初期実装☆2盾キャラ(人権)の話   作:POTROT

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厄ネタに突っ込みに行く話

 詳しい話はミーティングでオペレーターに説明させる、ということでトビと共にミーティングルームの方へと向かう。

 幾度となく改装と増築を繰り返した我らが【セインツ】の誇る移動拠点、【ゴフェルの舟】は最初期のそれとは比べ物にならないほどに巨大化し、各場所への移動の手間は酷く増えたが、ありがたい事に俺の詰所とミーティングルームの位置関係は割と近い方だ。

 

「で、俺達の当初の目的は達成したわけだけど、実際どうなのよ。最前線張り続けるの」

「あー……だいぶ精神に来る。才能の差……というか、基本スペックの差がな」

「基本スペックねぇ……俺からすりゃあお前も相ッ当にバケモンなんだがな?」

「そうか? そうでもないだろう」

「王サマ連中や人外連中に気に入られるって事の意味、さては大して理解してねーなオメー」

「……理解はしているつもりだが……」

 

 そんな会話をしながら廊下を1分ほど歩き、ミーティングルームの扉の前に辿り着く。

 

「…………さて」

「…………?」

 

 当然、扉は施錠されているわけで、開錠しなければ中には入らないのだが、しかしトビは一向に鍵を取り出そうとしない。

 それどころか何かを期待するような眼差しで、ただじっとこちらを見つめてきている。

 そんなトビの行動に何事だと戸惑う俺だったが、しかしすぐに俺は目の前の男が何を言わんとしているのかを察することができた。

 

「……おい」

「マスターキーでお願い♡」

「死ね」

 

 吐き気を催すような大の男の媚び声に盛大に顔を顰めつつ、マスターキーで鍵を開けてやる。

 ……本来、このマスターキーは緊急用のはずなんだがなぁ……?

 

「んじゃ、準備しますかね。……あ、お前は通達の放送頼むわ」

「お前まさかここの鍵開けさせるためだけに俺を呼んだわけじゃねぇだろうな」

「よくわかってんじゃん?」

「テメェ後で覚えておけよマジ」

 

 ……などと悪態を吐きつつも、放送設備のある操舵室の方へと向かってしまう、他人からの頼みを断りきれない俺なのであった。

 こういうところが俺の悪いところだとは分かっているのだが、どうにもこればかりは直せない。

 根っからの善人というやつなのだろうか、俺って。俺からすればそうではないと思うのだが。

 まぁ、いい。とにかく、まずは船内放送だ。

 

「失礼します」

「ん」

 

 機器を操作し、操舵室の扉のロックを解除する。

 重苦しい機械音をあげて開いた扉から俺を迎えるのは、四方八方に配置された夥しい数の機器とモニター。それと艦長席に座りマグカップを傾けた、ブラウンの髭が素敵に映えるダンディなナイスミドル。

 彼こそが【ゴフェルの舟】の艦長にして我ら【セインツ】の創設者、ノイ=ヌーフだ。

【ゴフェルの舟】を持つ彼の呼びかけがあったからこそ、我々は集い、そして共にエイリアンの脅威を退けんと結束する事ができたのである。

 

「……ああ、センか。放送だな?」

「ええ、まぁ。……目的地には今、向かってるので?」

「向かっていると言えば向かってはいるが……まず補給だな。どこぞの大飯食らい共が舟の飯の味を占めたらしい。食糧の減り方が尋常ではない」

「……あー……成程」

 

 放送のセッティングをしつつ、パッと考えついた心当たりを思い浮かべた。

 彼が言っているのはまず間違いなくあの『胃袋ブラックホール三人衆』の事だろう。

 アイツら、ガツガツ食っているわけでも傍に食器の山を積み上げているわけでもないので、パッと見はそこまで大食いには見えないのだ。

 そう、連中は瞬間的に大量に食べるのではない。常識的な速度で食べながら、おかわりを繰り返すのだ。ずっと同じペースで無くなったら追加を繰り返し、結果的にとんでもない量を食べる。

 そのせいでずっと休まる暇が無いと、厨房担当が泣き言を漏らしていた。

 本人達は『癒し系お姉さん』を自称しているようだが、厨房担当達にとって彼女達は『暴食系の悪魔』といったところだろう。

 しかし前々から厨房担当は大変だなとは思っていたが、まさかここまで舟の食糧事情に甚大な被害を与えていたとは思わなかった。

 

「……食う量を減らすように言いましょうか」

「いや、その必要はない。資金的な面でも収容量的な面でも一切の問題は無いし、何より士気は常に高くあるべきだ」

「そうですか。ならばそのように」

 

 この舟と組織のことを最もよく知っているノイさんがそう言うのであれば、大丈夫なのだろう。

 俺はそう返事をしてから、マイクのスイッチを入れた。

 

