転生したらサイヤ人だった件   作:ウイルス・ミス

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矛盾やおかしなところが目立つかと思いますがどうか温かい目で見てください。



プロローグ 上

 

それは孫悟空を中心に繰り広げる摩訶不思議な物語が始まるよりも遥か昔の話。

 

 

エイジ暦550年──数多の星々が煌めく宇宙の果てに一隻の宇宙船が飛行していた。その船に搭乗しているのは1本の尻尾が特徴の戦闘民族、“サイヤ人”であった。サイヤ人達は母星である惑星サダラを仲間割れが原因で失い、新たな新天地を求め宇宙を彷徨っているところだった。

 

 

 

 

「─クソッ!最悪だ」

 

 

 

 

そんな中、慌てた様子で船内を走る1人の女性。その手には幼い赤子が抱かれていた。

我が子であるその赤子は他のサイヤ人達には無い特別な力があった。

生まれて間もないにも関わらず、自力で宙を浮き、泣き叫んだ際には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()時もあった。

その様子を見たサイヤ人達はこれを大昔から語り継がれてきた"伝説の超サイヤ人"の再来だと考えた。そして彼女から赤子を強引に取り上げると自分達が管理すると言いだし、宇宙一の戦闘民族として名乗り上げることができると高らかに宣言するとまるで狂ったように歓喜した。

 

しかし、母親の考えは違った。

 

 

 

 

「お前を人でなし(私達)のようにはさせない…」

 

 

 

 

本来サイヤ人とは冷酷で残忍な性格をした者たち。昨日までの仲間を容赦なく殺し、時には親が子を、子が親を殺すことも厭わない。

だが何事にも例外は存在する。母親である彼女も例に漏れず無情な性格の持ち主であったが、子を儲けたことにより徐々に愛情が芽生え、サイヤ人特有の残虐性も鳴りを潜めていき、次第に穏やかな心を持つようになった。

そして彼女は、いずれ我が子が悪に染まってしまうことを嫌い、宇宙船に積まれていた緊急用の脱出ポッドを使って何処か辺境の星で2人で静かに暮らすことを決意する。

行き先についても当てがあった。

 

それは母星が消滅する少し前、この宇宙船の本来の持ち主である異星人達がやって来たのだ。何が目的で野蛮なサイヤ人が住む星にやって来たのかは不明だが、余所者に対して快く思わなかったサイヤ人達は宇宙船を略奪する為に異星人達の虐殺を開始する。彼等に敵対の意思は全く無かったが容赦無く次々に殺されていき船内が制圧される中、生き残った異星人が緊急ポッドで脱出を図った。ところがポッドに乗り込もうした際に1人のサイヤ人に見つかってしまうのだが、そのサイヤ人こそが彼女だった。既に善の心に目覚め始めていた彼女は、異星人を殺さず自分達の星に帰るように促すとお礼を言いながら去っていった。

 

実はこの時、彼女は異星人がポッドを操作するところを見ており、手順を全て覚えていたのだ。元々緊急脱出用だった為に最初から彼等の母星の座標がインプットされており、簡単な操作で済む設計になっていたのが幸いだったと言ってもいいだろう。

異星人は貧弱で大した戦闘力が無かったのもあって彼等の星に行っても問題無く生活できると考え、この計画に行きついたのだ。

 

だが事はそう上手くはいかなかった。

サイヤ人達の目を盗み、赤子を取り返すことは成功したものの、脱出ポッドに向かっている最中に偶々近くにいた別のサイヤ人に見つかってしまったのだ。

これでは例えポッドに辿りついたとしても発射される前に追いつかれ、自分は裏切り者として殺され、我が子は再び彼等の手に渡ってしまう。

───ならばどうするか?

