「──でもそれは、前提だから。諦める理由には、ならない……!」
──何故アイドルになりたいと思ったのか?
その理由を尋ねられた時。
ただの少女であった彼女は、悩んだ末以下のように答える。
──友達に誘われたから、と。
彼女は父親が日本人、母親がスウェーデン人のハーフであり、スウェーデンで暮らしていた。
そんな彼女には日本に親友が居り、渡日した際、とある学園のとあるアイドルのライブに誘われた。
そしてステージの上で輝くそのアイドルに、
無意識で興奮により頬を上気させる彼女に、親友もまた、同じ顔で言った。
──一緒にアイドルをやろう。アイドルになる為に、アイドルの学校に通おうよ、と。
アイドルの学校。その名は──初星学園。
卒業後、優秀な成績を在学中に収めたアイドルはそのままプロダクションに所属する事が出来、アイドル科に通っている
プロデューサー科のある専門大学や、一般生徒が通う普通科もあるが、初星学園と言ったらまず注目されるのはアイドル科と言っても過言ではない。
少女は、最初断ろうと思った。
常に自分に自信がなく、人見知りで、臆病で、仲の良い友達も親友のたった一人しか居ない。
そんな自分が、あのアイドルのように輝くステージの上で歌を歌い、ダンスを披露し、笑顔を浮かべる事など到底出来やしないと思ったのだ。
もし自分がアイドルを目指し、ステージの上に立ったとしても、緊張で声は出ず、身体は固まり、表情一つだって作る事が出来やしないだろう。
それは事実であり、真実であった。
しかし諦めようとする程、少女の中で、時間の経過と共にその想いは膨れ上がっていった。
それは羨望から憧憬となり、いつしか、強い意志へとなっていった。
烏滸がましいのは重々承知。
だが、その憧憬の想いの丈だけは。
それだけは、誰にも負けない。
何者でも無かった少女は、羽ばたく事を決意した。
それが、『原点』。
葛城リーリヤという、何者でも無かった少女の始まりであった。
両親を説得し、日本語を父親と親友から教わり、受験に挑み、そして合格した。
準備をし、故郷を離れて日本へ渡日する。
マンションを借りて一人暮らしするという案もあったが、娘を心配した両親にそれは却下され──リーリヤ自身も出来る自信はなかったが──学生寮へ入寮する事となった。
そんなリーリヤの同室は、親友である。単純に、親友がリーリヤの事を心配したのと、親友自身も北海道出身であり学園に入学する為には入寮が必要だった為であった。
観光ではなく暮らすとなると、最初は異なる文化の違いに圧倒されていたが──親友から渡日前に聞いていたし勉強もしていたが、耳で聞くのと自分の目で直接見るのとではやはり齟齬が生まれる──ようやく日本での生活に慣れ、学園生活に意識を傾ける余裕が出来た。
「リーリヤ、どしたの? ぼーっとしちゃってさ」
学園への登校中、リーリヤが空を眺めていると隣を歩く親友──
鮮やかな橙色の長髪に、宝石のような翡翠色の瞳。やや着崩した制服。その明るさから、清夏は『ギャル』と分類される人間であり、リーリヤとは性格が真逆に等しかったが、二人は親友であった。
「うん、何だか、あっという間だったなって思って」
「いやいや、何全てが終わったみたいに言ってるの? あたし達の学園生活、まだ始まって数ヶ月しか経ってないからね?」
「あはは、うん、そうだね……」
「全く、リーリヤは〜」と揶揄ってくる親友にリーリヤは苦笑いで答えながら、内心で思う。
──もう、数ヶ月が経った。
初夏の訪れを感じさせる暑さ。
それがリーリヤに、時間の残酷さを告げてくる。
「清夏ちゃん。今日、晩御飯はどうする?」
「ごめん、リーリヤ。今日はレッスンの後にPっちとミーティングがあるんだ。何時に終わるか分かんないから、先に食べてて」
両手を合わせて謝罪してくる清夏に、リーリヤは「ううん、気にしなくて良いよ」と笑顔で答える。
そして、尋ねた。
「プロデューサーさんとは仲良くやってるの?」
「モチ! 最初はまあ、軽く遊んで終わりにしよかなって思ってたけどさ〜……」
入学当初、清夏はやる気が無かった。
授業こそ受けるがその態度はあまり良くなく、トレーナー達から注意されてものらりくらりと躱してはレッスンをサボっていた。
リーリヤはそんな親友に対して、寂しくは思っていたが失望はしていなかった。
あの清夏がそうなった理由をリーリヤは本人から直接こそ聞いていた訳ではなかったが察していた。何よりも、清夏の芯が変わっていない事をリーリヤは信じていた。
それ故に、葛城リーリヤと紫雲清夏の親友という関係は何も変わらなかった。
