この度、次回以降の内容を考慮して新たに他作品の技有りのタグを追加しました。
投稿ペースは遅いですが今後も宜しくお願いします。
ウイスに連れらてビルス星にやって来た悟空とベジータ。
彼らは到着して早々に出会った金髪碧眼の女性、ルージュから溢れる桁違いの力に愕然としていた。
「こ、この存在感…この圧力…。カカロット、奴の姿は」
「…ああ、間違いねえ。あれは超サイヤ人3だ。けど…」
腰まで伸びた金髪、黒い瞳孔がある碧眼。そして、彼女から放たれる圧倒的なオーラは悟空達が知る超サイヤ人3の特徴と合致する。
だが決定的に異なる点が一つだけあった。
「静かだ…静かすぎる…」
それは気の安定性。
従来の超サイヤ人3が荒れ狂う大海原の如く荒ぶる気ならば、彼女の気は波風一つ立たない静寂に包まれた大海原だ。
あまりの違いに即座に見抜けなかった程に二人が知るものとはかけ離れていた。
「あの荒々しい気をここまで抑え込むだと…。
一体どんな手品を使いやがったんだ」
「……いや、一つだけあるぜ。ベジータ」
「なに?」
「覚えてねえか? オラ達がセルを倒す為に精神と時の部屋で修業した時をよ」
「セルだと? 確かあの時は……っ! まさか…」
「そのまさかだ。信じらんねえけど…あれは慣らしたんだ。超サイヤ人3を」
「馬鹿な!? あの変身は気の消耗に加えて肉体の負荷が大きすぎる!
超サイヤ人の時とはわけが違うんだぞ」
「確かにな。けどあいつから感じる気はオラと悟飯が超サイヤ人を慣らした時とよく似ている。どうやったかはわかんねえけど間違いないと思うぜ?」
超サイヤ人3を慣らすという常軌を逸した行為にベジータは半信半疑な様子を見せるものの、悟空は確信していた。
かつて己も形態は違えど同じ修業をし、超サイヤ人の常時化を会得したからこそ感じ取れるものがあったのだ。
「すげぇよ…。ビルス様から聞いてたけど、想像以上だ…」
超サイヤ人を慣らすだけでも悟空は相当な苦労を要した。
正直な話をすれば、もう一度同じ修業をやれと言われてもよっぽどのことがない限り首を縦には振らない程に肉体の負荷は凄まじく、気のコントロールにも難儀したものだ。
それが超サイヤ人3となれば一体どれだけの負荷と精密な技術が求められることか…。
想像しただけでも身震いしてしまう。
しかし、目の前の彼女はそれを乗り越え、超サイヤ人3の常時化を会得した。
だからこそ悟空は尊敬の念を抱かずにはいられなかった。
「ベジータ。こりゃあオラ達もうかうかしてられねえぞ」
「フン…言っておくがオレはまだ認めたわけじゃないぞ。
奴の力量を直接確かめない限りはな」
「ハハ、ベジータらしいや。……にしても、ビルス様の弟子って聞いてたからもっと硬い奴を想像してたけど…」
悟空が視線を向ければ、当の本人が焦燥感に駆られた様子でウイスに詰め寄っていた。
「──ですから、お二人の熱意に心を打たれた私は此方に招待することにしたんですよ」
「いや絶対嘘だろ! 一体なにを条件にして連れて来たんだよ!」
「地球の食べ物です」
「それ心を打たれたんじゃなくて食い物に目が眩んだだけだろ!」
「なにを言いますか。ベジータさん達からは定期的に美味しい食べ物を提供してもらい、私は対価として彼等を指導する。文句のつけようがない正当な契約ですよ」
「買収されてる!? 仮にも破壊神の付き人がそれで良いのかよ!?」
悟空はキレの良いツッコミを繰り出すルージュの姿を見て自身の懸念が無用であったことを悟るのだった。
(最近矢鱈と出掛けているとは思っていたけど、そういうことだったのかよ…)
ウイスから事情を聞きルージュは深いため息を付きながら顔を覆うように手を当てる。
曰く、地球の食べ物をいたく気に入った彼はお忍びで地球を訪れるようになり、そこでブルマから様々な料理をご馳走してもらっていたらしい。
そして今回もいつものようにブルマと落ち合ったところ、偶然悟空達と鉢合せになり、ビルス星で二人を鍛える流れになったそうだ。
(そうか、それで悟空とベジータは此処で鍛えることになったのか…。
クソ! 流石にそこまでは覚えていなかった…)
既にルージュは前世の十数倍の時を生きている。
