今度はどこまで書けるかな?
練っていた設定を出し切れるかな?
そんな思いの一話目です
人にとっては退屈な、またある人にとってはためになるだろう校長の話を越えて終業式が終わり、教室で通知表が担任から配られる。
「次、
自分の苗字が呼ばれ、手渡されたそれを受け取る。
「夏休み前から環境が変わったことを考えても悪くない成績だ」
褒められたが複雑な気分になった。
「後は授業中に寝ない様に」
______それは申し訳ない。そう思いつつも
「はい」
そう言って席に戻る。
苦笑しながら担任が次のクラスメイトを呼んだ。
自分の成績を確認しながら席に戻る。
警戒していた歴史科目は問題無かった。
やっぱり物理基礎と技術がネックだ。
こんな世界なのだから自衛のためにも学んでおいて損はないのに。
あれだけ必死に勉強したのに1学期の成績からほぼ伸びていない。
‥‥‥‥そんなことを考えていると担任の声が耳に入る。
「取り敢えずテスト後の解答欄の見直しをしっかりとな。先生達も気をつけるから」
苦笑の理由はコレか。
「ああそういえば」
クラスメイトの声がする。
「確かテストの採点の段階で発覚したんだっけ? 名前の書き忘れ」
「そうそう。でもそれ以外のテストも何故か解答箇所がズレたりしたとか」
_____マジでか。
「先生達もきちんと確かめてんのにどうなってんだ?」
______確かに。
「ズレの方は自分でどうにかするしかねーわな。
名前は‥‥‥やっぱり自分で気をつけるしかないわー」
「要するにケアレスミスには注意しろってこった」
校長の話よりためになるのでは?
なんてことを思いつつ周りの連中の様に自習を再開した。
学校の帰りに図書館に寄りそこで課題に取り組む______残念ながら前世の記憶というアドバンテージは自分には殆ど無い。
日本語で会話できる以外にはせいぜい箸の使い方を知ってるとか、食事前後に『いただきます』『ごちそうさまでした』が言える程度だ。
転生者だからといって前世の記憶が引き継がれるかは別、転生者を転生者たらしめるのは転生したという自覚の有無らしい。
‥‥‥‥らしいが付くのは仲間の転生者が出会った同類の中には記憶があっても転生したという自覚がないパターン*1があったからだそうだ。
逆に前世の記憶があった場合でも学校で改めて学んで前世との差異を思い知る事になるらしいが。
しかしいまいち課題に集中できない‥‥‥‥時計を見ると既に一時間経ってしまっている。
なんというか、まるで此処にいないでとっとと帰れとでも言われてるみたいだ。
嫌な予感がする、もう手遅れかもしれないが荷物をまとめて立ちあがろうとした瞬間______
「ねえねえお兄さん! ちょっといい?」
グシャ!
驚いた拍子に持っていた課題を握り締めてしまった。
平静を取り繕いながら振り向くと女の子が
なんだ、既に手遅れだったか。‥‥‥‥まあ仕方ないか
「このごほん爆弾なの! 読んで!」
まさかの仕掛け人が配置されているパターン、ホントこういう人員はどうやって雇っているんだろうか?
「オイ‥‥‥‥まあいいけどさ!」
声が少し大きくなる、ヤケになるのは良くない。
解体の為のヒントを見落としかねないし、
「図書館では静かにね」
何よりこうやって職員の人に叱られてしま‥‥‥‥う?
