PERSONA EPISODE of SHADOW WORKER   作:漆竜 黒鍵 

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 前回までのくじょライブ!!

 あちし玖城樹下!

 ある日いきなり街を歩いてたらあら不思議!大きなお月様に人が入ってそうな棺たち!

 そして親友で学年の人気者、あちしの数少ない友達で大好きな天田くんが槍を持って戦ってたの!?

 その中であちしはペルソナ、メサイア・影神に目覚めてえいやっ!えいやっと敵を滅尽滅相!!

 昔馴染みの綾崎さんともいい感じな雰囲気なあちし!!

 これからもあちしの戦いは続くにょよォ!!そう意気込んでいたらあら不思議!!!!


ロボットのペルソナ使いならやっぱそのペルソナはロボットアニメよろしくのスーパーロボットとかって予想するよね。え?俺だけ?……そうかぁ…………

 

 「骨の形が見えてきたな……」

 

 馬鹿みたいな前書きさえ滅失する程の現実は鏡に映ってる。

 (前書きの無駄遣い?ならば結構、俺は無駄遣いで飯を食うおっさんとなろう)

 

 4月最後の月曜日である本日、俺は寮の自室の姿見で上半身裸の自分を見る。

 ペルソナの覚醒から約半月程、水と栄養サプリメントで空腹を誤魔化しているが流石にこれは不味いかもしれない。

 

 しかしそんな身体の見た目とは裏腹身体の調子はむしろ良好。

 思考もやけに冴え渡っているしなんなら身体能力というものが引き上げられている気さえする。

 

 水と栄養サプリメントのみの生活がこんなことになるはずが無いのに。

 

「でも相変わらず飯は食えない、水分が飲めるのは本当に唯一の救いだな…」

 

 そして制服に袖を通して自室から出る。

 

 色々悩んでいても学校はあるし授業は受けなきゃならない。

 下手な成績になるとみつ姉による嫌がらせのような個人授業を強制される。

 

 それだけは絶てぇやだ

 

───────────────

 

 

 一限、歴史の授業。

 

 春の陽気の中に梅雨の湿り気が何となく混ざり出しているような気がする中、歴史の担当教師である小野教諭の声が教室に響いている。

 

「ということでね、これが縄文時代のざっとした解説なのよ。

 というかもういいでしょ?毎年言ってるけど縄文時代とか弥生時代なんて土器作ってただけの時代だよ?

 次の飛鳥や奈良時代なんかも所詮政治しか聞くことないんだからもう飛ばしていいでしょうよ。

 やはり武士だよ武士!先生が今被ってるこの兜、これはかの有名な伊達正宗公のものを模したものでだな。

 

 え?真面目に教えろって?ぇー今も言ったけどこの辺なんてただの…あーはいはいわかったわかった、んじゃ今日は4月最後の月曜日だから…

 

 関係ないけど玖城に問題を出しておこうか」

 

  !?

 

「飛鳥時代に活躍した偉人聖徳太子が中国、当時の呼び方だと隋の国へ使者として向かわせた人物の名前は誰?」

 

「お、小野妹子…」

 

「はい正解、むしろこんな初歩的なことで間違えてたら時代によっては切腹物だね。

 もうこれでいいでしょ?もう一気に安土桃山時代まで飛ばしたい気分だよ」

 

 皆から若干の尊敬の眼差しを感じる、なんだか自身の魅力が上がったような気がした。

 

 

──────────────

 

そして昼休み

 

「玖城!」

 

 それぞれが食事を楽しむという時間の中教室の中に響く珍客の声。

 あんな緑頭の知り合いは一人しかいない。

 

「なんだよ綾崎、安価ようか?」

 

「>>52」

 

「安価じゃないわい!!」

 

 俺と倉橋くんの連携的なボケに的確なツッコミを入れる綾崎。

 

 こいつ…出来る…!!

 

「えっと?」

 

 そこで雨瀬が綾崎の顔を見て首を傾げる。そういやここ二人は初対面か。

 

「雨瀬、紹介するよ、バカだ。

 綾崎、紹介するよ、アホだ」

 

「「おいコラ」」

 

 二人からの挟撃的な蹴りが俺の両足へと叩き込まれて痛ぇ。

 

「んで結局なんの用だよ?」

 

 俺の事を二人で蹴って意気投合する赤いのと緑の〇ちゃんカップ麺コンビの和気あいあいを遮って綾崎に本題を尋ねると少し恥ずかしそうに目を泳がせている。

 

 何くねくねしてんだ気持ちわりぃ……

 

「えっとさ、なんやかんや前に色々あって助けてくれたことあんじゃん?

