ナツキ・スバルの死に戻りがバレる!? 作:ななしのごんべぇぇぇええ
舞台としては8章が終わったあとのエミリア陣営ですね。原作最新話のネタバレ要素を含みます。
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そう、始まりは突然だった。
「ふあ〜」
大きくあくびをしてベッドから起きた一人の少年ーー菜月昴は、日本から異世界召喚されて『死に戻り』という負け犬前提のチート(?)能力をもち、今までたくさんの運命を切り開いてきた。
本来なら隣にいるはずのベアトリスーー菜月昴の契約精霊が居ないことにスバルは気づく。
「ベア子のやつ、先に起きたのかな?・・・まぁ、屋敷のどっかにいるだろうな。それより、エミリアたんと朝のラジオ体操しよう」
そう言いながら部屋のドアを開けると、ドアの前にオットー・スーウェンが居た。
「俺が恋しくてここまでやってきたのか。全く、かわいいやつだ、オットット。」
「ベアトリスちゃんやエミリア様はともかく、僕は違いますよ!?それに、僕の名前をわざとまちがえていますよねえぇ!?」
「帝国から帰って来ても変わらないな。おっちょこちょい。」
「・・・それよりも、ナツキさんはどんな夢を見ましたか?」
「夢?うーん、俺はいつもと変わらないんだけど・・・なぜ突然そんなことを聞いてきたんだ?」
二回目の名前のいじりを突っ込んでくれなかったことに内心落ち込んでるスバルは、そこだけが腑に落ちなかった。大体の場面で冷静なオットーが唐突に夢の話をしてくるのはおかしいからだ。解せぬ。
「・・・そうですか。ナツキさん、あのときはすみませんでした。」
「へ?」
突然に突然が重なり思わず間抜けな声が出る。
「では、僕は仕事してきますね。」
なぜ謝ってきたのかを聞く前にそう言ってオットーは逃げるように去っていく。そんなオットーを見て俺は首を傾げながら屋敷の中を歩き回る。
「バルス。」
「おっ。ラムじゃねえか。さっきオットーと会ってきたんだが、様子がおかしいんだよな。なにか知っているか?」
「あの哀れな男の話よりもラムは言いたいことがあるわ。」
「ーーレムを救おうとしてくれたことに感謝するわ。レムの『名前』も『記憶』が戻ってきたわ。」
「え?本当に戻ってきたのか!それは良かった!レムはどこにいる?」
「・・・ラムがバルスに言う必要があるのかしら?弁えなさい。」
「それと」
「バルス、あなた『死に戻り』しているのでしょう?」
その瞬間ナツキ・スバルの脳内が真っ白になった。来る。あの感覚が。時間が止まる。音がなくなり、光が消え、体が動かなくなり、聞こえてくるのは心臓の鼓動のみ。
「ーー愛してる」
その時に理解した。おそらくラムは、自分たちに『死に戻り』がバレた以上禁忌も来ないだろう、という誤解をしている。
ラムは嫉妬の魔女サテラに殺されてしまうーースバルの脳内はここまでのことを考えるので精一杯だった。
「愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」
スバルの心臓をサテラの黒い手で撫でられながら耳元で愛の言葉を連呼されるのは何度体験しても慣れない感覚だ。
そして時間が流れ始め現実に戻るーー。
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目の前には、口の端から血を垂らし体温がどんどん下がってきてる、メイド姿の桃髪の少女ーーラムの姿がある。脳からの司令を受けなくなって動かなくなった足がバランスを失い、スバルの方に倒れてきた。
「・・・な・・・んで」
スバルの口からかすれた声が虚むなしく溢こぼれる。
生命の温ぬくもりを感じなくなったラムを、スバルにしかない記憶の中でレムにやったお姫様抱っこで持ち上げてのろのろと歩いていく。
目から塩辛い水を流し屋敷の廊下を誰にも会わずに歩いていたスバルはーーロズワールの部屋に着いた。
「これはこれは、スーゥバル君じゃないか。君は禁忌でラムを殺してしまったねーぇ」
「ーー俺を殺してくれ、ロズ・・・ワールゥ・・・」
「私としてはスバル君を殺したくないからね。死ぬんだったらそこにあるナイフを使いたまえーぇ」
なぜベアトリスが居ないことやオットーの様子がおかしいことで異変を感じなかった。ーーと後悔しているスバルに、ロズワールから実に無責任で、しかし彼なりの優しさが含まれた言葉が突き刺さった。
「ーー」
