GENTILE BRAVERY ~Female ver.~ 作:ヤガミ
マヒル「……はっ…!?」
気付いた時には、私は目を覚ましていた。
起き上がって部屋を見ると、既に窓から光が入り込んでいた。
マヒル「今のは…夢?いや…。」
夢にしては生々しかった。
それに、あの夢で言われたあの言葉…。
私は既に死んでいる事。
何もかも信じ難かった。
今こうして動いて、生きている私は、彼女が述べた事実の通り死んでいるなら…。
私は、一体何者なの?
どうして私は、生きているの?
…きっと疲れていたんだ。
だからあんな夢を見ていたんだろうな。
私はベッドから立ち上がり、宿を出る事にした。
~グレーテ~
エレナ「あ、マヒル!やっほー!」
グレーテを歩いていると、エレナに声を掛けられた。
マヒル「エレナ、おはよう。」
エレナ「おはよ!マヒルは何してるの?」
マヒル「特に。暇だったから散歩していただけ。」
…そういえば、エレナに相談したい事があった。
あの夢とはまた別の話。
マヒル「ねえ、エレナ。折り入って相談があるんだけど…。」
エレナ「うん?どうしたの?」
マヒル「この世界に住むとなれば、何か私でもできる仕事は無い?タダで世話になる訳にもいかないからさ。」
私がエレナに聞きたい事はこれ。
一度助けられたとはいえ、私も何か役に立てるものは無いか…。
エレナ「そうだなぁ…。ここの仕事といっても沢山あるし…。」
エレナは私を見て考え込んだ。
しばらくすると…。
エレナ「…あ、そうだ!だったら依頼とかやってみない?」
マヒル「…依頼?」
エレナからの提案、依頼をやる。
それが仕事なのだろうか?
エレナ「実は、多方面から依頼が届く時があるの!…といっても、これが足りないから山まで行って取ってきてくれーとか、モンスターがいて手を焼いているから協力してくれーとか、そんな感じ!」
なるほど、そういう事か。
来たばかりの頃は何もできなかったし、良い機会かも。
エレナ「まあ、その為には一度ギルドに行って登録しないと受けれないけどね。マヒルが依頼を受けたいなら、その準備も手伝ってあげるよ!」
それなら、やるだけやってみようか。
私は決心した。
マヒル「わかった。ならやってみる。」
エレナ「決まり!じゃあ早速ギルドに行こっか!」
そうして私は、依頼を受ける為の準備をする事にした。
~ギルド~
エレナ「ごめんくださーい!」
私とエレナは現在、ギルドにいた。
私が依頼を受ける為に、ギルドに登録しに来ていた。
そして、カウンターの奥からから女性がやってきた。
「はーい!…と、エレナさん!ご無沙汰してますね!今回はどのような御用で?」
エレナ「今回は彼女をギルドに登録してもらいに来たの!お願いできるかな?」
「なるほど、そういう事なら承知致しました!少々お待ちくださいね。」
そう言うと、女性はカウンター奥へ戻って行った。
エレナ「彼女がここの受付嬢だよ。依頼を受ける時は彼女に話せば良いよ。」
エレナが言うには、あの女性から依頼を受け取るらしい。
グレーテにいる人達は、皆ここに通っているんだな。
受付嬢「お待たせしました!この新規登録申請書の方にサインをお願いします!」
しばらくすると受付嬢が戻り、用紙と筆ペンを出された。
これで名前と職業を……。
……ん?
……職業?????
受付嬢「あ、職業の所は無記名でよろしいですよ!騎士や狩人等、色々な人が通われると思われがちですが、最近だと何も属していない人でも登録できるようになりましたので!」
…それなら安心だ。
とりあえず、用紙には名前だけを書く事にした。
受付嬢「マヒル様でお間違いありませんか?」
マヒル「ええ。」
受付嬢「これで登録は完了です!依頼は明日以降再度ここにお越しくださればお渡し致します。」
マヒル「ありがとうございます。」
私はこうして、ギルドの一員になったのだ。
~グレーテ街中~
エレナ「どう?簡単だったでしょ?」
マヒル「まあ、そうね。」
私はエレナと共にグレーテを歩いていた。
…というのも、エレナが連れて行きたいと言っていた場所へ今から向かう所なのだけど。
エレナ「ちなみに、拠点やギルドはグレーテだけじゃないよ。ここからだと結晶洞窟の先にあるサラマジナ、だいぶ遠いけどツバキヤ……その他諸々って感じかな!」
なるほど、拠点にも色々あるんだな。
機会があれば是非とも行ってみたい。
エレナ「ここだよ!」
私達が今いるのは、リフト?だった。
エレナ「私が見せたいのは地下にあるの。とりあえず付いて来て!」
エレナにそう言われたので、付いて行く事にした。
この下にあるのか?
エレナ「着いた!」
降りた先には、広い空間があった。
マヒル「…ここは?」
エレナ「グレーテのトレーニングエリアだよ!依頼には危険が付き物だから、戦闘技術を身に付けてもらおうと思ってね。」
エレナ曰く、ここで特訓できるらしい。
そうすれば、あの亜人達にも対抗できるし、いざという時の為の対処もできるという訳だ。
エレナ「何か使ってみたい武器はある?好きなのを選んで良いよ!」
エレナは武器のメニューを見せてきた。
片手剣、両手剣、鈍器、槍、弓……。
武器もかなり豊富なんだな。
マヒル「うーん…、この中だと片手剣かな。」
俺は片手剣を選んだ。
エレナ「お、良いじゃん!ちなみに私も片手剣だよ!」
どうやら、エレナと同じ武器を選んでいたみたいだ。
意外と気が合うのか?
