前回の続きからになります!
それではどうぞ!
俺がギルドを出ようとした途端、仮面の少女がいた。
その少女とは、ルリアンナだったのだ。
マヒロ「ルリアンナ…?」
ルリアンナ「…私の名前、知ってたんだ。…誰かから聞いた?」
マヒロ「…エレナから。」
ルリアンナ「…そっか。…エレナってば何でもかんでも話そうとするからね。」
この感じ、あの時のままだ。
あの時の彼女のままで、クールな印象が見受けられる。
受付嬢「…?マヒロ様?そこにいらっしゃるのは…?」
ルリアンナ「…あ、受付嬢さん、久しぶり……と言っても、仮面着けてちゃわかんないよね。」
ルリアンナは、仮面を外す。
俺には見せないように。
受付嬢「ル、ルリアンナ様!?どうしてここに…?」
ルリアンナ「…今日はマヒロに会いに来たの。」
マヒロ「俺に?」
ルリアンナが俺に用があると?一体何だろう?
ルリアンナ「…ここじゃ目立つから、付いて来て。」
俺は、彼女に従う事にした。
ギルドから少し離れた路地裏で、俺はルリアンナと2人でいた。
ルリアンナ「…改めて初めまして。…私はルリアンナ。……知ってると思うけど、エレナとは幼馴染だよ。」
今目の前にいる少女が、エレナの幼馴染のルリアンナ。
死神と呼ばれていた少女だ。
マヒロ「あの時はありがとう。亜人から助けてくれて。」
ルリアンナ「…気にしないで。…私が助けたいと思ってああしただけだから。」
ルリアンナは透き通った声でそう言う。
仮面の下の顔も、きっと整っているのだろう。
マヒロ「…ところで、何故仮面を?」
ルリアンナ「……。」
俺がそう聞くと、彼女は黙り込む。
…言いたくない事だったか?
マヒロ「…あ、もしかしてあまり知られたくないか?」
ルリアンナ「…ううん。…ごめんね、黙っちゃって。…ちゃんと理由はあるから。」
どうやら、そんな事はないらしい。
…心して聞いてみるとしよう。
ルリアンナ「…君も知ってるでしょ?私が死神って言われてるの。」
ルリアンナはそう聞いてきた。
それには重々承知している。
マヒロ「…ああ。不幸体質だとな。大変だったよな……。」
ルリアンナ「…そう。…死神の顔を隠すために仮面を着けた。…それだけだよ。」
なるほど、そんな理由だったのか…。
アイリスの話を聞いた時から気になっていた。
ルリアンナ「…失望したでしょ?…あの時助けた人間が、死神だのなんだのって、言いたい放題にされてさ……。」
ルリアンナは、暗い声でそう言う。
きっと、死神呼ばわりされている事を気にしているのだろう。
マヒロ「……俺はそう思わない。」
ルリアンナ「…え?」
マヒロ「俺はお前と会うのは今日で2回目なのだが、お前を死神だとは思わない。あの受付嬢から聞いた話なのだが、駆け出しの頃は依頼も受けていたりしていたんだろう?それに彼女も、お前を死神なんて思ってないようだぞ。だから不幸体質だからではなく、奴等の思い込みなだけなんじゃないのか?」
俺は自分の意見を彼女に伝えた。
俺は元々この世界の人間ではないが、彼女を信じているからこそ言える。
ルリアンナ「…そっか。…君の気持ち、伝わったよ。」
ルリアンナはそう返した。
多分、仮面の下では微笑んでいるのだろう。
マヒロ「…?どこに行くんだ?」
すると、ルリアンナは背を向けてどこかへ行こうとしていた。
ルリアンナ「…言ったでしょ?…君に会いに来ただけって。…それに私もやる事があるから。」
マヒロ「エレナに会わなくて良いのか?」
ルリアンナ「……そうしたいけど、ちょっとね…。…まあ、君がグレーテにいたら、そのうち戻ってくるよ。」
そう言って、ルリアンナは行ってしまった。
ルリアンナ「……本当は、エレナに会う事も、ちょっと怖いんだ。」
彼女は何か呟いていたようだが、よく聞こえなかった。
~グレーテ街中~
「よお、マヒロ!」
表に戻ると、アイリスがいた。
マヒロ「アイリス?何してたんだ?」
アイリス「ちょいと森の安全確保にな。亜人達をぶっ倒してきたんだ。」
どうやら、アイリスは森に行っていたらしい。
しかし、安全確保とは?
アイリス「ああ、そういやあんたには言ってなかったっけ…。実は後日、グレーテ闘技大会ってのがあってな。それの準備をしていたんだ。」
闘技大会……って事は、人間同士が戦うって事だよな?
アイリス「場所なんだが、森の奥にある闘技場なんだよな。森には亜人達が彷徨いているし、事前に安全確保をしたって訳だ。」
そうか、だからアイリスは森へ行ってたんだな。
それにしても、闘技大会か…。
アイリス「…その顔、興味あるって顔だな?」
…どうやらアイリスにはお見通しみたいだ。
マヒロ「まあ…、ないと言ったら嘘になるな。これは誰でも参加できるのか?」
アイリス「そうだな。事前にエントリーしておけば参加できるぞ。あんたは依頼もやってるし、腕試しには良い機会なんじゃないか?」
それなら、参加してみようかな。
せっかくグレーテに来たんだし、やってみるか。
マヒロ「なら、エントリーしてくるよ。森の奥と言っていたよな?」
アイリス「ああ。1人で大丈夫か?」
マヒロ「問題ない。もう慣れたしな。」
俺はアイリスを後にし、闘技場へ向かった。
それにしても大会か。どんな人々が参加するのだろうか。
楽しみだな。
~闘技場 門前~
マヒロ「でっけぇ…。」
俺は今、闘技場へやってきている。
グレーテの拠点ほどではないが、でかい壁が立っていた。
大会はここでやるんだよな?