 

 

 

 

「こいつだけでも逃さないと!」

 

 

 

 

彼女の決断は早かった。

ポッドに辿り着くや否や赤子だけを乗せると覚えていた手順通りに操作し、発射態勢に入るのを見届けると彼女は名残惜しそうな顔で我が子に向けて語りかける。

 

 

 

 

「ごめんな…一緒にいてやれなくて」

 

 

 

 

彼女の目から一筋の涙が流れる。

 

 

 

 

「お前は絶対に人でなし(私達)のようにはなるな。どうか健やかに…生きて……幸せになってくれッ!」

 

 

 

 

別れの言葉を告げると同時に背後から怒号が聞こえ始める。すると彼女は発射までの間にやってくるサイヤ人達を迎え撃つ為に走り出した。ポッドの格納室を抜けると既にそこには憤怒の表情をしたサイヤ人達が待ち構えていた。

 

 

 

 

「貴様!ガキをどこにやった!?」

 

「さぁ、どこだろうね。無理やり聞き出してみたらどうだ?ハゲのオッサン」

 

「こんのアバズレがぁッ!!!!」

 

 

 

 

激昂したハゲ頭の大男が殴りかかってくるが、彼女は慣れた身のこなしで躱すとガラ空きになった大男の脇腹に肘打ちを叩き込む。

 

 

 

 

「──ハァッ!」

 

「ゴハッ!?」

 

 

 

 

強烈な一撃により脇腹を抑え足をカクカクと振るわせながらゆっくりと後退していく。大男は茹蛸の様に顔を真っ赤に染め上げ、汚い唾を飛ばしながら叫ぶ。

 

 

 

 

「お、お前ら何をしている!?サッサとやっちまえッ!!」

 

「「オオオーーーッ!!!」」

 

 

 

 

大男の指示で控えていた他のサイヤ人も襲いかかってくるが、女性でありながら比較的高い戦闘力を有していた彼女はダメージを負いながらも何とか捌いていた。しかし、いくら強くても大勢が相手ではどうやっても勝機は無かった。

攻防を続けること数分、次第に体力を消耗していき僅かに動きを止めてしまう。

 

 

 

 

「…ハァ…ハァ」

 

「──油断したなぁッ!」

 

 

 

 

それが致命的な隙となり、彼女の背後で倒れていた筈の男が突然起き上がると丸太のような剛腕で頬を殴り付ける。

 

 

 

 

「ぐッ!?」

 

「そら、オマケだぁッ!!」

 

「ッ!?──カハァッ!?」

 

 

 

 

よろめいたところを別の男が腹部に蹴りを食らわせると身体がくの字に曲がり、ピンポン玉の様に吹き飛ぶとその先にあった格納庫の扉を突き破ってしまった。

 

 

 

 

「………コフッ!……私…は…ここまでみたいね…」

 

 

 

 

ろくに防御もする間もなく食らったことにより、肋骨が数本折れ、折れた骨が内臓に突き刺さり、口から大量の血を吐き出す。

既に立ち上がる気力もなく、全身に激痛が走り視界がぼやける中、彼女は自分がもう直ぐ死ぬことを悟った。

 

 

 

 

「……けど」

 

 

 

 

そんなことは最初からわかっていた。自分の役割はあくまでも時間稼ぎ。サイヤ人達が辿り着く前に脱出ポッドが発射されていればそれで良いのだ。

そして、()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「へへ……ザマァないぜ…」

 

 

 

 

我が子を乗せたポッドは既に発射され、格納室はもぬけの殻となっていた。

サイヤ人も続々と入ってくるが、唯一あったポッドと赤子がどこにもいないことを目の当たりにし、彼女が何をしたのかを察すると大男が胸ぐらを掴み上げる。

 

 

 

 

「お、お前!まさかガキを…」

 

「…ああ、とっくに飛んで行ったよ。宇宙一になれなくて残念だったな?ゲスどもが…」

 

「このッ!不出来なサイヤ人がァァッ!!!」

 

 

 

 

自分達を心底馬鹿にした様な表情で罵る彼女に怒りを爆発させた大男は拳を大きく振り上げる。

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

死が目の前に迫っているというのに彼女の心情はとても穏やかだった。

人でなしである自分が、サイヤ人の魔の手から我が子を守り切ることができたのだから。もう思い残すことは無かった。

 

 

 

 

(──ああ…でも)

 

 

 

 

いや、1つだけあった。

 

 

 

 

(アイツに名前…付けてやればよかったなぁ)

 

 

 

 

子供に名付けができなかったことが唯一の心残りだった。

 

 

 

 

(いや…アイツが無事に生きてさえいれば)

 

 

 

「死ねェェェェェェッ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

(それだけで……いいや)

 

 

 

 

