どうするGQuuuuuuX   作:イナバの書き置き

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選びし道/戦いを呼ぶもの

 アンキー社長に俺がギャンの搭乗者だとバレた。

 

 いや、状況的にバレない方が不自然ではあったが。

 軍警のザクが暴れ回っている中でニャアン共々飛び出して行った直後クラバ荒らしのギャンが出てきたら、そりゃあ俺か彼女かの二択になるだろう。

 それでもってニャアンの性格やとてもMSなんて買えなそうな世知辛さを見れば、俺が「やらかした」ことくらい簡単に見抜けたに違いない。

 とは言え、ヒョロヒョロで不健康そうな男とギャンのマッシヴなイメージが結び付かなかったのか、他の面々は訝しむ程度だったが──流石に社長までは誤魔化せず。

 

 根掘り葉掘り聞かれましたよ、ええ。

 

 俺の素性とか、ギャンの出所とか、マチュにした入れ知恵の内容とか……拒否しようにも軍警への通報を盾にされたらどうしようもない。

 情けないと笑わば笑え。

 普通に考えてGQuuuuuuXを所持する違法難民が通報なんてしたら諸共お縄につく羽目になるだろうが、あの時の彼女にはやると言ったらやる気迫のようなものがあったのだ。

 まあ、5年間MSの整備と戦闘しかやってこなかった人間に腹芸なんぞ身に付く筈もないのだから、そもそもカネバン有限公司と関係を持ってしまった時点で詰んでいたのだろう。

 

 と言うか、結局あの人は何なんだ。

 映画を見た時点では「何か裏があるか知っていそう」程度の情報しか開示されず、色々と考察が飛び交っていたのは覚えている。

 ブラウ・ブロのパイロットだったシムス・アル・バハロフ中尉なんじゃないか、なんて有力なのかトンチキなのかも分からない説が挙がっていたりもしたが──今のところは何も分かっていない。

 何処の誰なのかも、何を考えているのかも正直に言って全然分からん。

 

 何はともあれ、こうしてロックオンされてしまった以上、分からないなりに対策はしておくべきだろう。

 不幸中の幸いと言うべきか、全く守ってないけど今の俺は自宅謹慎の身。

 もしギャンやそれに関する情報を寄越せと要求されても、無いものは無い。

 全部会社が持っているのだから俺個人にはどうしようもないのだ。

 などと、高を括っていたのだが────

 

 

「お咎め無し、だ」

「はぁ?」

 

 

 マチュのクランバトルデビューから一日。

 早々に解除された自宅謹慎に首を傾げながら出勤した俺は、顔をあわせるなりむっすりとした表情でそう告げた親父さんに間抜けな声を返していた。

 

「だから、お咎め無し、だ」

「いや……普通に考えておかしいでしょう。軍警と事を構えてコロニー行政府との関係を悪化させた主犯を放置します?自分で言うのもアレですけど、解雇の上フラナガンに返品するか、軍警に突き出すのが筋ってヤツでは?」

「朝から一気に捲し立てるんじゃねえよ……こっちも頭抱えてるとこなんだから……」

 

 バイタリティ溢れる親父さんにしては珍しい、ぐったりとした様子でデスクに突っ伏し、あーとかうーとか意味を持たない声をばら撒く姿からするに──どうやら、彼の言っていることは本当らしい。

 要するに、コロニーのド真ん中で戦闘を繰り広げ、軍警と行政府の顔面に滅茶苦茶泥を塗りたくった人間が無罪放免になったと言うことだ。

 普通に考えて、そんな事が有り得るだろうか。

 宇宙世紀の魔境振りから想像するに、事故を装って暗殺されるとか、この一件自体を利用して何処かの武装組織がテロを始めるとか──そう言う不穏の先触れにしか思えない。

 

「……ツィマッドがな、話を付けてくれたらしい」

 

 そんな不安が伝わったのだろう。

 此方が口を開く前に、親父さんはその強面をデスクから引き剥がして事の次第を語り始める。

 

「ツィマッドが?何故?」

「コロニー行政府が軍警の増長に辟易してるのはお前も知ってるだろ?どうやら政府のお役人さんたちは連中の気勢を削いでおきたいらしくてな、今回の一件は渡りに船って所だ。難民しかいない場所で戦ってくれたのもあって、黙ってやっててもいいんだとさ」