 そのお礼ってわけじゃないけど、この弁当あげる。」

 

「ま、まさかそれは…!?」

 

「愛妻…弁当…!?」

 

 倉橋くんと緒方さんが戯言を宣っている。

 

 そして何故かそれをジト目でふーんと言うような(実際言ってる)目で見る雨瀬。

 

 渡してきてもなおモジモジしてる綾崎。

 

 いや待てこれ割と俺ピンチじゃね?食えねぇぞ俺。

 

「あ、ありがとう綾崎、ありがたく後で食べるよ」

 

「え?」

 

「今昼なのに?」

 

 クソッタレェ!!!倉橋くんと緒方さんに逃道1を潰される。

 

「ほら、今俺お腹すいてなくて」

「でもさっき鳴るお腹抑えてたよね?」

 

クソッタレェ!!!ジト目で俺見る雨瀬に逃道2を潰される。

 

「俺ダイエットしててさ、夜帰宅してからだけに食事取るようにしてるんだよ」

 

「でも寮でご飯食べてたことないよね?」

 

 クソッタレェ!!!綾崎本人に逃道3を潰される。

 

「いや、その……えっと」

 

 次の、次の逃道は…下痢か?アレルギーでっち上げか?いっそここから走って逃げるか!?

 

「……そのさ…無理して食べなくていいよ玖城。

 そうだよね、こんなの私のキャラじゃないし。似合わないことしてるよね、ごめん。

 弁当、やっぱ持って帰るね?」

 

 そう言って弁当を回収しようとする綾崎の手。

 

 しかしそれより早く弁当をかっさらう手があった。

 

  俺の手だ。

 

 その光景に驚く四人を他所に俺は覚悟を決める。

 女の子を悲しませる男なんぞ外道だ、俺の拒食症がなんだクソ喰らえ。

 今俺が求めるのは仮に吐き出す様な無様を晒そうとも恥じず悔いずに、綾崎の目の前でこの弁当を完食するのみだァァァああああああああぁぁぁ。

 

   ……………………………………!?

 

「綾崎よ、これ味見したか?」

 

「え?あ、えっと…ごめんしてない」

 

「そうか……」

 

 さてどうしたものが、結論として過去の記憶とのリンクによる不快感や吐き気が今来ることは無かった。

 無かったが多分あと5秒くらいで別の理由で不快感と吐き気が爆発するだろう。

 エチケット袋など間に合わない、俺は机に掛けている自身のカバンの中身を全てひっくり返し

 

「げっぶぅぅぅうあああああああああああ」

 空いたその中に盛大に飲み込んだものを吐き出す。

 

 その軌道はまさに垂直、後に倉橋君はその様を

 

 「ナイアガラかと思った、なんなら虹のエフェクトも見えてた気がする。」と言うがそれは今回は語られない話だ。

 

 時に昔の人は虹を蛇に喩え、合戦や重要な局面で虹を見るのは不吉や凶兆の報せと捉えていたらしい。

 

誰から聞いたかって?俺が虹を見てはしゃいでたらみつ姉が水差すように言いやがったんだよ。

 

 う、…口の中が痛い。

 

 見た目こそ普通の弁当のはずなのに明らかに不味い。

 そもそもよくよく鼻を近づければ匂いが先ずおかしい。

弁当の内容を見ても明らかに連想する類のものじゃない生魚のような匂いがする。

 

 そしておかずの中の卵焼きには殻が入っており、事故で入ったレベルでは無い、意図的に入れたとしか思えない程の量により食感が壊滅的だ。

 そして唐揚げやハンバーグ、王道的弁当人気おかず二大巨頭とも言えるそのふたつがもはや壊滅的な不味さを誇っている。

 まさか腐ったミンチや鶏肉を使ったのか?と思うレベルだ。

 

「……女16年やってこれか」

 

「がはっ………」

 

 先程までの綾崎への配慮は最早完全に失せてしまった。

 あまりの状況に対する反応は様々だが綾崎が最早茫然自失というように真っ白に燃え尽きている。

 

 しかし俺の吐瀉で埋まったカバンはもう使えないな……今日の帰りどっかで新しいものを買うかぁ……。

 

「いやぁ私もそんな自信ある方じゃないけど……」

 

 雨瀬はその後の言葉が思いつかないようで、励まそうとしてる気概はあるが何も言いきれない。

 

「ち……ちっきしょぉおおお!!修行して出直してきてやるぅううううう」

 

 そう負け犬の遠吠えとも取れる叫びをF組に残して走り去る綾崎。

 まぁなんやかんやで誤魔化せれたので、それは綾崎の料理スキルに感謝しよう。

 

   口の中気持ち悪いけど

 

 

─────────────────

 

 そんな喧しい昼休みも過ぎ、午後の授業の終了を告げるチャイムが響く。

 各教室ではホームルームが開かれ、それが終われば放課となる。

 

 俺は部活に行く奴らやそのまま帰る奴らの喧騒の中自身の荷物を纏めて居ると何やら別の喧騒が耳に入ってくる

 

「ねぇ聞いた?なんか学校の前にすんごい綺麗な外人さんが居たんだって。」

 

「えー?ほんとぉ?そんな綺麗なら見てみたいかも」

 

「なんかモデルさんや女優さん?なんじゃないかだって、帰る前に見ていこうよ」

 

 ふーん、学校の前に外国人か……。と何となくその場は気にしていなかった。

 