俺は早速中に入り、エントリーをする事にした。
受付「はい、マヒロ様のエントリーが完了しました!頑張ってくださいね!」
マヒロ「ありがとう。」
これで俺は、大会の参加者となった。
ここにいる者達は皆、大会に出る者だろうか?
見るからに腕自慢な者達がいるのがわかる。
「…マヒロ?」
すると、俺に話しかけたであろう声が聞こえた。
マヒロ「…ルリアンナか?」
ルリアンナ「…そうだよ。…また会ったね。」
声の主は、やはりルリアンナだった。
彼女がここにいるという事はつまり…。
マヒロ「お前も参加するのか?」
ルリアンナ「…まあね。…まさかここで君と会うなんて思いもしなかったけど。」
やはりそういう事か。
ルリアンナもこの大会に参加するという事は、相当な腕前なんだろうな。
ルリアンナ「……でも、私が来ると罵詈雑言ばかり響くけどね…。」
マヒロ「やっぱり、死神の事でか?」
ルリアンナ「…そう。……まあ事実だし、仕方ないんだけど…。」
闘技場でも、死神という汚名は広まっているんだな…。
あまりにも気の毒だな…。
ルリアンナ「…信じていない人がいるだけまだマシだよ。…あなたもその1人で良かった。」
ルリアンナはそう言った。
そりゃあ、事情も知らない奴が言いたい放題にしているのを見たら、放っておけない。
彼女はエレナの友人、将又アイリスに育てられたからこそ言えるだろう。
「ルナ……だよね……?」
すると、奥の方で声が聞こえた。
ルリアンナに声をかけたのは─────。
ルリアンナ「…っ!」
─────エレナだった。
エレナ「本当にルナだよね!?人違いじゃないよね!?」
ルリアンナ「…あっ…、えっと……。」
エレナ「…ルナ…?」
エレナを目の前にしたルリアンナは、何か言いたそうにしていたが、黙ってしまっていた。
マヒロ「…ルリアンナ。」
ルリアンナ「…っ!」
マヒロ「お前の事情は知ってる。だがいつまでも会話が進まないと、逆に心配されるぞ。」
俺はルリアンナにそう言った。
そしてルリアンナは、エレナと向き合う。
ルリアンナ「………。」
「…そうだよ、エレナ。…ルナ…ルリアンナだよ。」
エレナ「…!やっぱり!そうだと思った…!」
ルリアンナ「…ごめん。…あの時、勝手にいなくなって……。」
エレナ「…それはもう良いよ。ルナが元気そうで安心した。」
エレナはそう言うと、ルリアンナに微笑みをかけた。
余程幼馴染が心配だったんだろう。
ルリアンナ「…エレナ、私、ここの大会に出るの。…あの時より強くなった私を見てほしい。」
エレナ「…!そっか。もちろん見に行くよ。」
ルリアンナはそう言って、向こうに行ってしまった。
マヒロ「…良かったな、エレナ。」
エレナ「うん。相変わらず物静かだけど、もう心配ないみたいだね。」
会って日は浅いが、ルリアンナは立派な騎士だと俺も思う。
あんなのが罵声を受けているとはとても考えられない。
マヒロ「…そうだエレナ、実は俺も闘技大会に出る事にしたよ。」
エレナ「え?大丈夫なの?強者揃いだよ?」
マヒロ「腕試しに良いと思ってな。自分の限界を確かめてみたいんだ。」
エレナに、そう事情を伝えた。
エレナ「…わかった。応援してるね。」
エレナは微笑んで、俺にそう言った。
だが、少し心配そうな表情だ。
何せ俺は新参者だからな…。そう考えるのも難くない。
エレナ「じゃあ私、会場の準備してくるから!マヒロも体勢を整えるんだよ?」
マヒロ「ありがとう。」
エレナはそう言うと、颯爽と行ってしまった。
マヒロ「…さて。」
そうと決まれば、俺も出場する準備をしないとな。
何せ強者揃いだ。気を引き締めて行かなければ。
~後日~
グレーテ闘技大会。
これから開会式が始まる。
アイリス『皆の衆!よく来てくれた!これよりグレーテ闘技大会を開会する!参加者は腕を振舞って、己の実力を存分に見せるが良いッ!!』
アイリスの声が、会場全体に響く。
アイリスが司会担当…という訳だな。
アイリス『大会は1対1こトーナメント形式で進めていく!従来通り初戦、準決勝戦、決勝戦という順番でやっていくぞッ!!』
OK、1対1だな。
目の前の相手に集中する。俺のやる事はそれだけだ。
アイリス『そんじゃ、今から初戦を始めるッ!トップバッターの2人よ、位置に着けッ!!』
確かトップバッターは…。
俺だ。
俺は位置に着き、相手を見る。
相手は片手剣を持った戦士のようだ。
鎧を身に付けているが、そこまでガチガチではない。
アイリス『始めッ!!』
アイリスの合図で、試合が始まった。
─────お手並み拝見と行こうか。