そんな清夏に、プロデューサーが付いた。とはいえ、本職ではない。
初星学園の中の専門大学、プロデューサー科。その中でも極めて優秀な生徒のみが使用出来る『プロデューサー制度』。
未だ本職ではないプロデューサーと、アイドル。その二人が契約を結ぶ事によって、『プロデューサー制度』は使用出来る。
紫雲清夏は、プロデューサーに見初められたのだ。
清夏は言葉通り、最初こそ適当に遊ぶつもりのようだった。だがPっちと呼ばれるプロデューサーの熱意は、彼女のアイドルへの情熱を再燃させたのだ。
リーリヤも陰ながらPっちには協力していたが、立ち上がったのは清夏の意志と、Pっちのプロデュースによる所が大きいだろう。
「……そっか。清夏ちゃんはやっぱり、凄いなぁ──ふぎゅっ!?」
台詞の途中で、清夏がリーリヤの両頬を自身の両手で挟んだ。
間抜けな声を上げるリーリヤに、清夏がジト目で言う。
「凄いのはリーリヤだよ。最近、帰りが遅い事多いけどさ……自主レッスンし過ぎだよ」
「そ、そんな事……」
言い淀むリーリヤに、清夏は真剣な表情で忠告した。
「そんな事ある。オーバーワークは、身体に良くないよ。故障に繋がる事だってある。あたしはその怖さをよく知ってるから……今すぐにでも、出来るなら止めて欲しい」
その言葉は、とても重かった。
リーリヤがこくりと頷くと、清夏は一転して笑った。
「自主レッスンならあたしも今度付き合うからさ。一緒に頑張ろうよ!」
「……うん」
リーリヤに、今の清夏はあまりにも眩しかった。
親友が再び翼を纏い、高く飛んでいく。それが嬉しくて、誇らしくて、悔しい。
葛城リーリヤは、まだ、飛び方さえ知らない雛鳥。
否、雛鳥ですらない。
その事を、リーリヤは再認識した。
初星学園には、『Hatsuboshi IDOL FESTIVAL』──通称、『H.I.F』という大きな大会がある。これは年に二回、夏と冬に催される。そしてこの大会で、学園のトップアイドル『
基本的に、『H.I.F』は三年生が有利とされている。その理由はとても単純で、下級生とは経験してきた場数が違うのだ。
『H.I.F』では、リーリヤを含む一年生では
さて、そんな夏の『H.I.F』が数日前に終わった。優勝したアイドルが一番の話題になるのは当然であるが、今年は些か例年とは違ってきた。
何故ならば、今年の一年生のうち数人が本戦出場を果たした為である。一人でもなく、二人でもなく、数人。そして彼女達は上級生達と同等、否、それ以上の輝きを放った。
これは実に驚愕すべき出来事であり、学園関係者や世間から、葛城リーリヤの居る世代は大きく注目を浴びる事となる。
「ついこの前までレッスンサボってた癖に、清夏凄すぎ! あたし、マジびっくりした!」
「ほんとそれな! 何あんた、本気を出してこなかっただけじゃん!? チョウ感動した!」
昼休み。
生徒達は昼食を取りながら、各々自由に過ごしていた。
その中で、一つの会話がリーリヤの耳に届く。視線だけ向ければ、そこには清夏と、そのクラスメイト達が談笑を交わしていた。
「いや〜、あたしも頑張ったけどさ……実際の所、Pっちに助けられてばっかりだったし。うん、あたし一人じゃ、絶対に無理だったよ」
「またまた、謙遜しちゃって〜」
「いやいや、ほんと、そうだったんだって〜」
清夏ちゃん、困ってるな──リーリヤはそう気付いた。
笑顔こそ浮かべているが、清夏が内心では辟易しているのを親友であるリーリヤだけが察していた。
声を掛けるべきだろうかと、リーリヤは悩む。
清夏は自分とは違い、友人が多い。所謂ギャル仲間というものだ。彼女達とはリーリヤも面識があるし、清夏の友人だけあって優しい人達だ。
リーリヤが首を突っ込んでも、彼女達は決して気分を害さないだろう。
だが、今の自分にそんな資格があるのだろうか。
それが、リーリヤに二の足を踏ませる。
紫雲清夏は、夏の『H.I.F』に於いて
親友のリーリヤは当然、清夏の応援に行った。彼女のプロデューサーが用意してくれたプレミアムチケットで、最前列で彼女が輝く所を見た。
圧巻だった。
特に、数ヶ月のブランクを感じさせない圧倒的なダンスパフォーマンス。それを可能にする体力に、調整され尽くした筋肉。
親友のライブは、気が付けば終わっていた。ペンライトを自分がどのように振っていたのか、リーリヤは覚えていない。
学生寮への帰路、何となしに見上げた夜空。それを見て、リーリヤは確信した。
自分の親友は、あの星々の中に入ったのだという事を。
結局リーリヤは、清夏の所へ行けなかった。