「成る程……」

「軍警側からしても、今回の一件は大失態だ。ガンダムやジオンの最新MSに負けるってんならまだ言い訳も立つが、一応は民間のモビルスーツにコテンパンにされたんじゃ面目丸潰れだ」

「だから『無かったこと』にする方が都合が良いと」

「そうそう。こっちがザクの修理費出して口さえ噤んでてくれれば、それ以上は何もしないって形で纏まったらしい。要はそれだけの価値がお前さんにはあるってことだ」

 

 まあ、理解は出来る範疇だった。

 それにしても、中々に腹立たしい話ではあるが。

 本当は素直に無罪放免になったことを喜ぶべきなのだろう──しかし、コロニーにとって厄介者の集まりな難民キャンプで戦ったから見逃すだの、無かったことにする方が都合が良いだのと言われて良い気分になれる筈もなかった。

 それに、まだ肝心な所を聞けていない。

 

「何でツィマッドはそこまでしてくれるんです?」

「あー……それな……」

 

 態々行政府や軍警と掛け合ってまでツィマッドが俺を庇う理由なんて存在しない、筈だ。

 確かに、宇宙世紀の知識で以ってギャンの改修に大きな貢献を果たしたと言う自負はある──だが、俺はどうしても替えの利かない人間と言う訳でもない。

 ギャンを引き渡したくない、と言うならばまだ理解は出来るが、いちテストパイロットでしかない俺をセットで置いておく必要がどこにあるのだろう。

 そう言う諸々の意味を含めて「何故」と問えば、親父さんはバツの悪そうな顔で「ここだけの話なんだがな」と続けてきた。

 

「ツィマッドが突撃機動軍の次期指揮官用MSトライアウトに、クリーガーを推薦しようとしてるってのはお前さんも知ってるだろ?」

「ええ、まあ……競合は簡易ガンダムの改修型でしたよね?」

 

 そう、幾らツィマッドの一部がギャン狂になったからと言って、MS開発なんて馬鹿にならないレベルで金が吹き飛んでいくプロジェクトにタダで予算を下ろしてくれる筈がない。

 だから、表向きは突撃機動軍の次期MSコンペに提出するための開発計画ということで通っている。

 当然、対抗馬は簡易ガンダムになる訳だが──勝ち目は五分五分と言ったところだろうか。

 無論、性能では(来るかは知らないが)グリプス戦役やそれ以降を見据えたこちらの方が上回っている自信がある。

 しかし既存機体を改修した簡易ガンダムと、表向き全く無名の新MSではどちらの方が採用されるかは、正直に言って分からない。

 本家宇宙世紀と比較してインターフェース面の進化がやたら著しいと言うべきか──後二年でシロッコが地球圏にやって来る頃合いなのに、ドムやら簡易ガンダムで通用してしまいそうな気すらする。

 だが、それと俺の処遇になんの関係があるのだろうか、と改めて首を傾げれば。

 

「ああ、それでな……要求される仕様に『コロニー内での戦闘』も含まれているらしい」

「は……」

 

 全く予想外の言葉に、思わず硬直してしまう。

 

「ツィマッドだってコロニー内でテストくらいやってるだろうが、実戦に勝るデータはない……でもって、そんな馬鹿な事をやろうとするヤツなんて殆どいない」

「……」

「要は『やる奴』だと思われたってことだ」

 

 それは何とも都合が良く──不快な話だ。

 海賊狩りに感情が動かなくなったとしても、俺は好き好んでコロニー内で戦うような、そんな人の命を全く考えられない人間なんかじゃない。

 そう、思いたい。

 

 ある意味では、プライドのようなものだ。

 GQuuuuuuXの物語に流されているのではなく、自分という一存在が自分の意思で行動しているという理屈が今のミカボシ・ツヅラを形作っている。

 それを否定するということは。

 顔も見えない誰かの思惑に踊らされるのは、俺自身の否定に他ならない。

 

「分かるよ、お前の不満は。でもそう言うのを呑み込むのが大人ってヤツだ」

「……」

「それに、お前さんはまだギャンが必要なんだろう?」

 

