初期実装☆2盾キャラ(人権)の話   作:POTROT

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取り戻す話

 先帝との戦いには、熾烈を極めた。

 封印種、その中でも一際強力なその肉体は、我々の攻撃を容易く弾き返すことが出来るのに対し、我々は向こうの攻撃を一度でもまともに食らえば終わるという確信があった。

 その上でわらわらと出てくるエイリアン共や周期的に発される波動、奴の放つ術への対応もしなければならないのだから、どうしても攻め手に欠ける、というのが現状であった。

 が、正直なところを言えば、先帝自体はそこまで強くない、というのが本音だ。

 

「オオオオオオオオオオオオッ!!」

『ぬ、ぐ……』

 

 いくら体が強大であるとはいえ、中に入っているのは素人も素人。

 道術や呪術は達者でもその巨体を満足に扱えない以上、幾らでも付け入る隙はあった。

 

「らぁッ!」

『ぐおぁ……ッ!』

 

 封印種といえど腹が弱点である事は共通しているらしい。

 人間で言う肝臓の位置に強烈な一撃を食らった先帝は呻き声を上げ、穢らわしい体液を口からまき散らしながら後退した。

 

『この……このッ、穢らわしい虫どもがァァァァァァァッ!!』

「ッ、まずいですね、これッ……!!」

 

 いよいよ癇癪を起こしたらしい先帝が、その肉体に秘められた力を開放した。

 先程までのそれよりも強力な波動が部屋中に反響し、瘴気の嵐が吹き荒れる。

 半ば反射的に展開したカイのバリアは瘴気こそ防いだが、しかし例の波動の透過性は極めて高い。

 悪辣な性質を持った波が、俺たちの脳を犯そうとしていた。

 

『ひれ伏せ、虫ケラ……ッ!』

「……舐めプしてたら追い詰められたので、ムキになったというわけだな」

「ガキかよ、オイ……」

 

 などと暴言を吐いてみるが、ホルルも俺も油汗まみれである。

 文字通りのバケモンだ。アレは。

 これから宇宙に旅立ったら、あんな連中がわんさかいると考えると、寒気を覚える。

 ……いや、今は目先のこと、だな。

 

「……オペレーター! 後どれくらい耐えられる!?」

「わっ…………かんない!!」

 

 奇跡の子と言えど、やはり子供は子供。

 残された時間はそう多くはなく、このまま待つだけでは敗北は必定。

 しかしこの状況で打つ手など考えられない。その思考さえも奪われている。

 

『ふは、ふははははは! やはり圧倒的! 最初から、最初からこうすればよかったのだ……! 呪いも、術も、厄龍も! この暴力の前には鈍らにも劣る……!!』

 

 ……詰み、か?

 遂にその場にいた面々にそのような思考が芽生え始める。

 ただし、それは目の前の敵を殺すことそれ自体ではない。アレは絶対に今ここで殺す。それ以外に選択肢などない。

 諦めたのは、その場にいる全員の生存だ。

 

 最終手段としての命を代償にした秘儀や禁術。

 そういった類の技はこの世界には溢れており───この場にいる半数以上の人間は、それを持ち合わせていた。

 

 当然、そう易々と切れる札ではない。

 セインツは死ななければどうにでもなるだけの医療技術を備えているのだから、使えば確実に死ぬ術など、逆に不利益でしかないというものだろう。

 だが、この場面はどうだ?

 それを切らねば終わる、そういった局面ではないのか?

 確かに温存し、死蔵すべき札であるが、使うべき時に使えず、その結果として全滅してしまえば意味がないというものだ。

 

 と、靄のかかったような思考の中で考えた戦闘員たちは、遂にその行使をしようとして───

 

『死ね、死ね、死ね……ッ、ぬぅ、グゥッ!? うぉ、おぉぉああぁぁぁぁッ!?』

「「「!?」」」

 

 不意に奴が苦しみ始め、頭に響いていた波動も弱まったことで、その行使を中止した。

 

「何だ? いきなりどうした……?」

「やはり、封印種の体を乗っ取るなど土台無理だったという話じゃろう」

 

 のそり、と起き上がりながら、女帝が言う。

 

「察するに……封印種本体が眠っていたからこそヤツの意識が体を動かせたが、封印種の力を使い過ぎて封印種本来の意識が目覚め、その結果ああなっている、か。間抜けなものだな。だが……」

「……ま、もしかしなくてもヤバいじゃろうな、この状況は」

「下手すればさっきの以上のが来るわけでしょう? 耐えられますかね……?」

 

 先程までのあの波動はあの封印種が持つ能力の一つではあったが、あくまでも先帝が操っていた、いわば借り物。

 本来の持ち主があの能力を用いた時、その出力が下がるとは到底思えない。

 

『ぐぉァ、アぐ、うおォ、何だ、何なのだッ、朕の、朕の肉体ををををををををッ!!?』

「……マズいですね。あの様子じゃ多分あまり持ちませんよ?」

 

 この数十秒間に、何か手立てを考えねばならない。

 皆の視線がオペレーターに集中する。

 そしてオペレーター自身もそれを自らの役割と理解しているのか、それより遥か前から目を閉じ、思考を全力で回転させていた。

 

「この場面、俺に任せてくれませんか?」

 

 そんな中で、俺は一歩、悶える先帝に向けて踏み出した。

 皆の視線が、今度は俺に集中する。

 

「何か策があるのか?」

「100%成功するなどとは口が裂けても言えない、希望的観測によるものですがね。ただ、多分……行けると思います」

「具体的には?」

 

 その質問に対し、俺は自分の策を語る。

 

