GENTILE BRAVERY ~Female ver.~ 作:ヤガミ
「死神」、お察しの通りですが、ここから内容が暗めになります。
それでも良ければ最後まで読んでくださると嬉しいです。
それではどうぞ!
私はいつも通り、依頼の為にギルドに来ていた。
受付嬢「本日の依頼はこちらになります!」
受付嬢から冊子を見せられる。
どんどん依頼をこなしてきたお陰か、ここに来る度に増えていっている。
今日はどれにするか…。
マヒル「…?大亜人?」
私が冊子を見ていた時、とある依頼を見つけた。
しかも、赤い付箋が貼られている。
マヒル「これは一体?」
受付嬢「ああ、それは緊急依頼ですね…。近頃、大亜人という亜人のリーダー的存在が出没するようになってしまったんです。」
マヒル「…その割には誰も受けていないようだけど……。」
受付嬢「普通の大亜人なら問題ないですね。しかし、今回は運悪く気性が荒くなっているようで、腕の立つ契約者でもなかなか通用しないようなんです。」
…なるほどな。それで“緊急”なのか。
グレーテにはかなり世話になってるし、恩返しする良い機会かもしれない。
マヒル「その依頼、私が引き受けよっか?」
受付嬢「本当ですか!?ありがとうございます!実は他にもこの依頼を受けた方もいるので、できれば協力もしていただけると有難いです。」
マヒル「わかった、最善を尽くす。」
…となれば、入念の準備が必要だね。
己の実力を試す時にもなる。
受付嬢「それでは行ってらっしゃい。どうかお気を付けて!」
私はギルドを出て、大亜人の所へ向かう事にした。
マヒル「……確かこの辺りだったわね。」
大亜人の出現場所は、いつもの森。
ここ最近、森での依頼が多い気がする。
まあ、馴染みがある方が助かるけど。
「くそっ!こいつ硬えっ!!」
森を探索していると、誰かの喚き声が聞こえた。
その方に向くと、大きい怪物が見えた。
マヒル「……あれが大亜人…?」
私は颯爽と走り出した。
マヒル「助太刀に来たわ!」
「おお、助かったぜ!早くこいつを何とかしよう!」
あれが他の契約者だろうか。斧を持っている。
そのもう一方は、獣の頭蓋骨を被り、ムキムキの体型を持った怪物。
おまけに、岩石のようなハンマーを担いでいる。
恐らくこれが、緊急依頼にあった大亜人だろう。
「ブモオォーーーッ!!!」
ブォンッ!
マヒル「おっと…!」
大亜人は、俺に向かってハンマーを振り回してきた。
あんなのをまともにくらったらひとたまりもない。
でも、見た目通り鈍重みたい。
“強斬り”
マヒル「くらいなさいっ!」
ズバアァッ!
「ブモオォッ!!」
大亜人の懐に一撃を突いた。
やっぱこれだけでは倒れないか。
「ブモオォーーーッ!!!」
ブォンッ!
マヒル「やばっ…!」
ガキンッ!
間一髪で大亜人の攻撃を防御した。
腕に振動が来ているのがわかる。
「おいアンタ!俺が引き付けるから、隙を狙ってくれ!」
マヒル「…!わかった!」
どうやら、彼が囮になってくれるらしい。
ここは乗っかって、大亜人の隙を突く事にした。
「ブモオォッ!!」
ガキンッ!
「今のうちに!」
“強斬り”
マヒル「はあああああっ!!」
ズバアァッ!