初星学園では、『ボーカルレッスン』『ダンスレッスン』『ビジュアルレッスン』の三つをメインカリキュラムとしており、レッスンという名目の授業を行っている。そこから、より専門的な授業を行っていくのだ──一般教養科目も当然ある──。
そんなレッスンにも、『通常レッスン』と『スペシャルレッスン』の二種類に区別されている。『レッスン』は選択制であり、生徒がどちらか一方を選ぶ事が出来る。通常レッスンよりもスペシャルレッスンの方が難易度は高く、しかしその分、合格した時にはより高い評価を得る事が可能だ。
アイドル科の生徒がライブをする為には、
そして、学園が定期的に催す定期公演『初』に出場し、場数を踏んでいくのだ。
それを何度も繰り返し、知名度と実力を上げる事で、初めてソロライブが可能となる。
「今日は皆さん、このポージングに取り組んでみましょう。いつも通り、レッスンの最後に評価をします」
「「「はい、お願いします!」」」
『H.I.F』が終わった直後だという事もあり、生徒達の返事はとてもやる気に満ち溢れていた。
無論、それはリーリヤも同じである。
葛城リーリヤは外部進学組であり、内部進学組のような地盤がある訳ではない。
葛城リーリヤは、全てが未経験であり、出遅れ過ぎているのだ。
リーリヤが一つの事を覚えた時には、他の生徒達はそれ以上の事を習得している。
「右手はもう少し斜め上が良いわ」
「は、はい!」
レッスンは数少ない、専門職のトレーナーから指導を貰える時間だ。
「本当によく頑張ってるわね。この時期の一年生は皆頑張っているけど、リーリヤちゃんは特に頑張っていると思うわ」
「そう、でしょうか……?」
「ええ、そうよ」
ビジュアルトレーナーが、リーリヤをそう褒める。
だがリーリヤにとって、それは当然だった。
このレッスンはクラスメイトも受けている。それに対して、トレーナーは一人。生徒一人あたりに割かれる時間は数分もない。つまりこの数分の間に、コツを摑む必要があるのだ。
成績優秀者やプロデューサーの付いている生徒だったら、ワンツーマンでトレーナーがレッスン時間を作ってくれるが、中途半端な成績のリーリヤにはそれが出来ない。
それこそ、死の物狂いでやらなければならないのだ。
「大人しい顔をしているけれど、リーリヤちゃん、執念の塊ね」
「……」
「少しずつ出来る事も増えているわ。だから、焦りは禁物。オーバーワークは身体に良くないから、注意するように」
「は、はい……。でも、何でその事を……?」
もしかして清夏から聞いているのかと勘繰るリーリヤに、ビジュアルトレーナーは溜息を吐いた。
「知っているわよ。だっていつも、夜遅くまで残っているじゃない。トレーナー達の間でも、話題になっているわ。尋常じゃない努力の鬼が居るってね」
そう言って笑ったビジュアルトレーナーは、とても綺麗だった。
思わず見惚れるリーリヤの頭を、ビジュアルトレーナーは優しく撫でる。
「葛城リーリヤちゃん。あなたには期待しているわ」
「は、はい……! 頑張ります……!」
力強く頷く、リーリヤ。
ビジュアルトレーナーは最後に微笑むと、他の生徒の指導へ向かった。
──こんなわたしに、期待してくれているんだ。もっと、頑張らないと。
リーリヤは深呼吸し、課題のポージングを習得すべく励むのだった。
そして、レッスンの最後。
レッスンの評価時間になった。ビジュアルトレーナーが試験官となり、別室で行われる。待機している生徒達は自由時間であり、自習扱いとなっている。殆どの生徒は最終確認を行い、心身の状態を整えていた。
「この
試験を終えた一人の生徒が、会場から戻ってきた。
花海咲季。入学試験を首席で突破した生徒だ。座学も実技も優秀な成績をいつも収めている。
金髪の三つ編みお下げの生徒──
「おっ、咲季お疲れー。どうだった?」
「当然、スペシャルレッスンをクリアしてきたわ!」
「流石だなー。咲季、ビジュアルレッスン得意だもんな〜」
「あら。ことねだって、わたしには及ばないけど充分じゃない」
「まあ、手毬よりは得意だけどナー」
ことねから話を振られた生徒──
「は? ボーカルじゃ咲季もことねも、私の足元にも及ばないのに?」
その言葉は事実だった。
手毬は中等部からの内部進学であり、中等部時代ではユニットを組んでいたという。そんな彼女の武器は圧倒的な歌唱力であり、それだけならあの
花海咲季。藤田ことね。月村手毬。それに紫雲清夏を加えた、四人の生徒達──リーリヤの所属している一年一組の文字通りの精鋭だ。
「葛城。次、葛城の番だって」
「は、はい。ありがとう、ございます……」