 

 ■

 

 

「えー、はい、それじゃあ今からミーティングを始めまーす!」

 

 資料とマイクをそれぞれ片手に持ち、オペレーターが開始を宣言する。

 並べられた椅子に座るのは、百数十人にもなる【セインツ】の非戦闘員を除いた総メンバーだ。

 勿論、各国王や重鎮達も揃い踏みである。

 自国はどうした、自国はと叫びたい気持ちに駆られるが、ここは我慢するしかない。

 

「じゃあ早速今回のイベントについて概要を……えーっと……なんか『野の国』の漁村の一つが変だっていう噂が流れてて、それでその漁村についての噂が流れ始めたのがちょうどエイリアン達の第一侵攻があったであろう時期に重なるらしくて、念のためにと調査員を派遣したら、奇妙な通信の後に音信不通になったと。で、僕達が対処すべき案件ってことになったって感じ」

 

『野の国』か。

 広大な国土の殆どを平野が覆う、機械工学が盛んな国で……一番最初にエイリアンの存在に気付き、そして最も大きなエイリアンによる被害を被った国でもある。

 我々も被害が拡大しないよう、彼の国では中々に精力的に活動したつもりだったが……国土があまりにも広大だからな。俺たちの索敵を逃れ、隠れ潜んでいるエイリアンが居たとしても、なんら不思議ではない。

 しかも漁村ともなれば、おそらく海の中に潜んでいたのだろう。

 今までは海まで探していたらあまりにもキリがないのでスルーしていたが、やはり海中も総浚いする必要がありそうだ。

 

「今回も形式としては調査班と戦闘班の二つに分けて行動。ってわけで今からメンバーを発表します」

 

 ざわり、と。聴衆達が色めき立つ。

 毎度のことながら、よくもまぁ彼らも飽きないことだ。

 まぁ、戦闘班は殆どメンバーの入れ替えがない以上、調査班に抜擢されることが彼らにとってほぼ唯一と言っていいオペレーターとお近づきになれるチャンスなのだから、仕方ないといえば仕方ないのだが。

 そして俺としてはオペレーターより自国の政治の方を優先してくれと叫びたい気持ちでいっぱいである。

 

「まず一人目はネプテーさん」

「ふん! まぁ当然よのう!」

 

 そんなことを言いつつも喜びを全く隠せていない彼女ことネプテーは、島々の国の最高機関『十二人の島主たち(オリュンポス)』の一人である。

 また、彼女がキトンの下に着ているダイバースーツからも察せられるように、彼女は海と非常に深い縁があり、その能力も水に関するもの。

 今回は海との関わりがあるだろうことを考えれば、納得の人選だ。

 ただ隙を見せれば男だろうが女だろうが問答無用で食ってしまう(意味深)超危険人物であるので、あまりオペレーターには近づいてほしくない。

 

「そして二人目がレヴィアーくん」

「……………………ん」

 

 ずしんと響く低い声であるが、やはり嬉しさが隠せていない彼ことレヴィアー君は、元々粘土の国付近の海での輸送と護衛を生業としていた無口な好青年である。

 現在は【セインツ】の一員として働いてもらっており、一応警備隊所属ということで俺の直属の部下ということになる。

 力は非常に強いがとても素直なので、非常に扱いやすく助かっている。

 彼であればネプテーからの攻勢(意味深)にも耐えてくれるだろう。

 

「最後に三人目がフィルさんね!」

「え」

 

 え。

 フィル? 今、フィルと言ったか? フィル・ピリスが調査担当?

 思わずフィルの方を向いてみれば、当の本人も困惑したように自分を指差している。

 …………いや何故?

 

「戦闘班はいつも通り! 他のメンバーももしかしたら呼び出すかもしれないから、準備しておいて! ……あ、調査班の三人は後で集合! じゃあね!」

 

 とにかく疑問の尽きない俺であったが、しかしオペレーターは言いたいことだけ言ってさっさと何処かへと行ってしまった。

 他の面々も調査班に選ばれなかったことに残念がりつつ、部屋を退出してゆく。

 

「……………は?」

 

 そうして、何も分かっていない俺と、すごい顔をしているフィルと、後片付けをしているトビだけが部屋に残された。

 

 

 

 

 

 

 さて、あの事件から3日ほど経過したわけであるが、いやはや本当に色々な事があった。

 地上で魚人みたいなエイリアンを相手にして死にかけたり、海中でも魚人みたいなエイリアンを相手にして死にかけたり、その後に出てきた巨大な魚人みたいなエイリアンに死にかけたりと。まぁ大変だった。

 