如何に原作知識があるとはいえ、その全てを記憶に留めておくことはできなかった。
(あーもう! 悟空達の前でなんて醜態だ。
せめて事前に知っておけばこんなことには…)
「なあ、そろそろいいか?」
「ウ"エ"ッ!?」
酷い醜態を晒してしまい、顔から火が出る思いに見舞われていると遂に悟空から声が掛かる。
まだ心の整理がついてない所為か思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「おめえなに恥ずかしがってんだ。もしかして人見知りか?」
「ソ…ソンナコト、ナイヨ…」
「ハハ、面白い奴だな。知ってるかもしんねえけどオラは孫悟空。おめえと同じサイヤ人だ。
で、こいつがベジータ。気難しいけど悪い奴じゃねえからよ。安心してくれ」
「カカロット! 余計なことを言うな。
……ベジータだ。好きに呼べ」
(………ハァ……もう、腹を括ろう…)
此方を気遣う人柄の良さに加えて、不思議と安心感を抱かせる人懐っこい笑みを見て、いつまでも緊張している自分が馬鹿らしくなってしまった。
これ以上の醜態は相手に失礼。一呼吸置いてからおもむろに口を開く。
「んん。えーと…初めまして。あたしはルージュ。
会えて嬉しいよ。悟空、ベジータ」
「なんだよ。ちゃんと喋れるじゃねえか」
「急なことで混乱しちゃってさ。見苦しいところを見せてごめん」
「ハハ、気にすんな。そんでよ、ルージュのそれって超サイヤ人3だろ?
よく慣らすことができたなぁ。オラ最初に見た時驚いたぞ」
「い、いきなり切り込んで来るね…。でも凄いな、見ただけでわかるんだ?」
「昔、オラの息子と一緒に超サイヤ人を慣らした時があってな。おめえの気がその時のオラ達と似ていてよ。なんとなくだけどわかるんだ」
(確かにやっていることは同じだけど…まさか一目で見抜くとは…)
悟空の見抜くことに長けた観察眼にルージュは感嘆の声を漏らす。
彼は一見すれば唯の能天気な男に見えるが、決して馬鹿ではない。
相手の戦闘力や行動パターンを分析し、戦略的な判断を下す。そうして敵の弱点を突くことで戦況を有利に進める。
こうした柔軟に対応する適応力と洞察力の高さが彼の強さの秘訣なのだ。
「………解せんな」
すると名乗ってから黙りを決め込んでいたベジータが睨みつけるような目付きで静かに呟く。
「カカロットの言う通り、貴様が自然体で超サイヤ人3になれるのはわかった。
だがそれなら何故気が減らない? いくら慣らしてもあの消耗の激しさを完全に無くせるとは思えん」
「あ、そいつはオラも気になってた。なんでだ?」
「あー…これはあたしの体質が原因なんだけど──」
ベジータ達の疑問にルージュは自身が抱える体質について説明していく。
彼女の口から語られる驚愕の内容にベジータは目を丸くして納得した様子を見せ、悟空は憐れみを含んだ目を向けていた。
「無限に増え続ける気…か。
なるほど…その異常な気もそれが理由か」
「おめえ…よくそれで生きてこれたなぁ…」
「自分でもそう思うよ。でも、こうして慣らすことができたのは皮肉な話だけどこの体質のおかげなんだ」
「確かにそうかもな。けどよ、ルージュは辛い思いをしながら生きる為に必死で努力したんだろ? 並の覚悟じゃそこまでできねえさ。だからもっと誇っていいとオラは思う」
「悟空…」
悟空の言葉には一切の裏がない。どこまでも純粋で、どこまでも真っ直ぐ。
いっそ清々しいとさえ思える程の率直な称賛にルージュは照れ臭くなってしまった。
だが、悟空が放った次の一言が彼女の気持ちを一変させる。
「まだ
「……ん?」
「見た感じ悟飯より
「と、歳下…」
「あの破壊神に弟子がいると聞いた時は一体どんな奴かと思っていたが…まさかこんな
「小娘……………………プッ」
もう限界だった。若いだの、歳下だのと言われ、挙げ句の果てに小娘呼ばわり。
そんな見当違いな台詞を言われて耐えられるわけがなかった。
「フフ…ハハ…ハハハハ! アハハハハハッ!!」
「なんだ…なにがそんなに可笑しい?」
「お、おい…急にどうした?」
「ハハ…こ、小娘……よ、よりにもよって…あたしを小娘って…フフフ…アハハハハ!! ダ、ダメだ…腹が…腹が痛い! ハハハ!!」
