第二話番外編
area:自室
ジリリルリリリルン!
目覚まし時計の音で覚醒、伸びをして音を停めた。
時刻は午前六時半、適当に朝食を摂って身支度を済ませた。
「寝癖やば〜」
撤回しよう、身支度まだ済んでない。なぜか髪の毛だけ重力が逆さになったみたいに立ってる。
やきんだっる〜い、やすんじゃえ〜♡
職務に支障が出そうなのでバイト先に休みの連絡を入れたが二つ返事でOKが出た後突然切れて繋がらない。
情報を探る為にTVをつけた、今七時半だしニュースやってるでしょ。
「本日未明にメカクレ撲滅の会を名乗る団体がいわゆるメカクレと呼ばれる______」
寝癖じゃなかったわ、というかなんだそいつら
「______反重力装置を使用して______」
本当に重力ひっくり返ってて草、でもなんかふおん♡
「______該当した
ちゃんと聞いとこうとして良かったわ、ナイスだ我が特典
それにしても店長もメカクレだったしちょっと心配だ。
事態の沈静を待ちつつ室内で出来る事を済ませながら事態を掲示板に書き込んでみた。
‥‥‥‥同じ世界にいた柱の男ヘアーの人やモヒカン頭の人が巻き込まれたらしい、合掌*1
今のところ被害も加害も
「速報です。指名手配となって以降2年間足取りが掴めなかったイロートコが対メカクレ反重力装置の影響で髪で顔を隠していたことが判明し、潜伏中の職場であったドキモピザ▲▲支店で戦闘が勃発しました」
っておいそこアタシのバ先じゃねーか! てか写真の手配犯店長! 店長だよこの人!
じじょーちょーしゅあるかも♡ じゅんびしなくちゃ♡
そんなに早く来てたまるか! てかそんなコトにまで♡つけるな!
‥‥‥‥次のバイト探した方がいいかも
ピンポーン
「警察だ開けろ!」
「はーい」
相手が強盗なら普通はピンポン抜きに銃撃だ、というか声的に知り合いだわ。
「悪いが事情聴取だ嬢ちゃん」
「戸締まりだけさせて〜」
知り合いのロウ警部だった。
結果として店長はブタ箱(当然クビ)行きでアタシもクビだそうだ。
店がぶっ壊れたからどうしようもないらしい
警察がきて今から事情聴取と相なった、小娘一人にパワードスーツ二名とか物々しいねぇ!
ま、この街じゃしょうがないって思うけどね。
霧に包まれた外を通り、パトカーに乗るとそこには知り合いのレオがいた。夜勤の応援で▲▲に来てたら巻き込まれた?
‥‥‥‥えーと、どんまい?
ちなみになんで相乗りなのか聞くとお前ら二人なら何もしないだろ、とのこと。
いやダメでしょ! どんなに経緯がアホらしくってやる気が出ないからってそれはさ、アタシら何もしなくても狙われる時はとことん狙わr
「それ以上はやめてください!」
‥‥‥‥うん、そうだね。口は禍の門って言うよね
この治安がクソな街の名はへルサレムズ・ロッド 通称H・L______かつてはニューヨークと呼ばれていた街で3年程前に
ちなみに対メカクレ反重力装置は赤毛でサイヤ人みたいな髪型をしたメガネの大男が素手で壊したらしいが大方秘密結社の強面紳士だろう。
area:T.A.R.O.T.S.支部の何処かの食堂
「______それで次の日に事情聴取から帰ったら自室が建物ごと潰れてたと」
「そうなんです〜、大家さんも死んじゃったんで昨日は荷物を取り出してレオくんちに転がり込んでます!」
「レオくんが
何を言っているのやら、私が過去に何かしたとでも? *2
あれから三日経った。あれからというのはアタシがバイトをクビになってから三日だ。重要な荷物はタロットカードにしまい込んであるからよかったけどゲームソフトや積読が全滅した、一部は火事場泥棒が盗んでいったから転売されてるかもしれないがアタシの使用済みパンツ*3が売られているのよりはずっとマシだと信じたい。
こっちでしゃっきんしてでもかいとれ♡
「‥‥‥‥そろそろお昼休みも終わります、貴女も早めに持ち場に戻りなさい。ああそれと、もしもの時は寮に駆け込んでもいいのですからね」
「‥‥‥‥ありがとうございます」
愚痴を吐くのに付き合いつつも住居の提案をしてくれた
うん、今日もご飯がおいし〜!
area:実館
「今の虚実両館内の時流速度補正は? 基準は屋外で!」
「現在5倍に到達! 予定速度は!?」
「7倍! 何分かかる!?」
「5分必要です!」
______時間を加減速させることが出来るのは電子空間である虚館だけではなく、現実空間である実館もまた可能だ。そうでないと迅速な対応が出来なくなる、最も急な加減速にはリスクが伴うので虚実両館問わず緩やかに行われるので意味があるかは分からない。
虚館に時間停止機能の実装が待ちどおしいとエンジニアの一人は語る。
「客人の個体情報は!?」
「過去に該当ありません!