声を掛けてきた手毬に、リーリヤは返事をした。
そして、教室の出入口を緊張した面持ちで見た。欲を言えば、もう少し時間が欲しかった。
こんな時、清夏が居れば励ましてくれただろう。だが、試験が終わった後は自由時間となっており、大半の生徒は教室をあとにしていた。清夏もそのうちの一人で、軽々とスペシャルレッスンをクリアすると、プロデューサーの所へ行ってしまった。
──大丈夫。大丈夫……。
そんなリーリヤに、手毬が眉間に皺を寄せながら言った。
「ねえ、葛城。あなた、そんなんでレッスンクリア出来ると思ってるの?」
「ぁ……いや、その……」
「いくら頑張っても、本番でそんなんじゃ話にならないよ」
「あぅ……」
しどろもどろになる、リーリヤ。
リーリヤは手毬の事が苦手だった。手毬本人にその気はないのだろうが、高圧的な態度は引っ込み思案なリーリヤにとっては天敵と言えた。
「コラー、何やってんだ手毬ー!」
ことねが手毬の頭を思い切り叩く。
「いだッ!? 何するのことね!? プロデューサーにだってぶたれた事ないのに!?」
「『何するの!?』じゃ、ねーんだわ! リーリヤちゃん、怖がってんじゃん!」
「……え? いや、私はそんなつもりじゃ……」
手毬はバツの悪そうにリーリヤを見ると、しかし、プライドの高さからか、「フンッ」と鼻を鳴らすと教室から出ていってしまった。咲季が「待ちなさいよ、手毬! この後はわたしと一緒に自主レッスンする約束じゃない!」と後を追い掛ける。
「ごめんねぇ、リーリヤちゃん。その、庇う訳じゃないんだけどさ、手毬も悪気があった訳じゃなくてさ……」
「い、いえ……その、分かってます」
手毬なりに、自分を励まそうとしていた事をリーリヤは分かっていた。
『いくら頑張っても』という言葉が、それを表している。
リーリヤが夜遅くまで残って自主レッスンを行っている事を手毬は知っている。何故なら、手毬もリーリヤと全く同じだからだ。
直接話した訳ではないが、廊下などで互いの姿を見る事は多々あった。
「まぁ、手毬の言葉を引用するのは癪だけどさ〜、もうちょっと、リーリヤちゃんは肩の力を抜いた方が良いかもね〜」
「……藤田さん」
「身体、ガッチガチだぞ〜。それじゃあ、身体も思う様に動かないっしょ。はい、リラックスリラックス〜」
ことねが深呼吸を実演してみせる。
リーリヤは素直にそれを真似した。大きく息を吸い、吐く。
「緊張、少しは解れた?」
「は、はい……!」
「にしし、良かった!」
ことねが可愛らしく笑う。釣られて、リーリヤも少しだけ表情を緩めた。
「リーリヤちゃん、何かあった? 大丈夫?」
試験会場に中々来ないリーリヤを心配して、ビジュアルトレーナーが待機室に顔を出す。
リーリヤは「す、すみません!」と謝罪すると、慌てて支度を始めた。教室を出る際、ことねにぺこりと頭を下げると、無言でサムズアップされた。
試験会場の教室は、隣室である。ドアをノックし、室内に入ったリーリヤを、ビジュアルトレーナーが見定めてきた。
それに物怖じしないよう、リーリヤは深呼吸する。
「それじゃあ、試験を始めます。リーリヤちゃん、通常レッスンか、スペシャルレッスン。どっちに挑戦する?」
これまでリーリヤは、通常レッスンのみ受けてきた。
スペシャルレッスンに無謀な挑戦をして評価を得られないよりも、堅実な通常レッスンに取り組み確実な評価を得る方を選んだきた為である。
だが。
──今のままじゃ、駄目だ。このままじゃ、清夏ちゃんにも、他の皆にも絶対に追い付けない。
リーリヤには確信があった。
ここで
アイドルにはなれないという、未来が。
それ故に。
決断するのは、一瞬だった。
「スペシャルレッスンで、お願いします……!」
この日。
葛城リーリヤは入学してから初めて、スペシャルレッスンを選択。
ギリギリでこそあったが、クリアするのであった。
スペシャルレッスンをクリアした日から、葛城リーリヤの学園生活には小さいながらも確かな変化が訪れていた。
まず、交流関係。
それまでリーリヤは、清夏としか友人関係を築けていなかった。元々人見知りで引っ込み思案のリーリヤは受動的でしか動けず、他の生徒とはあくまでもクラスメイトの関係でしかなかったのである。挨拶こそ交わせど、それ以上にはなれていなかった。
しかしビジュアルレッスンを終え待機室に戻ったリーリヤを、藤田ことねが待っていた。清夏以外に、レッスン終わりのリーリヤを待っていた人間はことねが初めてだった。