「紹介しよう樹下、綾崎。

 彼女たちはアイギスとラビリス、共にシャドウワーカーに所属するペルソナ使いであり、対シャドウを目的として作られた特別制圧兵装、つまり機械の乙女だ。」

 

「美鶴さんよりご紹介にあずかりました。

 対シャドウ特別制圧兵装七式のアイギスです、そしてこちらは」

 

「五式ラビリスや、よろしゅうな玖城くん綾崎ちゃん」

 

 そう言ってリムジンの中で俺と綾崎に挨拶する金髪青眼のアイギスと銀髪赤目のラビリス。

 

成程

 

「噂の外国人っておふたりの事だったんですね」

 

 綾崎の言葉に同意する。

 

 確かにこうして目の前にしたこの姉妹、校門の前にいたらそりゃ目立つだろう。

 

「アイギスさんもラビリスさんも久しぶりですね、最後に会ったのは去年でしたっけ?」

 

「はい、天田さんとは去年の夏にお会いして以来ですね。」

 

「いやぁ顔つきも幼い中に大人ァな感じがさらに滲み出ててかっこよくなったなぁ」

 

 天田はこの2人(2機?)とも交流があるんだろう。

 まぁシャドウワーカーの仲間なんだし当然か。

 

「ていうかみつ姉、学校にリムジン直付はダメでしょ…、めっちゃくちゃ注目されてたじゃんよ。

 アイギスさんとラビリスさんってハイパーテクノロジーの集合体なんだろ?流石に衆目の的にしたら色々ヤバいんじゃ」

「あーーーもう辛抱たまらん」

 

 俺の言葉を遮り俺に抱きついてくるみつ姉。その鼻息は荒く、目は血走っている。

 

「さぁ私の可愛い弟よ!今こそ存分に可愛がりブラザニウムを私に供給させてもらうぞ!!!」

「ちょっ!やめ!!ぐぉっ!?ち、力が強っ!てか俺は弟じゃなくて従兄弟だろぉが!!!」

 

「なぁアイギス、美鶴さんってあんなんやっけ?なんかウチが知っとる印象と全然ちゃうねんけど?」

 

「美鶴さんは樹下さんのことになると時折ああなります、姉さんもそのうち慣れますよ」

 

「いや無理やろ…。てか流石に助けたらんと玖城くん恥ずかし過ぎるであんなん!」

 

「でも姉さんも私によくああしますよね?シスタトリム摂取させてや、ウチにあんたを愛でさせてーやって言って抱きついて来ますよね?」

 

「なんでや今それ関係ないやろ!?」

 

「………あはは」

 

「え?シャドウワーカーってブラコンやシスコンじゃないとダメなの?」

 

 苦笑いする天田とこの光景を見て同様する綾崎。

 そしてワチャワチャするあとの4人を乗せてリムジンはシャドウワーカー保有の施設へと向かう。

 

─────────────

 

「また戦闘訓練か…」

 

「またとは言うが玖城、今回はお前と綾崎二人のコンビネーションを試すものだ。

 綾崎も、玖城と同期だから自然と共に背中を預け合うことになるだろう。

 長く共に苦楽を共にする仲間としてこの訓練を通じて連携を深めてくれ」

 

「永く……!?」

 

 真田の言葉を聞き、綾崎の脳裏に再び白いタキシード姿の玖城が浮かぶ。

 綾崎はそれを首を振って頭から振り払う。

 

「そして今回貴方達と訓練を行うのは」

 

「ウチら対シャドウ特別制圧兵装シスターズや」

 

 そう言いながらアイギスは機銃の機能を持つ自身の手を、ラビリスは自分よりも巨大な大斧を構え此方を臨む。

 対して俺はガンブレードを、綾崎は大鎌を携え戦闘の準備を完了する。

 

「玖城、足引っ張んないでよ?」

 

「うるせぇよ料理音痴、お前こそ下手打つなよ?」

 

「うっさいなぁ!!…でもあの二人ってもしかしてペルソナ使うのかな?」

 

「機械の乙女、つまりロボットの召喚するペルソナ………もしかしてガ○ダムか?」

 

「ヴァル○リーかもしれない。」

 

「案外大穴でエ〇ァンゲ〇オンか!?」

 

「グレ〇ラガンみたいな大きいの来たらちょっと勝てないかも」

 

 そんな俺達の予想に耳を傾けるアイギスとラビリスは何か考え込んで

 

「ペルソナ召喚シーケンス、ガオ〇イガー!!!」

 

「行くでぇ!ダン〇ーガ!!!」

 

 また懐かしいものを。

 

 実際に作品を見てなくても名前を知っている作品のロボの名称を叫びながらアイギスはベルトのような大盾と槍を携えるペルソナ・アテナを、

 ラビリスは白い髪を靡かせ手より鉄線を伸ばし操る白いペルソナ・アリアドネを召喚する。

 

 そして俺と綾崎も共に召喚器を額に突きつけてトリガーを引きペルソナを召喚。

 メサイア・影神とオグニイェナの権限と共に俺が叫ぶ。

 

「綾崎!!合わせろ!!」

 

