どうするGQuuuuuuX   作:イナバの書き置き

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BEYOND THE TIME

「やっぱポップコーンは出来立てに限るな。湿気てるのは食感が悪くて嫌いだ」

「……」

「……食わないの?それなら全部貰っちゃうけど」

 

 隣の席でポップコーンを口に放る彼は、一切疑う余地なく「ミカボシ・ツヅラ」だった。

 五年間彼であった自分が言うのだから間違いない。

 ぶっきらぼうで、一人を除けば誰も信用せず──その中途半端なニュータイプ能力故に、フラナガン機関で飼い殺しにされていた少年に他ならない。

 そして彼は、少年だった。

 人は五年も経てば少しは風貌が変わる。

 にも関わらず、彼の姿はU.C.0079年そのまま──アマテがジークアクスに乗る頃になって漸く背丈に合うようになってきた突撃機動軍のコートを羽織った格好は、背伸びした子供のように見える。

 

「……君は」

「考えてる通り、僕がミカボシ・ツヅラだ。ついでにEXAMの中の人」

 

 やはり、そうなのか。

 そうだとして、何故姿を見せる。

 いや、何故姿()()()()()()()()()()()

 俺は彼であった──予期せぬ事情で彼の肉体を乗っ取ってしまった筈なのだ。

 器が一つしか存在しない以上、同一の人間が直接対面することなど有り得ない。

 いや、それに────

 

「僕は大体知ってるけど、全部説明できる訳じゃない。そんな時間は無いし面倒だ」

「……」

「だから、こうしよう。あんたが訊いて、僕が答える。一問一答、分かりやすいだろう」

 

 頭の中でぐるぐると疑念が渦巻き出すのを見透かしたように、彼は言った。

 確かに、それはそうだ。

 何もかもが分からない状況で相手に一から十まで説明させたらどれだけ時間がかかるか分かったものではないし、互いに疲れる。

 突然現れてやたら尊大な態度を取る彼のことを完全に信じた訳ではないが、何より情報も欲しい──提案に乗るのが最善の答えだ。

 

「……じゃあ、お言葉に甘えて」

「ん」

「先ず、此処は何処だ?」

「一言で言えば何処でもない。『宇宙の外』でも『あの世』でもいいし、『刻』でもいい。兎に角、物質的な空間じゃないことだけは確かだ」

 

 宇宙の外、あの世、刻。

 漠然とし過ぎてあまりピンと来ない返答だ。

 確かに、ガンダムの作品によっては刻が冥界的な解釈をされることもあるが、宇宙の外のような突飛な概念とは結び付かない。

 しかし、多少の納得は出来る。

 ゼクノヴァに呑まれた先が、このような……彼が言うところの「非物質的な空間」であるとするなら、ソロモンで消えたシャア・アズナブルが「刻が見える」と発現したのも頷ける話だった。

 すると、やはり俺は死んだのか──そう問うと、彼は首を横に振った。

 

「死んだのは肉体だけだ。あんたは元の世界に戻れる」

「元の……」

「後ろを見なよ」

 

 言われるまま、振り向く。

 外へ通じる、映画館特有の分厚い扉が開いていた。

 その先に何があるのかはよく見えない。

 しかし──白い光の中には帰るべき「日常」があると、何となく俺の頭は理解していた。

 

「あんたはやるべきことをやったんだ。誇ったって良い」

「やるべきこと、か」

 

 そんなものは、一度だって分からなかった。

 ただ突然宇宙世紀に放り出されて、訳も分からぬまま足掻き続け、死んだ──そうではないのか。

 

「俺がやるべきことって、何だったんだ」

「シュウジ・イトウを止めること」

「──何だって?」

 

 事も無げにシュウジの名を出す少年に、俺は思わず聞き返した。

 シュウジが何故話題に出る。

 彼が俺の「やるべきこと」とやらに何の関係がある──そう呆然とする俺に、彼は告げた。

 

「あの世界は、シャロンの薔薇……ララァ・スンが造り上げた箱庭だ」

「なに」

「『本来の世界』ではシャアを庇って死ぬんだろう。でも、そうはならなかった。()()()()()()

「シャアが、ララァを庇って死ぬ」

「ん。それを受け入れられなかったララァは、その凄まじいニュータイプ能力で以て別の宇宙すら創ってしまった──シャアが生きられる宇宙を」

 

 俄に信じ難い話だ。

 幾らニュータイプがアクシズショックやフェネクスのような超常的な現象をもたらすとしても、宇宙を丸ごと創り出すなんて。

 しかし、愕然とする俺を無視して話は続く。

 

「ところが、全然上手く行かなかったらしい」

「上手くいかない?」

「ヅダに乗せるとか、ビグロに乗せるとか……色々試してみたっぽいけど、何をどうやっても死ぬ。それで死ぬたびにやり直す。何度も何度も」

 

 積み木みたいじゃない?

