星野家弟は幸せな未来を望んでいる   作:通りすがりの邪教徒

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ガチ恋組とまさかの遭遇


エゴサは程々に

 

 前回のあらすじ、結束バンド声優さんと焼肉屋に来て幸せなひと時を過ごしていた僕は、突然の尿意に我慢できず、お手洗いに行ったら、今ガチの撮影をしていた筈の兄貴とエンカウントしました。

 

「兄貴、今ガチの撮影は?」

「撮影が終わって、今そのメンバー全員と焼肉食べてるところだ。充瑠は?」

「ラジオの収録終わりに、ちょっとね。声優の諸先輩型と食事中だよ。せっかくだから会ってく?」

「そうだな。弟が世話になってし挨拶にいくか」

「じゃあ僕も、今ガチの人たちに会いたい!」

「分かった」

 

 こうして兄貴を連れて、結束バンドの声優さんたちの所に連れて行った。なんと個室が隣同士だった! そんな偶然あるんだね。

 なんか「思う存分食え餓鬼ども!」って声が聞こえるんだけど、この声はMEMちょさんだったかな? もしかしてあの人の奢りか。番組を見た後、MEMちょさんのこと気になってチャンネル覗きに行ったら37万人くらいいる人気クリエイターさんだったので昨日思わず登録しました。

 

「初めまして、星野アクアです。弟が世話になってます」

「充瑠くん、お兄さんもいたの!?」

「はい! 僕ら3つ子なんですよ!」

「3つ子なんてアニメや漫画でしか観た事ないよ。本当にいるんだ!」

 

 よっぴさんが驚くのも分かる。今どき3つ子って珍しいからね。

 

「確かに、どことなく星くんと目つきが似てるかも」

 

 今、何で兄貴がここに居るのかの話をすると、4人とも兄貴が役者をやっていることにビックリ。最近は今日あまに出てたんですよって言ったら。

 

「そう言えば、最終話のストーカー役で出演してた?」

「そうです」

「やっぱり! 最終回のあの演技、原作再現で鳥肌立ったな〜!」 

「ありがとうございます」

 

 鈴代さんは今日あまのファンで実写も観てくれてたのだと言う。どうりで有馬さんも知ってるわけだ。

 

「じゃ、俺はここで。そろそろ戻らないと皆が心配してますので」

「そうだったね。私たちも今ガチ、時間がある時に観るからね」

「はい。今後とも弟をよろしくお願いします」

 

 そう言って、兄貴が出ようとしたので、今度は僕が席を外して今ガチ組の部屋に連れてって貰った。いきなり見ない人が来て驚いてたけど、星野アクアの弟ですと言うと、水野さんみたいに目つきが似てるって皆から言われた。

 

「星野充瑠です。声優をやってて今隣で飲み会やってます! 皆さんのことは番組で存じてます」

「あっもしかして、あの東京ブレイドで刀鬼やってる人!?」

「そうです。僕が刀鬼役です」

「俺も知ってる! アニメめっちゃ面白いよな!」

「私のリスナーさんにそのアニメ勧められたなぁ。面白そうだし同時視聴会とかやろうかな?」

 

 確かケンゴさんとノブユキさんだったかな。まぁ作品自体の知名度と影響力が凄くて注目されてるから色んな人が知ってて当然よね。声優まで認知してくれてたのは意外だけど。

 

「う〜ん……」

「どうしました? えっと鷲見ゆきさんでしたよね」

「そうです。充瑠くんの顔何処かでと思って……ねぇ、最近モニタ○ングって番組に出てなかった?」

 

 モニタ○ング? あぁそう言えば、先月下北沢をウロウロしてたら何かのテレビの企画に参加させられたな。透明カラオケボックスで95点以上取ったら1万円貰えるってことで、金に目が眩んで参加したっけ。

 結果は余裕で95点以上をゲットして、兄貴たちには悪いがと思いながら1万円を内緒でヘソクリとして財布に忍ばせたな。

 

「じゃあそれ僕ですね。番組は観てませんが」

「やっぱり! あの時Twitterが盛り上がってて、何でだろうと思って調べてみたら声優さんだって。歌上手いわけだよ!」

「それ私も観ました。曲は知らなかったけど、凄く上手だったの覚えてます」

「ありがとうございます、黒川さん。フラッシュバッカー神曲なんで今度聴いてみてください」

 

 僕ってちゃんと認知されてるな。特に声優以外の芸能の方達からは知られてないだろうって思ってたけど正直ビックリした。

 

