結論から述べれば、ありとあらゆる問題は丸く収まったと言っていい。
あの封印種は俺と【彼女】……トゥーラが力を合わせて撃滅。
狂気と悪夢に囚われた人々は───その最中に死んでしまった者を除いて───復活。
僵尸と化したエイリアン共は道士を失ったことで棒立ちになったところを各個処理。
突如浮上した巨大な陸地に関しては一先ず世界連合預かりということになり、今後、色々な調査が行われるようだ。これは後々になって面倒臭い火種になりそうだが……まぁ、今はいい。
封印種共の死体は、それぞれ宇宙へ進出するための【ゴフェルの舟】の材料となった。
強大だったエイリアンの死骸は、素材となっても十分以上にその効力を発揮し、舟の強化に大きく貢献。
宇宙での旅路に耐えうる、強力な舟に進化を果たしていた。
そして、現在。
我々は予定通りに宇宙へ打ちあがり、目標を目指して邁進しているわけであるが……
「……疲れた」
【ゴフェルの舟】の警備員詰所。
俺の城とも言えるその場所で、俺はグロッキーになっていた。
「そうか、疲れたか……ならば私の膝で休め」
「流石に恥ずかしいから遠慮させてもらう……」
トゥーラがポンポンと膝を叩く横に寝転がり、沈み込む。
何故そんなことになっているのかと言えば、原因はオペレーターと、トゥーラにあった。
「あはは……その、ごめんね? トゥーラさん、すごく強くて……」
「まぁ、それはそうなんだが……」
トゥーラは強かった。ものすごく強かった。
流石は厄龍というか、女帝並みかそれ以上の鬼神の如き活躍で宇宙のエイリアン共をバッタバッタとなぎ倒していた。
しかし、そんなトゥーラであるが、体の大部分を失ったことで、存在を維持するためのエネルギーを貯めておくことが出来なくなり、外付けの内臓的な立ち位置として俺に寄生する必要があった。
だからこそ、彼女が戦う場合は必然的に俺も戦場に連れ出されるのであるが……
「呪力が一瞬で枯渇する、と。流石は厄災の龍。燃費が桁違いよ」
まぁつまり、そう言う事である。
彼女が行動する度、俺の呪力がもりもり削られていくのだ。
その負担が結構すごいのである。
いやまぁ飯を食ったりしていれば勝手に呪力の溜まる俺の肉体であるから、一度寝て起きればスッカリ回復はするし、以前のようなことが起きないように細心の注意を俺も彼女もフィルも尽くしているわけであるが。
回復するまでがだいぶ辛いのも事実である。
連続戦闘ともなるとなおさらだ。
「余が肩代わりできなくも無いのだろうが……一瞬で干からびる気がする」
「正解だ、
俺を抱きしめながらトゥーラが言う。
恥ずかしいからと膝枕を拒否したのに何だってもっと恥ずかしいことをしやがるのだろうか。
いやまぁ色々柔らかくて最高なのだが。
「貴様の反対ぶりはすごかったからのう……」
実際、トゥーラは俺がセインツの一員として宇宙に行こうとしていると知り、とてもゴネた。
どれくらいゴネたかと言えば、俺がドン引きするくらいにはゴネた。
『ダメだ! センは私と地球で暮らす! ノイ=ヌーフなどに預けられん! もう二度とあんな事を繰り返させてたまるものか!』
モンスターペアレントもかくや、といった様相であった。
セインツの面々は困り顔、俺も苦笑いを隠せなかったが、まぁ、そうなるだろうなぁというのは全員が共通して認識していた。
俺を思う余りあんなことを引き起こしたのだ。
俺がこれ以上戦う事に大反対するのは、当然の帰結であろう。
だが、俺としては今更セインツを離れる気にもなれない。
だってそうだろう。仮にだが、俺が居なくなった結果オペレーターが死ぬか舟が破壊され、エイリアンへの対抗が絶望的になり、地球が滅ぼされるとか、シャレにならん。
俺がそう彼女を説得するも、帰って来るのは『それで何回も死ぬことになるのなら、それは一回だけでいい』と譲らなかった。