 そう言って、彼はまたポップコーンを口に放り込む。

 その表情からは、何も読み取れない。

 意図して表情を殺し、ヘラヘラとした態度を装っているようには、見えなくもないが。

 

「まあララァが創った宇宙なんだから、彼女の勝手と言えばそうなんだけど、それで何度も壊したり組み立てられたりする方は堪ったもんじゃない」

「それはまあ、そうかも」

「で、選ばれたのがあんたってわけ」

「──え、俺?」

 

 思わず首を捻ってしまう。

 理屈は分かる。

 ララァはシャアを救うために何度も世界をやり直す。

 世界の方は壊したり作り直される行為に悲鳴を上げて、外から助けを求めようとした。

 で、何で俺なのだ。

 少なくとも以前の俺に世界をどうこうするような力や技能なんてこれっぽっちも備わっていないのに、何故俺なんかが選ばれた。

 

「さあ?そこは僕も知らない。ただまあ、ほら……相転移現象であるゼクノヴァを起こすのに必要なのは何らかの強い意思だろ?」

「いやそれも初めて知ったが……」

「……兎に角、僕が推測する限りでは人の総意とかってのはそう強いものでもないから、『宇宙世紀に行ってみたい』人の中であんたくらいしか呼べなかったんじゃないかな」

 

 何だか、これもまた釈然としない話だ。

 ゼクノヴァは別の世界と行き来する現象で、それは人……多分ニュータイプなどの強い思念で引き起こされる。

 そして、世界──人の総意がララァに働きかけられる分は大したことがないから、波長の合う人間から俺がランダムに選ばれた。

 俺である理由はあるが、()()()()()()()()()()理由など存在しない。

 彼はそう言いたい訳だ。

 しかし、そう考えるとだ。

 

「……ガンダムってその……架空では?」

「架空だよ、『そっち』では。でも、宇宙なんてたった一人の力で創造出来てしまうんだから、無数にあってもおかしくない」

「……つまり、たまたま『GQuuuuuuX』と全く同じ宇宙が存在して、それがたまたま俺を呼び出したと?」

「……そうなんだよ、信じらんないだろうけど。ソロモンでゼクノヴァが起きたタイミングで僕になったのは偶然じゃなかったってことだ」

 

 はー、と困ったように天井を見上げる彼に合わせて、俺も上を向く。

 架空の物語が現実に存在するばかりか、それがこっちに干渉してくるなんて、そんなことがあるものなのか。

 まるで洗脳でもされたか、或いは性質の悪いドッキリでも仕掛けられているような気分だ。

 正直、今この瞬間にでも何処からか「ドッキリ大成功!」と書かれた看板を持った人が出てくるんじゃないかと疑っている自分がいる。

 いや、しかしあるのだろう。

 あるから、こうして彼と対話している。

 モビルスーツを操縦して、五年の時を過ごした実感が刻まれている。

 

「で、何でシュウジを止める必要がある」

「……ララァはこの宇宙を何度も作り直す。でも、シャロンの薔薇の中で眠っている彼女が意識的にやっている訳じゃない」

「……つまり」

「シュウジ・イトウがララァを殺す。それがリセットのトリガーだ」

 

 そういう、ことだったのか。

 強張った肩の力が抜ける。

 映画を見た時点であのミステリアスなキャラクターから、何かあるとは思っていた。

 しかし彼が宇宙全体の行く末に関わるとは想像もしていなかった。

 精々地球圏全体とか、その程度だと。

 そう考えると、俺程度が相手ではあまりに役不足だ。

 たとえギャンが万全でも彼に勝てる気はしない。

 それに、だ。

 

「全然シュウジ止めてないけどそれはいいのか」

「必ずしも力で止める必要はないってこと。躊躇させるとか、対抗出来る戦力を育てるとか……そういうのでもいい」

「いや、そんな育てた覚えは……」

「本当にないか?」

 

 シュウジを倒せる戦力の育成?

