藤丸立香に救われたいカグヤヒメ 作:二次元好きの匿名さん
ありがとう奈須きのこ。フォーエバーTYPE-MOON
あなた達の物語に出会えて本当によかった
3部の構成がどうなるのか分かりませんが、どのような判断をしても追い続けていく所存です
通された部屋は十畳程の和室だった。正方形の大きな机が中央に鎮座し、向かい合うように座布団が敷かれている。掛け軸等のインテリアは見られないが、外に繋がる障子が開け放たれており、満月を中心に数多の星が散りばめられた夜空が視界を彩った。座るように促されると、仄かに漂う藺草の匂いが鼻をくすぐる。
「粗茶ですが」
その一言と共に目の前に茶器が差し出され、白い湯気と緑茶の香りがフワリと広がる。お茶の善し悪しは分からないが、僅かに緊張が解れた気がした。反射的にお礼の言葉を出すと、少女はニコリと微笑む。
洗練された所作で対面に座った少女を改めて見つつ、思考に耽ける。身長は恐らく150cm程度と小柄だが、身に纏う十二単や超然とした雰囲気が幼さを感じさせなかった。これは……そう、貴人と相対した時と似た感覚だと一人納得する。
「さて、まずはお互い自己紹介から致しましょう」
無意識にスッと背筋が伸びる。視線は逸らさずに正面を見据え、相手の言葉を待つ。仮に貴人だとした場合、このようなタイミングでは静かに相手の発言を受け止めることが吉であり、余計な口は挟まない方が良いと今までの経験から学んでいる。
「わたくしはかぐや。『なよ竹のかぐや姫』──人は、わたくしをそう呼びますわ」
「もしかして、『竹取物語』の?」
「いかにも」
『竹取物語』。作者及び成立年代共に不明ながら、凡そ日本人であれば一度は耳にしたことがあるだろう日本最古の御伽噺。
……彼女は紅先生と似た様な存在なのだろうか、という疑問がふと脳裏を過ぎる。
「つまり、貴女は……」
「お察しの通りかと。此度はキャスターのクラスにて現界したサーヴァントですわ。かぐや、とお呼びください」
ムーンキャンサーかフォーリナーじゃないんだ、という率直な感想が頭に浮かんでは消える。いやまぁ、あのクラスは元々
そんな横道に逸れた思考を知ってか知らずか、目の前の少女は真っ直ぐ此方を見据えたままこう続けた。
「わたくしはこの地に発生した特異点、その解決の為に召喚された一人に過ぎません。……諸事情にて今はこの屋敷に引き篭っておりますが」
「そうなんだ……」
「えぇ、はい。ところで貴方はこの地の住民では無い様子。先程聞こえた戦闘音から察するに、この特異点内の
「
「ふむ。……その辺りは後程ご説明しましょう。まずは貴方の名前と事情をお聞かせ願えますか?」
その言葉を皮切りに、俺はカルデアの事や特異点修正の為にやってきた事を簡潔に纏めて話した。その間、かぐや姫を名乗った目の前の少女はじっとこちらを見詰め続けている。微動だにしないその姿は、さながら日本人形のようだった。
穴が開くほど見詰め続けられたせいか、少しやりづらさを感じつつも一通りの話を終える。すると僅かな間を置いてポツリと「なるほど」と呟いたのが微かに耳に届く。そして彼女は視線をこちらから外へと流し、静かに口を開いた。
「わたくしの認識と相違ないようですわね。ならば、この地点で藤丸様と合流できたのは幸いというもの。先の事を思えば、今しかなかった、とも言えますが」
「……? それは、どういう──」
「まずは謝罪を、藤丸立香様。わたくしは貴方様がこの特異点へやって来ることは事前に知っておりました。どのような背景、どのような使命を帯びているのかも。それは、わたくしという存在がどのような経緯、理由で生まれたかというモノから端を発しますが、今は関係ないので省略いたしますわ」
彼女の言葉に混乱する。何故? どうやって? それらの疑問に答えて欲しいと逸る心を抑える為にも、お茶で喉を潤した。
外へ向いていた視線が再度こちらへと戻る。もはや聞き慣れた祭囃子をBGMに、彼女の言葉を静かに待つ。
「では、お話致しましょう。この特異点と、その黒幕について」
今回の更新の際に、一人称の調整をしました。些細な違いですが、見逃しがあれば遠慮なく報告をお願いします