転生したらサイヤ人だった件   作:ウイルス・ミス

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後編の筈が予定よりも長くなってしまったので急遽中編にすることに…





神の代行者 中編

 

惑星M2にて始まったルージュとリルドの戦い。

気を開放したルージュから溢れるオーラは、従来の超サイヤ人が発する炎のようなオーラではなく、最早雷そのもの。黄金に輝く雷光と、無数にほとばしる青白い稲妻、青空を思わせる碧眼に黒い瞳孔があるその形態の名は──

 

 

 

()()()()()3()

 

 

 

彼女は当初の目標だった超サイヤ人2の日常化を十七歳で会得した。

しかし、その後も徐々に体内の気は増加していき、超サイヤ人2ではいずれ限界が訪れることを悟った彼女は、更なる高みを目指す為にビルスとウイスの協力の下、より厳しい修業に明け暮れた。

 

そして長い努力の末、遂にルージュは超サイヤ人3に覚醒し、その日常化にも成功したのだ。この副産物として超サイヤ人3の出力が大幅に上昇し、可視化される気の性質にも変化が起こった。従来の形態から進化したその姿は

"超サイヤ人3・限界突破"とでも呼称するべきだろう。

 

 

 

 

「──ぬぅ!?」

 

 

 

 

ルージュから放たれる膨大な気の嵐を前に、リルドは思わずたじろぐ。

しかし、総指揮官としてのプライドが彼を立ち直らせると、彼女に対抗するように能力を発動させた。

 

メタルリルドとなった彼は惑星M2とリンクしており、言わばこの星はリルドそのもの。これにより、M2内にある全ての金属を意のままに操ることができる。

その力を駆使し、ルージュを囲うように地面の金属を何万何億もの槍に変化させると彼女を串刺しにせんと巨大な波のように押し迫った。

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

金属による大津波を前に、ルージュは冷静な顔で片足を僅かに上げると──

 

 

 

 

タンッ!

 

 

 

 

踏み込みと共に軽い音が鳴る。

たったそれだけの動作で大地は揺れ、彼女を中心に轟音と共に大きく隆起し、金属の波を押し返した。

 

 

 

 

「何だと!?」

 

 

 

 

圧倒的質量を誇っていた攻撃が、足踏み一つで無効化されたことにリルドは驚きを隠せなかった。その隙にルージュは、目にも止まらぬ速さで音もなく接近し、彼の目と鼻の先に現れる。

 

 

 

 

「──なっ!?」

 

「フフ…」

 

 

 

 

いつの間にか目の前にいるルージュに目を見開きながら唖然とするリルド。

その表情を面白がった彼女は小さく笑いながら、中指を内側に曲げ、親指で中指を押さえた手を彼の額にそっと近づけると──

 

 

 

 

パチンッ!

 

「ぐおおぉぉーーー!!??」

 

 

 

 

その場にそぐわない音が響くと、リルドは頭を仰け反らしながら砲弾のように吹き飛んだ。

ルージュがやったことは何てことはない、唯の()()()()だ。

だが、彼には自分の額に巨大な岩石がぶつかったと錯覚するような衝撃が襲ったのだ。ビルなどの建物を次々と破壊しながら吹き飛ぶも、勢いが弱まることはなく、そのデコピンの威力の高さを物語っていた。

 

 

 

 

「ぐぬぅ…何のこれしき!」

 

 

 

 

デコピン一つで吹き飛んだことに屈辱を感じながらも、彼は周囲の建物を液体金属に変換すると、クッションの代わりにして無理矢理静止させた。

遠くにいるルージュを睨み付けながら、ロケットのような速さで接近すると、その太い腕からは想像できない速度で殴りかかる。しかしいくら拳を振っても、彼女には見切られており、全く当たる気配がない。

ルージュにとっては、リルドの攻撃などスローモーションにしか映らず、受け止める必要もなく身体を少しずらすだけで事足りるのだ。

 

 

 

 

「遅い!」

 

「ゴハァッ!!??」

 

 

 

 