 俺の言葉に反応するようにメサイア・影神が起動する。

 手に持つ血濡れの大剣にて床を破壊、それによって巻き上げられた瓦礫を大剣にて粉末レベルまで裁断すれば

 

「マハガルーラ!!!」

 

 メサイア・影神の手より発せられる烈風によりその粉末全てがアイギスとラビリスの二人を包む。

 

「はん!目眩しかいな!結構姑息やんか!」

 

「まさかメサイア・影神が疾風属性まで使えるなんて……湊さんのメサイアとは違うという訳ですね。

 ………待って粉末?それにたしかオグニイェナの属性は……っ!!!姉さん!!!」

 

「えっ?」

 

 まぁ気がつくだろうとは思ってたさ。

 

「綾崎!!!」

 

「オグニイェナ!マハラギオン!!!」

 

 そしてオグニイェナの左右の大鎌が回転すれば漂う粉末へと放出される火炎属性の魔法。

 

 粉末と炎、このふたつが同時に存在するこの瞬間これは発生する。そう

 

「「粉塵爆発だ!!!」」

 

 粉末に引火することで酸素が急激に燃焼を開始、その急速反応は爆発という形で発生しアイギスとラビリスの二人を爆炎が包み込む。

 

爆炎による煙幕によって見えないが確かな手応えを感じ、俺と綾崎は拳を互いに突き合わせる。

 

「やるじゃん玖城、即興にしてはさ」

 

「お前もちゃんと理解してたじゃねぇか。」

 

「イチャつくんはちゃんと勝ってからにした方がええでお二人さん」

 

 その声が聞こえた瞬間俺と綾崎は互いに互いを突き飛ばす。俺達が居た地点に着弾する複数の弾丸。

 そして回避した俺の先を読む様に伸びていた鋼鉄の腕が俺の左腕を確実に捕らえる。

 

 マズいと感じた時には景色が走る。伸びてきた鎖に繋がれた手、俗に言うチェーンナックルが巻き取りを開始することで俺自身を煙幕の中にいるそれの持ち主の元まで引き寄せてる。

 そして俺が煙幕の中に引き込まれた刹那、右頬に走る鈍く激しく重い痛み。

 高速で移動している中で鉄の塊に殴られたという事実は俺の意識を激痛の嵐の中にぶち込むには充分過ぎる程の威力を持つ。

 

 そのまま大きく吹き飛び、激しい痛みに床でもがき苦しみのたうち回るしか出来ない。

 そして煙幕が晴れれば俺をぶん殴って不敵な笑みを浮かべるラビリスとアテナの大盾にて粉塵爆発のダメージを凌いだ後に此方へその硝煙の立ち上る指を向けているアイギスの姿がある。

 

「うっそ、あれを無傷で?!」

 

 綾崎の驚く声が痛みの嵐の中でも耳に届いた。

 

「まぁ少しは焦ったけど、ウチらはそもそもシャドウとの戦闘を想定しとるんや。

 今くらいの爆発にならちゃんと耐えられるって訳や」

 

「姉さんの装甲は私のよりも頑強ですので、私の場合はアテナの防御が無ければ多少損傷していたかもしれません」

 

 反則過ぎるだろ対シャドウ特別制圧兵装…!!

 

 口の中で広がる鉄の香り、今のラビリスの殴打で口内が切れたか歯茎を割いたか…何方にせよ出血という形で自身の損傷を自覚する。

 

「それでお二人さん、次はどんな曲芸を見せてウチらを楽しませてくれるん?」

 

 その言葉に俺と綾崎の眉が動く。

 

「曲…」

「芸…?」

 

「だってそうやろ?やってることが派手な割に実際起こったんはウチにとってはただの目眩しの連続、多少痛いなぁって感覚はあってもそれだけや。

 そういうのが曲芸って言うんとちゃうんか?」

 

 正しくその通りだと思ってしまう。

 

 今現状俺達が考えた中で一番強い攻撃方法が有効打にならなかったのならこれ以上やっても俺らはピエロでしかない。

 

 だが俺らがピエロだからどうした

 

「ならそれで良い、道化舐めんな!!!」

 

 俺のその言葉と同時にメサイア・影神が咆哮を挙げる。

 それにより発生するのは発火を伴わない純粋な爆発現象を起こすメサイア・影神のみ使うことが出来る魔法。

 

「ギガオン!!!」

 

 アイギスとラビリス双方諸共を吹き飛ばす爆撃の発生、この他に類を見ない魔法にアイギスは再びアテナの持つ盾にて防衛。

 

「く、先程の粉塵爆発よりも威力が高い…………っ?!」

 

「うぉぉぉおおおおおお!!!!」

 

 そして防御に徹した瞬間綾崎の咆哮と共にオグニイェナがその二振りの大鎌をもってアテナを盾ごとその場に抑え込む。

 

 しかしラビリスはそんなアイギスとは対照的な動きをする。

 

