……状況を整理しよう。今俺は、『アスター』さんと十数人の防衛課スタッフと共に個室に居て、面接を受けている。
……いや、面接という名の『尋問』……だな。
アスターさんはこの『宇宙ステーション「ヘルタ」』の所長を務める名門出身のお嬢様であり、ピンク色の髪と小型の手で持てる望遠鏡を腰に掛けているのが特徴の女の子だ。
初めて出会った時は、俺に『反バリオン』からスタッフを救出してくれたことに感謝し、面接を受けることになったのだが……
(やっぱり俺を警戒するよな……)
彼女は表目立って感情を露わにしていないのだが、俺を疑う眼差しはあった。
それもそのはず今の俺の姿は人間ではなく……
『ヴォイドレンジャー*1』という人類の敵だからな……
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「それではこれよりあなたの面接を行います。」
『よ、よろしくお願いします……』
「では、まず最初に聞きたいことがあるのですが……」
それから、アスターさんの質問が続いた……
質問は自身の出身地や、どの組織に所属していたのかなど至って普通の面接のようにスムーズに進んで行った。
……答えられない質問*2があった場合は素直に分からないと言っているけど……
(緊張感が溢れていたからてっきり俺の心が人であることを否定されると思ったけど……これなら受かるかも……*3)
そう思っていたヴォイドレンジャーだったが……
「それでは最後の質問です。あなたはなぜ、ここ……宇宙ステーション『ヘルタ』に居たのですか?」
『……!』
(……やはり、というか当然の疑問なんだよなぁ……というか俺もなぜここに居たのか分からないんだよなぁ……ここは正直に言おう。)
『……分からないんです。』
「分からない?」
『はい。さっき伝えましたが、俺は元々平和な島国に暮らしていた男でした。だけど、ある境から記憶がなくなっていて……気づいたらここに居て、この姿になっていたんです。』
「なるほど……つまり、あなたは一部だけど記憶喪失なのね……ちなみに年齢などは分かるの?」
『あ、はい。17歳です。』
そう答えた瞬間、周囲から戸惑いの声が溢れた。
「いや、
とアスターは驚愕の声を上げた。
「なんで……?ただでさえ意思疎通ができるのは奇跡に等しいのに、まだ未成年であるあなたが意識を失っていないの……?」
『そ、そんなに驚くことなんですか……?』
「驚くわよ!普通、ヴォイドレンジャーになるのは死線を潜り抜けた歴戦の兵士や、戦士などの死体から壊滅の
に部下にされるのよ!だから本来は意識のない操り人形にされるのよ!」
『つ、つまり俺は……意識を保ってる時点でイレギュラー……なんですか?』
「ええ……そうなるわね。」
『/(^o^)\』
(嘘だろぉぉぉぉ!!?適当に読み飛ばした部分もあるから忘れていたけど、まさかこんな重要な落とし穴があるなんて!?……待てよ。このままだと俺は、なぜ意識を失っていないのか調べるために人体実験でもされるのか……!?)
『あ、あの……こんな姿になったのは本当に心当たりがありませんし……もしかして俺は人体実験されたり、殺処分されたりするのですか?』ガタガタ
「そんな酷いことはしないわよ!安心して!……そもそもあなたはスタッフの命を救ってくれた恩人なのだから、そんなことしたら恩知らずになるわ……」
『え?それはつまり……』
「ええ。面接は合格よ。あなたを正式に宇宙ステーションの防衛課スタッフとして受け入れます。」
『っ!……本当ですか!』
「本当よ。」
『よかった……』ホッ
(これでひとまず俺の身の安全は保障されたってことか……)
と、男が一息ついていると、アスターが突如頭を下げた。
「……ごめんなさい、正直に言うと最初に出会った時、あなたのことを完全には信用していなかったの。あなたがヴォイドレンジャーで、しかも突然宇宙ステーションの中に現れたことから私たちを騙して内部から崩壊させるんじゃないかと思ったのだけど……あなたのバイタル値*5を計測したけど嘘をついている人の反応じゃなかったからやっと信用することができたの……疑って、ごめんなさい。」
『別にいいですよ。そのくらい。』アッケラカン
「……え?」
『あなたの立場だったらみんなの命を預かってる状態だから疑うのは当然だし、そもそも俺はどうやって来たのか分からない、しかも物騒な武器を持った不審者ですよ?それでもあなたは公平に見てくれて判断してくれたのを寧ろ感謝してます。』
「……ありがとう。」
と、アスターは泣きそうな目ではにかんだ。
『……泣かないでください。これからあなたから色々なことを教えてもらい、生きていきますから。』
「そ、そうね……」グスッ
アスターが涙をぬぐう。
「改めまして、宇宙ステーション『ヘルタ』の所長を務めるアスターです。これからよろしくね!ヴォイドレンジャーさん。」
『ああ。よろしくお願いします……と言いたいところだけど一つ聞きたいですが、いいですか?上司?』
「アスター所長でいいわよ……聞きたいことって?」
『今、俺の姿はヴォイドレンジャーですけど、
「あ、確かにそうね……せっかくだし、今から名前を考えましょう!みんなはどんな名前が良い?はい!右から3番目の人!」
「え!?……そうっすね……色が白いから『シロ』とか……」
『俺は犬じゃないんですが?』ゴゴゴ
「……すみません」シュン
「ん~あなたの名前どうしよう?今から植物図鑑や名前表など持ってくるからそこから参考に……」
『……いや、名前は思い出せないけど前世の暮らしていた言語で好きだった言葉があるのでそれを使っていいですか?』
「いいわよ!何の名前なの!?」ワクワク
「あれ?どうせ自分で決めるのなら名前考えなくても良かったんじゃ……」*6
『その名前は……
ファクター
……俺の世界では特定の現象や結果を生み出すための一因や要素という意味です。』
「ファクターね。これからよろしくね!ファクター!」
『ああ!よろしくお願いします!アスターさん!』
こうして俺は防衛課スタッフに就職することができた。
factor(ファクター)……「要因」や「要素」のこと。
主人公は自分がチームの勝利を導ける「要因」となりたいという願掛けからファクターという言葉を気に入っています。
ちなみに作者もお気に入りでXのアカウント名として使っています。
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