「会話から確認出来た固有名詞は!?」
「
「アークナイツかよぉ!?」
パイセンの一人が叫んだ、うるさかったらしく別のパイセンがチョコ菓子を口に突っ込んで黙らせていた
アークナイツに関するデータベースが個人の端末に共有された、タワーディフェンスゲームのようだ。それにしても今回は出身世界の絞り込みが早い、所属転生者にいたのだろうか?
「探査装置の範囲を縮小します〜!」
「了解!」
探査装置______目的の世界の座標を示してくれる不思議な装置だ。実はこれを併用しての転移はとても危険らしいがどういうコトなのかいまいちよくわからない。
「虚館内の減速を開始してちょうだい! 基準を屋外、倍率を1に!」
続いて一旦減速、目的の世界に時間の流れる速さを合わせる為に一度フラットに戻しておくのだ。
「既に彼女が死んだ世界を含めて20ヶ所まで絞り込めました〜!」
「生きてる世界は!」
「3ヶ所です〜!」
「す、少なすぎるよぉ‥‥‥‥」
原作知ってたらしいパイセンが泣き出した、どしたのかな?
「‥‥‥‥さらに絞り込みが出来そうか?」
「とりま黒うさチャンの肉体がどうしてるかでやってみます〜!」
夢遊病患者とか寝てる間限定の多重人格者とかじゃなければ寝てるよね〜!
「あれ? 全員動いてる。なんで? 」
「もっかい説明見てみろ」
‥‥‥‥移動都市って緊急時に動くだけじゃないの!?
「お、1ヶ所外せたぞ」
早い! 早いってば!?
この後どちらかを絞り込むのに滅茶苦茶困った
_____
________
__________
「はぁ!? 扉の破壊!? 嘘でしょ!?」
連絡を担当していたパイセンが叫んだとき、時間が止まった気がした。
会話から察するに破壊不能属性はドコへ行ったのやらどうやら黒うさチャンが帰るための扉が破壊されちゃったらしい、それも本人の手で。
しかも現在は敵性存在が出現する時期じゃなかったっけ、もしかして結構不味い感じ?
「敵性存在データあったー 原作知ってるけどちょーっとやばいかもー」
コイツが出てくるかもー、と端末にデータがまた共有された。ナニコレ? きゅうきょくキマイラ?
‥‥‥‥やば
「セルヴィ様呼ぶから両館共等倍に戻して!」
指示役のパイセンナイス!
「接続準備急げ!」
「AEDの場所は?」
「ここで〜す!」
‥‥‥‥原因調査のためログイン? アタシも!?
サボりた〜い♡
area:虚館
セルヴィ様が露払いを済ませたので現場に到着した。
此処を原因を突き止めた上で修復しなくてはならないらしいが‥‥‥‥改めて直接見たけどこれはひどい、壁とか天井にまで破壊痕が達している。
同じ状況の空間を構築する為に構成データのコピーをとっていく。
廊下の方は既にとってあるからやらなくていいらしい。
‥‥‥‥何やら不思議な色の粉末がこびりついているけどこれは一体?
「先輩方、何方かハケとジップロック持ってませんか?」
「おれ鑑定できるよー、集めたらちょーだい」
指示通りに集めて渡した
「これは『うらカンポー』だねー」
「破壊の余波で吹き飛んじゃったのかしらね?」
ドロップする敵を絞り込んでみるよー、そう言って先輩は端末をいじり始めた。
「ドロップの仕様どんな感じでしたっけ?」
「‥‥‥‥周囲の敵が全滅したらすぐにドロップする仕様だった筈ダ。おそらく連続攻撃の途中で最後の一体が倒れたのだろウ」
「そうなると扉が壊れたのはどうしてですかな?」
「ねえちょっとコレ見て!」
どこかへ行っていたパイセンが駆け寄ってきました、なぜか給湯室の花瓶を持って。
「ちょっとアンタなんで花瓶なんて持ってきたの!?」
「いいからコレの設定を見てってば!」
「はいはい‥‥‥‥なによ、通常の設定じゃない。なにが言いたいのよ?」
「コレワタシが昔初めてデザインしたんだけどさ、その時の記念にこっそり破壊不能設定つけておいたんだけどなんか解除されちゃってるんだよね」
「‥‥‥‥他のものも見ておいた方がいいかもナ」
「お手柄かもねー」
「え? ほんと! やった!」
「で? 何も言わずに居なくなったことに対して何かないの?」
「‥‥‥‥ごめんなさい」
「今は危険なんだから最低でも二人で行動なさい、あと誰かに一言伝えて!」
「ハイ!」
それから十分程してセルヴィ様が合流した。アタシ達は後二時間程でカタをつける必要があるとのことだった。
まあ敵性存在がいないと検証不可能だと分かったらすぐに修復して客人用の部屋への接続を安定させる作業に移ったけどね。
え? アタシがお客様のお迎え!? 確かに案内人としての活動も出来ますけど‥‥‥‥。セルヴィ様じゃダメなんですか。
はあ、「私だと今のレジロが痩せ我慢する?」そんなにヤバイんですかあの子
せ、せめてもう一人安全のために‥‥‥‥あ、確かに先輩方じゃ無理ですね、まともに会話ができませんね〜って待てヘッドロックはやめろー! 脛蹴らないでー! 強面先輩助けてー!