 ギガオンの効果が発生する一瞬手前、そのあるかないかの刹那に起こる爆発寸前の収縮、または放出現象を自身の肌(感知センサー?)にて感じ前進することで爆発魔法を回避し俺へと迫るラビリス。

 

 その手にはラビリスよりも巨大な大斧が握られ振りかぶられている。

 

 そして俺も疾走、得物であるガンブレードを両手で握りしめ振り上げられる大斧と真正面から激突させる。

 訓練ルームに響き渡る激突音、俺とラビリスによる鍔迫り合い。

 それと同時に起動するメサイア・影神が鍔迫り合いを演じるラビリスへその大剣を振り下そうとした瞬間。

 

「なっ!?」

 

 メサイア・影神の動きが止まる、いや止められた。

 

 ラビリスのペルソナであるアリアドネの操る糸がメサイア・影神の四肢や胴体を絡め取り、顎関節系総てを糸にて貫きその場に縫い止めている。

 

 こんな繊細なペルソナの行使が可能なのか?!

その驚きを抱いた刹那足が地面から離れる。

 

 それは鍔迫り合いで俺がラビリスに押し負けたことを示しており、その次に振り抜かれるラビリスの拳が俺の顔面を真正面から捉え突き刺さる。

 

 鼻から骨が割れるような音が響く、再び訪れる暴力的な痛みが思考の全てを焼き切り消し飛ばす。

 

「ぎぃっ!?ィァアァアアアア!!!!」

 

「玖城!!」

 

 そのまま吹き飛びガンブレードを手から落とし地面に落下、そのまま両手で顔面を抑えてもがき苦しむ。

 

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!

 

 鼻から血が吹き出しているのを感じる、生暖かい感触が口や手を浸していくがそれ以上に痛みが俺を襲い続けて気にしている余裕さえない。

 

「玖城くん、アンタの攻撃は力任せすぎるんよ。

 まぁ見る感じアンタのメサイア・影神はそういう性質なんはよくわかるわ。

 

 それを変えろなんてそれこそ′′全く違う別のペルソナに切り替え′′でもせん限りは無理な話、そんなこと出来んのは2年前にウチを助けてくれた鳴上悠くんしか今は出来へん。

 

 それをアンタに求めんのは流石に酷や」

 

 痛みにのたうち回る中ラビリスのその言葉を聞いて脳裏に蘇る言葉がある。

 

(貴方が目覚められたお力、そう、ペルソナ。

 更に貴方様は同時に複数のペルソナを身に宿す力に目覚めておいでだ、その素養を私共は)

 

「っ……ワイルド…」

 

 イゴールの言葉が脳裏に蘇りその言葉を呟く。

 

 それが聞こえたのがアイギスが驚いている様に見えた。

 

 ああ、そうかそうだな………!

 

 今のペルソナにできないのなら、ペルソナを替えないとってか…それなら

 

「……ぐっ……へっ…へへ…出来るぜ、それ…!!」

 

「なんやて?…………!?」

 

 アリアドネの糸に縛られたメサイア・影神の姿が光の粒子に変わる。

 

 その粒子の中にて回転する愚者を示すアルカナカード。

 それが強く閃光を放ったかと思えばそのアルカナカードは正義のアルカナを示すものとなる。

 

「………っ!!ルシファー・影神!!!」

 

 そして招来する膨大な力の奔流、それは一面を純白で染め上げ収束。

 その中央には純白の翼を六羽三対携える白髪の人型。

 その瞳は常に怒りと憎悪が爆発していたメサイア・影神とは違い穏やかさと冷静さを持ち、しかし傲慢という業を孕んでいる。

 

 仮に何も知らないものが見たならこのペルソナこそがメサイアの名を持つのだと錯覚するほどの純白さを持つルシファー・影神から放たれる白光、それはアリアドネの操る糸に触れればその尽くを塩へと変えていく。

 

「な、なんやこれ!?なんなんそのペルソナ!?」

 

「光に当たった糸が塩に……?!」

 

 ラビリスとアイギスはその常識外れの効果を持つ力に驚愕する。

 

 ペルソナが切り替えられたことへの驚愕も冷めない中にこの異常攻撃に面食らい、ラビリスは急いでその場から離れようとして

 

「がっ!?」

 

 自身の頭部に飛んできたガンブレードを避けれずに激突。

 

「ぐっ……なんでこんなもんが………!?」

 

 ラビリスが何が起きたのかを確認する為にガンブレードの軌道元を辿れば綾崎が投擲後のフォームを取っている。

 先程俺が落としたガンブレードは何の偶然か綾崎の手近に落ちていてくれた。

 

 故に綾崎はそれをラビリスへと投げつけたのだろう。

 

  ナイスだぜ

 

 そして綾崎をその目で捉えたというのなら当然目の前に迫っていた俺も捉えたラビリス。

 急いで腕を前に突き出し迎撃を試みるが

 

「うらァ!!!!」

 

 逆にその出された腕を利用しその場で背負い投げを実行。

 ラビリスを背中から床に叩きつけてその腹に馬乗りになって制圧する。

 

「やれば出来るやん、玖城くん」

 

「お褒めに預かり光栄ですってか?」

 

 馬乗りとなり制圧の為にラビリスを押さえ付ける俺。

 しかし戦いはまだ終わっていない。俺達は互いにペルソナ使いであり、本体である召喚者がこのように不自由だとしてもペルソナ同士が戦闘を行えるのだ。

 それにまだアイギスも残っているのだ。

 

 俺とラビリスの赤い瞳が互いに睨み続ける。

 

 俺が少しでも目を逸らせば俺を押し退けることも可能なラビリスは然し動こうとはしない。

 

 クソ、このやろうまだ俺の事を嘗めてやがるのが!

