ルカに縄をほどいてもらったファクターは4体の信号機の形をしたロボット『自動機兵・ジューク』*1と対峙した。
『さて、行きますか!』
ファクターは自動機兵・ジュークたちに対峙すると、1体のジュークがバリアを創り、ファクターに突進してきたのでファクターはヴォイドレンジャー・蹂躙になり、前足2本で受け止めた。
『ふん!』
「うお!?姿が変わった!?」
「ファクターは倒した敵になれる能力を持っているんだよ!」フンスッ
「何でアンタが得意げになってるのよ…?」
ゼーレが星にツッコんでいるのを聞きながら、ファクターは考えていた。
(しかし……このロボットたちは赤い服を着た女の子__クラーラの大切な家族なんだよな……そう、俺たちと戦っているこのロボットたちはスヴァローグの部下だし……クラーラという子はロボットを家族のように扱うとても優しい子だ。
ゲームではやむなく倒したけど、開拓者がいない時に見つけたら、クラーラ絶対悲しんでたよな……
そう考えると俺たちが悪役のように感じて罪悪感が芽生える!
とはいえ……このまま避け続けるわけにもいかないし……かといってロボットたちをぶっ壊してしまったらクラーラが悲しむし……何とかならないのか?……ん?待てよ?)
ファクターはその時ロボットたちを修復不可能にせずに勝つ方法を思いついたのだ。
(初めて変身したあの時は骨や筋肉を無理やり捻じ曲げたような激痛を感じた……そして体の部位や長さを変えることができた。この感覚を応用すれば…!)
『試してみるか……!』
そしてファクターは永冬の災影になり、目を閉じて*2手に意識を集中した。ヴォイドレンジャー・略奪の刃がマイナスドライバーに変形し、手の先端にくっつくようなイメージを思い浮かべて。
「ちょっと!ボケーっとしてないで戦いなさ…!」
「「待ってくれ。」」
丹恒と穹がファクターに近づこうとするゼーレを呼び止めた。
「ファクターは何か策を考えている。ここは俺たちが食い止めるぞ。」
「丹恒の言う通り。ファクターはこの場を切り抜ける方法を探しているはずだ!」
「はぁ…分かったわよ!要はあの鉄くずたちがファクターの元に行かせなきゃいいんでしょ!」
(もう少し…!掴めそうだ…!)
そして次の瞬間、ファクターの手が
『グッ……!うぅ…!』
「ちょっと!アイツ苦しんでない!?」
「大丈夫だ。ファクターを信じてくれ。」
(めっちゃ痛いが…俺の思っていた通りだ!できたぞ!)
『ごめん、待たせてしまいまして。後は任せてください。』
そう言ったファクターの手の爪先部分には、両手の第二関節の所から
「あれは…工具?」
『丹恒さんの言う通り、俺の体の一部を工具に変形しました!』
そうファクターは手の爪先部分を工具の形に変形することができたのだ。
(この技名は…部位だけだから『
ファクターは『
(…よし、問題なく動けるな。)
「もはやなんでもありだな…」
ファクターは丹恒が呆れているのを見て苦笑したが、すぐに笑いをやめてロボットたちと対峙した。
『行くぞ!』
そしてジュークたちに走って傍に行った。ジュークたちが張ったバリアに攻撃をして解除するとひっくり返して胴と繋がっている足のネジを右手の人差し指を変形したマイナスドライバーで外した。
「すげぇな…!」
「さすが私たちのお母さん!」フンスッ
「お母さん?でもアイツ…男の声なんだけど?」
「気にしないでくれ。星はファクターのことをあだ名で呼んでいるんだ。」
「…あっそ。」
『これで二体目ぇ!』
丹恒たちが言っているのを横目にファクターは次々とロボットたちを戦闘不能にした。
『よし!これでジュークたちは行動不能に……ッ!』
ファクターは聞き覚えのある起動音を聞き、横を見ると『自動機兵・パウーク』*4というロボットの4体が自爆機能を起動していた。
「ねぇ…なんかヤバそうじゃない!?」
「アイツらの攻撃に当たったらひとたまりもないわよ!」
『何か方法は…「ファクター!」ルカさん!?』
「オレがコイツらを食い止める!その隙にあのデカブツたちを止めてくれ!」