_____
________
__________
______コレはいつ出現したのですか?
その言葉を聞いてアタシは背中に冷水をぶっかけられた気分になった。
今までの検証の結果や報告書はどうだったか? 敵が消滅するとその位置に出現していたはずだ。
少なくとも
ドロップしたものを回収できるような環境じゃなかったとしても直した以上、すぐに出現するはず______そもそも未検証だから不明か
じゃあ誰かが置いた物だとしたら?
そうなるとアタシが通った後のタイミングか?
さっきはキマイラが鎖をどうにかしようとする音がしたから
音?
‥‥‥‥!
音しないんだけど!?
「ヤバいかも」
え? 逃げた!? 逃げたの!? 拘束してから一時間したかしてないかだよ!? とりあえずあれだな
「黒うさチャン、プリン持って誰でもいいから伝えて! 誰か侵入してきてるかもって!」
侵入者がいるっていう
「貴女は!?」
アタシは時間稼ぎ!
「セルヴィ様が鎖で拘束した筈のきゅうきょくキマイラが解放されてるかもしれないの! 急いで!」
駆け出す音を聞きながらアタシは武器をカードから取り出して男子トイレに入る。
あ♡ ちょっとまってイクな♡
‥‥‥‥死にたくないなあ
___
______
_________
アタシ達実館の人間は
現実とギャップ差のが少なすぎると肉体が勘違いしてしまうのだ。
それを回避する為に依代があるんだけどそれは案内人と客人の分で各実館に数個ずつしかない。
依代は何度でも使えるけれど憑依しているヒトが虚館内で死ねば壊れてしまう。
幸いなことに現在の時流速度補正は
加えて大抵の死因は脳への損傷ではなくショック死、今のタイミングなら心肺蘇生を行えばどうにかなる可能性はある。
なんて、コレはただの現実逃避だ。
「あああもう! なんて置き土産残してんのよ!?」
アタシは今、必死に個室のドアが開かないように外から抑えている。
なんでこうなったかは多分だけど______
「中の奴をどうにかしないと‥‥‥‥」
______侵入者、多分まだ逃げてません
きゅうきょくキマイラがいないのを確かめたまでは良かったんだよね、うん。
一番奥の個室がびみょーに空いてて黒いモヤみたいのが見えた気がして、怖気が身体に走ったと思ったらドアが開きかけたんで咄嗟に抑えたらこうなった。
「ひいいい!?」
何がヤバいってコイツが中から出てきたら多分アタシ即死なんだよね。その癖して他にも居たらもう対処できない。
とりあえずどんなやつか探る為に閃光弾と音爆弾を投げ込んでみる。
「‥‥‥‥変じゃね?」
反応は一切ナシ、力加減がおかしくなる様子もなく一定周期で強くなったり弱くなったりするままだ。
今度はドローンを取り出して脳波で個室の中に飛ばしてみる、
「‥‥‥‥今!」
向こうの力が緩んだ瞬間にドローンを投げ込む、優秀な機体安定機能のおかげですぐに安定した飛行状態に回復した。
「‥‥‥‥やっぱり」
ドローンが攻撃されるような音はない、試しに個室内を無茶苦茶に飛ばすも壁に当たる音以外がしない
「ひょっとして」
「誰もいない!」
もうアタシには分かった。コイツは
「嘘でしょ」
______無意識に見た腕時計の表示が目に入った。
「時流速度補正、20倍」
時流速度補正______それは異なる空間同士での時間の流れる速度差を一方を1とおいて表した倍率
虚館では客人にストレスを与えず円滑に対応する為に時間の加減速ができるようになっている。
でも今の倍率はおかしい、1だったものが短時間でここまで加速することはあり得ない、そもそもとして______
全力で踏ん張りながら背中でドアを抑えて腕時計の表示を切り替えた_______基準設定を実館から虚館へと。
「‥‥‥‥は?」
虚館が此処ならば倍率は1の筈だ。
しかし此処は虚館ではない、それならば此処は何処だ?