そんなことねは、リーリヤがクリアした事を知ると自分の事のように喜んでくれた。元々リーリヤとは同じ寮生活組という事もあって一度話をしたいと思ってくれていたようで、こうして、少しずつではあるが交流が始まった。話してみると、二人の相性は良く──それ以上に、藤田ことねのコミュニケーション能力が秀でているのだが──こうして、リーリヤはことねと友人になる事が出来た。
ことねと友人になった後は、月村手毬と花海咲季の二人と交流を持つようになった。
手毬は言葉と態度が厳しくリーリヤをビクつかせる事が多々あったが、話していくうちに、リーリヤも段々と手毬の癖を理解するようになって行った。ただ素直になるのが怖いだけの人だと、リーリヤは思った。
咲季は放課後立ち寄ったゲームセンタ──―ことねがもっと仲良くなろうと遊びに行こうと言い出した──でガンシューティングゲームのスコアでリーリヤに負けた時から、余程悔しかったのか、それ以降様々な勝負事を吹っ掛けてくるようになった。
そんな三人には、プロデューサーが付いていた。話を聞いてみると、やはり、プロデューサーという存在は大きいようで彼女達の飛躍の一因に繋がっているのは間違いなかった。
交流関係が広がった事により、思わぬ副産物が出来た。これまでは一人か、清夏と自主レッスンを行うかのどちらかだった。だが交流関係が広がった事により、ことねや手毬、咲季とも自主レッスンをする機会が生まれるようになった。これにより様々なアイドルから、各々が得意とする分野を学ぶ事が出来るようになった。
これは、学ぶ機会そのものが少なかったリーリヤにとってとても有難い事だった。
「──『
ビジュアルトレーナーにレッスン後呼び止められたリーリヤは、ある誘いを受けていた。
それは──定期公演『初』に出場しないかというもの。
リーリヤに、ビジュアルトレーナーが言う。
「リーリヤちゃん、地力が付いてきたでしょう。どうかしら?」
「それは、有難いです。でも『初』には、いくつか出場資格があるんじゃ……?」
「ええ、そうね。大きな条件は、知っての通り二つ。まずは、座学で一定の成績を収める事。とはいえ、アイドル養成校だからこれは赤点を取らなければ大丈夫なんだけどね。次に、レッスンで沢山の評価を得る事。これは『質』じゃなくて、『量』。大学でいう、単位みたいなものね。リーリヤちゃんはこれまで、地道に通常レッスンをこなしてきたでしょう?」
「は、はい……」
「スペシャルレッスンに比べたら単位数は少ないけれど、塵も積もれば山となる。リーリヤちゃんは『初』に出場出来るだけの単位数を獲得した。そういう事よ」
「わたしが……」
呟くリーリヤに、ビジュアルトレーナーが「実感ないかしら?」と尋ねる。
その質問に、リーリヤは頷いた。
「何だか、不思議です。でも、嬉しい、です……」
「そうね。ここまで、長かったものね……」
季節は、秋となっていた。
リーリヤの出だしは、お世辞にも良いとは言えなかった。事実、一年生の三分の二以上の生徒は『初』への出場資格を有している。
だが、遂にリーリヤは到着したのだ。
その事実が達成感となり、リーリヤの身体中をゆっくりと巡っていく。
「出場、するわよね?」
「はい……! お願いします!」
普段よりも大きな声で、リーリヤは宣言した。
ビジュアルトレーナーは微笑を浮かべ、リーリヤの頭を撫でる。それから、真剣な表情を浮かべると忠告した。
「条件は満たしたけど、今のリーリヤちゃんじゃ、中間試験をいきなり突破は出来ないと思うわ」
『初』は中間試験と最終試験の二つに分けられている。
中間試験で上位三名にならなければ、最終試験に臨む事は出来ない。
そして、その最終試験でも優秀な成績を収める必要がある。だが見事勝ち抜いたら──二位と三位にはミニライブの権利が与えられ、一位には講堂を使ったライブの権利が与えられる。
『初』で最終試験一位を獲る。
新入生は、まずこれを目標とする。
とはいえ、これを達成するのは並大抵ではない。『初』は学年別とはなっておらず、全ての学年が入れ混じっている。つまり、経験と場数を踏んでいる上級生が圧倒的に有利なのだ。
その中で一年生が上級生を押し退け一位になるのは、実力、努力、運──あらゆる要素が必要となる。
「三年生であっても、在学中に『初』で一位になれず芽が出ず学園を卒業する事は珍しくないわ」
「はい」
「だから、リーリヤちゃん。折れちゃ駄目よ」
「はい!」
リーリヤは力強く頷いた。
葛城リーリヤは、『初』への切符を手に入れた。
初めて臨む定期試験に、リーリヤは出来る限りの準備をした。
自主レッスンの頻度は今まで以上に高くし、普段の
リーリヤは貪欲であった。
恥も外聞もなく、自分に出来る事を行った。