 だが、それ故に親父さんの言葉は聞く意味がある。

 本来の「流れ」とは一切無関係な──この宇宙世紀で「俺」の分を含めてもより長く生きる彼の言葉だからこそ、価値がある。

 

「だったら取り敢えず不問で済んだことを喜んだ方が建設的だとは思わないか?要は考え方次第だ」

 

 確かに、親父さんの言う通りだ。

 事情はどうあれ俺は無罪放免になり、ギャンが──戦う力が戻ってきた。

 もう端から見ているだけだと思っていた「ガンダム」の物語に、再び口を挟めるようになった。

 だったら、上の思惑がどうであれそれを利用しないという手はないだろう。

 感情を噛み砕いて、腹の底に鎮めておけるのが大人の特権なのだから。

 

「ま、そういうことだ。今を以て謹慎は解除、このまま業務に復帰してくれ」

「……はい!」

「ああそうだ、ギャンの様子も見ておけよ!ツィマッドの連中に取り敢えず見た目だけでも誤魔化せって言われてるからな!以上!」

 

 いつもの張りを取り戻した復帰命令を背に、社長室を後にする。

 そうして廊下を走る俺の足取りは──来た時よりも、ずっと軽い。

 

(──凶事も捉え方次第、か)

 

 成る程、そう考える方がずっと健全だ。

 ツィマッドや軍警の思惑には甚だ不服だが、逆に考えればまだこれから訪れるであろう何かしらの「流れ」を良い方向に動かせる可能性が残されたということ。

 アンキー社長にこちらの事情が筒抜けになってしまったのも、言い換えればマチュのクラバに介入する余地が生まれたということだ。

 

(……大丈夫。やれる、筈だ)

 

 もう「流れ」は分からない。

 それに流されているのかすら知る術はない。

 それでも──刻に抗う力は、この手にある。

 

 

 

 

 

 ギャンの整備は、大体の場合ツキモリの工場ではなくコロンブス(サンフラワー)の格納庫で行われる。

 掃海帰りでスペースが無い場合は外に出したり、クラバに出場したりする場合は難民街に移すが、基本的には他社の目に触れないよう隠すのが慣習となっているのだ。

 そんな訳で、復職早々宇宙港に停泊する母船に赴いた訳だが────

 

「誤魔化すって言ったって、本当にこれでいいのか……?」

「しょうがないッスよ。急過ぎてマトモな偽装用パーツが用意できてないんスから……」

 

 先日も話した軽い口調が特徴なメカニックと見上げる先──何人もの整備員が取り付くクリーガーの姿は、パッと見ではそう大きく姿形が変わったようには感じられない。

 目立つ部分と言えば、精々灰一色だった胴体に菫色の塗装が施され元のギャンっぽさが戻って来た程度で、本当に言葉通りの「誤魔化し」でしかない。

 そして──頭頂部。

 ギャンと言えば、な尖った角の代わりに鶏冠状の仰々しいパーツが取り付けられている。

 俺の知る限り、このシルエットに該当するのは──偽装に使われているのは、間違いなくギャン・エーオースの部品だろう。

 

「エーオースか……俺苦手なんだよなあ……」

「残ってたのがそれだけでしたから。これから武装もそっちに合わせるんで、機体バランスの調整とかはミカボシさんにお願いするッス」

 

 どこまでも軽い調子のメカニックに、「マジか」と内心で溜息を吐く。

 俺たちはギャン・クリーガーに至るまで様々なタイプの改造を──それこそAからZまでミッションパックがあるガンダムF90並みのバリエーションを重ねてきた訳だが、ハッキリ言ってしまうとエーオース型は一二を争うレベルで相性が悪かった。

 確か、元々のギャン・エーオースはジオニックと共同で改修したお陰か評価が高く、ロイヤルガードに配備されたりユーマ・ライトニングが使ったとかいう話だったが──いざ自分で乗ってみるとこれが頗る難しいのだ。

 兎に角、最大の武装であり特徴でもあるビーム・ベイオネットに振り回される。

 リーチの長さを活かそうにも姿勢制御が難しく、そちらにばかり気を取られて一体化したビームガンの存在をすぐ忘れてしまう。

 何回か実戦でも使用したが、お世辞にも「使いこなせた」とは言い難い有様だった。

 

 ──でも、まあいい

 