『何を言っているんですか!?ルカさんが自爆の爆風に耐えきれるはずがない…「それでも」!』
「それでもオレに任せてほしい。ファクターのことを信じることができなかった罪滅ぼし…というわけじゃねぇ。オレは自分の信念を貫き通したいんだ!」
『信念…?』
「ああ。「この世に悪人がいる限り、守るべき善良な人がいる限り————オレは拳を振り続ける!」ってオレグ師匠に約束したんだ。オレは今までのファクターのことを見て、守るべき善良な人だと分かったんだ。オレの早とちりで殴りかかったのはすまなかった。だからもう二度と間違えない!オレはファクターを…みんなを守りたいんだ!」
『(俺がこの世界に転生してきた頃と同じ考え…だな。)ルカさんが肉壁になるよりももっといい方法があります。』
「本当か!」
『こっちに来てください…』ヒソヒソ
「ふむふむ……よっしゃ分かった!行ってくる!」
『任されました!』
「おう!」
そう言うと、ルカはファクターの向こう側に走って行った。
ロボットたちがルカに狙いを定めたその時だった…
『
ファクターがそう言うと、左腕を伸ばして捻じり、頑丈さを兼ねそろえた長さが約10m程の青色のロープに変形した。そしてそのロープをルカに投げ渡した。
「掴んだぞ!」
『よっしゃ行きます!いっせーのーで!』
ファクターとルカはロープを掴んだまま一斉に駆け出し、ロボットたちの足を引っかけて転倒させた。
『今だ!』
ファクターは右手のドライバーでパウーグたちの足を分解した。
『もういっちょ!』
そして残った2体の大型ロボット__『自動機兵・グリズリー』*5と『自動機兵・ヴォルグ』*6を切り離したロープで2体を縛り、行動しにくくした。
『ラストだ!』
そして両手を様々な工具に変え、ヴォルグのチェーンソーや足を外したり、グリズリーの装甲を外して行動不能にした。
ファクターはロボットたちを修復不可能な程の攻撃をせず、戦闘不能にすることができたのだ。
『よし!これで一丁上がり!』
「ファクター!凄いな!ロボットたちの攻撃を避けながら分解するなんて!」
「おそろしく速い分解…私じゃなきゃ見逃しちゃうね。」*7
「いや誰でも見れたと思うぞ。」
穹が褒めて、星がボケて、ルカが星の台詞にツッコんだ。
『ハハ……まぁとにかくひとまずは一件落着かな?』
「ファクターが全部やってくれたけど…スヴァローグにはこんな手下がいったいどれだけいるの?」
なのかがゼーレに質問する。
「たくさん__だから「地炎」も彼を放っておくしかないの。スヴァローグの勢力は大きすぎて、ワタシたちじゃどうにもならない。」
「さっきの赤い服の女の子は…誰なの?」
星がゼーレに質問する。
「クラーラ?気にすることはないわ。いつもスヴァローグの後ろに付いてる子なの。スヴァローグは彼女を傷つけたりしないから。ワタシも初めて会った時は理解できなかったけど、今ではもう当たり前の光景よ。ふぅ…さて、ボスを探しに行くわよ。」
ゼーレがボスを探そうと提案したその時、男の声が聞こえた。
「その必要はない。」
男は2人の男性を引き連れてゼーレたちに向かって来ながら言った。
「よくやってくれたな、ゼーレ。ルカ。さっきは四方から現れたロボットに襲われて、長い闘いになると思ったんだが、ハハハ!」
「ボス!みんなは無事?ケガしたりしてないわよね?」
ゼーレは男__『オレグ』に心配の声をかけた。
「無事だ、とっくに慣れてるさ。ややこしいロボットの群れもいなくなったことだし、しばらくの間、鉱区は平和になりそうだな。それで、隣にいる者たちは…」
オレグが列車組たちを見ながら言った。ゼーレが答えた。
「ああ、コイツらね、サンポがどっかから連れてきた「よそ者」よ。「地炎」に頼み事があるらしくて一緒に来たの。ほら、説明は自分でして。」
「ボス?探すのにずいぶん…『「地炎」とよしみを結びに来ました。』…むぅ」
星が無礼なことを言いそうなので、慌ててファクターが星を遮って答えた。
「礼儀正しいやつだ。気に入った。で?こうまでして「地炎」を訪ねてきたのは、何か目的があってのことなんだろう?」
『丹恒さん…説明頼みます。』