 そんなことをした覚えなど。

 

「──まさか」

 

 覚え、など。

 

 

「アマテ、か?」

 

 

 彼は頷き、俺は項垂れた。

 

「……そう、か。それが人の総意とやらの望みか?」

「いや、世界はあんたがミカボシ・ツヅラになってから干渉なんて一切しちゃいない。人の総意が手出しできるのなんて空っぽの器くらいだ」

「……」

「あんたが必死にやってきたことが、偶然あれの望みと一致した。そういうことだよ」

 

 だとしても、だ。

 結果として、俺はアマテがシュウジを殺すように誘導したことになる。

 どれだけ彼を好いているのか理解していながら、だ。

 何もかもに納得が行ったが、代わりに何でもいいから投げつけたい気分になった。

 あまりに酷い話だ、残酷だ。

 どうして宇宙世紀は、世界はこうなのか。

 意地でも完全無欠のハッピーエンドを許さない流れに、もう「畜生」と唸るしかない。

 

「まあ、待てって。まだ話は終わってない」

 

 だが、そうして俯く俺に──相変わらずポップコーンを放りながら、彼は言う。

 

「あんたこれでいいのか」

 

 いいのか──いい訳ないに決まってる。

 怒涛の勢いで流し込まれた情報に頭がおかしくなりそうだが、それ以上に腹が立って仕方がない。

 アマテの幸せを、友情を、恋路を願って何が悪い。

 宇宙世紀が地獄だとして、その中で完全無欠のハッピーエンドを目指して何が悪い。

 人の総意とやらは、全人類の集合的無意識である癖に余程個人を苛立たせるのが得意らしい。

 そうして顔を顰める俺に、彼は言う。

 

「今から一泡吹かせられるとしたら、どうする?」

「一泡、吹かせる」

 

 一泡吹かせる。

 確か「連邦に一泡吹かせる、協力されたし」だったか──ユニコーンの小説版で、ジオンの残党が似たような文言を掲げて決起したのを俺は覚えている。

 口の中で反芻する俺に、彼は捲し立てる。

 

「シュウジにも世界にも、思い通りにはさせない。アマテにシュウジは殺させないし、宇宙のリセットだって勿論止める」

「……」

「無茶苦茶を言ってるつもりはないぞ。あんたは僕で、僕はあんただ」

 

 分かるだろ──そう彼の表情は、相変わらず無表情だ。

 しかし、そう。

 ポップコーンの容器を持つ彼の手には、隠しきれないほど力が入っていて。

 表面上取り繕ってはいたが、このまま終わらせてたまるか、という意思がありありと見て取れる。

 

「ダメだろ、あの子にシュウジを殺させるなんて」

 

 そして、それは俺も同じだ。

 

 ──無性に腹が立つ

 

 グロムリンを道連れにして満足したつもりだったが、どうやらまだ燃える闘志とやらがあるらしい。

 そうだ、そうだった。

 軍警に腹が立ったからコロニーで戦って、何も知らないまま死に向かうドゥーに腹が立ったからサイコガンダムと戦って、人としての尊厳すら奪ったジオンに腹が立ったからグロムリンと戦った。

 何時だって宇宙世紀は頭がおかしくなりそうなほど胸糞悪くて──そういう世界に腹が立ったから、戦ってきた。

 なればこそ、何も変わらない。

 ちょっとスケールが大きくなっただけで、理不尽に対して強い怒りを覚えているというこの事実だけは誰が何と言おうと変わらない。

 

「……どうすればいい」

「お、やっとやる気になったな」

「お陰様で、目が覚めた」

 

 ニッと笑う少年に俺も笑顔を返して、それから表情を引き締める。

 何せ相手は世界とシュウジだ──備えをしても勝てるか先ず勝ち目のない敵に戦いを挑むのだから、油断などしてはいられない。

 そう意気込む俺の前で、少年はスクリーンを指差し──映像が映し出される。

 そこにはシャロンの薔薇を庇うように立つジークアクスと、対峙する赤いガンダムが描かれている。

 

「どういう状況だ、これ」

「あの赤いガンダムに乗ってるのは、シャア・アズナブルだな」

「生きてたのか……いや、端から死んでるとも思ってなかったけど」

「どうやらそうらしい。それで、こちらのシャアはララァを排除するつもりらしい」

「それは、また」

 

 

 ──胸糞悪い

 

 

 ぴったり重なる俺と少年の声。

 もう、互いの意思など言うまでもない。

 俺は彼で、彼は俺だったのだから何を言わずとも考えていることがハッキリ分かる。

 

「今から、ここでゼクノヴァが起こりシュウジが『こちら側』に戻ってくる」

「それに便乗する、と?」

「ついでにリソースをちょっぴり借りて(奪って)ね。これなら時間制限付きとは言え僕たちも向こうに行けるし、巨大化なんてズルも許さない」

「成る程」

 