数分続いたリルドの攻撃を全てかわした彼女は、拳が空振った隙を付いて、腹部にめり込む勢いで殴りつけると、鈍い音を立てリルドの身体がくの字に曲がる。

ドクター・ミューによる改造で、非常に高い防御力を誇る肉体も、彼女の前では無意味に等しい。激痛が襲う中、ルージュは彼の頭部に回し蹴りを放ち、地面が大きく陥没する勢いで叩き付けた。

 

 

 

 

「…ぐう……まさか…これ程とは……」

 

「ミューを出す気にはなったか?」

 

「…フ、フフ……そんなわけがあるか。その桁外れのパワー…やはり貴様はベビー様の器に相応しい。何としてでも捕らえさせてもらうぞ…」

 

「この状況でよくもそんなことが言えるな」

(そもそもなんでこの時代にベビーが目覚めているんだよ…)

 

 

 

 

力の差は歴然としているのに、ルージュの要求に頑なに応じないリルド。

そんな彼に呆れながらも、度々口にしていた()()()というこの時代では絶対に聞かない筈の名前に、彼女は疑問を感じずにはいられなかった。

 

内心で首を傾げるルージュを他所に、リルドは上空に移動すると、再び周囲の金属を液体金属に変換させる。

彼によって操られた金属は一箇所に集まり出すと、次第に巨大化していき形を形成していく。

 

 

 

 

「へぇ…今度は何を見せてくれるんだ?」

 

「その慢心が命取りになるぞッ!」

 

 

 

 

ルージュが面白いものを見る目で腕を組みながら眺めていると、形が徐々に浮き彫りになっていく。

 

 

【挿絵表示】

 

 

敢えて何もせずにいると、大地から生えた山より巨大な剛腕が形成された。

するとリルドの命令を受け、その剛腕は拳を握り締めると、彼女に目掛けて大気を揺らしながら殴りつけて来た。

 

先程の津波を遥かに超える規模を前に、彼女はニヤリと笑うと、宙に浮きながら拳を構え、対抗するように突き出した。

 

 

 

 

「そらよッ!」

 

 

 

 

空を覆う巨大な拳とルージュの拳がぶつかり、大気を揺らす衝撃波が波紋のように広がる。

その瞬間、金属の剛腕が耳をつんざくような甲高い音を響かせながら、水風船のように弾け飛んだ。

規模を考えればリルドの方が有利だが、彼女から言わせてもらえば大きさなど関係ない。いくら質量で勝ろうが、パワーが弱ければ唯の子供騙しに過ぎないのだ。

 

剛腕を破壊したことにより、ルージュの周りでは腕を形成していた金属が無数の破片となって飛び散っていく。それを見たリルドは、自慢の攻撃を軽くあしらわれたことに焦りを感じながらも、口元は笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

「命取りになると言った筈だ!」

 

「ん?」

 

 

 

 

ルージュの周囲に舞っていた金属片がウネウネと動き出したかと思えば瞬時に液体金属に変化し、一斉に彼女の身体に纏わり付き始めた。

リルドは最初からこうなることを予測して、彼女が油断する一瞬の隙を突いたのだ。

彼の能力で、無数に散らばった金属片が次々に液体金属に変わり、彼女の身体を覆い尽くしていき、身動きを完全に封じていく。

 

 

 

 

「捕らえたぞ。これで貴様は終わりだ」

 

 

 

 

巨大な卵のような形になった金属の塊を眺めながら、リルドは勝利を宣言する。

すると塊から緑色の眩ゆい光が溢れ出し、周囲を照らしていく。

 

光の正体は、生身の人間だろうと問答無用で金属板にできる特殊な怪光線だ。

リルドは元々口から放つことができるが、メタルリルドに変身すると操った金属からも放つことができる。

これによって、ルージュを拘束する金属から照射され、今の彼女は無力な金属板に変わり果てた。だからこそ彼は勝ちを確信したのだ。

 

 

 

 

「ハッハッハ!残念だったなサイヤ人!これで貴様はもう何もできん。大人しくベビー様の───何!?」

 

 

 

 

勝利の酔いに浸る中、異変は突如として起こった。

ルージュを拘束していた金属の塊が膨張を始め、ボコボコと音を立て、みるみるうちに膨れ上がっていく。

 

 

 

 