いや、そんなことよりもいつ切り替わった?
どうやってアタシは此処に入った?
「迂闊だった!」
出入口を見てみるとシャボン玉のような光沢をもつ薄い膜が見えた。
よく見ると壁や天井にもそれは見て取れた恐らくはある種の結界だ。
アタシのドローンは脳波で操れる代わりに操作距離は短いからあそこまでは届かないから助けを呼べないし、念話機能は時流速度補正に差がありすぎて内容が伝わらない。
でもアレを作り出したヤツをどうにかできれば助かるかもしれない。
でも今はこのドアの向こうにいるんだかいないんだかわからないナニカをどうにかしないといけない。
「ガムテープとかなかったかな?」
アイテムボックスを脳内で探るが見当たらないがドローンにつけるアタッチメントはあった。コレでドアを固定出来ないかな?
ドローンを戻してアームアタッチメントを取り付けて飛ばしてなんとか固定出来たけどドローンの残りの充電次第だ。
20倍の速度で時間が流れるということは、こちらの10分は向こうの30秒だ。
心なしかプロペラの回転速度が落ちてる気もするし‥‥‥‥。
「考えろ、考えろ!」
少し余裕のできた心を引き締める
まずやらなきゃいけないのはコイツを完全に無力化することだ。
どれほどの速度で追いかけてくるか分からない。
十中八九コイツは侵入者の特典によるもの
時間稼ぎ用の囮じゃなければドアを開けた人とか開けたときに近くに居る人をコロコロする的なサムシング、大穴でこの異常を起こしている原因の核。
あ、そうだ。
どう転んでも相手の想定通りになるなら想定外を起こせばいい。
だから_________
いっそ上から個室の中に入っちゃえばいいんじゃね?
だってコイツはドアが開くことで初めて出現_________この世に実態を持つことを許されると言った方がいいかもしれない。
今は破壊できるはずのドアを壊して通ったり上から飛び越えたり下の隙間から這い出たりしようとしていない、今閉じかけている扉を開けることでしか出てくる方法はコイツにない!
それをアタシがドアを抑えてるからそれをキャンセル出来てるから個室の中にいなかったわけ*4だよね。
じゃあコイツに対しては個室の中が多分一番安全ってことだが実行に対して新たな問題が浮かんだ。
いま気付いたけどアタシがドア抑えてる個室の隣の個室鍵かかってんだわ。
「‥‥‥‥」
とりあえず鏡を使って確認する
靴が見えた、いるじゃんどうしよう。
手持ちの閃光玉はもう無いから無力化した隙にドアをブッ壊して道連れとか無理そう、距離的にアタシが第一目標だろうし奴が通れる程の穴は多分開けらんない。
武器を使うか? さっきからずっと柄を握り締めていた傘*5を見た。
‥‥‥‥射撃武器ではあるけれど曲射は普通に無理がある。上に登っても狙いをつけるためのスペースがないしあっても余裕がない。
やっぱ登って立て篭もろう!
方法は傘の持ち手を上に引っ掛けて弾みをつけてジャンプ、この時足はドアにつけるようにして抑える。しっぱいしたらかくてーガメおヴェラじゃんw
はやくだれかきて
‥‥‥‥心の準備は出来た。イチ、ニの、「サン!」
「「あ」」
飛び越えるときに目があっちゃった☆
‥‥‥‥ていうかなんか手に持ってたんですが!?
オラッ! はやくひらくんだよ!
特典の指示もあってアタシは急いで傘を開いた。
間一髪! 手投げ玉がコロリンと丁度傘の上に来たのでそのまま向こうに跳ね返した。 あっぶなーい! *6
「え?」
なんて間の抜けた声が聞こえた気がした。
BOOM!!
今の振動でドアを開かないようにしていたアームに限界が来たみたいなので急いで鍵をかける、そして______
「チェスト!!!!」
渾身の力で壁を蹴って背中からタックル、なんちゃって鉄山靠である。
破壊目標は隣の個室に面した壁
「もう一発!!!」
ヒビが入ったのでその周りを狙ってもう一回!
「まだまだ!!」
バキィ!!! という音を立てて壁は二つに割れた。
隙間から男が気絶しているのが見えた。しかし、
「これで!」
結局通れなきゃ意味がないので体当たり続行!