 そう思い睨みつける俺に対してラビリスは呆れながら顔を一度背けて。

 

「玖城くん、確かにウチの装甲は頑強やから気づいてないかもしれやんけど………、

 1回自分の手が何処に当たっとるんか見た方がええと思うよ?」

 

 そう言うラビリスの顔が心做しか赤みを帯びているように見える。

 

 手?何を言って…?それが気になり自分の手へと目を向ける。

 

 ラビリスの胸部、装甲があるため柔らかさが伝わらないとはいえ俺の手は間違いなくラビリスの胸を鷲掴みにしているように映る。

 

 

 

 

「………………………はっ!?殺気!?」

 

 

 その瞬間いつかと同じように俺を横方向から弾き飛ばす二つの力。

 一つは綾崎のオグニイェナの蹴り、そしてもう1つはアイギスのアテナの槍の殴打。

 

 その2つが合わさることで非常に強烈な一撃と化し俺の体を大きく吹き飛ばし訓練ルームの壁にめり込ませた。

 

「グッボァァアアッッッ!?!?!?」

 

「玖城ぉぉお!!アンタまさか私だけで留まらず更にスケコマシムーブカマすつもりかぁ!!!」

 

「人の姉に何やってるんですか樹下さん!!!!」

 

いや、あの、じ、事故やこれ…………ガッ………

 

 

───────────────

 

 

 玖城くんがアイギスと綾崎ちゃんに弾き飛ばされれば私は自由になる。

 その場で上体を起き上がらせるけど立ち上がれない。

 

 別にこれはダメージから来るものではない人で言うところの腰が抜けたって言う状態だと思う。

 

「ウチの胸…硬いもんなぁ……」

 

 玖城くんに触られた胸の辺りが少し暑い気がする、それを思うと無意識に自分の体を抱き締める。

 

…人間になりたいって思うったのは久しぶりだなぁ…。

 

 そうだ、今度美鶴さんやラボの人達に相談して柔らかいパーツをつけてもらおうかな。

 そうしたらまた玖城くんに触られてもすぐ気づいて……?

 

「なんでウチまた玖城くんに触られること想定してんの…!?」

 

─────────────────

 

 

 それから暫く経ったのだろう、何度目かの知らない天井はもう知ってる天井になっちまった。

 

「……痛い」

 

 今回は本当に身体が動かせない。

 

 アテナとオグニイェナに攻撃された箇所は勿論大激痛。

 ラビリスにぶん殴られた頬と鼻は呼吸する度に鈍い痛みを俺に刻み込んでくる。

 

 ここ数日で一番の大怪我状態に溜息を着きたいがそれも痛いので諦める。

 

 そんな中横に何かがあるのを感じてそちらを見れば俺の顔をベッドの横にて同じ高さまでしゃがむことで見つめる赤い瞳と視線がかち合う。

 

「ラビリスさん…俺の右頬もぶん殴りに来たんすか?」

 

「いやそんなこと流石にしぃへんよ?

 流石に本気でぶん殴ったわけやし、平気なんかなって思っだけやよ」

 

「本気で殴った人のセリフじゃないねそれ」

 

 本当はもう少し大袈裟に言いたいけど今大袈裟に行動すると身体が痛すぎるので自重してたらラビリスが俺の手を持ち上げて自分の胸に押し付ける。

 

   何やってんだこの人??

 

「……あー、成程そういう事…はいはい」

 

 そう言って1人納得してるラビリス、いやなにこれ新手のセクハラですかこれ?

 

「まぁ今日の訓練は終わっとるし、玖城くんもある程度痛みに慣れたらそのまま帰ってええよって美鶴さんと真田さんも言うてたよ。

 まぁ動けそうにないならこのまま泊まってってもええ言うてたで」

 

 そこまで言ったところでラビリスは不敵に笑い。

 

「添い寝したろか?」

 

「帰れ鉄塊」

 

「冗談やんか、ほなまた今度の訓練時にな樹下くん」

 

……今名前で呼んでったよなあの人?

 

 

────────────────

 

………いやいやいやいや、いやいやいやいやいやいやいやいや、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや

 

 玖城くんの病室から出て施設内を全力で駆け抜ける。

 玖城くんの手を取った時点でもうダメだった。

 

 それを胸に当てたらもっとダメだった。

 

 ダメだダメだそんな事美鶴さんが許さないよ!!!