「「ごめんなさい」」
ちゃんと謝れて偉い 違う、何かがおかしい。
「読み聞かせ室がありますからそこに行きましょう」
「はーい!」
「ありがとうございます」
いや待て、わかった
「荷物、お持ちしますね?」
ニコリと微笑みを浮かべて有無を言わせずに鞄を持っていくニセ職員 クソ、
「お兄さんも行こ?」
そのままぐいぐいと女の子は俺の手を引っ張っていく、さらばスーパーの特売デー、また別の機会に‥‥‥‥
そうこうしているうちに時たま読み聞かせに使用されている部屋に着いてしまった。鞄を奪い返して逃げるのなら今が最後の機会だろうが‥‥‥‥。
原作では発生しなかったが犯人が爆弾を起爆させない保証は一切ない。
もしかしたら俺が逃げた後にそれは起こるかもしれない、自分の選択ミスで人が死ぬのは誰であろうと目覚めが悪い、二度とごめんだ。
そう思いながら女の子の後に部屋に入る、すれ違い様にニセ職員のエプロンを______名札を見た。
既に移動中に服装は確かめた、ひじたで読みは合っている筈だ。
コイツの特徴が少しは犯人への手掛かりになるといいんだが‥‥‥‥。
______ガチャン!
「マジか」
鍵をかけられ、いやおい待て荷物も部屋に入れてけ!
「早く読んで!」
「はいはい」
もういない妹のこともこんな感じだったか? そんなことを考えつつ手渡された本を受け取る‥‥‥タイトルはアンデルセン童話全集______分厚さに反さず重い、こんなのよく持ってきたな?
「どんな話が聞きたい?」
この子の要望を聞きながらでないとおそらく
「おひもが挟んであるトコのお話!」
おひも‥‥‥‥
「鉛の兵隊」
___
______
_________
世界が切り替わる、周囲には俺と本以外の一切が存在しない。一体全体どこ行っちゃったんでしょう?
空中に固定されたかのように浮いている
本来ならバーコードが貼ってある部分にメッセージを見つけたので虫めがねで拡大、コレを使うだけではまだカウントダウンは始まらない。
‥‥‥‥ 解体ヒントだ解体ヒント、解体ヒントゲットヒャッホウ! ! 次に本全体を調べていく。本に手をかざして動かすと本も合わせて回転する、球体部分だけの地球儀を触らずに動かしているみたいだ。
不思議なことに本に対して働いている重力は固定されているらしい。横にしても挟まれていた紙の栞が下に曲がることはなかった。
「やっぱ本が開かないな」
天地に付いたネジのせいだろう、本は開かない。解体するならここからだろう、手元にドライバーが浮かび上がるように表れた。
「‥‥‥‥よし」
ネジの一つにドライバーをあてがい、回す
ドクン……ドクン……ドクン……
ネジを緩めるとともにカウントダウンが始まった。
>ある時、一本の古い錫の匙から25人の______
どこからか自分の声が聞こえる___
ここはおそらく精神世界なのだろう。
現実世界からでは爆弾は無力化出来ない、邪魔が入るからだ。
犯人としても他人に邪魔されて失敗などというのは不本意なのだろう。
ここには解体者以外には犯人以外干渉*4してこれない。
天地部分のネジを外し終えた、表紙と裏表紙が外れ、消えていく。
ようやく内部が見える‥‥‥‥。
>「おい、ごらんよ。すずの兵隊がいるよ。舟にのせてやろう」
「いや待て、ちょっっっっと待て」
ページはくり抜かれていた。思ったよりも雑! そこも置いておくべきだ。だが問題は______
「なんだこれ」
______スピンの先に取り付けられた動く鋏だった。
‥‥‥‥?