「終わりだああああああ!?」
壁が壊れたのはいいもののアタシはそのまま体勢を崩した。
「痛てて‥‥‥‥」
男を拘束するための道具がないのでとりあえず片方の膝に足を乗せて傘の先で頬を突く。
「うう‥‥‥‥」
「お客様終点ですよ〜」
「へっ!?」
覚醒したので引き金を引いた、狙いは外してあるので安心。
「解除しろ」
「え?」
意識が覚醒したもののまだ呆然としているようだ。
「解除」
傘でドアを指し示したら状況を理解したのかサーッと顔色が青くなっていく、
「ああああクソが、もう少しだったのに! こうなりゃ道連れ______
何故かシャツを脱ごうとしたので足に体重をかけた。
があああああ!?」
ベキッて感じの嫌な音が鳴るがそれどころじゃないスタンガンでまた気絶させた。
「‥‥‥‥」
意識がないことを確認してシャツを捲る、腹から胸にかけて扉の刺青がしてあった。
「あれ? 背中にも続いてんじゃん?」
そっと裏返す、そこには______
「マジぃ〜!?」
きゅうきょくキマイラが彫られていた。
アタシの聞き間違えじゃなければキマイラはアタシが入った個室にいたはずだ、念のため腕も見てみるとそこには鎖の刺青が彫られていた。
しかしコイツの特典が全く分かんない、キマイラと鎖がこの男の刺青になっているところをみるに封印ができるのはわかるけどけどコイツ侵入してんだよね。どうやって封印と侵入______ひょっとすると転移を両立させたの?
というか入ってこようとするヤツの気配が消えない、このままだと助けにきた人が襲われてしまうかもしれないからなんとかしたい。
皮肉なことにアタシを追い詰めた時の流れが考える時間をくれた。
‥‥‥‥なんとなくもう一度刺青を観察してみた。
もしかして扉が媒体だったりする?
となると男がいた側の扉は安全かもしれない、だってアタシがそっちへいっても気配が移動しないし。
とりあえず扉が開けられさえしなければいいから髪を括っていた紐で後ろ手に縛っておく。
何枚か写真を撮ってからハンカチを詰めてもう一つの紐で猿轡をし、口も使えないようにした。
まあ膝を折っておいたからマトモに動けないだろうけど。
そのままさっきと同じやり方で壁を飛び越える、失敗してもさっきより全然気楽! でもちょっとまて♡
アタシが個室の外に出るってことは最初みたいにアイツは個室の中から出てくることになるんじゃない? 現に一度開いたドアを開けようとするのをやめてくれないしさ、内側にアイツが回り込む以上は鍵に干渉されるだろうしもう抑えるのメンドイから特典使っとくか‥‥‥‥。
アタシの特典、分かりやすく表すならそれは【命綱】______命の危機などに比例して強度を増す紐を造り出せる。時々頭の中で変な声もするがそれは死地から生へと引き戻すために特典とアタシの生存本能が結びついて死の淵から遠ざけようと引っ張っているらしい。
そしてこの命綱は縛ったり結んだりすることが出来ない代わりに任意の箇所にくっつく。
まずアタシはドアの
もう一方は真上から見た時壁に対して垂直になるようにつけた、斜めにつけるのとどっちがより強く引っ張れるか分からなかったからだ。
鍵を開けて軽く押してみるがびくともしない、これなら無力化できただろうから再び鍵を掛ける。
問題なのは気絶させて床に転がしてある男をこの命綱で拘束出来ないことだ。何故ならこれでも逃げられるかもしれないからだ。まあ相手
そして問題はもう一つ______出入口のあの膜はアタシを、入ってきた奴を逃がさないためのものだった場合、無事に通れるのか分からないということだ。
此処の出入口を一方通行にする場合どんなメリットがコイツらにはある?
入ってきたのが少数なら相手に対して時間稼ぎが出来るが逆に多数なら逃げ場がなくフルボッコにされるリスクがある。
では戻れる場合は?
‥‥‥‥正直デメリットしか浮かばない。向こうがわざわざマジックプリンを置いたせいで侵入者がいるかもしれないのが事前に分かってたしさぁ‥‥‥‥。おきゃくさんがいるのにめんどうなことしてくれちゃって♡
いや違うわ。
そもそも
だってこの
仮にレジロが報告してから此処に来ても此処だけ時間の流れが早くなってるなんてレジロは腕時計を支給されてないから分かるわけがないし、
多分すぐきゅうきょくキマイラにやられてる。
でもあの大きな口がない分だけキマイラの背中は比較的安全だからその隙を突いて後ろからこの男が封印する算段だったのかもしれない。
今のアイツは
現に此処にキマイラはいないからなんのためにかは不明だけど目的はキマイラで間違いなさそう。
‥‥‥‥思考が逸れたわ
そもそも自由に戻れるようにした場合のデメリットだって
でもレジロは
つまり
トイレからは出られる
今考えるべき疑問は残り二つ
何故この男はすぐに逃げなかったか
何故トイレだけ時間の流れが早くされたのか
検証がまだだったことを思い出したため一旦個室から出て奥の扉によりかかる。鍵が開けられる音がした、そして僅かに押される感覚。
今度は慎重に寄りかかるのを止めて様子を見る、小刻みに動いているが命綱は千切れそうもない。
万が一ということもあるがこの特典の持続性は高いので自然に消えることはない、そういえば男は何故わざわざ隣の個室にいたんだ?