それは期待してくれているビジュアルトレーナーや、自分の貴重な時間を割いてくれた友人達に報いたいという思いもあった。
だが、それ以上に。
葛城リーリヤの中には、いつしか、焦燥が芽生えていた。
もっと。
もっと、早く。
そうでなければ、益々置いていかれてしまう。
──そうして臨んだ、中間試験。
「そんな……」
試験結果が書かれた用紙が張り出されが掲示板の前で、リーリヤは立ち尽くしていた。
『初』は出場人数が多いと、試験を幾つかのグループに分けており、今回の中間試験に於いてグループは三つに分けられた。
一つのグループの上限人数は、六人。リーリヤはグループAとなった。
そして、葛城リーリヤの成績は──六人中、六位。
最下位。
それが、初めての挑戦の結果であった。
「あー、ほら、リーリヤ! リーリヤが居たグループは上級生ばかりだったしさ、次はもっと上に行けるって!」
付き添いで来てくれた清夏が言葉を選びながら、懸命に励ましてくれる。
清夏の言う通りであった。
グループA、その内訳は三年生が三人、二年生が一人、そしてリーリヤを含めた一年生が二人であった。
三年生の三人が合格ラインを独占している状態であり、その次に二年生、その次がもう一人の一年生、そして最後にリーリヤとなっていた。
「そう、だよね……。ありがとう、清夏ちゃん。もう、大丈夫」
リーリヤは呼吸を落ち着かせると、清夏に笑みを浮かべた。
それが作り笑いであるのは、誰の目から見ても明らかであった。それが親友なら、尚の事。
「……ッ! 次、次があるよリーリヤ!」
唇を噛み締めながら、清夏がそう言う。
「次はもっと頑張るね、清夏ちゃん」
リーリヤとて、最初から中間試験を突破出来るとは思っていなかった。
ビジュアルトレーナーもそう言っていたし、それが傲慢であると、リーリヤは分かっている。
ただ……──
最下位という結果にショックを受けただけで、自分でも驚く程、その衝撃が予想よりも大きかったに過ぎないのだ。
それから、葛城リーリヤは中間試験に挑み続けた。
二回目の挑戦。
最下位にこそならなかったものの、五位。その五位も、ほんの数点で最下位にならなかっただけであった──掲示板には試験結果として出場者の点数も貼り出される。ボーカル、ダンス、ビジュアルの内訳となっている──。
三回目の挑戦。
二回目の、最下位となってしまう。運悪く三年生しか居ないグループとなってしまったのが大きな敗因であった。
四回目の挑戦。
四位となる。初めて最上級生が居らず、二年生が一人、残りは一年生というグループだった。
だが、三位とは大幅に点数が付けられていた。
五回目の挑戦。
五位。
六回目の挑戦。
最下位。
葛城リーリヤは、何度も何度も、挑戦し続けた。
秋から冬に季節が変わった。
学園の話題が迫りつつある冬の『H.I.F』で賑わい始める中、葛城リーリヤはそれに混ざらないでいた。
「リーリヤちゃん、久し振りにカフェにでも行かない?」
放課後。
荷物を纏め、教室を出ようとするリーリヤをことねが呼び止める。
「……ごめんなさい、ことねちゃん。わたし、自主レッスンの予定があるので、また今度でも良いですか?」
「自主レッスンって、またぁ!? ここんところ毎日じゃん!? リーリヤちゃん、やり過ぎだって!」
ことねが驚愕の声を上げる。
周りのクラスメイトが何事かと視線を寄越す中、リーリヤはそれに気が付かない。
「休みは、入れてます。だから、大丈夫、です」
「いやいやいや、清夏から全然休めてないって聞いてるからね!?」
「清夏ちゃんから……?」
リーリヤが聞き返すと、ことねがしまったと言ったように表情を固まらせた。
リーリヤが質問をしようとしたその時、足音が幾つか近付く。
「葛城リーリヤ。ことねの言う通りよ、完全休養日を設けなさい。わたしだって、そうしているわ」
「花海さん……」
「私は別に反対しないけど──いたいっ!? 咲季、何で頭を叩くの!?」
「手毬が余計な事を言うからでしょうが!」
ワーワーギャーギャーと、喧嘩を始める咲季と手毬。
ことねが「お前らなぁ、静かにしてろ!」と仲裁する中で、清夏が申し訳なさそうにリーリヤに言った。
「ごめんね、あたしが相談したんだ。リーリヤ、最近、冗談抜きで身体を酷使し過ぎだよ」
「そ、そんな事──」
リーリヤの言葉を、清夏が強く遮る。
「あるよ。前は休日に、好きなアニメの映画を観に行ったり、アニメショップによく行ってたじゃん。でも今は、全然してない」
「……」
「お菓子作りとかも、全然しなくなってさ。教室が使えない日は、公園で自主レッスンしてるの、あたし知ってるんだからね」