おそらく背についた金具を外すとスピンが少しずつ落ちていくのだろう。鋏の向けられた先は紐があり、紐の先にはネジで動きを止められたハンマーが、ハンマーが振りかぶる先には起爆装置が、ハンマーの真下には天秤の受け皿が待ち構えている。
そして左上には青赤2本のコードとタイマー、火薬とワンセットになっているであろう起爆装置で構成された信管______この爆弾の心臓がガラスの壁に守られていた。
左上の信管はよく見ると赤いコード側だけは壁で守られていないがペンチは入りそうもない、そもそもこのトラップちゃんと起動するのか? *5
鋏が紐を切った場合、ハンマーは真下の皿に落ち、もう片方のさらに先に落ちていた鋏を跳ね上げさせ軌道上の赤いコードを切る______この仕組みだと途中から一気に鋏が落ちてきてもおかしくないな‥‥‥‥。
ネジを外した場合、ハンマーが動いて起爆装置の端子部分を接触させてやっぱり起爆する。
もし最初に背の金具を外していたら気づかないうちに詰んでいただろう。だが解体するべきモノはここにない、メッセージの通りなら‥‥‥‥。
「裏か?」
裏面を見てみると透明なカバーに覆われた金属製のふりこが3つ、針のような端子が4本*6、カバー内でそれらを囲むように配置された8個のネジを見つけた。
右下の方にメッセージがあったので虫めがねを使用
‥‥‥‥いずれにせよ金具は外す必要がある
______でないとカバーが外せない、念のためタイマーを確認する。
‥‥‥‥‥時間も余裕はある方だが振り子の数に対してネジが多い! *7
背表紙の金具を取り外す、少しずつだがスピンが下に落ち始めた。
ここからはスピード勝負*8、両端のネジから半回転ずつ回して振り子の動きを最小限に抑えながら緩めていく‥‥‥‥。
____
______
_________
>「さよなら、さよなら、兵隊さん、これでおまえもおしまいだ」
なんとか外せた‥‥‥‥信管以外の装置や基盤がバラバラになって消えた。
>「あつい! きっと、あの子を思う心があついんだ。そうだとも‥‥‥‥」
読み聞かせもいよいよクライマックスだが‥‥‥‥。
「やらかした! どっち切るんだっけ? 」
どっちが安全か忘れちゃった☆
いや☆とかつけてふざけてる場合じゃないでしょ俺何忘れてんだよ俺ふざけるなよ俺もう時間2分半もないぞおいどっちだよコレどっちだったけコレ一回反転したから下手するとこんがらがるぞコレいやまず! 落ち着け!
深呼吸を1回、2回と重ねて頭を冷やす、そうだ、コードを切るのは10秒も要らないんだ。あと1分で決めれば良い‥‥‥‥。
信管を調べる______
ただひとつ、俺の
クールタイムと使用時間は問題なし、あとは
コードの片方にペンチをあてがい、『特典』を使用する______
___
______
_________
______灰の中にはただ、
「‥‥‥‥おしまい」
パタン、と本を閉じると同時に脳裏に青いコードを切った記憶が流れ込んでくる。どうにか乗り切ることは出来たようだ。
「どうだった?」
それでは
「なんでなまりの兵隊さんなのにすず?のさじ? から生まれたの?」
錫や匙がなんなのかよくわかっていないらしい
「錫ってのは鉛と同じように金属の種類のことで匙はスプーンのこと」
「なんで鉛の兵隊なのに錫の匙から生まれたことになったかというとね」
そう言いつつ、ページを捲っていく、スピンを挟んでおけば良かった、しかし他のページも酷いものだ。
落書きもあれば破けて繋ぎ直したページもあるどころかさっき読んだ話のタイトルのように他の出版社のタイトルが貼り付けてあったりもする。
‥‥‥‥本当にコレいつもの犯人が作った爆弾か?
「ほら、タイトルの部分に」
そう言いながら女の子に目当てのページを見せた。
「ひどい‥‥‥‥」
口に手を当てて絶句する女の子、無理もないと思う。
何故ってこの本外見だけは滅茶苦茶良い、中身がこうなっているなんて思うわけないだろう。
「ねえお兄さん」
「なんだい?」
「このお話のお名前、ホントはなんていうの?」
「多分、『しっかりものの錫の兵隊』じゃないかな? ちょっとまってて‥‥‥‥ほら、上から貼って隠してある部分を光に透かしてみると」
女の子の方にも見えやすいように鞄から取り出したペンライトで裏側から光を当てる。
「ほんとだ! じゃあ『鉛の兵隊』はどんなお話なの?」
解説に難しい質問がきてしまった、翻訳のこととかちゃんと伝えられるか?