「……成程、確かに希望的観測でしかないな。だが、やってみたら出来てしまいそうというのもまた事実。余は協力するぞ」

「俺にも異存はねぇ。結局最終的には何かしらを賭けることになるんだ。賭けられるチップが一枚増えるって考えりゃあ、やり得だ」

「ということじゃが、どうじゃ? オペレーターよ」

「うん、お願い、セン、皆」

 

 オペレーターが指令を下す。

 その目に迷いは無い。

 

「よし…………やるぞッ!!」

「「「応!!」」」

 

 掛け声と共に、一斉に封印種に向けて突貫する。

 

『おおおおぉぁおあぉあおあああああぁはばbだbvvbzゃやめろやめろやめろやめろやめろやめやめやめやや屋やヤやy繧?a繧阪¥繧九↑繧?a繧阪?縺ェ繧後m縺九∴縺ヲ』

 

 幸いにも雑兵共は主人があの様子だからか動作不良を起こしているらしく、完全に無視することが出来た。

 おかげでここからアレへの道はほぼ一直線。

 ぐんぐんとその距離は縮まってゆき───

 

「触っ…………たァ!!」

『ッ!! よこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせよこせ!!』

 

 先帝の意思らしきものが俺へと流れ込もうとする。

 大方、主導権の取り合いで半ば一方的に敗れつつある意識をどこでもいいから避難させようという魂胆なのだろうが───

 

「させるわけがねぇだろ、ボケがァ!!」

「今じゃッ!! 皆の者ッ!!」

 

 女帝の拳が、ホルルの呪砲が、ミコトの凶撃が、カイの聖撃が、トビの銃撃が、一斉に封印種の肉体に突き刺さる。

 その瞬間、俺が発動させるのは───

 

「【被害───集約】ッ!!!」

 

 俺が最も使った、最も得意な技。

 そして【彼女】と共に奪われ、失われた技。

 それを、発動させた。

 

 発動するであろうことは、ほぼ確実だった。

 俺に、【彼女】の体、そして眠っているだろう【彼女】の意思が揃っている以上、発動しないわけがない。

 ただ、これが俺の思った通りに発動するかは完全に賭けだった。

 集約先が俺になってしまっては意味がないし、封印種の方でもよろしくない。

 先帝の魂。ただそれだけに被害が集約されなくてはならず───

 

『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああッ!!?』

 

 それは、成功した。

 壮絶な断末魔が響き渡り、先帝の魂が千々に砕け散って、消える。

 だが、その次の瞬間。

 

『─────────』

「「「「ッ!」」」」

 

 抵抗を続けていた先帝の意識が完全に消え去ったことで肉体の主導権を取り戻した封印種が、その力を開放した。

 封印種の肉体が再稼働を始め、先程までのそれとはまた比べ物にならない程の波動が周囲に放たれる。

 女帝も、カイさえも皆、吹き飛ばされてしまった。

 だが、俺は頭がどうにかなってしまいそうな力の奔流の中で、封印種の肉体に張り付き続けた。

 だって、そうだろう。まだ取り返すものが残っているのだから。

 

「俺が、俺が大事なんだろうが……ッ!!」

 

 だから、さっさと起きやがれッ!!!

 そう叫んで、俺は今に至るまでに溜め込み続けた瘴気をぶち込む。

 そして、遂に限界を迎えて吹き飛ばされた。

 

「……全く、無茶をする」

 

 冷たい床に這いつくばっていると、頭の上から声が降って来た。

 俺は軋む体と頭を持ち上げ、視線を上へ。

 

「私がこうして目覚めるかどうかさえ賭けだっただろうに……失敗したらどうするつもりだったんだ?」

「……そん時はそん時だったよ」

 

 そこに立っていたのは、黒い女だった。

 長い黒髪に赤い瞳、黒い装束を身に纏った、背の高い女。

 俺を守るように、【彼女】がそこに立っていた。

 

「だが、成功した」

「成功すると思った根拠は」

「愛だろ」

 

 無論、そんなわけがない。

 本当はもっと理論立てた……と言うには不確定要素が多過ぎたが。

 何にせよ、いけるだろう、と思えるだけのものはあった。

 俺も、その為に瘴気を集め続けたのだから。

 だが、無性にそう言いたかった。

 

「……言うようになったな。お前と軽口を叩き合えるとは思わなかった」

「喋れなかっただけだ」

「ははっ、それもそうか……すまんな。服は、使ってしまった」

 

 自らの体を見下ろせば、確かに俺の龍装は完全になくなり、中に着ていたインナーのみになっていた。

 それから再び彼女の方を見てみれば、彼女の方も何だか不完全なように見える。

 まぁ、当然と言えば当然の話だ。

 この服に使った彼女の体は精々その革と鬣、骨だ。

 本来の彼女の10%もない。

 

「……元々アンタの体だったんだ。好きに使ってくれればいい」

「お前にくれてやったつもりだったんだがな。まぁ、これも何かの縁、というヤツなのか?」

「そういうモンだろう」

 

 立ち上がり、封印種に向けて拳を構える。

 

「まぁ、終わったら説教だな」

「子供扱いはやめてくれ? もういい年だ」

「そうか……人間の時の流れは速いものだな……」

 

 俺の隣に並び立ち、【彼女】も構える。

 

「やるぞ」

「ああ」

 




【厄龍の意思】レアリティ:虹
 生命を超越した厄龍、その意思。
 かつて己の総てを賭して守った愛を、再び守護するために不完全ながら顕現した。
 しかしその身が操る厄災の力は、人間の身に余る暴力を秘める。

 専用:セン
 効果:ステータス大幅アップ
    スキル変質
    EX技変質
    スキン変化
    バトルグラフ変化
   
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