無言でナイフを喉元に当てて、喉から流れる血と共に大切な何かが流れてしまう感覚を覚えながら、ナツキ・スバルは無様に死んでいったのだったーー。
喉の激痛が急に雲散霧消するーー『死に戻り』をしたのだ。
「はぁ、今日は何日だ?」
『死に戻り』をした直後にすることといえば、日付と時間の確認。時間は冥日の火の刻ーー日本でいうと20時位。
肝心の日付はーー昨日だ。そのことを知った瞬間、スバルは背中に悪寒を感じたのは当然のことだろう。
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ーーということが起こり、ナツキ・スバルは自分の部屋のベッドの上で考える。
オットーの様子がおかしかったのはスバルが『死に戻り』をしていることを知ったからだ。その時に、夢の話をしていたから、おそらく夢の中で『菜月昴 死に戻り物語』を見たのだろう。
自分の物語を皆に知られるのは恥ずかしいがそこは置いといて、ラムが死んだので禁忌があることは分かる。
まず、『死に戻り』をしたセーブポイントは寝るちょっと前だ。しかも、情報が少ない。我ながら、つい『目標を見失ってしまう、猪突猛進』と思ってしまう。
それはさておき、夢の中で『菜月昴 死に戻り物語』を知られたくない故ゆえに寝るなと言うのも無理がある。
よって『死に戻り』がバレるのはほぼ確実だろう。
「どんな罰ゲームだよ・・・」
スバルはため息をついた後に言った。しかし、ぼやいてる暇はないと判断し、次の行動に移る。
「今日のうちに気の利いた言葉を言って、俺は『死に戻り』をしたことを知った後の精神ショックを減らせばいいじゃないか!」
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「ーーそれで、何を言おうか」
エミリアの部屋の前でうろうろしてるスバル。案が何一つ思いつかない。
「あぁー、もうわっかんねぇぇ!」
「スバル、何がわからないのかしら。何か困ってることがあるならべティーに相談するのがいいのよ」
小声で叫ぶように自分の無力を嘆いていたスバルのところに、金髪縦ロールのロリーーベアトリスがやってきた。
「あー、すまんすまん、ベア子の存在を忘れていたわ!ごめんごめん!」
「むきぃーかしら」
『死に戻り』がバレた日の朝にベアトリスを見かけなかったことから、忘れてしまったのだ。しかし、それを説明すると禁忌が来るので、しない。
「ベア子のほっぺた膨らませてる顔もマジ可愛いな!」
「ス、スバルがそう言うなら許してやらんでもな・・・」
「2人とも、私の部屋の前で何をしてるの?」
部屋から出てきた天使のようなエミリアがすこし怒ってるような顔で言ってきた。突然のことにスバルは体を撥ねつかせて、
「あーあーあーあーあーあー、エミリアたん、なんでもないよ!じゃあ、俺はまた後で!」
「スバル、壊れた『ろぼっと』みたいになっているのかしら!・・・あっ、ちょっとまつのよ!」
「あっ」
そそくさと逃げるように去っていったスバルに、それを追いかけているベアトリス。ーーそして、唖然あぜんとしている、一人取り残されたエミリア。
「スバル、今日すごーくおかしいわ。何があったのかしら」
誰にも向けることのない、独り言を言うのでエミリアは精一杯だった。
△▼△▼△▼△
静寂に包まれた部屋。その中にいるのはスバルとベアトリス。
「ーーどうしようか」
「いい加減話してほしいかしら」
「ーーどうしようか」
「いい加減にしてほしいのよ」
「ーーどうしようか」
「いい加減にしてほしいのよ!スバル、今日本当に様子がおかしいかしら!さっさと寝るのよ!」
生返事しかしないスバルにしびれを切らしたベアトリスは、そう言って部屋から出ていった。
「・・・もう疲れた。何も考えたくない」
床についたスバルは、すぐに寝てしまったーー。
△▼△▼△▼△
「あなたは何人目のスバル?」
「えっ。いや・・・どういうことだよ?エミリアたん」
「スバルと一緒にいる資格はベティーにはないかしら・・・」
「そんなことな・・・い・・・」
「ナツキさん・・・すみませんでした」
「ふぇ?オットーどうしたんだよ・・・」
「俺様ァは大将に詫びたくてもォ、返しきれないぞォ・・・」
「ーー」
「レムはスバルくんを殺してしまいました。謝っても償える罪ではありません・・・」
「ーー」
「バルスもなかなかやるわね。このように苦しんでも立ち直れるとは」
「ーー」
