龍はボンプの中でも旧式モデル故に規格の合うパーツがまずない。今や新型モデルばかり市場に出る為、既に生産されておらんのだ」
「そ。だから取り寄せる為に手数料がかなりかかるし、下手をしたら非正規の部品を買って取り付けなきゃいけない。一応、知り合いに頼んではいるけど混み合った事情があるんだ」
それならばもっと安く済む新型を買えば良いのだろう。しかし彼にとって臥龍はなくてはならない相棒。それをみすみす捨てるような選択肢は視野に入れてないのである。
「あーあ、簡単に大金が入る依頼でも舞い込んで来ればいいんだけどな…」
「いやそう簡単に来る筈が……ん?」
シリオン特有の聴覚を有するセスが後ろから来る人物に気付く。トレンチコートを纏った男は蛇のように上体を左右にくねらせ、ラーメン屋にやって来る。恐らく客なのだろうが、やけに不審な動きをしている。
治安官を前にわざわざ怪しい様子を見せる人物に加賀実は怪訝に思った。
「…なんだお前?やけにクネクネした動きでにじり寄って…どうする朱鳶さん、殴るか?」
「貴方は初対面の人に対し肉体言語によるコミュニケーションを図るのはやめてください」
私が対応します、と言うと彼女は男の元に歩み寄った。
「我々は治安官の者です。何かお困りなら相談に乗りまs「ばあああああっ!」
その瞬間、男がトレンチコートを脱いだ。その衣服の下にはとても男が来て良いものとは思えないパツパツのブリーフに加え、ガーターベルトを取り付けたエグい下着と網タイツのコスチュームが露わになった。
直後、加賀実とセスは己が目を抑える事となった。
「ぐああッ!目がァァッ!」
「うぐぅ…ッ!なんて不快感を煽る格好をしているんだ…ッ!」
「とんでもない汚物を目にしてしまった…ッッ!無差別テロを起こしやがって!!」
「汚物呼ばわりは失礼だろ!?…こ、これは多様性化された人それぞれによる趣味嗜好であるものであって俺達が咎めるべきものでは…」
「単なる変態露出魔だろこれはッ!」
同性の男達の眼球に大ダメージが襲いかかり、カスみたいな情報が脳に流し込まれている間に「ぐふふ」と変質者は笑い声を漏らす。そんな中、目の前の変態ファッションを目に朱鳶は数秒の硬直。そして………
「きゃああああああああああああっ!」
△『連続膝蹴りの極み』
甲高い悲鳴と同時に変質者に襲いかかる膝撃の殴打。顔面を一発、二発、三発。幾多もの蹴りが顔に撃ち込まれる。訓練と日々の事件解決により鍛えられた脚力により男の頭部はボロボロだ。トドメと言わんばかりの背負い投げが決まり、変態はコンクリート製の街路に背中を打ち付ける事となる。
△『パワーラリアットの極み』
しかし朱鳶の手は止まらない。男が投げによりバウンドした刹那、首に向かってラリアットが放たれる。衝撃により男が一回転しながら綺麗に地面へ五体投地。
△『腕ひしぎの極み』
「過剰防衛すぎる!」
「もうやめましょう!相手の命が勿体ない!!」
腕に関節技を決めようとしていた朱鳶を取り押さえる男2人とロボ一体。ちなみに青衣は先程の光景をデータファイル削除処理していたため行動が遅れていたりする。
そんな治安官による暴力…否、鎮圧が行われていると白衣をした老人がこちらに駆け寄って来る。
「おお〜、こんな所におったんじゃなぁ。むむ、これは
サイドストーリー
『激写せよ!クセモンスナップ!』
ダウンした変質者をマジマジと眺める。白衣の人物にセスが声を掛けようとするが、青衣は手で制する。
「案ずるなセスよ、かの老人は怪しいものではない。データベースに検索した結果、特に怪しい来歴も無い。至って善良な一市民であろう」
「むむ?見たところお主等は儂は治安官じゃな。ならば自己紹介をせねばなぁ、儂はクセモン博士じゃ」
「「「クセモン博士!?」」」
至って善良な一市民と言うには癖が強い名前が飛び出して来た。そんな驚愕に満ちた3人を尻目に青衣は言葉を紡ぐ。
「ほう、かの有名なクセモン博士とは」
「知ってるんですか青衣先輩!?」
「クセモン博士、新エリー都内で犯罪者研究の権威とも言われておる御人でな。つい最近、ルミナ区域で新たな研究を始めたと言われておる」
「へぇ…で、その博士がなんたってこんなところで露出魔を追いかけてるんだ?」
加賀実の疑問に答えるように博士は言葉を紡ぐ。
「おお、興味があるようじゃな。ならば教えよう!ここルミナ区は治安が良いものの、それに抑圧され犯罪行為に走る者も多い。最近はギャングの活動もある影響で犯罪者が増える一方じゃ」
「確かにルミナ区域では比較的安全ではあるものの、そう言った犯罪者の傾向は最近増えつつありますね」
「そこでじゃ!より多くの犯罪者、変質者のデータを取得し区域ごとの出現傾向、分布、種類など研究する事により治安維持に貢献できると言う訳なのじゃよ」