 これも、自分の行動が生み出した結果だ。

 だったらそれを嘆くのではなく、どう利用していくかを考える方が建設的だろう。

 不幸中の幸いと言うべきか、機体そのものはギャン・クリーガーとして仕上がっている。

 機体性能ではなく、乗り手の問題であると自覚出来ているなら、いくらでもやりようはある。

 それに、だ。

 これは非常に個人的な話ではあるが。

 

「頭はこっちの方が好きなんだよな」

「は?」

「いや、何でもない」

 

 そう、エーオースの鶏冠──これは、良い。

 とても良い。

 何せ渾名被りを心配せずに済む。

 ガンダムが「白いヤツ」、ドムが「スカート付き」とか機体の特徴で呼ばれることが多い中で、エルメスの「トンガリ」と被らないよう差異を設けておくのは非常に重要な話だ──尤も、あちらはトンガリ帽子でこちらはトンガリ頭だが。

 兎に角、自分のMSに自分だけの特徴があるというのは、何やらエースになったような気分がして大変心地良いものなのだ。

 

「……何か、エラい上機嫌ッスね」

「そう?いやぁ……そうかもな」

 

 そして、仕事が終わればマチュたちの祝勝会もある。

 怪訝な表情の彼には悪いが、今の俺は久方ぶりにとても気分が良かった。

 

 

 

▼▲▼▲▼

 

 

 

 ミカボシが祝勝会を開いてくれた。

 それはマチュにとって、意外な出来事だった。

 

 何せ、彼は相手によってかなり素っ気無い。

 

 神経質そうな人相とは裏腹に心配性で、クール気取りな本人の自意識とは違って思っていることがすぐ顔に出てしまう感情的なタイプだが、それはそれとしてどこか「乾いた」部分が見え隠れしている。

 身内との線引きがかなりハッキリしている、と言えば良いのだろうか──マチュの感覚では上手く説明出来ないが、兎に角線の外に置いた相手に関してはかなり無関心な様子だったと理解していた。

 

 今回の場合、線の外にあったのはシュウジだろう。

 彼とは遭遇時に意味深な会話をしていたが、逆に言ってしまえばそれっきりで──彼がクラバに参加する意思を表明した時も、その後も自分にかかり切りで殆ど彼の心配をしたりすることはなかった。

 それは、シュウジは軍警相手で戦闘に慣れているから放っておいても大丈夫で、素人のマチュをカバーした方が良いと考えたからだろうか?

 

 多分違う、とマチュは思う。

 

 ミカボシとシュウジの間には「何か」があるのだ。

 とてもマチュには話せないような……表面上会話すら避けるような事情が、二人の間にはある。

 だからミカボシは彼を遠ざけたのだろうし、祝勝会をするにしたって自分とミカボシの二人だけで開くものだと思っていた。

 

『シュウジの隠れ家は埃っぽいし、アマテの家はタマキさんに迷惑かかるだろ?じゃあ、まあ……俺の家でやる?』

 

 それが、どうしたことだろうか。

 自宅謹慎になったと聞いたにも関わらずふらりと出ていったミカボシは、帰ってくるなりそんなことを言い始めて──気付けば、ニャアンとシュウジも巻き込んだドンチャン騒ぎになっていた。

 ピザに、寿司に、ラーメン。

 ミカボシの奢り宣言に甘え出前で取れるものを頼みまくって、初めてのクラバの興奮をシュウジと語り合い、隅に逃げようとしたニャアンを引っ捕らえたり──こんなに「楽しい」と感じたのは、久方振りだった。

 故にこそ、マチュには訊くべきことがある。

 

「ミカボシ、何かあった?」

「ああ、まあ……うん」

 

 ソファで丸くなっているニャアンと、毛布を被って静かな寝息を立てるシュウジ。

 そんな二人を眺めながら、対面でちびちびと酒をやり始めたミカボシに声をかければ、特に淀みなく肯定が返ってきた。

 彼は自らの線引きに何かしらの異変があったことを、マチュに隠しもしなかった。

 

(……美味しいのかな、お酒って)

 

 ミカボシが飲酒する姿を見るのも初めてだった。

 ここ数日、ずっとそうだ。

 数年間の付き合いがあって、すっかり知っていたような気がする隣人の知らない姿を、マチュは次から次へと見せられる。

 それが、不思議で仕方無い。

 確かに人間はこれと言って決められるほど単純ではないけれど、しかし大人とは多面的なものなのだろうか──そんな風にミカボシについて考えていると、今度は彼の方から質問が飛んでくる。

