不可能を可能にする男   作:展開郎

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BB1のアンケートが以外にも原作派の方が多いので、そっちにしちゃいまーす。
まぁ原作のとあるキャラが出るので、予想しながらお楽しみを。


第四弾:ローン

パンッ、パンッ———

 

銃を撃ち続けていると落ち着く気がする。

一種の習慣的なものというか、武偵ゆえの職業病でもある。

全身に伝わる拳銃の反動が心地良くも感じる。

いや、そんなことはない。そこまで戦闘狂ではないぞ、俺。家でゆっくり毎日グータラしたい、それが俺の理想的生活である。

そしてその生活には誰も入れない。俺一人で毎日テレビを見ながら、チーズたっぷりのピザトーストを作る…そういうのでいい。

 

パンッ、パンッ、パンッ———

 

しっかし悲しいことに現実は全面コンクリートで出来たこの部屋で銃を撃っているんだがな。

今まで少しは不安に思っていたがヒステリアモードじゃ無い時でも、銃の的中率は悪くはない。巣鴨の実家では銃を撃てないから、今日の今日まで不安に思っていたが、無駄な心配だったみたいだ。

射撃のカンはほんの少しの欠片さえも忘れていない。例えそれが両手であろうと、片手であろうとだ。

 

パンツ、カンッ、ピュンッ———

 

校舎の地下射撃場で試射をしまくっているが、やはり威力というか速度感というか、それがあと少し足らない。

中学の時から改造はずっと施してきたが、味気なくなった。

いやそうじゃない、焦っているんだ。一石マサトと闘った時に何故距離を置いて銃撃戦をしなかったんだ?

それはヒステリアモードの時じゃない俺でも分かる。奴にこの銃では役不足だったからだ。

 

パンッ、パンッ…カチャカチャ———

 

3マガジン分試し撃ちしているが、やはりダメだ。

速射力、貫通力、射程距離、安定性どれもこれもが足りない。これでは、これから使うことになるであろう技たちが使えない。

特に今後一番便利な技になるであろう不可視の銃弾(インビジヴィレ)は、このままの弾倉排出(マガジン・エジェクト)の速さでは使えない。

不可視の銃弾(インビジヴィレ)より、不可知の銃弾(ゼロ・インフィニット)つまるところ矢指の強化版を使ってはみたいのだが、現状使うことは無理だし、これに関してはもう少し鍛錬を積まなきゃならないし、そもそもが俺ら遠山家の技じゃないから手探りで一からコツを探している状態だ。

とりあえず現状は、一番使えそうかつコツがある程度分かりそうな技をの為にここを貸し切って試してみているのだが…

 

「ダメだな、こりゃ。」

 

使えないことはないが、俺一人がいる場所じゃない限り使えない技だ。元から自分の技じゃないのもあって制御というか習得しずらい。

単純にヒステリアモードじゃない普通の状態なせいもあって中々想像した通りに出来ないのもある。

それにこの銃では使おうにも、ある種の展開待ちをしなければ使えないし、威力も少なすぎる。

…となれば、やることはただ一つ。装備科(アムド)に改造依頼を出すしかない。どうせ用事もあったし、ついでに依頼しに行くか。

ただ、そうなると金がなぁ、えげつない値になるんだよなぁ。

ベレッタの弾はカブチューで卒業割引で買い占めたから当分の間は心配しなくてもいいが、改造となるとその3、40倍。腕のいいガンスミスに依頼した場合には100倍以上の値段を吹っかけてくる可能性だってある。

となると、大抵基本は分割払いになる。勿論一括払いも手段としてはある。だが、そんな莫大な金を基本学生武偵は持っていない。

年収自体は一括払い出来るレベルにはあるが、基本的に弾丸なや必要物資などの消耗品でお金が消える。そして武偵高校に通うということは一般の高校より自立性を求められる。よって各家庭で仕送りなどの金額は少ないどころか0のパターンだってある。

俺の場合は家賃、光熱費の分だけは支払ってくれるが、それ以外には我関せずである。

食費と電話代は稼がなくちゃならん。

さてさて、依頼(クエスト)を先にやったところで直ぐに別のモノでお金が消えてそうだしなぁ。

向かいますか、装備科(アムド)棟へ。

 

 

 

「いやぁ、素晴らしいほどに雑多だなぁ。」

 