「へぇ…そりゃ凄いじゃねぇか」
思った以上にちゃんとした研究をしてる事に感心しているとセスと朱鳶が好意的な反応を示す。
「それは凄い!それなら犯罪者を多く捕まえて一般市民達の安全にも繋がるじゃないですか!」
「クセモン博士、我々で良ければ協力を惜しみません。構いませんよね青衣先輩」
「ふむ…これは
「俺も同感だ先生。こう言う治安維持とかは正義大好きな2人が喰らいつくヤツだ。しかとこっちまで巻き込むタイプの」
治安官2人に対してこちらの2人…正確には1人と一体は辟易とした様子を見せる。クセモン博士はそんな事をつゆ知らず、懐からカメラを2台取り出すとセスと加賀実に手渡した。
「協力の申し出とはありがたい。ではより上質なデータを取る為のフィールドサーチ。題して『クセモンスナップ!』を開始するとしよう!」
「クセモンスナップってなんだよ(真顔)」
「クセモンスナップを簡単に言うと怪しい奴を撮影し、通報するゲーム形式のアクティビティじゃ。とりあえず怪しい動きをしてある不審者、犯罪者を撮影すれば良いぞ。前科が有る者や希少性の高い変質者であれば得点は高くなるからしっかり覚えておくように」
呆れる横でセスが懸命にメモを取る。そんな対照的な2人の様子を見た青衣は何か思いついたように声を上げた。
「あいや待たれよ、この青衣に一つ提案がある」
「提案…一体なんなのでしょう先輩」
「この『くせもんすなっぷ』とやら、勝負事にして見てはいかがかな?」
「勝負ですか?」
「うむ。対決するはセスと朱鳶の治安官コンビと、この我と坊のペア。もしこれで坊が勝てたのならば
「なっ!?」
「それは…」
「なに、聞けばこれもまた市民を守る為に繋がる事柄。であればこの勝負に勝った者こそ市民の為に動いた確たる証拠とはならんか?」
青衣の一考にセスと朱鳶は考え込む。おそらく2人の脳内では参加を認めるか、否やの双方がぶつかり合ってる事だろう。しばしの沈黙の後、それを先に破ったのはセスであった。
「俺は良いと思います朱鳶先輩」
「セス君……分かりました。その勝負受けて立ちましょう」
「よしなに、坊も異論はなかろう?」
「あ、ああ…でもどうして」
「なに、弟子の成長をこの目で見る事もまた一興と思うてな」
加賀実の問いかけをはぐらかすように答える。彼の過去を知る彼女は師匠として、治安官として力になってあげたい。恐らくそんな考えを持って提案を持ちかけたのだろう。
「…先生、ありがとうな。じゃ、博士。このカメラ使わせてもらうぜ」
「おお頼むぞ!ちなみに得点が高い変質者であれば懸賞金が出るぞ!この地区では変態三銃士が最高得点である為覚えておくとよいぞ」
「ああ、分かっt…変態三銃士!?」
突如として飛び出してきたパワーワードに驚愕する、なんだ…なんだその変態三銃士って言うのは…!?数秒思考が停止していると横から朱鳶が頷いた後に口を開く。
「そうですが分かりました…やはり我々は変態三銃士と争う運命なんですね…」
「変態三銃士ってなんだよ」
「奴等は必ず俺達が捕まえる!待っていろ変態三銃士…!」
「なぁ変態三銃士ってなに?」
「ほほう、変態三銃士…奴等とはここで決着をつけるべきと考えていたところよ」
「聞いてる?変態三銃士ってなんだよ!?」
「「「待っていろ変態三銃士ッ!」」」
「だから変態三銃士ってなんだぁぁぁぁあ!?」
【登場人物紹介】
◯鏑木ナベヒラ
詳細情報:定年退職間近の治安官。特務捜査班と比べて戦闘能力は秀でたものではないが長年の経験と刑事の勘で事件の調査や暴徒鎮圧等を行っている。タバコや身体に悪い食事をしていた影響か健康診断結果が壊滅的。いつもセスや朱鳶から体を気遣うように口酸っぱく言われている。
○クセモン博士
不審者、変質者の出現傾向・分布などを研究している博士。こう見えて彼の研究データは治安局に貢献しており、正義感のある人ほど彼の研究に積極的に参加するらしい。ちなみに昔はクセモン達を戦い競わせるクセモンマスターバトルトーナメントで常にベスト4入りを果たしていた実力者であったが紆余曲折を経てクセモン研究者と言うポジションに腰を置く事となった。
もしクセモンを悪用する輩が居たのならば彼はまたクセモンマスターとしての手腕を発揮する事になるだろう…やめろー!クセモンは人を傷付ける為の道具じゃない!俺とクセモンバトルで勝負だ!
ちなみに如くシリーズだったらセスとの口論でそのまま戦闘が勃発してた可能性が高かったりする。
でも流石に署内で治安官と喧嘩するような真似は桐生ちゃんやター坊がやる訳……いや、どうなんだろ…やると言えばやるかもしれない(負の信頼感)