果たして誰なのでしょうか。
それではどうぞ!
アイリス「ルリアンナに会ったんだ。」
エレナ「えっ…!?」
その言葉で、エレナは驚く。
マヒロ「…ルリアンナ?」
エレナ「この前、幼馴染の話をしたよね?」
「実は、そのルリアンナって子が、私の幼馴染なの…。」
なるほど…、どうりでエレナが驚く訳だ。
未だに誰がその人物なのかは見当もつかないが。
アイリス「エレナはそいつを“ルナ”って呼んでて、唯一親しくしていたんだ。だがある日、ルリアンナはグレーテから姿を消した…。」
エレナ「…団長、ルナは今どうしているんですか?あの日以来ずっと会ってないから心配で…。」
アイリス「あいつは元気でやってるよ。まあ、頑固で孤独なのは相変わらずだが…。」
そんな事があったんだな…。
考えた末、俺はある事に気付いた。
マヒロ「…アイリス、彼女と話した場所は?」
アイリス「ん?森だが。」
マヒロ「…やっぱり気の所為ではなかったか。」
俺が思い出しているのは、森で彷徨っていた事、先程エレナと依頼をこなし、ギルドに向かう最中の事。
特に後者の方は、低木が揺れていた。
最初は小動物かと思っていたが、アイリスとルリアンナが話した場所の事を考えてみると、辻褄が合う。
マヒロ「……もしたかしたらあれが…。」
エレナ「マヒロ?どうしたの?」
マヒロ「…聞きたいのだが、そのルリアンナは仮面を着けていたか?」
「…ああ。何でかは知らないけどな。」
…!という事はつまり─────。
『……ここ、危ないよ。……一般人が、ここにいて良い場所じゃない。』
俺がここに来るまでに出会った、あの少女こそが─────。
─────エレナの幼馴染、ルリアンナだったのか……。
マヒロ「彼女は今どこに?」
アイリス「そこまでは知らない。邪魔するなと言われたから、そっとしといてやったんだ…。」
マヒロ「……そうか…。」
まあ、そうなってしまえば放っておく方が良いかもしれないな。
エレナ「何なに?よくわからないんだけど…。」
……ここは言った方が良いよな。
俺は、エレナに話す。
マヒロ「…俺、実は彼女に会った事あるんだ。それこそグレーテに来るどころか、エレナと出会う前の話だが…。」
エレナ「えっ!?」
俺はそう言って、エレナはまた驚く。
アイリス「なるほどな…。それでルリアンナの事を聞いてきたのか。」
マヒロ「ああ。まさかアイリスから振ってくるとは思わなかったが。」
エレナ「そうだったんだ…。」
思わぬ所で繋がりがあった。
少しでも彼女に近付けられるきっかけにもなったかもな。
エレナ「……という事は、ルナはまだ森に…?」
アイリス「どうだろうな…。必ずしも森にいるとは限らないと思うぞ。」
まあ、そうだろうな…。
だが、俺がルリアンナと出会った、将又2人が話した場所の事を考えると、そう遠くには行ってないはずだ。
アイリス「あたしから言える事はここまでだ。後はお前らがどうしたいかに任せる。」
エレナ「ありがとうございます、団長…。」
そう言うと、アイリスは行ってしまった……。
マヒロ「…エレナ、大丈夫か?」
エレナの方を見てみると、表情が暗くなっているのがわかる。
幼馴染の事が心配なんだな…。
エレナ「…ごめんね!暗くなっちゃって。ルナの事になるといつもこうなっちゃうからなぁ。しっかりしないと!」
エレナは、とてもじゃないが無理をしている。
マヒロ「…ルリアンナに会いたいか?」
エレナ「……。」
そっと声をかけると、エレナは俯いた。
エレナ「…できる事なら、ルナに会いたいよ。それは彼女もそう思ってるはず。」
「…あんな事が起きなかったら、私はずっとルナの傍にいてあげられたのに……。」
マヒロ「…?あんな事って?」
エレナは暗い顔で、そうポツポツと呟く。
そして、エレナは俺の方を見てこう言った。
「…ねえマヒロ、私達の昔話、聞いてくれる?」
マヒロ「ん?ああ。」
この表情で昔話をするという事は、きっと散々な目に遭ったんだろう。
俺はそう悟った。
エレナ「…場所を変えよっか。」
エレナはそう言い、俺は後に続く事にした。
俺達は今、路地裏付近にいた。
ここならすぐに表に戻れる。
エレナ「…それじゃあ、話そうかな。」
俺はエレナの話を真剣に聞く事にした。
~エレナ視点~
あれは、10年くらい前の事。
私には騎士の父と、僧侶の母がいた。
一緒にグレーテの外に出かけていた時もあった。
その時に、私は門の前でボロボロになっていた女の子を見つけた。
その女の子は、青みがかった銀髪で、凛として整った顔立ちに、躑躅色の瞳を持っていた。