香港にある九龍城砦や、アキバの電気店が並ぶ通りみたく入り組んでいる。あちこちで弾丸がバーゲンセールみたいに段ボール箱の中に雑に入れられている。

曰く、開校して以来各個人がそれぞれ工房を開き規模を拡大していく、それを繰り返していくごとにいつの間にかこんな風になったらしい。

それにここの隣に火器購買部があるからってのもある。基本的にそこに並ぶラインナップは在日米軍から武偵企業、果ては大昔の蔵から出してきた骨董品まである。

だがそれらのものは全て既製品である。一般人ならそれを買ってお終いだが、武偵ともなれば直ぐに自分に合うように改造を施す。何故なら自分の命を預けるからだ。

そしてその改造を行うのが装備科(アムド)である。だからこそ、直ぐ近くの距離に装備科(アムド)棟がある。

武偵たちは購買で買った武器をどのガンスミスたちに整備してもらうかを選ぶ訳だ。

まぁ俺は最初っから、誰に依頼するかは決まってるのだが。

階段を降りても降りても、地下二階に辿り着かない。恐らくは安全性の観点か1フロア分の高さが尋常じゃなく大きく設定さされているのだろう。

そして俺のお目当てのB201作業室へと向かっている。

おっと、この辺りだな。

そこには幼児が描いたように平仮名で『ひらが あや』と書かれている。

 

———コンコンコンッ 「予約の遠山でーす」

 

————ガチャガチャガッシャン「…………」

 

中から音は聞こえるんだ、返答はない。作業が忙しくて、聞こえないのか?

しょうがない、こういうのはどんだけノックしても意味がないもんだ。勝手に入らさせてもらおう。

うげっ、地面がざらざらすると思ったらこれガンパウダーかよ。もしここに火の粉が舞ったら…いや何も考えないでおこう。

装備科棟だけでも入り組んでいるというのに、更にこの部屋は入り組んでいる。どこぞの激安のドンを想起させる。

ネジからマガジン、弾丸、米国製のアサルトライフル、ホグサドルから、それなりに良さげな刀から火縄銃まで。

 

「おーい、予約の遠山なんだが、平賀文はいるかぁ?」

 

「おおっ!!予約してくれた遠山キンジ君なのだ、ささっ入ってなのだ!」

 

今年度入学試験でSランク認定されたのは3人。

一人は強襲科試験において受験生全員を制限時間内に倒した俺こと遠山キンジ。

二人目は的中率及び速射率全てにおいて満点(フルスコア)を叩き出した、狙撃科のレキ。

そして最後の三人目は一石マサトと同じ推薦枠で入学を果たした目の前にいる装備科の平賀文である。

入学式初日に直ぐにコンタクトを取って、予約を取り付けたのだが…やはり場違い感が否めない。小学生のインターンにさえ思う。

だが、間違いなく小学生ではないと言える要素が一つある。それは匂いだ。

この部屋からは硝煙と油の匂いがするというのに、微かに向日葵のようなアッサリとした匂いがする。勿論それは平賀文が醸し出す匂いであるのだが。

何かしらの作業を長時間していたせいか平賀さんの女性フェロモン———匂いが超濃縮されている。

ちょっとでも近づかれてしまっては、ヒステリアモードになりかねん。

 

「さてさて予約の“ブツ”はちゃんと用意したんですよー!!これを使うとはやはりSランクなだけありますなぁ。」

 

「あぁ、ありがとう。それとは別にこいつの改造依頼を頼む。」

 

ブツはしっかりと受け取りつつ、ベレッタを慎重に暴発しないように静かにテーブルの上に置く。

そして少し銃火器のパーツをチラチラと見ているのを装うかのようにテーブルから、平賀さんから距離を取る。

 

「これは、これは、ベレッタなのだ。これを使うとはとーやま君は意外とセンスがありますのだ。それで、改造はどうするなのだ?」

 

「ああ、まずは3点バーストを可能にするのと、フルオート機構の搭載に、それから———」

 

とりあえず今自分が必要な、そしてこれから必要になるであろう機能を羅列していく。

それらを全て平賀さんは拙い感じでメモに書き記していく。

色々とパーツを見ている振りをしてなるべく、嗅覚の範囲内に彼女を入れない。

 

「分かりましたのだ。ただ、これなら違法改造になっちゃうのだ。」

 

「別に検査の時に誤魔化せばいい。それで、値段はいくらになる?」

 