 ちなみに何がどうしてそんな状況になったのかという類の質問に関しては一切受け付けない。

 戦闘中以外ほとんど死にかけて治療を受けていたんだぞ。逆にどうしてそうなったのかなど俺が聞きたいくらいだ。いやまぁ後でアーカイブは見るが。

 

 とにもかくにも、そんな事があって現在に至るわけである。

 そして現在も、俺は死にかけてフィルからの治療を受けているわけであるが……

 

「本ッッッッ当に! どうしてこうなったのよ!?」

「俺に聞くな……」

 

 フィルは水着姿になっていた。

 それも赤と黄のツートンカラーでライフセーバーを思わせるような色合いの、ビキニタイプの水着だ。

 普段は修道服と白衣で隠されているが中々に良い体型をしている彼女であるので、露出度のかなり高い現在の装いは中々に目の毒である。

 

「折角離れられたと思った戦場には連れ回されるし! アンタはずっと死にかけてるし! ネプテーは獣だし! 私は水着だし! 何がどうなってるわけ!?」

「だから俺に聞かれても知らんって……痛い痛い痛い! 傷口を突くな!」

 

 戦場では色々それどころではないのであまり痛みは苦痛でないが、こういう気の緩んだ場でそれをやられると滅茶苦茶痛い。

 いや本当に。

 

「はぁ……しかも何なのよこの水着……脱げないし、なんか変な力が籠ってるし……」

「変な力?」

「アンタはずっと気絶してたからわからないでしょうけど、なんか変な力が使えるようになってるのよね今の私。逆に普段の能力は使えなくなってるけど」

「どちらのほうが強力なんだ?」

「断然こっち。能力だけじゃない。アンタが言うところの基本スペックも全然違う。何か特殊な術式が水着に何重にもかけてあるみたい」

「…………そうか」

 

 俺はとりあえず頷いた。

 何故水着に? とか、じゃあなんでこんなものが作れたのに今まで出さなかったんだ? とか、そんな野暮な質問はしてはいけない。

 きっと素材が滅茶苦茶希少だったり、奇跡の産物のようなものだったりと、数を用意できないだけの理由があるのだ。きっとそうなのだ。

 

「アンタもこれみたいなの作って貰えばどう? アンタ、ただでさえ強いんだし、だいぶ戦力強化に繋がると思わない?」

「あー……いや、俺はいい。この龍装で十分だ」

 

 能力強化は非常に魅力的な話ではあるが、【彼女】の龍装を脱ぐことになるのであれば、俺は遠慮させてもらう。

 

「そう。まぁ、アンタはもう今のアンタで十分ってのはそうね……っと。はいOK。オペレーターの所に行くわよ」

「ああ」

 

 ベッドから降り、体の調子を確かめながらオペレーターの待つ方へと向かう。

 さて、数分後には俺はまた死にかけているだろうが……これが後どのくらい続くのだろうか。

 ……あと3日くらいで終わってくれるといいなぁ……




キーイベント『怪奇! 狂気の漁村! 〜陰に潜む者達、水着を添えて〜』
参加条件:メインストーリー 一部/最終章 クリア済み
開催期間:14日間


戦闘システム……①ターン始めに行動可能回数が6回分配られる(基本的に増減はなし。ただし技の組み合わせ次第ではこれより多く行動可能)
②6回分の行動を選択する(各キャラの『通常行動』、『アクティブスキル(各キャラに三つずつ用意された能力。一度使用するとクールタイムあり)』、『EXスキル(特定条件達成時に使用可能。条件、効果はキャラによって異なる。一度使用するとクールタイムあり)』か、または『オペレーターズサポート(予め設定しておいた三つのスキル。行動回数を消費しない)』から選ぶ。)
③敵の選択と合わせ、優先度とステータスに応じて行動順が変化。
④ ③で作成された行動順通りに効果が発動。
⑤再び①へ。

センさんのここがすごい①……【被害集約】の優先度は最大値に設定されているので、一番目に設定すれば確実に一番始めに行動してくれる。(尚、他キャラののタゲ集中系スキルも同様)

ネプテー(通常)……味方に有利なフィールドを展開しつつ敵をぶん殴る全体攻撃持ち星5アタッカー。モチーフはポセイドン。フィールドを張ってくる敵に対してのメタとして高難度や周回に使われる事がある。対戦環境ではあんまり見ない。

レヴィアー(通常)……とにかく体力が多く、攻撃を耐えながらEXでダメージを稼ぐ星4タンク。モチーフはリヴァイアサン。開幕4分の1削ってくるセンさんが天敵。対戦環境では味方の体力を吸収して回復するキャラ用の体力バンクとして扱われているのをたまに見る。男性キャラではトップクラスにR-18絵が多い。

【ゴフェルの舟】……デカい、強い、カッコいい。ほぼ宇宙戦艦。公式がネタで出した数量限定プラモは5秒で完売した。
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