「いやーぁ、すーぅばる君、君の権能が『死に戻り』だったとはねーぇ」
「ひ」
時間が停止する。黒い手が出てきて心臓をえぐりーー。
△▼△▼△▼△
「ひぁああああああああああっ」
夢だった。しかも、目覚めの悪い夢。しかし、スバルは忘れていたことがあったと自覚してしまった。
それは、レムの『名前』と『記憶』が戻ることだ。なんという手遅れ。もう、嫌だ。『死に戻り』をみんなに知られてしまう。屋敷のみんなとスバルが会うと、誰かが『死に戻り』を口外してしまうかもしれない。
スバルは、ベアトリスも居ない部屋の中のベッドで縮こまっている。
「はは・・・、引きこもっていた頃を思い出すなぁ」
日本に居た頃は異世界召喚を夢にまで見たが、いざ召喚されてみると、現実を見てしまって希望までも失う。
「そういえば、今日、オットーが部屋の前に居たような気がするんだけど、もしかしたら、あいつ俺が部屋から出るのを待っていたのか!?」
俺は、慌ててドアを開ける。そこには案の定、人が居た。ーーしかし、オットーではない。ロズワールだ。
「おやおや、スーぅバル君、今開けようとしていたところなーぁんだが、君が出てくるとはねーぇ」
ロズワールとは自殺する直前、言葉を交えたので、一瞬顔が強張ったが、屋敷の初めの一週間のループのときのように偽・の笑顔をすぐに装う。でも、同時に安心した。ロズワールは自殺する直前にも巧みに言葉を使って『死に戻り』の口外を避けていたからである。
「ロズワール、いきなり俺の部屋に入ってどうしたんだ!?」
「どーぉやら、『虚飾の魔女』がルグニカ王国の東の村でーぇ、倒されたようでね」
「え?」
『虚飾の魔女』。過去に七つの大罪を冠する魔女が居たということはスバルも知っているが、『虚飾』は聞いたことがない。
「スーぅバル君、今回は知らないんだね。まぁ、倒した人の情報も開示しようではないじゃーぁないか」
「え・・・。う、うん」
意味深なロズワールの言葉に気圧されながらも、スバルは『虚飾の魔女』を倒した人が気になる。
おそらく、ラインハルトかユリウス辺りだろう。
「ラインハルト・ヴァン・アストレア。ユリウス・ユークリウス。そして――」
「はぁ、やはりラインハルトとユリウスか。あいつらもなかなかやるな」
想定通りでスバルは安堵の息をつく。しかし、その安堵の感情も次のロズワールの一言で拭い去られる。
「――ナツキ・スバル」
「―――は?お前、今なんて言った?」
「大事なことは一回しか言わないからもう言えないねーぇ」
「そういうノリの発言は今いらねぇんだよ。TPOを弁えろって何度も言わせんな」
ロズワールは軽くウィンクして表情に苦笑を孕ませる。「で」と前置きし、
「はは、冗談だーよ。虚飾の魔女を倒した”めんばー”に君が含まれているということさ。意外だろう?」
「お前に気持ちを見透かされるのは意外じゃねぇんだけど、その話が本当なら辻褄が合わなくなりそうだな・・・」
スバルが二人存在する、つまりドッペルゲンガーがいるとしか考えられない。ここでロズワールが「嘘でした!」とおどけないから本当だと信じてみる。
「ロズっちがどういう思惑で言ったかはわかんねぇ」
「私に聞こえるように話すのが本当に君らしいね」
「うるせぇ、とっとと失せろ」
ロズワールが「ではでは」と残して去ったのを見送り、シーツが乱れたベッドの上で考える。ここまでで一つ言えるのが、『死に戻り』バレが起きてから世界に異変が露出しつつあるということだ。実際にスバルのドッペルゲンガーが現れたと疑われるような出来事が起きている。それに『死に戻り』してから状況が良い方に傾いていない。スバルはそのことに焦燥感を感じていて実に良い状況ではない。
「やべぇな、ベア子がいねぇし一回目と全く同じようになってしまってる現状を打破する手から考えねぇと」
世界が終わる不穏な足音に気づかずにナツキスバルはそう呟く。
呟 い た の だ っ た
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「――殿はなぜあんな面倒くさいことを〜?」
「このミーティアを使ったのもオレの目的を果たすためにやったんだよ」
――は共犯者の飲んだくれのラインハルトの親父、『シノビ』、そして『神龍』を見て、
「オレがオレであるためにやるよ。星が悪かったのさ」
そう呟いた。
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