「分かりましたなのだ、ちょっと資料持ってきますな〜のだ!」

 

そういった奥へと向かう。平賀さんの良いところは、ズボンを履いてくれているからヒスらないというのが一つ目だ。他人から見ればさほど重要じゃないかもしれないが、俺にとってはそれが重要である。

例えば女子がなんの警戒もなく腰を下ろして探し物をしたりする際のことを考えたら、俺にとってそれは目を背けなければいけない状況である。だが、ズボンさえ履いてくれていたらそんなことは起きない。

決して、ズボンに浮かび上がる体のラインが見えてもそう思うことは…目の前で資料を探すためにお尻をこちらに向けてくれている平賀さんのズボンはお尻の形をくっきりと表してくれている。

成長途上とも言える、それがまたコチラをヒスらせようとする。

良いところは早速無くなったかもしれん。というか俺、平賀さんでもヒスれるのか…ちょっとやばいかもしれん。

おい遠山キンジ、お前の女性に対する適正範囲…大丈夫か?

目でも閉じた方がいいかもしれん。

 

「はいはーい、こちらの資料によればですねー。」

 

「どうなる?」

 

「うーんと、これぐらいの値段になりますなのだ。」

 

そう言いながら、テーブルに戻って紙に記した金額を見て俺は驚愕する。

桁がどう考えても二つぐらい多いぞ。確か0が四つで千の値になるから…

おいおいこの値段はフリーのプロ武偵とか超えて、企業所属のプロ武偵レベルに依頼を出すぐらいの値段じゃねーか。

 

「ちょっと待て、この値段はないだろ。依頼もベレッタの一点のみだし。」

 

「いや適正価格なのだ。まずはそもそもベレッタにここまで改造するとなるとオフィシャルパーツもサードパーティ製のも一切使えないなのだ。となると一から、(あや)が丹精を込めたオリジナルパーツを使わなきゃいけないのだ。」

 

「いや、そこは入学割引というか、最初の客ということで割引とか出来ないのか。」

 

「無理なのだ。基本的にお客様は差別しないのが、文のルールなのだ。」

 

「だとして、これは吹っかけすきだろ。他の所じゃもうちょっとは安くしてくれるぞ!!」

 

「それなら他のお店に行くのだ。他のお店じゃ違法改造なんてもっとお金を出しても引き受けてくれないのだ。それにSランクのとーやま君なら支払えると思うのだ!」

 

全て間違っていない。

今回の俺の改造依頼は一から新しくベレッタを作るのと同じものだ。

そして違法改造も、みんなお断りだ。何故かって?まず最初にランクが下がる、そうするとパーツ会社からの納品が遅くなったり、ライセンス契約が打ち切りになったりするからだ。

そうなれば装備科の武偵たちはちょっと困るどころじゃなく、収入の数割が無くなることを意味する。

ようするに違法改造なんてするからには、高ランクを維持できる、あるいは復帰できる相当の腕がなきゃいけない。そんな平賀さんが言外にさっさとこの値段で承諾しろと言っているのだ。

この値段で承諾するしかあるまい…あまりにも高すぎるけどな。

 

「分かったよ、分かった。とりあえず先に例のブツの代金と、それから改造費についてだが分割払いで頼む。流石にそんな値段ならこっちも一括払いは出来ん。」

 

「ラジャーなのだ。それじゃとーやま君の口座番号を教えてほしいのだ。」

 

そうやって、俺は一文なしの武偵になっちった。

改造が終わるまでの代用ベレッタのレンタル代金まで付けられて、さっきよりもっと値段が上がった。

借金返済のためにも、なーんか依頼(クエスト)でも受けるか。

 

「あと、とーやま君ナイフ持ってたなのだ。ちょっと見せてなのだ。」

 

「バタフライナイフのことか、ほいよ。」

 

まぁこのナイフはそこまで重要でもなかろう。

平賀さんに見せてしまってもなんの問題もあるまい。

このナイフは色金を多少使ってはいるが、それを悪用しようと思えるほど量があるわけでもないし。

バタフライナイフを回転させて刃を露出させ、持ち手を平賀さんの方に向くようにテーブルの上に置く。

そうした途端、平賀さんの顔は苦虫を潰したような顔になった。

 

「うげ、何をしたなのだ。凄い酷い状況になってるのだ!」

 

「…え、そんなにか?」

 