 今ガチ組の人たちに挨拶を済ませ、お姉さん達のところに戻って残りのお肉も美味しく頂き、先に僕たちがお店を出て兄貴よりも先に苺プロへ帰った。

 

「私を置いて焼肉行ったのは羨ましいけど、今回のじゅうくんは許すよ。今日はいっぱい頑張ったもんね〜! だが、お兄ちゃんは許さない! 帰ったら説教だ!」

 

 あれ? なんか許された。ラッキークッキーケンタッキーだよ! 悪りぃな兄貴。

 

 この後、帰ってきた兄貴に姉ちゃんがお説教。可愛い子たちに囲まれて食う肉はさぞ美味しかったでしょうねと皮肉っぷり全開で兄貴に愚痴った。

 

 すみません、僕も大人のお姉さん達と楽しくご飯食べてて浮かれてましたなんて、口が裂けても言えないよ。

 

 

 

 

 

 そして1週間後の土曜日。この日は珍しく東京ブレイドのアフレコだけだったので、午後はフリーの予定となっていた。

 もう今日は帰ってのんびりしよう。何処かに出掛けて遊ぶ気分ではないのでな。事務所でアニメ三昧じゃ。

 

「たでぇま〜」

「おかえりなさい、充瑠」

 

 事務所に入ると、有馬さんがソファに横になりながらラノベを読んでいた。それ僕が勧めたリゼロやないですか、布教成功だな。

 にしても自分の家のようにのんびりしてますね、まぁ良いんだけど。

 

「うわっこのジュース不味っ……。Twitterでネタにして元取らなきゃ……。コンビニで買ったジュースが劇マズで……」

「待てやコラァーーー!!!」

「あいたっ! 何するの!?」

「アンタが何しようとしてんのよっ!」

 

 バカ姉がTwitterにジュースの低評価ツイートをしようとしたところを、有馬さんが何処から出したか分からないハリセンで引っ叩いて阻止した。ナイスです、有馬さん。

 

「他所様の商品を不味いとか書き込もうとして……エゴサされたらどうする!」

「いやいや、しないでしょ……」

「これだから一般人上がりは……! 商品名を出したら、最低5人の関係者には検索される! そして会社から仕事は2度と来なくなる!」

「そんな大袈裟な……」

「アンタだってエゴサくらいするでしょ?」

「しないよ?」

「いや、してますよ」

「じゅうくん!? あっ、私のスマホ! 先輩返してー!」

 

 ごめん、姉ちゃんがTwitterで自分のこと調べてたの見ちゃったから、つい言っちゃった。この際だからネットの厳しさを叩き込んでやろうと思った。

 

「ゴリゴリやってんな。見て見て! アンタの姉、関連検索に「かわいい」って付けてるわよ」

「僕が見た時は「ルビーちゃん マジ天使」とか検索してましたよ」

「マジィ!?」

「うわーん! じゅうくんにも見られてたよー! 恥ずかしさで死にたい!」

「皆してないって口ではいうけどね、断言するわ! アイドルの9割はエゴサをしてる!!」

 

 その後も有馬さんのネット講義が続く。僕も先輩達に教えられて知識を付けた身なので話がすごく分かる。

 

 僕の周りの先輩もエゴサしてる人は結構いたかな。アイドル声優とか特にそうだ。盗み見たわけじゃなくて打ち上げでエゴサしながらお酒飲んでるスタッフさんもいたくらいだし。何なら自分でエゴサして〜みたいな話も聞く。

 

「どう? 分かった?」

「はい、大変勉強になりました。それはそうと……じゅうくんはエゴサするの?」

「してねぇよ」

「じゃあケータイ見せてよ? 今から!」

「何かそんな歌あったよね。良いよ」

 

 僕は2人にスマホのTwitterアカウントを躊躇なく手渡した。やましいものは何も調べてないからね。

 

「じゅうくんのアカ、フォロワー10万!?」

「なんか東ブレから謎に伸びたんよね」

「検索欄は……全部ゲームやアニメの新情報とか調べてるのね。実にアンタらしい」

「エゴサする時間あったら自分の好きな事したいですから。そこの承認欲求モンスターとは違います」

「実の姉をぼっちちゃんみたいに言わないで!?」

「じゃあ僕からも、オタク目線でのネットについても詳しく教えてやる。着いてこい姉ちゃん!」

「お願いね、じゅうくん。がんばルビー!」

 

 最後のセリフどっかで聞いたことあるけど、まぁ良いか。こうして僕は知りうる限りのネット知識を姉の素寒貧な頭に叩き込んだ。

 





最後はサンシャインな星野ルビー
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