涙を浮かべ腹を抱えて豪快に笑うルージュ。
突然の豹変に困惑する中、ウイスが小さく笑いながら口を開く。
「あらあら…これは完全にツボにハマってますねぇ」
「オラ達なんか変なこと言ったか?」
「敢えて言うなら、正しくもあり、間違っている…といったところでしょうか」
「益々わかんねえなぁ…」
ウイスの矛盾した言動に悟空が首を傾げていると漸く笑いが収まったルージュが息切れを起こしていた。
「ハァ…ハァ…ハァ……あーー笑った笑ったあ。こんなに笑ったのは久しぶりだよ」
「なあ、オラ達なんか間違ってたか?」
「いや、別に間違いじゃないよ。…肉体的にはね」
「肉体的?」
「どういうことだ?」
「あたし、実は結構長生きしててさ。こう見えてずっとおばあちゃんなんだよ。
何なら悟空達よりも歳上だしね」
「えっ…けどおめえ……どう見ても」
ルージュの発言に二人は意味がわからないといった様子で眉を顰めた。
それもその筈、彼女は老いを全く感じさせない若々しい外見に加えて、若さ特有の覇気に満ち溢れていたのだ。
悟空達が勘違いするのも無理がなかった。
「…じゃあ、一体いくつなんだ?」
「確か今は…二百二十九歳だったかな」
「に、にひゃくっ…!?」
「ば、馬鹿な!? サイヤ人の寿命をとっくに超えている。
二百年以上生きた奴なんて聞いたことがないぞ!」
サイヤ人の平均寿命は地球人とほぼ同じで、長く生きたとしても精々百歳前後が限界とされている。更に彼等は戦闘に特化した種族の為、還暦を迎えても老化現象がほとんどなく、一定の年齢になると急速に衰えるという特徴がある。
しかし、彼女はそのどれにも当て嵌まらない。姿もさることながら、異常なまでに長命。
王族故にサイヤ人の歴史に詳しいベジータでさえ、そのようなサイヤ人は見たことも聞いたこともなかった。
長命ではないサイヤ人がそれだけ長い時を生きる方法があるとすれば、ベジータが知る限りこの世に一つしかない。
「貴様…まさかドラゴンボールを使って不老不死に…」
「それは違いますね、ベジータさん。彼女の寿命は先天的なものです」
どんな願いも叶えるドラゴンボールの力なら不老どころか不死になるのも容易い。
ベジータは大昔にその力を使ったのではと考えたが、ウイスが真っ先に否定する。
「先天的だと? 突然変異だとでも言うのか」
「それも違います。彼女は───」
ウイスがそれに気付いたのはルージュが四十代の頃。
元々サイヤ人が若い時期が長い種族だというのは知っていたが、それでも当時のルージュは彼の目から見ても異常なレベルに若すぎた。
いくら青年期が長くても年齢を重ねれば多少は老けるもの。それは他のサイヤ人と比較しても明らかだった。
そこで不審に思ったウイスが彼女に提案し、詳しい検査を行う運びとなった。
この時の彼は突然変異ないしはそれに近い現象によって彼女の身に何らかの変化が起きていると推測していたが───
『(これは……変異した形跡がない?)』
事実はそうではなかった。
そもそも突然変異とは細胞分裂やDNAの複製時のミスや化学物質、放射線、ウイルスといった外的要因よってDNAの塩基配列が変化することで発生する。他にも様々な要因で変異を起こすが、これらには共通して変異した際になにかしらの形跡を残す。
ところがルージュにはその形跡はおろか、細胞にも、塩基配列にすらも異常は見当たらない。
『(………なるほど…そういうことですか)』
これらの結果から導き出せる答えは───
『(
人間が生み出した様々な物に設計図があるように生物にも設計図が存在する。
命の誕生に必要不可欠な要素、謂わば"生命の設計図"とも呼べる膨大な遺伝情報は親から子へ、子から孫へと代々引き継がれていく。だから地球人からは地球人が、ナメック星人からはナメック星人が、サイヤ人からはサイヤ人しか生まれない。
ところがルージュの場合は両親の遺伝情報、より厳密にはサイヤ人の細胞の活動限界に関する情報の引き継ぎが正しく行われなかったのだ。
『(引き継ぎに失敗したことでエラーを起こし、全く異なる情報…おそらくは長命の種族と類似した遺伝情報がルージュさんのDNAに記録されてしまった…。