満足げに目を閉じる中、大男の怒号と共に血管が浮き出るほどに握りしめた拳を振り下ろすと彼女の胸部を一瞬で貫いた。

鮮血が噴き出し、糸が切れた人形ように彼女の身体が倒れ込む。しかし、骸となって尚、その口元は小さな笑みを浮かべているのだった。

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、悪のサイヤ人達の野望は善の心に目覚めた1人のサイヤ人の手によって潰えた。彼女が守り抜いた小さな命を乗せたポッドは、異星人の住む惑星に向かって突き進み、やがて無事に目的地に到着する───()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()様、飛行中に食事とはお行儀が悪いですよ。せめて宮殿に着いてからにして下さい」

 

「いいじゃないか()()()。このデザート一度食べ始めたら中々止まらないんだ。溢さないようにするからぐちぐち言うなよ」

 

「溢す、溢さないの話しではありません。みっともないと言っているんです」

 

 

 

 

星々の輝く宇宙空間にて、極超光速で移動する2人組。片や毛のない猫の頭を持った紫肌の亜人の名はビルス。界王はおろか界王神からも恐れられている宇宙の均衡を保つ為に存在する"破壊神"である。

その破壊神のだらしの無さに呆れた様子を見せる青肌に逆だった白髪が特徴の人物は彼の"付き人"のウイス。

 

彼等は先刻、とある惑星を破壊した帰り道だった。破壊した理由はビルスを歓迎するフリをした原住民達が提供した食事に毒物を仕込んでいたのがバレたことが原因である。おまけにバレた途端に見苦しい言い訳をし、やれこいつの独断だの、お前が提案しただのと言い争いを始める始末。

見るに堪えない押し付け合いをする原住民に対し呆れた彼は審判を下した。

 

 

 

 

───身の程を弁えず、神を毒殺しようなどと企む愚かな人間は不要。

 

 

 

 

破壊神の権限のもと、惑星は瞬きの間に消滅し、宇宙の塵となった。

人間としては最低レベルだったが、提供されたデザートは美味だったのでそこだけは高く評価していたのは余談である。

 

 

 

 

「うっさいな!ボクは破壊神だ。いつどこで食べようがボクの勝手だろう?」

 

「ああ言えばこう言う…。そもそも破壊神は関係ありませ……あら?」

 

 

 

 

行儀の悪い自らの主に眉をひそめるウイスだったが、ここであることに気付く。

 

 

 

 

「ビルス様」

 

「大体ボクは仕事終わりで疲れているんだ。仕事を終えた自分にご褒美としてコイツを今食ったっていいだろう」

 

「あの、ビルス様」

 

「そもそも誰も見てないんだし、多少行儀悪くても──」

 

「ですからビルス様」

 

「何だよウイス、今ボクが喋っているんだから口を挟むなよ!」

 

「それはすみませんねぇ。ですが今直ぐ頭を低くしないと何かが──」

 

「え?──のわぁぁッ!?」

 

「ぶつかって来ますよ?」

 

 

 

 

2人の進路上から飛んで来た円柱状の物体。それは赤子を乗せた脱出ポッドだった。座標通りに進んでいたポッドはよりにもよって宇宙で最も恐れられている破壊神の顔面に激突してしまう。

その結果、本来の軌道から大きくズレてしまいビルス達の近くにあった全く別の惑星に落ちていってしまった。

 

 

 

 

「ぐぅ…このビルス様にぶつかって来るとはいい度胸じゃないか…」

 

 

 

 

容易に回避できたであろうにデザートに夢中になって注意力が散漫になっていた結果である。完全な自業自得だった。

因みにウイスはぶつかる直前に頭を下げていたので当然無傷である。

 

 

 

 

「大丈夫ですか、ビルス様?」

 

「この程度で怪我する訳無いだろう。でも折角のデザートが台無しになっちゃったよ。ウイス!今飛んで来たのはどこに行った?」

 

「ビルス様の直ぐ後ろにある惑星ですよ。向かいますか?」

 

「当たり前だろ!何が乗っていたのか知らないが、文句の1つでも言わなきゃボクの気が治らないよ」

 

「ぶつかったのはビルス様の自業自得だと思うのですが…」

 

「うっさいなッ!いいから行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

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