 

「あかぁあああん、どうしたらええんやウチはァああああああああぁぁぁ」

 

 たったあれだけでこんな気持ちになるなんて、私流石にちょろ過ぎない!?

 

 あぁぁあんもぉぉぉおおお!!!

 

「あかぁぁぁぁぁあああああん!!!!!」

 

───────────────

 

 その後暫くして漸く身体の痛みがどうにか落ち着いたので巌戸台寮への帰路に着く。

 歩く度に痛いものは痛いが、明日の学校の用意などを考えれば帰らざるを得ない。

 

 5月手前のこの頃は夜の冷気にも湿度を感じる。

 

 そういえば5月と言えば

 

「みつ姉8日に誕生日じゃんか」

 

「ほぉ、覚えていたか樹下」

 

「ほぉおああああ!?!?」

 

 いきなり隣から響くみつ姉の声に驚き飛び跳ねる。

 

 いてて…

 

「随分無茶な戦い方をするな、お前もラビリスも。

 あくまで訓練だということを忘れているような戦い方にハラハラする。」

 

「いやそれは俺じゃなくてラビリスに言ってくれよ…」

 

 その発言にみつ姉は少し驚くと少し悪戯っぽく笑いながら言葉を続ける。

 

「先程まではラビリスの事をさん付けで呼んでいたのに、胸を触ったら俺のもの的な感じか?

 お姉ちゃんとしては感心しないな樹下」

 

「そんなんじゃねぇよ!!無意識だよ無意識!!」

 

「まぁお前にとってもラビリスにとってもいい刺激になったようで何よりだ、これならお前にもう一人も会わせてみるというのもいい判断だったな。」

 

「もう一人?」

 

みつ姉の言葉に首を傾げる

 

「ふふ、寮に戻れば解るさ。

 では気をつけて帰るんだぞ樹下。」

 

 そう言って巌戸台寮とは別方向に歩いていくみつ姉を見送って寮に戻る。

 

 寮に何があるってんだよ。

 

─────────────────

 

「私の名前はテレジア。

 対シャドウ特別制圧兵装六式、つまり6号機に該当します。」

 

寮に帰れば解る…ね。

 

「ラァアビィイリィィスゥゥウ!!!!!」

 

「いやいやいやいやウチ悪なくない?悪なくない!?

 ってちょっと樹下くん近いわ、離れて離れて!!」

 

 俺は珍客というか新たに俺たちの寮に住むやつを連れてきたラビリスに詰め寄る。

 その様子を見る綾崎は何やら面白くなさそうな顔をしている。

 

「綾崎さん…顔に出過ぎてるよ?」

 

「…………え、何が?天田?」

 

「いやなんでもないよ…うん。」

 

 天田はこの瞬間考えるのをやめた。

 

 ラビリスが連れてきたのはラビリスとアイギスの姉妹機に当たる六式の対シャドウ特別制圧兵装である赤い髪に深緑の瞳を持つテレジアと言う名の個体。

 

 15年前においてアイギスよりも先にその機能を停止させてしまって以来修復しても目を覚まさなかったらしいが、この数日のうちに目を覚まし各種調整を経て巌戸台寮へ配属されたようだ。

 

「あの!」

 

 俺がラビリスに詰め寄っているのを見ていたテレジアが大きな声を出す。

 その緑の瞳はまっすぐ俺を見つめ逸らされない。

 

「な、なんだよ?」

 

 なんかコイツの顔……どっかで見たことあるような気が……?

 

「貴方が玖城樹下さんなんですね。そう、貴方が」

 

 そう言う彼女は俯いて身体を小刻みに震わせ始める。

 

 な、何だ?何が起こる?

 

「貴方がラビリスお姉ちゃんを誑かして弄ぶ男…!!!」

 

「はぁ!?」

 

「ちょっとテレジア!?あんた何言うてんの!?!?

 ちゃうよ樹下くん!!誤解や誤解!!!」

 

 その様子を眺め続ける綾崎と天田。

 

「天田くんやばい」

 

「えっと…怒りで?」

 

「めっちゃ面白い展開じゃんこれ…!!!」

 

「あ、なんか解決したみたいだ」

 

 天田の安心度が上昇した。

 

「お姉ちゃんはここに来る途中時折貴方の名前を口にしては顔を手で覆ったりニヤニヤしたりしてた!!

 貴方がお姉ちゃんを誑かしてる証拠ですよね!?」

 

「ちゃうよ!?樹下くんホンマにちゃうよ!?!?

