GENTILE BRAVERY ~Female ver.~   作:ヤガミ

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グレーテ闘技大会③

 決勝戦。

 闘技場に立っているのは私と─────。

 

 

 

 

 

 ─────ルリアンナだった。

 

 

 

 マヒル「………ルリアンナ……?」

 

 

 

 ルリアンナ「…まさか、君と相対するとは思わなかった。…私が思ってたよりも相当な実力者だったとはね。」

 

 驚いた。まさか私の相手がルリアンナになるとは。

 あの時助けてもらった少女と戦う事になるなんて───。

 

 マヒル「ルリアンナ…、私は…。」

 ルリアンナ「…わかってるよ、戦いたくないんでしょ?…私も同じ。……恩を仇で返す形になるなんてね…。」

 

 どうやらルリアンナも、同じ事を考えていたみたい。

 

 ルリアンナ「…でも、これは仕方のない事。進んでしまったのから、逃れる事はできない……。…闘技場はそういう場所だから。」

 

 ルリアンナは、覚悟を決めたのだろう。

 そんな事を考えていると─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「異邦人!死神に勝て!!

 

 「そいつは許されざる罪人だ!さっきのクズ野郎と一緒でな!!

 

 「死神を倒して、沢山の人の無念を晴らしてやって!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……やはり、ルリアンナが言っていた通り。

 ルリアンナに対する心無い言葉が、会場に響き渡る。

 

 アイリス『…マヒル、気持ちはわかるが、いつまでもそんなんじゃ始められない。』

 マヒル「……ええ、わかってる。腹を括らないと…だよね。」

 アイリス『よし、それじゃあ決勝戦─────。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『始めっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイリスの合図で、試合が始まる。

 

 ルリアンナ「…遠慮はいらないよ。…全力で来て。」

 マヒル「…ええ、行くよ!」

 

 私はルリアンナに向かって、攻めに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~エレナ視点~

 今の私は、とても複雑な気持ちだった。

 まさか、マヒルとルナが戦う事になるなんて。

 私は、どっちを応援すれば良いの?どっちの味方をすれば良いの?

 

 アイリス「…エレナ、大丈夫か?」

 エレナ「……。」

 アイリス「…そうでもないみたいだな。」

 エレナ「…今でも信じられないです。まさかあの2人が戦うなんて…。覚悟はできてるんでしょうけど…。」

 アイリス「…だな。だがあたしらは見る事しかできねえ。司会をする以上、下手に手出しはできないからな。」

 

 今は、2人の試合を見守る事しかできない。

 そんな事わかっていても、胸騒ぎが収まる事はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、どうしたら良いの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~マヒル視点~

ガキンッ!

 

ガキンッ!!

 

 ルリアンナ「…良い動きしてるね。」

 マヒル「そっちこそ!」

 

 目の前のルリアンナとの戦闘。

 なかなか隙がない。流石女騎士…といった所ね。

 

 “強斬り”

 マヒル「くらいなさいっ!」

 

ブォンッ!

 

 ルリアンナ「…甘いよ。」

 

 “氷結斬り”

 ルリアンナ「…ハァッ!!」

 

ズバッ!!

 

 マヒル「くっ…!?」

 

 私の攻撃がなかなか当たらず、反撃されてしまう。

 それにルリアンナのあの攻撃…氷だ。

 そんな事を考えていた末───。

 

パキパキ…!

 

 マヒル「…!?」

 

 まともにくらってしまったせいか、私の身体には霜が付いた。

 

 ルリアンナ「…凍結状態。…しばらくはこっちの番だから、覚悟してね。」

 

 冷たさで身体が思うように動かない。

 その隙にルリアンナは、音速でこちらに向かう───。

 

ビュンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキイィィィインッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マヒル「うぐっ…!!」

 

 ルリアンナと私の剣がぶつかり合い、私は大きく吹っ飛ばされる。

 ジャッカスとは比にならない程に速い。

 

 ルリアンナ「…これは耐えられる?」

 

 ルリアンナは、剣を上に掲げる。

 そして─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “吹雪”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビュオォォォオッ!!

 

 マヒル「あっ……!!」

 

 

 

 

 

 私はついに、全身が凍ってしまった。

 霜に覆われ、やがて氷漬けにされ、動けなくなった。

 

 

 

 

 

 ………強いね、ルリアンナ。

 

 剣術も長けて、氷も使いこなせて………。

 

 

 

 

 

 ルリアンナ「…ごめんね。…これで勝負ありね。」

 

 

 

 

 

 私は負けるの?

 

 

 

 

 

 このままで良いの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────答えは、否。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バリイィィィインッ!!!