なので、俺はこう言ったのである。
『無理やり俺を地球に留まらせようとするのなら、俺は首を括ることも辞さないが』
要するに、俺は自分を人質に取ったわけである。
そうすれば俺のことを第一に考えるトゥーラにしてみれば、俺を死なせないためには俺を監禁するとか、そういう択しか残らなくなるわけであるが……
そんなことをしてしまえば、あの先帝と同じである。
トゥーラは渋々といった様相で俺の宇宙行きを容認したわけだ。
で、極力俺に戦わせないよう頑張ってしまった結果、こうして逆に俺が頑張る事態になってしまった、と。
何ともまぁ本末転倒というかなんというか。
いや、彼女が強すぎるのが問題なのだが。
「オペレーター、申し訳ないと思うなら何とかしろ」
「うーん……まぁ、そこは適材適所って言うか……」
「一応言っておくが、これでも妾達の出番は相当減った方だぞ、厄龍よ」
「手術の回数もがくんと減っているわよ。まぁ、そこは貴女の頑張りも大きいのだろうけどね」
宇宙のエイリアン共は地球に襲来してきた連中とはけた違いに強力であるし、周囲の環境も地球のそれとは相当異なるものである。
訪れる惑星によって条件が異なりすぎて、適任のメンバーでないと何もできない状況になったりとか、前のようにとりあえず俺、女帝、カイ、ホルル、レナを並べておけば何とかなる、みたいな状況ではなくなっていた。
「だから、使えるときは使いたい、かな?」
「ぬむむむむ……」
「諦めろ、トゥーラ。これも仕方のないことだ」
「ぬむむむむむむむ…………はぁ」
俺を抱きしめる力が強くなり……そして、一気に脱力した。
「わかった。今度も私が折れよう。必要なこと、そうだな?」
「ああ。平和になった後で一緒に暮らす。そのために必要なことだ」
エイリアン共の親玉を撃滅したのなら、今後一切セインツや政治には関わらず、『山河の国』の秘境でひっそりと暮らす。
それが、彼女が宇宙に旅立とうとする俺に課した条件であった。
「……お熱いのぅ、見てるこっちが恥ずかしくなりそうじゃ」
「見られてる俺もだいぶ恥ずかしいですよ女帝様」
いや本当に。
正直そろそろ放してほしい。
「まぁ、何にせよ。まだまだ先は長そうだし、頑張らなきゃね」
「そうだな」
宇宙はあまりにも広大過ぎた。
何千光年にも相当するワープを繰り返しながら進んでも、未だに果てが見えない程には。
だからいずれ訪れるだろう終着点も、きっと遠い。
地球を回る事なんかよりも長い、長い旅路になるだろう。
「これからも、よろしくね? センさん」
「…………あぁ、任せろ」
何とも格好のつかない体勢ではあるが。
まぁ、やるからには最大限頑張らせてもらうことに変わりはない。
それに、今は以前とは違い、半ば電池扱いではあるものの明確に活躍は出来ているからな。
モチベーションも違う。
「よし、もう十分に休んだ。それじゃあ、次だ、次に行こう。オペレーター、命令を出せ」
さぁ、世界を救おうじゃないか。
はい、というわけで初期実装☆2盾キャラ(人権)の話はこれにて完結でございます。
ここまで読んでくださり、どうもありがとうございました。
面白い、と感じてくださったなら、是非とも評価と感想をお願いします。
続きを書くつもりは……今のところ無いです。
セインツの皆さんの宇宙への旅は皆さんのご想像にお任せするという事で。
ただ、書いて欲しいという要望があったら、幾つか書いてみようかなと思います。
そういう場合はskebとかに是非どうぞ。
あとよろしければ応援もよろしくお願いします。
まぁ何にせよ、物語を完結させることが出来て良かったです。
何気に初めて完結まで走り切ることが出来ました。
最初は一発ネタのつもりでしたが、ここまでやれたのは皆様のおかげです。
それでは、ご愛読、ありがとうございました。