 シュウジが巨大化まで出来るとは驚きだが、それを封じる策もあると。

 つまり対策は十全、闘志も万全。

 それならば────

 

 

 

「よし、行くか。ミカボシ・ツヅラ」

「うん、行こう。ミカボシ・ツヅラ」

 

 

 

 俺と少年が、同時に起つ。

 目的はただ一つ──あの世界に蔓延る理不尽に、この手で一泡吹かせる。

 ただそれだけだ。

 

 

 

▲▼▲▼▲

 

 

 

「あ……」

 

 イオ・マグヌッソ周辺に留まるもので最初に「それ」に気付いたのは、ドゥー・ムラサメだった。

 間一髪ゼクノヴァから逃れた彼女は、脱出艇の自動操縦が解除されるなり反す刀でミカボシが消失した地点へ戻ろうとした所を、サンフラワーの乗組員たちに取り押さえられていたのだが────

 

「嘘、これ……」

「お、おい。どうしたんだ?また何か起こるのか?」

 

 親父さん(社長)に羽交い締めにされたまま、少女は呆然とした様子で呟いた。

 そう、ニュータイプである彼女には見えている──イオ・マグヌッソの最深部から広がる光の奔流が。

 

 

「ミカボシ……!」

 

 

 そして、その奔流と拮抗するようにうねる、モノクロの渦──ミカボシ・ツヅラのキラキラが。

 

 

 

「やはり、こうなるか……」

 

 

 

 赤いガンダムのコックピットで、シャア・アズナブルは呟いた。

 最初から見えていた決裂だ──こちらの目的がシャロンの薔薇を殺すことで、向こうが守ることなのだから道が交わる筈がない。

 そして薔薇を討つのは、ひとえに世界のため。

 ララァ・スンの気分次第で簡単に崩れるこの世界から、彼女という最大の危険因子を取り除く必要があるからだ。

 大義を問うのであれば、それは間違いなくこちら側にあるだろう──しかし、ほんの僅かに少女たちの側に立てないことを残念に思っている自分がいるのもまた事実だった。

 

(眩しいものだな、若者とは)

 

 揃ってこちらに剣を向ける二機のガンダム。

 二機から発せられるプレッシャーは是が非でも此処を通さないという強く若々しい意思に満ちている。

 キシリアとの舌戦では、まさに彼女たちのように利害を超え、命を懸けて他者を守ろうとする思い遣りに溢れる者をニュータイプと定義したのだ。

 だから、二人の行為を過ちだと勝手に断定することは出来ず、彼女たちが生きる世界のために彼女たちを倒さなければならない──そんな矛盾がシャアを苛んでいた。

 

「道を空けてもらおうか」

 

 しかし、情に流されながら情を切り捨てられるのがシャア・アズナブルという男の性。

 バックパックからサーベルを引き抜いた赤いガンダムは、ジークアクスとジフレドへ最終警告を行う。

 

「絶対にイヤだね、あなたにララァは殺させない!」

「此処は通さない……!」

 

 当然、返ってくるのは拒絶の言葉。

 マチュもニャアンも、シャアを通すつもりなんてこれっぽっちも存在しない。

 何せシャアはシャロンの薔薇──ララァ・スンの想い人なのだから。

 想い人に殺されるなんてそんな悲しいことがあってはいけないという、ありきたりで若者らしい考えが彼女たちを突き動かしている。

 両者が激突するのは最早避けられない事態だった。

 そして緊張の糸が極限まで張り詰めた、その瞬間。

 

「なに……!?」

「これは……!」

 

 突如として空間全体に、眩い光の渦が溢れ出す。

 この場の誰もがこれまでに体験、ないしは目撃したあの現象──ゼクノヴァ。

 ミノフスキー粒子とサイコミュを通じて発生する、相転移現象。

 この場にアルファサイコミュとオメガサイコミュが揃い、強烈な意志が集中した今、それが起きるのは必然と言えるだろう。

 ただ一つの例外は、奔流の中に立つ少年だけ。

 

「シュウジ……!」

「シュウちゃん……!?」

「シュウジ・イトウだと……!?」

 

 シュウジ・イトウ。

 シャアにとっては、赤いガンダムを持ち去った少年。

 ニャアンにとっては、他の誰より恋い焦がれる相手。

 マチュにとっては……──この場の全員に縁があり、そして誰もその正体と真意を知らない謎に包まれた少年。

 全ての鍵を握る存在が、今何の前触れもなくイオ・マグヌッソに姿を現した。

 