新たな疑問が追加されてしまったが気にせず考える。
いい加減よく分からん奴じゃいい加減長いから襲撃者とでも呼ぶとして‥‥‥‥。
男が逃げなかったのは多分何かを待ってたんじゃないかな?
そうじゃなきゃ「後もう少しだった」なんて言わないだろうし、
そうなるとトイレ内の時間を早めた意図は?
外部から送り迎えをして貰っていたならわざわざ待っている間の精神的負担を増やす意味が分からない、向こうの空間がこっちの20倍速ならまだ合わせるためだと納得はいくがそうじゃないと思う。
そもそもてんいけいはあつかいがムズい♡
男の特典は扉を利用するものなんだから自力で侵入して脱出できると考えた方が自然じゃね?
じゃああれだ、男が待ってたのは特典のクールタイムだ。
‥‥‥‥いやー慣れってこわいわー
しかし時間の流れを早めている膜をどうしようか?
例え脱出しても男にとってアタシの動きは1\20だ、片膝を折って後ろ手に拘束しているが扉を開かれたら確実に逃げられる。
誰かに男を拘束してもらうことが出来てもコイツがどこから電子空間に入ってきたか分からないので捕まえ続けることは出来ない。
おそらく男は電子空間内の扉から侵入してきている、だから現実の肉体が死ねば此処にいる男も死ぬ。口を割らせるより先にそうなってしまうと何もかもが分からなくなってしまう。
なんて考え続けているのがいけなかったようで、
「なに、これ」
とてつもない吐き気と全身の激痛を味わって蹲った時にはもう遅く、
キィ______
隣の個室は空いていましたとさ
area:実館?
男は思ったより根性のある奴だったらしく強引に鍵を開けて逃げちゃったみたいだ。
「うっぷ」
「ハイ、今度は触診ですよー」
結局あの後アタシはろくに動けなくなってログアウトもパイセン達に手伝ってもらい、直ぐに医務室へと運びこまれた。
「ハァ‥‥‥‥あでっ!?」
「ふんふん、次はCT*8に掛けましょうねー」
そして今は
‥‥‥‥設備がそこらの病院より上なんだが医務室とは、
ウィーン
「あの」
「ごめんだけど、検査はまだ一つあるんだー。長くなるからトイレとかなら今行ってねー」
「あ、行ってきますね」
「看護師ちゃーん、念のため付き添ってあげてー!」
ハーイ
ふらついてるから正直言ってありがたい‥‥‥‥!
ようやく検査が終わって医師に問いかけた。
「なんでここまで念入りに検査したんですか〜?」
「全部終わったから解説出来るけどその前に検査結果だねー」
「(ゴクリ)」
「まず吐き気の方は酷い車酔いみたいなものだね、車酔いの原理は分かるかい?」
「え〜と、確か不規則な揺れで内耳と脳みそや目で手に入れた情報が食い違って起きるのであってます?」
「それが分かれば説明はそこまで要らないかな? ただ今回の原因は時間の流れが急に等速に戻ったことにあるんだけどそれが運ばれた時の揺れで悪化した形だね」
「あ、じゃあそのままにしていればそのうち治ったんですか?」
「ところが今回は話が違った、全身の痛みが問題だったんだ。君、頭も痛いだろう」
確かに、というか一番痛い。
「結論から言うと唯の幻痛で済んだが物理的にも脳にダメージが入ったかもしれなかった。今回CTやMRI*9の両方を使ってまで検査させてもらったのは電子空間での前例がなかったからなんだ」
何かその言い方だと現実空間で前例があったみたいな言い方なんですがそれは、怖いから聞かないでおこっと。
「鎮痛剤と吐き気止め出すけど一週間は運動禁止ね」
そう言って電子カルテをスクロールさせる。あ、内線かけ出した。
「あ、もしもし? ______君今居る? ‥‥‥‥明日の訓練だけどさ、ちょっと一人ドクターストップかけさせてもらうよ。うん、幻痛と吐き気、条件が特殊だからどうなるかちょっとね。もし無理矢理参加させて何かあったら僕から奥さんに頼んで連隊責任だからそのつもりで」
このジジイ、教官をさりげなく脅迫しやがった!