「俺が話そう。」
そして丹恒はこれまでの出来事と「星核」の捜索に関することをオレグとゼーレに共有した……
「ふふ、上でそんなことがあったのね!面白いじゃない。」
「はっはっは!これは今までにないことだ。「地炎」が地下の事でバタバタしてる時に、よそ者が手助けに来るとはな。お前らが言う「星核」…これは、俺も聞いたことがない。だが現地の人さえ知らない秘密と言えば、ある人物を思い浮かべる……」
「「…まさかカカリア?」」
星と穹が同じ考えに至り、口にした。オレグが言う。
「今の「大守護者」はペテン師だ。言葉巧みに下層部を騙し、俺たちの命などちっとも気にしない__」
オレグの非難に我慢できなくなったブローニャが遮り、反論した。
「そこまで。これ以上大守護者様を侮辱すると私が許さない。」
「上層部の娘さんよ、耳障りかもしれないが、これが真実だ。信じられないと言うなら街の人に聞くがいい。この十数年間どう生きていたのかをな。」
「……」
「下層部の怨みは二言三言じゃ説明できないぞ、シルバーメインの小娘。だがここはお前の意志を尊重して、大守護者の話はやめるとしよう。では本題に戻って、俺が思いついた「人物」は、スヴァローグだ。」
「え…ええっ!?スヴァローグって、アンタたちの敵じゃないの?」
なのかが驚くと、丹恒が質問する。
「地下のロボットが、どうしてそんな重要な情報を握っている?」
「敵?俺はそう思わんな。このお兄さんが言ったように、あれは冷たい機械だ。自分の「計算」しか信じてない。スヴァローグは「地炎」の敵ってわけじゃない…正確に言えば、俺たちのことなんか眼中にないのさ。やつは「かの戦争」を経験した
「いにしえ?結構新しいタイプに見えたけど?」
星が疑問の言葉を出すと、なのかが窘める。
「見た目で判断しちゃだめだよ。ウチだって何百歳だけど、分からないでしょ?」
「俺が知る20種以上の
「もう、フォローしてよ!」
「ロボットは忘れることがないからな。スヴァローグでさえ「星核」の存在を知らないなら、俺たちは力になれない。」
「なら、スヴァローグと会話のチャンスを作らなければならない。」
「それか、メモリーを渡してもらう?ウチらで探してもいいし。」
『いや、メモリーだけ渡されてもそれを再生する機械が壊れてたりしたら詰むと思う…』
「あ、確かに…」
「どうすれば…」
「俺たちもずっとやつと交渉しているんだが、毎回拒まれていてな。やつは「地炎」は脅威だと信じ込んでるんだ。だが、お前たちなら話が違ってくるかもしれない…まあ…何とも言えんが。
__具体的な方法は、明日にでも話そう。もう遅いし、お前らもつかれただろう。俺が手配してやるから、町に帰って休むといい。」
「また休憩なの?この世界の休憩にはトラウマが…」
『まぁまぁ…俺がいるから大丈夫ですよ。三月さん。』
「…まぁ、ファクターがいるから安心はできるけど…」
列車組が談合しながらこの場から離れていく中、オレグがブローニャに言った。
「それから…シルバーメインの小娘、2人っきりで話したいことがある。いいか?」
ブローニャはオレグを警戒して睨みながらも頷いた。
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「ファクターと一緒に泊まるの楽しみだな~」
「俺も俺も!今日披露した技とかもっと見てみたいし!」
『いいぞ。道中で見せるよ。』
「「やったー!」」
「3人はとっても仲良しだね。」
「そうだな。」
戦闘中、自動機兵「ジューク」は力場バリアを創り自身を保護する。尚このバリアはどんな攻撃にも1回だけなら耐えきれるし、攻撃したらまたバリアを創れるため、プレイヤーから『存護の使令レベルじゃね?』と言われている。
戦闘中、自動機兵「パウーク」の動力は非常に不安定で、故障時自爆事故が発生する可能性が高い。
戦闘中、自動機兵「ヴォルク」のチェーンソーは裂創を与え、相手のHPを継続的に減らす。
【スヴァローグ】
旧世界から残っている知能ロボット。
いつも自分なりの方法でクラーラの願いを叶えている。