リーリヤは押し黙った。
清夏の言う通りであった。ここ、一、二週間ほどリーリヤは自主レッスンにのみ焦点を当てた生活を送っている。
そうでもしなければ、中間試験を突破する事なんて出来やしない。
「あ〜。リーリヤちゃん、あたしもさ、前まではバイト漬けの日々を送っていたんだけどさ、やっぱり、自分でも気付かないうちに疲れは溜まっててさ……」
「……ことねちゃん」
「気持ちは分かるよ、マジで。でも、あたし達はまだ一年生だし、そこまで焦らなくても……」
それは、正論だった。
だがその正論を、リーリヤは受け入れられない。
受け入れられる筈もない。
「わたしは、皆とは違って、才能がないから……。もっと、頑張らないといけないんです」
頭を下げ、リーリヤは教室を飛び出す。「リーリヤ!? 待って!?」と、親友の言葉が背中にぶつかる。
だが、リーリヤは振り返らなかった。
今の一年一組は、自分の教室なのに何故か息が詰まりそうだった。
足りない。
全然、足りない。
努力も、時間も、才能も、何もかも。
葛城リーリヤは走り続ける。
羽ばたく為に、助走する。
七回目の挑戦。
この日の中間試験、出場者は全員が一年生だった。それも、出場者の実力はリーリヤと殆ど同じであった。
偶然、ではない。着実に迫りつつある冬の『H.I.F』を前に実力者達は調整に入っていたのだ。また、リーリヤはこの時知らなかったが、複数のアイドル養成校が出資して不定期的に開催されるオーディションの告知が近々あるという噂が、学園の実力者達の間には流れていた。
千載一遇の、またとない
葛城リーリヤは全身全霊を賭けて中間試験に臨んだ。
その結果は、四位。
三位との点数差は、わずか五点であった。
「ありがとう、ございました!」
ステージの上で、アイドルが嬉し涙を流しながら頭を下げる。それに応えるは、観客達の歓声と拍手。
定期公演、『初』。その最終試験で一位を獲ったアイドルに報酬として贈られる権利──学園が所有している講堂でのライブ。
リーリヤはそれを見ていた。
──凄かったなぁ。
自身も歓声達の中に混ざり拍手をしながら、リーリヤは素直に思う。
ライブしていたアイドルは、中間試験時点ではリーリヤとそう大差ない実力の持ち主だった筈だ。だが彼女は最終試験で一位を勝ち取ってみせ、素晴らしいライブを披露した。
──今のわたしじゃ、あんな風には出来ない……。
ライブが終わった。
アナウンスに従い観客達が退場を始める中、リーリヤは観客席から動けないでいた。
いつしか講堂にはリーリヤのみとなっていた。
スタッフ達が会場の清掃や機器のチェックを始める。しかし彼等は一瞥こそすれ、リーリヤを追い出す事はしなかった。
普段のリーリヤであれば、自分が彼等の邪魔をしていると気付く事が出来ただろう。だが、今のリーリヤにそれは出来なかった。
──わたしはいつ、あの場所に立てるんだろう……。
誰も居なくなった講堂の中で、リーリヤはそれだけを考えていた。
少なくとも、清夏やことね達は既に何度か立っている。
だが、自分が向こう側に立っている姿をリーリヤは想像出来なかった。
もしかしたら、自分はずっとこっち側で輝く星々を見上げるしか出来ないのではないか。
そんな事を、思ってしまう。
「どうしたら、良いんだろう……?」
自分の進んでいく道が、見えない。
自分の進んでいく方向が、正しいのか分からない。
否、本当に進んでいるのか。
もしかしたら進んできたと思っていたのは自分の勘違いでしかなかったのではないか。
自分に、才能が無い事なんて分かっていた。
その前提の上で、葛城リーリヤはアイドルを目指した。
憧憬を抱いて、羽ばたく為に、自分に出来る事は何でもしてきたつもりだ。
だが、それでも足りないと言うのだろうか。
もしそうだとするのなら──これから自分は、どうすれば良いのだろうか。
この日。
この時。
この瞬間。
初めて、葛城リーリヤは本当の意味で挫折を味わった。
それはとても苦く、飲み込む事すらままならない『泥』。
酷使し続けた身体が、遅延性の猛毒のようにジワジワとリーリヤの精神を苛む。
それまで抑えていた激情が、決壊したダムのように身体中を一気に駆け巡る。
そして、葛城リーリヤは遂にその言葉を口にした。
「【Hjälp mig】」
日本語ではなく、故郷の言葉で呟いたのはただの意地だった。
誰にも聞かれたくなかった。
自分の惨めな姿を、誰にも見られたくなかった。
滲みそうになる視界。それを、残されていた最後の意志で防ぐ。
その時だった。
「失礼」
声が、掛けられた。