 

 

 

 

 

 ルリアンナ「…っ!?」

 

 

 

 

 

 全身全霊をかけて、凍った身体を元に戻した。

 

 そう、何故なら私は─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────“火属性”を持っているからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数日前~

 それは、依頼を受けにギルドに向かおうとしていた時の事。

 

 『ちょいとあんた、こっちに来なさい。』

 

 突然、誰かに呼び止められた。

 

 『そこの若者、あんたじゃよ。あんたに用があるんじゃ。』

 

 声の主は、どうやらおばあちゃんのようだった。

 私は呼び掛けに応じる。

 

 マヒル『どうしたんですか?』

 おばあちゃん『あんた、どこかから来たのかい。見ない顔だねぇ。』

 マヒル『ええ、元々グレーテの人間ではありませんから。』

 おばあちゃん「それならあんた、“属性”に興味はあるかい?」

 マヒル『属性?』

 おばあちゃん『おや、知らないのかい。属性というのは、火や水などが使える特殊能力の事じゃよ。あたしゃその専門でね。』

 

 おばあちゃんから聞いた“属性”。

 それは、戦闘に使えるものかと、最初は考えた。

 

 マヒル『その属性があれば、戦闘を有利に進められるのですか?』

 おばあちゃん『それが主じゃな。色んな用途にも使えるのじゃが、ほとんどは戦闘で使うためにある。』

 マヒル『…それなら試してみて良いですか?』

 おばあちゃん『ええよぉ。それじゃあ、手を出してみぃ。』

 

 私は、おばあちゃんに手を差し出した。

 おばあちゃんは俺の手を取り、すると何やら念じている。

 

 

 

 おばあちゃん『むむ…、こりゃあ…。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あんたはどうやら、全ての属性が使えるみたいやね…。こりゃあ珍しいよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マヒル『え?本当ですか?』

 

 最初はそんな力を持っていたなんて知らずにいた。

 でも、今ならおばあちゃんが言っていた事…、私には特別な力が秘められていたという事を受け入れられた。

 

 おばあちゃん『あんたの他に全て使える人は、これまでなかなか現れなかったのよぉ。もしかしたらあんた、物凄い力の持ち主かもしれないねぇ。』

 マヒル『そうなんですね。驚きました…。』

 おばあちゃん『おっと、話が逸れちゃったね。どの属性を使いたいか、希望はあるかい?』

 マヒル『おばあちゃんのおすすめは何ですか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『一番簡単に使えるのは“”やねぇ。それがおすすめよぉ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『なら、火属性でお願いします。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~現在~

 大亜人やジャッカスの時は敢えて使わなかったけど、まさかここで役立つとは思わなかった。

 あのおばあちゃんには感謝しないと。

 

 ルリアンナ「…火属性…!?」

 マヒル「氷は火に弱いって言うでしょ?いざって時の切り札として残して良かった。」

 

 形勢逆転。

 ルリアンナには申し訳ないけど、ここから本気を出させてもらう。

 

 マヒル「行くよ、ルリアンナ。」

 ルリアンナ(…!…まずい…!)

 

 “火炎斬り”

 

ボウゥッ!

 

 マヒル「はあああっ!!」

 

ズバアァッ!!

 

 ルリアンナ「…っ!…ああっ!!」

 

 私は剣に火属性を付与し、一撃をルリアンナに叩き込んだ。

 今ので大ダメージにはなっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~エレナ視点~

 エレナ「…!あれって、火属性!?」

 

 驚いた。

 まさか、マヒルが属性を使えるなんて。

 

 アイリス「あいつ、属性を使えたのか!しかも、ルリアンナが弱点の…!」

 

 団長も目を丸くしていた。

 いつ習得したんだろう、私はマヒルに属性を覚える所なんて教えてないのに。

 

 

 

 

 

 でも、そんな事を考えるのも束の間。

 

 

 

 

 

 エレナ「ルナ…!」

 

 そう、ルナの事だ。

 マヒルが使っているのは火。対するルナは氷。

 団長の言っていた通り、ルナの弱点は火だ。

 

 

 

 

 

 ……つまりはそういう事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ルリアンナ視点~

 予想外だった。

 マヒルが、火属性を扱えるなんて。

 マヒル相手でも、負けられないと思ったのに。

 

 ああ、私の無敗は終わっちゃうんだ。

 今まで闘技大会で負けた事なんてなかったのに。

 初めての敗北は異邦人……マヒルの相手なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マヒル…、あなたも成長したんだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~マヒル視点~

 マヒル「はぁ…、はぁ…。」

 

 ルリアンナは、倒れてしまっていた。

 私も力を使い果たしたせいか、息が上がり跪いた。

 

 

 

 

 

 アイリス

『勝者、マヒルーーーーーッ!!!』

 

 

 

 

 

 『うおおおおおおおおおおっ!!!』

 

 

 

 

 

 場内には、大歓声が上がる。

 でも私は、素直に喜べなかった。

 何せ相手は、あのルリアンナだったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の、命の恩人だったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「すげえええ!!死神に勝った!!」

 「あいつに勝った奴なんて今までいなかったのに!あの異邦人すげな!!」

 

 あちこちからその言葉が聞こえてくるが、今の私には罪悪感しかなかった。

 

 マヒル「…!ルリアンナ!大丈夫!?」

 

 私はルリアンナに駆け寄った。

 

 ルリアンナ「…あ…、マヒル…。」

 マヒル「ごめんなさい、やりすぎた…。立てる?」

 ルリアンナ「…平気…。遠慮はいらないって言ったのは私だし…。」

 

 ルリアンナは怒る事なく、私にそう言った。

 

 アイリス『マヒル、優勝者はあんただ。改めておめでとう。』

 

 アイリスから賞賛される。

 ルリアンナと俺を戦わせた事に躊躇いがあったのか、少し苦い表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おいルリアンナあぁッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然の一声に、会場は静まり返る。

 

 

 

 

 

 不穏な気配を感じた─────。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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