___
______
_________
どうにか質問を乗り切れたがその後部屋から閉じ込められた状況は変わらないまま、本物の職員の人にどうにか開けて貰ったが事情を説明するのに手間取りすっかり夜、図書館も閉館時間となってしまった。
災難だったと二人揃って缶のお汁粉を職員さんに奢って貰ったのが逆に申し訳なかった。
女の子はこの本を置いていつのまにかどこかへ消えてしまったので本は俺が持っている。本には結局ISBN*10もバーコードも記載されていなかった結局女の子どこ行っちゃったのかな〜
お昼も食べてないと嘆きたくなる。
結局コンビニで肉まんを二つ買って歩きながら食べた。
まだ暖かいはずなのに手の震えがひどい、ほんの少し歩く速度を速める、帰ったら今日は寝てしまおう
…………そういえば今日はクリスマスか。兄貴にケーキでも買えばよかったか? 別に今日も来ないからまあいっか!
「ただいま」
短い廊下に音は響く言葉を返す者はいない。
この静けさには未だに慣れないままだ。
そう自嘲して、寝るための諸々の支度を済ませるがふと思い出し、慌てて玄関へと向かう。
鍵は______ちゃんと施錠されていた。胸を撫で下ろし、歯磨きのために洗面所へと向かう。
少年が通った廊下には歯を磨く音が響くだけであった。
設定とか人物紹介
転生者
文字どおり生まれ変わり
複数回生まれ変わる事もあれば、一度だけの場合もあるとされているが真偽は定かではない。
最初に転生した時点で実は人間とは別の存在*11 と化している説がある。
転生者の中には自身の消滅を目的とする者も存在する。
この物語の多重転生者は何度でも生まれ変わる、未だ転生の終わりを実行する手段も、確認する術もない。
前世の記憶を持っている場合もあれば持たない場合もある。
特典
転生者達の持つどの世界でも使える特別な力のこと
この力が他者と完全に同一である事は無く、必ずなにかが違う。
とある事情で一人で暮らしている転生者
今いる家族は歳の離れた兄のみである
高校生なのは確定だが背が低いし身体も軽い
特典:『読む』
なにかを「読む」ことに対して補正をかける概念系の特典
読心術や心理学を学ぶ
→心を読む『読心』
占いや天文学について学ぶ
→未来を知る『星読み』
焚書という概念を知る+α
→蓄積したデータを熱エネルギーに変換する『焚書』など特典から派生する能力はどれも強力であると派生条件を伝えた転生者は語る
………………何故派生条件が判明していたのだろうか?
現在の自動発動能力
読書速度上昇、読み聞かせ補正、
記憶精度強化 (黙読、音読時のみ発動)
読心耐性(心を読まれることに対する防御)
言語習得強化 封印*12
現在の手動発動能力
読心 封印*13
情報読み取り(電子機器)
星読み
???
特典ではあるが少年が元から持っていたものではなく
別の誰かの特典の一欠片
発動中は時々フォントが別のものに変わっている。
冷静さを保つために使用した。
あの状態を冷静と呼べるかというと‥‥‥‥。
補足
今のところ特典がどういう成長を遂げたかは実際に使って確かめるか、鑑定系の特典を持つ転生者に頼るしかないので特典を確認するためのシステムを構築が一部の転生者の間で計画されている
主人公の転生した世界
エニックスより発売されたビデオゲーム「鈴木爆発」
ゲーム本編の時間軸からは10年程経過している。
日常を取り巻く様々な存在が爆弾と化し、それを解体していくゲーム
識道は原作主人公達と会ったことはある。
様々な理由で原作の内容を知る人には転生したくない世界である
爆弾のトラップにちょっと待てやそんなうまく行くわけないだろと思う方へ
複雑になりそうなので敢えて描写しませんでしたが解体者は解体すること以外にトラップには干渉出来ません。手で鋏を抑えようとしてもすり抜けて落ちるだけです・・・・・・・・・という独自設定を追加しております。
内部に入り込んで解体する場合は該当箇所まで透過できるイメージです。
ところで
犯人からのメッセージに違和感はありませんでしたか?
本格的なクロスオーバー要素はちょっとお預け
先に転生者関連の情報を中心に出します
劇中の童話の内容は青空文庫様を参考にさせていただきました