落ち着いた、低い声だった。
リーリヤはビクッと慌てて、顔を上げる。
「はじめまして」
傍に、男性が居た。
学園関係者だろうか、とリーリヤはその人物を観察する。
漆黒の髪に、同色の瞳はまるで夜のよう。無表情を浮かべる男性は続けて言った。
「葛城リーリヤさん、ですね」
「な、なんで、わたしの事を……?」
言葉こそ疑問形であったが、男性の口調には確信があった。
リーリヤの疑問に、男性は答える。
「あなたの事を探していました。スタッフの方から、あなたらしき生徒が此処に残っているのだと伺いました」
「え……?」
戸惑う、リーリヤ。
突然の出来事に混乱するリーリヤに、男性は懐から一枚の小さな紙を取り出すと、それを渡した。
それは、名刺だった。目を落とすリーリヤに、男性は自己紹介する。
「初星学園プロデューサー科の者です」
リーリヤがプロデューサー科の生徒と話すのは、これで二人目だった。
プロデューサーと名乗った男性が、話を切り出す。
「単刀直入に言いましょう。葛城リーリヤさん。あなたを、プロデュースさせて欲しい」
「……! プロデュース、ですか?」
それはつまり、『プロデューサー制度』を使用するという事だろうか。
目を見張るリーリヤに、プロデューサーは続けて言った。
「あなたは、こんな所で躓いて良いアイドルじゃ決してない。俺が、あなたをトップアイドルに導きます」
「わたしが、トップアイドルに……?」
「あなたには、才能があります」
その言葉を聞いて、リーリヤは冷静さを取り戻した。
男性から視線を外し、俯いたリーリヤは首を力弱く横に振った。
「わたしに才能なんて……ありません」
それを、リーリヤは先程再認識したのだ。
リーリヤを探していたと言うのなら、当然、葛城リーリヤの事は調べ上げている筈だ。
それなら、このプロデューサーも同じ結論に至っている筈だ。
だが、降ってきた言葉は肯定ではなく、否定だった。
「いいえ。あなたには、才能があります」
「……ッ! ありませんッ!」
衝動に駆られるままに、リーリヤは顔を上げて訴えた。
そこには、『夜』があった。静かな、『夜』が。
リーリヤよりもだいぶ背の高い男性は、目線を合わせるとリーリヤに問い掛けた。
「あなたが言う、アイドルの才能とは何ですか?」
「えっと……可愛くて、歌やダンスが上手で……──」
「違います」
思い付く限りの事を言う、リーリヤ。
その言葉を、男性は途中で遮った。
「今言ったのは、ただの
「そ、それじゃあ……! それじゃあ、何ですか……!?」
リーリヤは知りたかった。
親友や友人達のあれが才能でないと言うのなら、一体、何が才能なのだろうか。
しかし、リーリヤの慟哭に、プロデューサーは答えなかった。
「それを教えるのは、最後にしましょう」
「……!? な、何で……!?」
「今のあなたに言っても、あなたは自分を信じられないでしょうから」
胸の内をあっさりと暴かれ、リーリヤは絶句した。
「俺は、あなたがトップアイドルになれると信じています。葛城リーリヤさん。もしも、自分を信じられないと言うのなら。あなたの事を信じる俺を、どうか信じて欲しい」
「……どうして、そこまでわたしの事を……?」
「簡単ですよ。初めて見たあの日から、俺は、あなたのファンになったんです。ファンなら、応援したいと思うのは当然でしょう」
リーリヤとプロデューサーに面識はない。これが初対面だ。
だが、プロデューサーはリーリヤの事を知っていると言う。
ファンだとも。
そして、男性はリーリヤに右手を差し出した。
それを見詰めながら、リーリヤは尋ねた。
「……わたしは、なれるでしょうか? アイドルに」
「なれます。そして、どうか勘違いしないで下さい。なるのはただのアイドルじゃない。トップアイドルです」
「……トップアイドル。わたしは、清夏ちゃんやことねちゃん……あの人達の所に行けるでしょうか?」
「行けますよ。あなたはまだ、飛び方を知らない雛鳥なだけです。俺が、その方法を教えます。そして、彼女達よりも高く飛びましょう」
その言葉が、リーリヤの背中を押した。
差し出されていたプロデューサーの手を、リーリヤは自身の左手でおもむろに摑む。
「お願い、します……! プロデューサーさん──センパイ!」
原作の葛城リーリヤは、一見すると儚くて打たれ弱い美少女なのですが、その実、とんでもなく覚悟がガンギマっています。
しかし、もし原作よりもプロデューサー(主人公)が葛城リーリヤを見付けるのが遅かったら、恐らくはこうなっていたんじゃないか……そう思いながらこの二次小説を作らせて頂きました。