それがルナ……ルリアンナだった。
私は彼女を両親と一緒に助け、何故あそこにいたのかを本人から聞いてみた。
最初は口ごもってなかなか答えてくれなかった。でも、少し時間を経ってから、彼女の口から理由を聞かされた。
その理由とは、とても壮絶なものだった。
同じ歳の女の子にしては、扱いが酷すぎると思った。
ルナは、両親に捨てられた子だった。
その理由は、ルナが不幸体質であるという事だった。
彼女と関わった人は、皆危ない目に遭っていたみたい。
それもあって、ルナはずっと“死神”と呼ばれ続けていた。グレーテにいた頃もずっと、死神呼ばわりされていた。
そしてある日、グレーテに襲撃が起こった。
被害は不特定多数で、私の両親もその1人だった。
ルナと一緒に、両親を失った子供になった私は、ある人に拾われた。
それが、アイリスだった。
当時の彼女はまだ団長と言われてない、つまり駆け出しの頃のアイリスだった。
両親を失った事を話すと、アイリスは過去の団長に話し、その団長も快く私達を引き取ってくれた。
それから私達はすくすくと育ち、やがて騎士になった。
私はお陰で、グレーテ騎士団に入れた。だがしかし、そこで1つ問題があった。
ルナは、騎士団に入らなかった。
何で騎士団に入らなかったのか、私は必死に問い詰めた。
でも、ルナは答えてくれなかった。
そんなある日、ルナはグレーテの門の前に行っていた。
そう、ルナがグレーテから去ろうとしたあの日。
エレナ『待ってルナ!本当に行っちゃうの…?』
ルリアンナ『……うん。……じゃないと、私はずっと悪く言われる。』
エレナ『それなら、私が守ってあげるから!1人でどこかに行かないでよ…!』
ルリアンナ『……心配してくれてありがとう、エレナ。……でもごめん、これは私が決めた事だから。』
エレナ「ルナ…!そんな…!」
『……エレナ、私がいなくても、エレナはずっと……エレナのままでいてね。』
これが私達の、最後の会話だった。
今思えば、あれはルナなりの優しさだろうけど、やっぱり私は寂しさに耐えられなかった。
だってルナは─────。
─────私が唯一、“親友”と呼べる存在だったのだから。
~マヒロ視点~
俺は、エレナの話を最後まで聞いた。
エレナとルリアンナに、そんな事があったんだな…。
ルリアンナは、他人を不幸にさせてしまうから、グレーテを離れた……という事か。
エレナ「ルナは…、ずっと怖かったんだと思う。自分が死神と呼ばれ続けていく事が、ルナにとってどれだけ苦痛なのか……。」
エレナの方も、ルリアンナを大切に想っているのがわかる。
ルリアンナは、エレナの事を想って、森まで行ってたんだな。
マヒロ「…話してくれてありがとう、エレナ。」
エレナ「気にしないで。いつか話そうって思ってたから。」
2人の事情はわかった。
後はどうするか…。おいおい考えておくか。
~ルリアンナ視点~
『エレナの成長ぶりを見て、グレーテに帰ろうと思わないか?』
ルリアンナ「……。」
アイリスさんに言われた、あの言葉が離れない。
ルリアンナ「……帰れるなら、帰りたいよ。」
もうここ最近、グレーテには帰ってない。
エレナも、もしかしたら心配してるかもしれない。
でも、まだ怖いんだ。
だって私は、人を不幸にさせてしまうのだから。
『また1人死んだ…。お前がいるからだ!』
『返してよ!!私の家族を!!』
『お前は死神だ!!とっとと失せろ!!』
『ここはお前が居て良い場所じゃねえんだよ!!!』
人々の悲痛な叫びが、今日もまた聞こえる。
私は、誰からも愛されなかった。
両親も、私が不幸体質だとわかった時、私を突き放した。
その後は処刑されたみたいで、私は孤独になった。
私は、何で生まれたのだろう。
こんな事になるなら、生まれるべきではなかったのかもしれない。
騎士になって貢献しようとも、人々に待っていたのは、結局不幸だけだった。
それから私は、死神と呼ばれるようになってしまった。
そんな私に、唯一手を差し伸べてくれたのは────。
─────親友のエレナだった。
私は、エレナまで手放してしまった。
親友とまで呼んでくれた彼女を裏切ってしまった。
私は、救いようのない罪人だ。
だって今の私は、死神という汚名を着せられた人間。
その罪人の顔を隠す為に─────。
私は、仮面を着けたのである。
ごめんね、エレナ、みんな─────。
─────ごめんなさい。
はい、ルリアンナとは主人公が最初に出会った人物、そしてエレナの幼馴染でした。
壮絶な過去を経験してきたようです。
次回もお楽しみに。