「ば、馬鹿な!?ありえないッ!!」

 

 

 

 

狼狽えるリルドを無視して塊が肥大化していき、遂に限界を迎え爆発音と共に弾ける。中からは金属板になった筈のルージュが、瞼を閉じながら涼しげな表情で姿を現した。

 

 

 

 

「何故だ!?直撃した筈だぞ!」

 

「態々説明するわけないだろ?まあ、敢えて言うなら、お前のちゃちなビームはあたしには通用しないってことだよ」

 

 

 

 

肩の埃を払うような仕草をしながら、余裕の表情を浮かべるルージュ。

彼女が金属板にならなかった理由は、身体全体を気で守っていたからだ。

その身に有り余る膨大な量の気を利用し、何層にも重なった気のシールドがリルドの怪光線を無効化したのだ。

その防御力はビルスですら"面倒臭い"と評価する程。鉄壁の防御がある以上、リルドの怪光線など何の脅威にもならない。

 

 

 

 

「チッ…ならばこれはどうだッ!」

 

 

 

 

ルージュの言葉をハッタリと考えたリルドは、素早く周囲の建造物を操り無数の巨大な触手に変化させると、彼女を包囲するように展開させる。すると触手の先端が一斉に緑色に発光する。

 

 

 

 

「この数ならば耐えられまい!」

 

「質より量ってか?そんなことをしたって結果は変わらないよ」

 

「減らず口を…ならば食らえ!!」

 

 

 

 

今までの戦い方から、手数の多さを活かした戦法で攻めることにしたリルドは、ルージュの周囲に展開した数えるのも億劫になる触手から、今も腕を組んで呆れた表情を浮かべる彼女に向かって再び怪光線を放った。

余りの多さに周囲一帯は光に包まれる中、再び彼の口元がニヤついてく。

 

 

 

 

「フフ…これだけの数ならば流石の奴も耐え──」

 

「ほら、効かないだろ?」

 

「─なっ!?」

 

 

 

 

光が収まっていくと無数の怪光線を浴びた筈のルージュはどこも金属化しておらずケロリとしていた。金属板に変えてしまう効果は確かに厄介だが、元々大した威力がない以上、いくら数を増やそうが彼女の気によるシールドを破ることは不可能なのだ。

 

 

 

 

「だから言っただろ、結果は何も変わらないって」

 

「そ、そんな馬鹿な…」

 

「じゃ、そろそろ終わらせようか」

 

 

 

 

自身の必殺の攻撃が通用しなかったことにリルドは意気消沈するも、彼女にとってはどうでもいいこと。

片腕を横方向へと突き出すと、神速で接近しリルドの喉元目掛けて容赦なく叩きつける。

 

 

 

 

「はや──ガハッ!!??」

 

 

 

 

あまりの速さに避ける間も無くルージュの打撃技がヒットし、激痛で目をひん剥きながら吹き飛ばされると、幾つもの建物を突き破っていき、やがてリルドは瓦礫の中に埋もれていった。

 

 

 

 

「フゥー…これで決着かな………さてと」

 

 

 

 

リルドの気が弱まり、一向に起き上がらないことから気を失ったと判断したルージュは、彼が埋もれている場所とは別の方向に視線を向ける。その表情は先程の余裕のあるものではなく、不快なものを見る顔付きに変わっていた。

 

 

 

 

「…そこにいるのはわかっているぞ。いい加減その気持ち悪い視線を向けるのはやめてくれないか?」

 

「……ククク…気付いていたか」

 

 

 

 

ルージュが見つめていた物陰から姿を現したのは、水色の体色に青のボディースーツを着用し()()()()()()()()()()()()()()()男だった。その口元は見るからに邪悪な笑みで歪んでおり、明らかにまともな人物ではなかった。

 

 

 

 

「いつから気付いていた?」

 

「最初からだよ。その気色の悪い目で見られてたら嫌でも気付く。そんなにあたしの身体が欲しいのか?()()()?」

 

「その様子だとこの星に来る前からオレのことを知っていたようだな……ああ、欲しいとも。貴様等憎きサイヤ人に復讐してやる為にな!」

 

 

 

 

 

 

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