アタシは知っている、この医師の奥さんこそがうちの構成員ほぼ全員の胃袋を掴んでいる料理長であるということを!
‥‥‥‥後でやり過ぎって怒られないといいけど。
「今日は仮眠室に泊まっていきなさい、ご飯は食べられそうかい?」
「とりあえず少量で」
「そうだね、今は少量がいい。看護婦ちゃーん、シャワーとかの案内頼めるかーい?」
キガエトカドウシマスカー?
「購買で一緒に買ってきてあげてー! あと領収書も一応よろしくー! 経費で落ちなきゃ僕が出すからー!」
ハーイ
______急患ですー! カルテ送りまーす!
「‥‥‥‥今行くよー! じゃ、彼女についていってね、お大事にー」
「ありがとうございました〜」
そういうと荷物を持って部屋を出て行くお医者さん、いやなんで?
まあとりあえず看護師さんについて行く、なんとなく今日のことを思い返すと黒うさチャンが扉を壊さなければ大変なことになったんじゃないかという予感が過った。次があったらお礼の一つは言っておこうか? だがそれとは別に思ったことがある。
滅茶苦茶美味いことで有名な料理長の手料理が食べられるかもしれない
うますぎてイク♡ かくごしろ♡
マジかよ確定じゃん!
人物紹介
白衣ちゃん
???/
身体的特徴
メカクレ金髪ツインテギャル
紹介
レジロの同期の一人 H・L在住
元は案内人候補だったが相性のいい客人が殆どおらず、
普段は実館でエンジニア達に混ざって客人の出身世界を絞り込んでいる
特典:【命綱】
命の危機などに応じて強度を増す紐を造り出せる。
【生路誘導】
時々頭の中で聞こえる変な声の正体
死地から生へと引き戻すために特典と生存本能が結びついて死の淵から遠ざけようと引っ張っているらしい。
原理を知った彼女はアタシの本能はメスガキだった‥‥‥‥? と困惑した。
メカクレ撲滅の会
詳細不明の団体 なんでメカクレ看破に反重力装置なんて作ったのやら
実は主要な構成員に転生者がいたが数ヶ月前に死亡した結果暴走
反重力装置を使用した際、髪型が垂直な人=メカクレという勘違いが発生した。もっとカオスなネーミングセンスにしたかった
髪型柱の男風転生者
ヘアスタイリスト
髪型は知り合い兼お得意様のモヒカン頭の転生者に手伝ってもらった。
実際に歩いてみたらどんな感じかと思って二人で外出したら巻き込まれた。幸い軽傷。
モヒカン転生者
今世はそこ以外に何故か生えてこなかったヒト。友人のヘアスタイリストの髪型を作るのを手伝った後二人で遊びに行ったらなんか巻き込まれた。こっちも軽傷
イロートコ
一般潜伏指名手配
名前の由来は色男+子獲り
子獲り→kotori→irotok
目元を隠すだけで2年近く潜伏していた
ロウ警部
兄の方
レオくん
亀の騎士
白衣ちゃんとは面識あり
秘密結社の強面紳士
獣のごとき生命力で武装した凶悪なまでの頑固者
今日はスーパーサイヤ人みたいな髪型だったらしい
最近買ってきた鉢植えが壊されたのでおこ
指示役のパイセン 女
苦労人 ヴィンコロに憧れている
戯れの範囲で脛を蹴った
マイペースなパイセン 女
問題児 何をしだすか分からないが解決の目処が立たないトラブルをいつのまにか解決したりしている
ヘッドロックをかけたパイセン 男
問題児2 戦闘も可能だけど攻撃一辺倒
ちゃんと加減してヘッドロックを仕掛けた
うるさいパイセン 男
涙脆い 固有名詞から黒うさが誰か絞り込んだ人
強面なパイセン 男
あまり喋らない 困ったらこの人に質問するのが安全
医者 男
BATONSで働くお医者さん 奥さんが偉いヒトのようだ。
侵入者
ーーー/???/??? 男
紹介
とある転生者の仲良しグループの一人
依頼を受けてT.A.R.O.T.S.に侵入してきた。
正直怪しくて断りたかったけどスケジュールから実行日のレジロの人格までかなり詳しく調べてあったので目をつけられた時点でアウトな連中に目をつけられたと腹を決めて親友から“膜”を借りて実行。
脱出後の安否は不明
特典:【自在扉】
扉を媒体とする特典
【転移扉】
マーキングすることで異なる座標のドアを繋ぐことが出来る
マーキングは見取り図でも可能(実際にドアが存在する必要がある)
繋げられるのは一箇所のみであるが維持するのに負担がかからない。