「シュウジ・イトウ……何者だ、お前は!」

 

 故に、シャアのその叫びはマチュとニャアンの言葉を代弁したものでもある。

 お前は、何だ。

 極めて簡潔で、だからこそ何の誤魔化しも利かない問い掛けに──少年は、ゆっくりと口を開く。

 

「僕は、向こう側からやってきた────」

 

 黄色い光がより一層輝きを増していく。

 要領の得ない言葉を紡ぐシュウジの姿すら見えなくなってしまう、眩い黄金の荒波。

 その真ん中に立ち尽くすアマテは、「それ」を見た。

 

「彼女が創った、この世界を壊すために」

 

 光の中から、影を纏った白い悪魔がやってくる。

 どこかのっぺりとしていて、線も少ない。

 色も全く似ていない──なのに「ガンダム」の四文字を想起させるMSが、二丁のバズーカを背負って荒波から浮上する。

 恐ろしい、とアマテは本能的に思った。

 あれはシュウジの覚悟が姿形を取ったものだ。

 愛する人のために愛する人を殺す、そんな矛盾も飲み込んで旅を続ける放浪者の化身。

 ビットもサイコミュも搭載していないが、生半可な気持ちで挑んで勝てるような相手ではない。

 

「シュウジ……!」

 

 それでも、アマテは威圧を振り払う。

 負けるつもりはない。

 何一つとして取り零すつもりもない。

 誰かが誰かのために命を落とすなんて、そんな悲劇はもう沢山だ。

 ジークアクスの操縦桿を握り締めたアマテは、そう内心で叫び──ふっ、と光が失せた。

 

「……!」

 

 暗闇の中で、シュウジの目が見開かれる。

 有り得ない──そう愕然とした表情で呟く。

 

「それはさせない」

 

 ああ、とアマテは感極まった。

 その声を間違える筈がない。

 やっぱりずっと味方だったんだ、と小さく呟く。

 

「お前の旅は今日、此処で終わる────」

 

 そうして一粒の涙を溢すアマテの背後。

 いつの間にか垂れ下がっていた巨大な暗幕に幾つもの穴が穿たれる。

 次いで穴から覗いた手が、幕を掴み──来る。

 

 

 

 

()()()が、終わらせる」

 

 

 

 紫色の──ガンダム同様に線の少ないシルエット。

 YMS-15(ギャン)が暗幕を引き裂きながら、「こちら側」の宇宙に飛び出した。




◯「俺」/ミカボシ・ツヅラ
向こう側の向こう側から人の総意に呼ばれてやって来た、シュウジ・イトウに対するカウンター。
ニュータイプの体に全くニュータイプじゃない人がinしているのでなり損ないという評価は適切。
これまでの戦い(軍警、サイコガンダム、グロムリン戦)から分かる通り理不尽なことが滅茶苦茶嫌い。
なので元の世界に帰れる状態でも
うるせ~~!!!!!
知らね~~~~!!!!!
機 動 戦 士 G u n d a m G Q u u u u u u X
して帰ってきた。

◯「僕」/ミカボシ・ツヅラ
本来のミカボシであり、EXAMシステムの中の人。
K/NT-X初起動時に勝手に動かしてたのもこの人。
非常に尊大な振る舞いが目立つが、フラナガン研での扱いに対する自己防衛であり本来はごく普通の少年。
Code Fairyの主人公であるアルマ・シュティルナーにだけは心を開いていた。
入れ替わってからは基本的に観客に徹していたが、「俺」同様理不尽が大嫌いなのでGQuuuuuuX宇宙に殴り込みをかける。

◯シュウジ・イトウ
向こう側から来た少年。
ララァによる宇宙リセットが具体的にどんな感じで行われるか分からないので、本作では「シュウジがララァを殺す」ことで発動するということにした。
ここまでの出番は多くないが実は失言塗れだったりする。

◯シャア・アズナブル
急に出てきた赤い彗星のアイツ。
何で急に出てきたのかと言うとキシリアとの舌戦をカットしたからだが、本当は書くつもりだったので時間があれば書き足すつもりです。

◯アマテ・ユズリハ
圧倒的光属性。
カットされているが本作ではシャアとキシリアの舌戦に殴り込みをかけるシーンがある。

RX-78-2(ガンダム)
向こう側からやって来た、ちょっとのっぺりしててディテールの少ないモビルスーツ。
巨大化しない代わりにフル装備。

YMS-15(ギャン)
向こう側からやって来た、ちょっとのっぺりしててディテールの少ないモビルスーツ。
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