 ほんまこの子何言うてんの!?」

 

「ほんとだもん!!!お姉ちゃん樹下くん樹下くんって凄くニヤニヤしながら顔赤らm」

 

「あんたホンマええ加減にしいや!?ちょっとこっち来い!!!!」

 

 そう言って嵐のように騒いでロビーの奥の裏口から寮の外へと出ていく二人。

 

「天田くんやばいマジでこれやばい見てて面白すぎる!!!!」

 

「うん、そうだね、さっきまで君もあの中にいたのにね。」

 

 その様子を見てきた綾崎は面白いものを見つけたと大歓喜。

 

 天田は再び考えることをやめた。

 

「……………はぁ……」

 

 とりあえずあの二人だと説明能力に難がある。だから俺はこういったことに詳しい人に連絡を取ることにした。

 

「あ、すいませんお忙しいところ。玖城樹下です」

 

「おや、樹下坊っちゃまですか?お久しぶりです。」

 

 電話越しに会話するのは現在みつ姉の秘書としても働く桐条家の使用人。

 つまりメイドであり、みつ姉とは同い年の幼馴染である斉川菊野という名の女性。

 

「坊っちゃまはやめてくださいよ。親戚とはいえ玖城は普通の家なんですから。」

 

「しかし玖城家、かつては玖錠家と呼ばれていた貴方の家は現在の桐条家と南条家の源流、言わば宗家とも呼べる家名です。

 余りぞんざいに扱うのは」

 

「そんなのまだ日本が明治維新やってた時代よりも前の話でしょ?

 今のウチはただの一般的な家庭ですよ」

 

おっと本題がズレた。

 

「あのシャドウワーカー関係なんだと思うんですけど、今寮にラビリスとテレジアが来てるんですけど。

 どっちかがここに住むんですか?」

 

「?いえ、2人ともそこで住みますよ?」

 

「はい?なんですと?」

 

「ですからラビリスとテレジアの両個体は本日付けで巌戸台寮に配属となります。」

 

 痛い、頬や鼻が痛いのとは別の頭痛のような痛みを覚える。

 この寮も賑やかに(騒がしく)なりそうだ…。

 

「えっと…すいません態々こんなことで電話してしまって…」

 

「いえ、構いませんよ。

 

 それでは失礼させて頂きます、またいずれ美鶴総帥と3人で食事でもしましょう。それでは」

 

 そう言って斉川さんは通話を切る、昔みつ姉もこんな感じのクールビューティだった筈なのになんであんなんになったんだろう…。

 

「えっと、斉川さんなんだって?」

 

 通話の終了を確認したのか天田が問い掛けてくる。

 

「ラビリスもテレジアもここに住むんだとさ」

 

「わぁ、ここも賑やかになりそうだね。」

 

 裏口の方を見る、扉も向こうではまだ姉妹による言い合いが繰り広げられているようだ。

 

 

「まぁ賑やかかはともかく、静かにはならなさそうだな…」

 

こうして夜も更けていく。

 

─────────────────

 

 

 もう何度目かの揺れる感覚、今思えば俺はまだ自分の足でここには来てない気がする。

 

「そう思われる事はいい傾向ですな。

 ようこそ、我がベルベットルームへ」

 

 俺の思考を読んでるのか、口にも出てないことを把握して俺に語りかける長い鼻が特徴的な老人イゴール。

 その隣にいるエルフリーデは自身の持つ分厚い書を開いている。

 

「気になりますか?お客様」

 

 エルフリーデは俺の視線に気がついたのか語りかけてくる。

 

 まぁ気になるよ。

 

「畏まりました、では説明致しましょう。

 此方はペルソナ全書と呼ばれるものであり、お客様の世界で言うところの辞典や広辞苑、六法全書のようなものと捉えていただければ宜しいかと思われます。

 

 この全書の中にはお客様が手に入れた心の鎧、つまりペルソナが記録されて行き、また未来において目覚める可能性のあるペルソナも記されております。」

 

 成程、なんか一種の予言書みたいなものか。

 

「はい、非常に近しいかと。

 また少々心ばかりのお代を頂きますが、自身の内なる海から切り離したペルソナを再び喚び出しお渡しすることも出来ます。

 ご利用したい時はお声掛け下さい」

 

 一通り説明してくれたエルフリーデに頭を下げて礼を伝える。

 

「しかし随分とまた強力なペルソナを手に入れましたな。

 ルシファー・影神、メサイア・影神も含めこれらは私共としても未知であり初見のペルソナ。

 貴方様の旅路はわたくし共としてもとても刺激的なものになるようだ。」

 

 イゴールは笑う、さぞ見応えのある書や映像を見つけたと言わんばかりのその笑い方だが、不思議と悪感情の類は含まれてないと解る。

 

「この調子ならば、貴方が次に訪れる際にわたくしの真価を発揮するかもしれませぬな。

 この先3体目のペルソナを身に宿したのであれば貴方は自らの足で訪れてください。

 恐らく貴方ならばこの部屋に続く扉の場所に気がついておられるかと。

 

 では再び出会うその時まで、ごきげんよう。」




1日の出来事としては濃いなとは思うよ。

さて恒例の新規ペルソナ解説の時間よん。


ルシファー・影神
アルカナ 正義
概要
 審判・ルシファーとは対照的に純白の六羽の翼を持つ、純白衣装の白髪の男性の姿。
 メサイア・影神とは違い塩のような強烈な浄化を彷彿させる純白は途方もない清廉さを演出しているも、その内に渦巻く傲慢さと冷徹さも決して薄い訳では無い。
戦闘能力
白光 シャドウを塩へと転じさせ、無力化する攻撃。


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