一度解除すると再接続にクールタイムが要求され、その時間は一定だが一日のうちに繰り返し解除すると伸びてくる。本人の生きる国で日付が変わるとクールタイムは延長ごとリセットされる。
【
これを仕掛けられた扉に近づくと呪殺系接触攻撃を仕掛けてくる使い魔に追いかけられる。
使い魔の姿は近づいた人間が嫌だと思う存在をしているのでものによっては無害化されてしまうことも。
気づかれると自身も追いかける対象に含まれるので見取り図を利用するなどの対策必須。
倒すことはできるが最悪なことに仕掛けた本人が解除しないと消えない上に、呪い返しで跳ね返してもコイツに吸収されて強化される。
一箇所にしか仕掛けられないのが幸い
【ワンタッチ封印】
刺青として刻まれた扉を媒体とした封印術 紙や壁に書いても有効
相手に触れてからその触れた箇所を扉に接触させればそれで封印が完了する。ワンタッチと名付けたがツータッチであるもちろん対象を扉に触れさせてもいい
解除は気合いを入れて念じるだけでいい。
ちなみに一つの扉に一つしか封印出来ないが解除は一部だけできる
なお今回のきゅうきょくキマイラは電子空間のデータなので電子空間だけでしか解除出来ない模様。
侵入者の行動(予定)
1.レジロがログインする前に電子空間経由で女子トイレの個室ドアから単独侵入、“あれ”らは虫除けスプレー(ミントの香り)で撃退、男子トイレ内に誘導
2.協力者の特典である”膜“で自身を包み込み、高速移動で"あれ“らを避けて男子トイレのきゅうきょくキマイラがいる個室にマーキング、隠しカメラも仕掛けておく。自分が女子トイレのドアの一つに入るとキマイラのいる個室から出る形で転移できるように仕掛ける。
3.客人が帰った後レジロがキマイラと相対する
レジロが負ける→カジカジされてる間にキマイラを確保、カメラを回収しレジロのデータを取って撤退
レジロが勝つ→カメラを遠隔で廃棄しデータだけとって撤退
撤退方法
自分は男子トイレの個室に潜伏し【跳戸恐】を仕掛けて相手を撃退、”膜“をトイレ全体へ広げ時間経過を早めてクールタイムを解除を促進すると同時に【跳戸恐】から逃れてトイレから脱出した相手を時間の流れる速さが元に戻る反動で弱体化か要救助者化を狙う。
侵入者の行動(実際)
1.の時点で“あれ”の誘導に数匹失敗した、レジロとアーミヤが二人で行動していた時は突き当たりの廊下の天井に潜伏していたアーミヤが単独で行動していたときには警戒を解いて普通に這い回っていた。あまりにも数が多すぎて既に廊下にまでいたのが原因
2.成功
3.想定外の事態に、オリチャー発動!
侵入者のオリチャー
4.キマイラの封印、回収は不可能と判断して戦闘データだけでも取れないかと思い、女子トイレの個室内に潜伏して隠しカメラの映像を確認しつつ、待機 廊下を確認した際にマジックプリンを回収
5.女子トイレにレジロが入ってきたので一かバチかで“膜”を使用して体内のアルゴリズムを減速、探知対策を実行して偶然切り抜けた。
6.セルヴィからの流れ弾出カメラが破壊された。幸い特殊なカメラのため痕跡は残らなかった。セルヴィのデータゲット。
7.壁に耳を澄ましながら様子を伺っていたらキマイラが無力化されたことを知った。欲を掻いて作戦続行。
8.二人がいないのを見計らって男子トイレに侵入してキマイラを確保、ついでに鎖もゲット。
9.この時点でほぼ本来のチャートに戻る。ただ混乱を誘うためにマジックプリンを廊下に置いた
籠城戦〜脱出
相手が滅茶苦茶粘った上に、居場所がバレた。
万が一の爆弾(気絶させる程度の威力)もなんか跳ね返されて気絶。
こっちの情報取られちゃまずいので道連れにするためにキマイラだけ解放しようとしたら膝を折られてスタンガンも喰らってまた気絶
目が覚めたら相手がいないけど後ろ手に縛られた上に猿履までやられてた、こっちにも依代がある以上苦痛では死ねないので奮起、腕の拘束をベルトに仕込んだ刃物で解錠、ギリギリクールタイムが終わったので“膜”を解除して脱出
”膜“
侵入者の親友の特典と推測される
内部の時間の流れる速さを操作出来るようだ。
急な加減速による負担を軽減する?
書き散らして満足したのでしばらく投稿はありません