「酷いなんてもんじゃないのだ!ベレッタの改造より、こっちの方を優先するべきなのだ!」

 

そ、そこまで言うか普通。

どうせ来年の冬ぐらいには訳あってさよならバイバイするし、別にそこまで愛着はないというか…他の武器とかには色々と背景があるけど、このナイフだけは別にそんなアレだしなぁ。

実際問題このナイフが重要な時なんて、再来年の2月ぐらいだし…うーん。

 

「これ修繕というか手入れしたのいつなのだ!」

 

「………いつだっただろう」

 

「文、ショックなのだ!こんなに良さげなナイフなのに…」

 

本当に手入れとかっていつしたっけ?

兄さんに貰ってからは…えーっと、あれ本当に手入れしてないような。

自分で言うのもなんだが、俺って爺ちゃんにそっくりなのかもしれん。

 

「すまんが、ベレッタの改造費だけでこっちはいっぱいいっぱいだし、修繕はまたお金に余裕のあるときに平賀さんに頼むから。」

 

「…可哀想なの。…でもどこの刀匠が作ったなの?…うーん。」

 

平賀さんから、ひったくるようにバタフライナイフを回収しつつ作業部屋から出ていく。

申し訳ないが、バタフライナイフはベレッタのローンを完済してから修繕してやる。

どっちみち、今の時期ナイフなんてそうそう使わないし、ダイジョーブ。

 

 

 

さてとベレッタのローン返済のために、依頼掲示板に来たのだが、まぁたくさんある。

どれもこれも、成功報酬は高い…だが、どれもこれも危なすぎる。

特秘任務(シールドクエスト)とだけ書かれている紙だけで依頼掲示板には、5枚も貼ってある。

どれもこれも必要ランクはB以上やA以上などと書かれてある。Sランクの俺ならどれでも受けれるが、いかんせんSランクなのはヒステリアモードの時の俺である。

普通の状態ならランクは…相当落ちることだろう。

 

(あっ、原作お馴染みの猫の捜索依頼もあるな)

 

ちょっと原作に似た依頼を見つけて笑みが溢れてしまったが、この依頼は置いておこう。

ここは報酬もそれなりで、危険度も少なさそうな、つい最近オープンしたばかりの服屋の私服警備の依頼にでもしよう。

単位も1.0で、報酬も5万円は良心的すぎるだろう。他の奴らには申し訳ないが、この依頼俺が最初にゲットだ。

高校初の依頼頑張るぞぉ!!

 

 

 

 

「あぁ…今日は家に帰ろう」

 

結論を述べると、疲れる・面倒くさい・ヒスりそうの三重苦の依頼だった。

まず、服屋自体が小さいテナント型かと思って向かうとそこには、あら不思議。目の前には四階建ての超大型ビルが建ってるではありませんか。中に入ってみて、それ全てが服屋だと気付いた時は絶望だった。

それはそれでしょうがないと思って依頼であるパトロールを続けていると、まず子供がそこら中で走り回って煩い。それを注意すると、その親までもが煩くなってきたので、注意するのも億劫になって放置している。

次は服屋から借りた服装のせいか、店員に間違えられて、どっちの服が良いかと毎度の如く聞かれる。どれも同じだろうに、女性っていうのは永遠に悩み、挙げ句の果てには他人に判断する権利を押し付けてくる。

その点、男性客はパッパと判断して買っていってくれる。そういう意味では非常に有り難かった。

まぁ他にも色々と大変だったことはあったが、とりあえず数時間もの間、あのビルをずっと周回していたということを恐怖に感じる。あの時の気分は徘徊している認知症の老人と同じものになっていただろう。

兎に角、パトロールをしていても事案もないせいか、虚無になるのだ、心が。

ガラケーを弄ろうにも、店員に見られてるような気がして弄れない。トイレで時間を潰そうにも、変な感じがしてすぐ終わる。

武偵というのは、どこぞの俺のせいで勘違いしてはいたが、こんな地味な仕事ってことを忘れていたぜ。

そしてヒスりそうってのに関しては…まぁ特に言及はしないでおく。なんか自分で自分を責めたくなるような気持ちになるし。

 

「にしても、腹が…減った。」

 

…よし飯を探そう。

BBⅠのシナリオ展開アンケート

  • オリキャラたちで回していく展開
  • 原作のストーリーを強化する感じの展開
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