エレナ「じゃあ、今から戦闘について説明するね!大事な事だから、よく聞いておくんだよ?」
マヒル「ええ、よろしくね。」
私はエレナの話を聞く事にした。
命に関わる事があるかもしれないからね。よく聞いておこう。
エレナ「…改めて言うけど、戦闘は依頼をこなす上で避けられないもの。どんな相手だろうと躊躇わないでね。」
エレナは真剣に、私にそう言った。
亜人であれだからな。そうなるのもわかる。
エレナ「トレーニング用の人形を用意しておいたから、試しに普通に攻撃してみて!」
私の目の前にあるのは、1つの人形だった。
これが所謂サンドバッグか。
私は武器を構え、真っ先に人形へと攻撃をする─────。
ズバッ!!
人形が真っ二つに斬れた。
エレナ「おぉ、結構力あるんだね…。一撃で人形が壊れちゃった。」
正直、自分でも驚いている。
記憶を失くす前、俺は力を使う事に関わってきたのだろうか?
とりあえず、自分にはある程度の腕力がある事はわかった。
エレナ「じゃあ、別の人形を用意するね。」
私の目の前にあるのは、もう1つの人形。
次は少し太めのものだ。
私は続けて、その人形に攻撃を入れる。
ズバッ!!
次のは一撃で壊れなかった。
傷はあるが、まだ立っている。
エレナ「このように、普通の攻撃だけでは倒せない敵も勿論いるよ。そんな時に使うのが、“スキル”!」
また新たな言葉が出てきた。
スキル。それを扱う事が大事だろうか。
エレナ「スキルは、簡単な必殺技や属性攻撃を繰り出せる技術の事だよ。敵によってはそれが弱点っていうのもあるから、戦いを有利に進められるテクニックとして覚えておいてね。」
なるほど、よくわかった。
要は如何にスキルを使いこなせるかが、勝利の鍵となるか。
エレナ「これを渡しておくね!どんなスキルが使えるかを覚える為の冊子だよ。」
エレナから冊子を貰った。
開くと、文字やら絵やら色々書かれている。
読める…かはわからないけど、絵を見た感じ、こういう技という事なのはわかる。
エレナ「今の初歩的なスキルと言えば…“強斬り”かな?私がやって見せるから、ちょっと見ててね!」
エレナは早速、人形を立て替え、スキルを見せる。
エレナ「すぅ……、ふっ……。」
エレナ「せいっ!!」
ズバアァッ!!
勢い良く斬撃を繰り出し、人形(大)はぶった斬られた。
エレナ「こんな風に、時にはスキルを使う事も重要な場面はあるから、その点も忘れないようにね。」
なるほど、覚えておこう。
私はエレナがやっていた通りにやってみる事にした。
エレナ「さあ、やってみて!」
エレナはさっきと同じ人形に立て替えてくれた。
今エレナがやった感じだと……。
マヒル「せいっ!!」
ズバアァッ!!
見事に一撃で人形(大)が斬れた。
エレナ「おぉ~、あなたって結構物覚えが良いんだね!私が教えた技をすぐできちゃった!」
エレナは拍手しながら、私を賞賛した。
そんなに上手くできたの?
それから私は、エレナに色々と教わったのだった─────。
~数時間後~
マヒル「……疲れた…。」
あれから私は、長時間特訓に励んでいた。
エレナ「お疲れ様!飲み物買ってきたから、良かったらどうぞ!」
マヒル「…ええ、ありがとう。それにしても、エレナ達はずっとこんな特訓をしていたんだね…。」
エレナ「まあね、拠点を守る事は命にも関わっているから…。」
エレナはそう言う。
まあ、エレナは騎士だもんな。これくらいハードなのも当然か…。
エレナ「……それにね、私幼馴染とも疎遠しちゃってるの。」
マヒル「…え?」
エレナは、トーンを下げて話し始めた。
幼馴染…エレナにはそのような人物がいたのか。
しかし疎遠?それは一体…?
エレナ「私と彼女が離れてから、もう2年は経ったかな。私はグレーテで生まれ育って、今こうして騎士団に入れているのだけれど…。」
「……彼女の方は、今どうしているのかは知らない。」
細々とそう語るエレナ。
その表情は、どこか悲しげだった。
エレナ「その子は、小さい頃から関わってきた人達を不幸にさせてしまう、所謂“死神”って言われてたみたいで、そのせいで疎遠しちゃったんだよね。多分、その子也の気遣いなんだろうけど、できればずっと、グレーテで一緒に過ごしたかったな。」
マヒル「……。」
エレナ「まあ、何の意図かはわからないけど、仮面を着けて顔を隠している所は可愛らしいけどね。」
そうか。エレナにはそんな事があったんだな…。
……ん?
仮面???
『……ここ、危ないよ。……一般人が、ここにいて良い場所じゃない。』
エレナの幼馴染とはもしや、彼女の事?
まだ、何の根拠も掴めていないけど…。
だが、ここに来るまで仮面を着けた人間は、彼女しかいない。
もしそうであれば……。
エレナ「…?マヒル?どうしたの?」
マヒル「……いや、何でもない。」
私の考えすぎかもしれない。
だが仮にこれが本当だとしたら、辻褄が合う。
あれからずっと姿を見ていないが、ここで彼女の情報が手に入るとは。
エレナ「というか、ごめんね!せっかくの特訓なのに辛気臭い話しちゃって。」
マヒル「別に良い。エレナの事情が聞けて良かった。」
次いつ彼女に会えるかはわからないが、もし会えたら聞いてみよう。
エレナが言っていた幼馴染が、あの仮面の少女であるなら…。
……本当にこの世界は謎だらけだ…。
さて、仮面を着けた少女とは誰なんでしょうか?
主人公は思い当たる節があったようです。
次回もお楽しみに。