 

「クラバ、どうだった。宇宙怖かったか?」

「ううん、全然。シュウジがいたし、ミカボシも色々教えてくれたから」

「そっか。後悔は?」

「してない。色々あったけど、やるって決めたのは自分だから」

 

 そうか、そうかと頷きながらミカボシはまたグラスを呷った。

 ここ数日ずっと着ていたあの威圧的な雰囲気を醸し出すコートを脱ぎ、酔いに身を委ねる彼の姿は何時になく気の抜けていて……これが恐らく初めて見る「素のミカボシ」なのだろう、とマチュは思った。

 だが、それにしても──何かが、変だ。

 これは本当に、()()()()()()()()()()()ミカボシなのか。

 

「なら、いいんだ。これで俺も、ちゃんと前に進める」

「何それ、急にカッコ付けるじゃん」

「……やっぱり、ちゃんと話しておこうと思ったんだ。アマテに黙ってるの、正直キツいから」

 

 そう言って、彼はマチュに見せるように手元の端末を机に置いた。

 写っているのは、非常に不明瞭な「何か」のシルエット。

 コロニーの夜景と色とりどりのスモークに紛れるようにして、鉄の巨人が佇んでいる。

 

「アマテがジークアクスを動かした日、別のMSも騒動を起こしてたって話、知ってるか?」

「うん、帰ってからニュースで見た。いきなり出てきて軍警のザクを二機も倒したって」

 

 軍警ザクの傲慢さに満ちたそれとも、シュウジが操るガンダムの温かさとも違う、鋭角が目立つ攻撃的な姿形。

 ミカボシの心配ばかりしていて忘れていたが、塗りつぶしたように灰一色のそれがテレビの画面に映し出された時、マチュの心には得も知れない感覚が過ったのだ。

 

 ──昏い、と

 

 ただピントすら定まっていないMSのシルエットに、少女はどす黒い濁ったものを感じ取った。

 

「……でも、それがどうしたの?」

 

 そう、それがどうしたと言うのだろう。

 ミカボシとこのMSには、何の関係もない筈だ。

 彼はニャアン共々這う這うの体で貧民街から逃げ出してきた筈なのだ。

 だと言うのに、何故かとても嫌な──それでいて、待ち望んでいたような予感がして。

 

 

 

「──俺がアレの操縦者だ。よろしくな、()()()

 

 

 

 決定的に逸脱しつつある「流れ」が、歪な音を立て始めていた。




○ミカボシ・ツヅラ
大体の物事が思った通りに進まず「まあいい」が口癖になりつつある素が濁ってる系ニュータイプのなりそこない。
ベイオネットとかテクニカルな武器よりはシンプルな武装の方が好み。
映画の範囲を抜けたこととピンチはチャンス理論でメンタルリフレッシュに成功したが、テンションが上がると悪そうな雰囲気を醸し出してしまうのでマチュには自分を心配し過ぎるあまり壊れたんじゃないかと勘違いされている。
なお、当人はその気質に気付いておらず唐突なマチュ呼びも「これからクラバの参加者としてもよろしくね!」位の意味合いしかない。

○アマテ・ユズリハ(マチュ)
うわっ…隣人のちょっと根暗で優しいお兄さんがいきなりとんでもないことバラしてくる…こわ…な十七歳。
まあでも付き合いのある良いとこのお嬢様がその場のノリで軍警をボコボコにしたり、クランバトルに出たりしたらそりゃあ心配するよねって話ではある。
そして当人にもその辺りの自覚は多少あるので、「どうしよう…ミカボシが自分のせいで壊れちゃった…」と内心ハラハラ。

◯ギャン・クリーガー
Gジェネ新作でエーオース共々戦闘ムービーが格好良かったヤツ。
(ただし頭頂部と武装はエーオース)
(素体はただのギャン)
(本機がフィードバックしたデータを元に再設計した「本物」をツィマッドが試験運用している)
と言う果てしないややこしさを抱えている。
なお、ミカボシが心配しているのはジオンの内乱とエルメスとの渾名被りだった。
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