やれやれ…リミッターの欠落といい、あなたには驚かされてばかりですよ…)』
つまり、前提から間違っていた。
変異したのではなく彼女は初めからサイヤ人の枠組みを超えた長命種としてこの世界に生まれ落ちたのだ。
『…こんな突拍子もない話、ビルス様が起きた時に聞かせたら目ん玉ひん剥いてひっくり返るんじゃないかな』
『……それだけで済めばいいんですがねぇ』
『ん? なにか言った?』
『いいえ、なにも…』
余談だが五年周期で起きる必要はなかったと知ったビルスは今まで我慢した睡眠時間を返せだの、気晴らしにサンドバッグになれだのとルージュを怒鳴りつけ、理不尽な言動にキレたルージュ(戦う口実ができたので本人は割とノリノリだった模様)はこれを了承し、破壊神とその弟子による大喧嘩?が勃発することとなった。
尚、この戦いは一時間以上行われ、ルージュが地面に背を付けて気絶するまで続いたとウイスは記憶している。
「──というわけです」
「……俄には信じ難いが…こうして生き証人が目の前にいる以上信じるしかないか…。
…全く、貴様の身体は一体どうなってんだ」
「それはあたしが一番聞きたいね。ウイスさんもずっと調べてくれてたんだけど原因がさっぱりわからなくてさ。今はもう諦めているよ」
「じゃあさ、ルージュってどのくれえの寿命があるんだ?」
「それもわからない」
「え?」
「さっきあたしの気が無限に増え続ける話をしただろ?
あの体質の所為でわからないんだよ」
この世界の気とは生命エネルギーそのものだ。そしてルージュは常人を遥かに超える膨大な気をその身に宿している。つまり彼女の体内には通常ではあり得ない量の生命エネルギーが常に循環しているということになる。
これにより過剰なエネルギーに晒された細胞が極限レベルに活性化し、細胞の劣化速度を著しく低下させ、老化の進行を遅らせているのだ。
寿命の超越と老化の抑制。この二つの要素が合わさったことで彼女の正確な寿命はウイスですら特定出来ていない。
「気が多すぎるから…老いねえって…」
「次から次へと……貴様は本当にサイヤ人なのか?」
「そ、それは言わないでくれるかな…」
ベジータの至極真っ当な疑問にルージュは返す言葉がなかった。
彼の言う通りここまで来ると最早サイヤ人なのかも怪しい。ルージュですら自分はサイヤ人の皮を被った別のなにかではと何度も考えてしまう程だ。
自身の体質に対して嬉しいような悲しいような複雑な心境でいると、頃合いを見計らったかのように、パンパンとウイスが両手を叩く。
「さて、ルージュさんのことが気になるのもわかりますが、それは一旦置いておきましょう。
そろそろお二人には此処で生活する際の注意事項などについて説明していきますよ。どうせなら城の中を案内しながら話しましょうか」
「あ、それならあたしもついて行っていいかな?
どうせ今日は暇だからさ」
「構いませんよ。では参りましょうか」
案内の為に城へと歩みを進めるウイスとルージュに続いて悟空も歩き出そうとしたその時。ベジータが低い声音で待ったをかける。
「待て! その前にやることがある」
「おや、何かありましたか?」
「決まっている」
ウイスの問いに真剣な表情を浮かべたベジータが右手の人差し指をビシッとルージュに向けて突き出した。
「オレと戦え! ルージュ!」
【プロフィール】
ルージュ(青年期)
種族:サイヤ人
出身地:惑星サダラ
誕生年:エイジ549年
年齢:229歳(肉体年齢:18歳)
身長:167cm
体重:53kg
変身形態
超サイヤ人
超サイヤ人2
超サイヤ人3
超サイヤ人3・限界突破
??????
??????
〔エラーリスト〕
▶︎エラーコード001
〈詳細〉
気の無限生成。あるべき筈のリミッターが欠落したことで当人が死亡しない限りは体内の気が許容範囲を無視して永久に増加する。
(追記)
第3のエラー
▶︎エラーコード002
〈詳細〉
長命種。遺伝情報の引き継ぎに失敗したことで本来のものとは異なる情報が記録されサイヤ人に定められていた寿命を超越した。尚、エラーコード001の影響で老化の進行速度が著しく低下したことにより当人の正確な寿命は不明。
▶︎エラーコード003
〈詳細〉
開示不可