「ブモオォッ…!」
大亜人の大きな隙を見て、強斬りを繰り出した。
そして、大亜人は倒れた。
マヒル「…依頼達成か。」
「いやー、助かったよ!アンタが来てくれなかったらどうなってたか…。」
彼が駆け寄って、私にそう言った。
マヒル「構わないわ。力になれて良かった。」
「…にしても、今回は一味違う大亜人だったな。たかが大亜人だと思って甘く見てたぜ…。」
彼は倒れた大亜人を見てそう言う。
…という事は、いつもの大亜人はあれほどではないという事だよね。覚えておこう。
「…それもきっと、あいつのせいに違いねえ。…ったく、いつまで人を不幸にすりゃ気が済むんだ。」
彼は文句を垂れ流して言った。
……まさかとは思うけど、一応聞いてみよう。
マヒル「あいつって、誰の事?」
「アンタは知らねえか?」
「─────ルリアンナって女だ。」
ルリアンナ。
それはエレナの幼馴染で、“死神”と言われてきた少女。
私が今探している少女だ。
「巷では死神なんて言われて忌み嫌われてるらしい。」
マヒル「あなたは、この大亜人が出てきたのはルリアンナのせいだと言いたいの?」
「ああ、そうだよ。せっかくグレーテからいなくなったってのに、今度は森にまで被害及ぼしやがってよ。全くはた迷惑な女だぜ。」
……何だろう、彼女の事を悪く言われているような気がする。
私は、彼の言葉に嫌気がさしていた。
マヒル「……私はそうは思わない。」
「…んあ?」
マヒル「暴走した大亜人が出現したのは、必ずしも彼女のせいとは言い切れないでしょ?」
「けどよ、普通なら大亜人は俺一人でも倒せるぜ?だが今回は違った。あいつがいつもより気性が荒かったのは、間違いなくあの女と関係しているはずだ。」
こいつ、ここまで言うのか。
……なら、私も出るとこ出てやる。
マヒル「……それで彼女が本当にやってなかったとしたら?罪のない人間に、濡れ衣を着せるとでも言うの?」
「…さっきから何だてめえ、喧嘩売ってんのか?」
マヒル「私は彼女が死神でない事を信じる。彼女だって、好きで不幸にさせていた訳じゃないと思うし、きっとどこかで苦しんでいる。」
「死神を擁護するってんのか?ははは!冗談キツいぜ笑」
マヒル「これだけ言っても納得しないのなら……。」
「……あなたも彼女を苦しめた死神という事になるわよ。」
遂に私は怒り、目の前の男にそう吐き捨てた。
「面倒臭ぇ、てめえを仲間だと信じた俺がバカだったよ。いつかてめえも不幸になる。どうなってもしらねえからな?」
男はそう言い、さっさと行ってしまった。
マヒル「……“死神を擁護する”…か。確かにそうかもね。」
冷静に考えたら、かなり危ない事かもしれない。
だが彼女を信じる以上、最低限抗わなければならない。
マヒル「…報告に行くか。」
大亜人を倒した事なので、私は森から出る事にした。
~ルリアンナ視点~
ルリアンナ「……。」
近くの大木に隠れて、彼らの口論を聞いていた。
『私は彼女が死神でない事を信じる。』
『……お前も彼女を苦しめた死神という事になるわよ。』
彼女は私の為に怒ってくれた。
私が死神と呼ばれているのを既に知っているという事は、きっと誰かから聞いたのだろう。
一度しか会った事ないのに、そこまで言い張ってくれるなんて思いもしなかった。
ルリアンナ「……ありがとう。」
私は小さくそう呟き、とある場所へ向かった。
~マヒル視点~
マヒル「───例の大亜人、討伐完了したわ。」
受付嬢「本当にありがとうございます。こちらが報酬になります。」
ギルドに戻った俺は、報酬を受け取った。
3000G…。これは大儲けしたな…。
受付嬢「…そうだ、マヒル様。あの森で何かあったんですか?」
受付嬢に、突然そう聞かれた。
マヒル「…え?急に何で?」
受付嬢「実は、マヒル様がここに戻ってくる前の話になりますが…。」
受付嬢が回想を述べる。
~数分前~
受付嬢「討伐ありがとうございます!報酬は……。」
「……受付嬢さん、よく聞いてくれ。」
受付嬢「…はい?」
「確かに大亜人は討伐した。だがな、問題はその後だ。」
受付嬢「…?何かあったんですか?」
「
受付嬢「……は…?」
「……それだけだ。」
受付嬢「え?あ、あの、報酬は……。」
受付嬢(……マヒル様が死神の仲間…?死神って事は、ルリアンナ様の事…?でも、2人共悪い人ではないはずなのに、どうして…?)
~そして現在~
受付嬢「…という事があったんです。」
あの男、そんな事言いふらしたの?
マヒル「何考えてんのよ、あの野郎…。」
受付嬢「マヒル様、彼が言っていた通りなんですか?」
マヒル「…私は彼女とは一度しか会ってないけど、確かに仲間と言えるかもしれない。でも、私は彼女を死神だとは微塵も思わないわ。」
受付嬢「まあ、そうですよね…。」
受付嬢は、考え込みながらそう言った。
受付嬢「…実は私も、ルリアンナ様が死神だとは信じてなかったりします。彼女が駆け出しの頃はこちらにもいらしていましたし、悪い人なんかではないはずです。」
マヒル「…私達が考えている事は同じな訳ね。」
ルリアンナが死神ってのは、あいつらの思い込みなんじゃないの?
そうとしか思えない。
マヒル「とりあえず、話してくれてありがとう。報酬は貰っていくわね。」
受付嬢「どういたしまして。引き続きよろしくお願いします!」
報酬を貰い、私はギルドから出ようとしていた。
「…マヒルって言うんだ、君。」
突然、声が聞こえた。
その方へ向いてみると…。
「…久しぶり。…元気してた?」
私に話しかけたのは、青みがかった銀髪に黒の仮面、そして躑躅色の瞳の少女─────。
─────ルリアンナだった。
どうやらルリアンナは死神と呼ばれ続け、かなり嫌われてるみたいです。
この先どうなるのか。次回もお楽しみに。
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