第二話前編
これは夢だ、見覚えのある部屋とそこに座り込む少年を見てレジロ______識道は確信した。
座り込む少年の手には小さな箱が握られていた。
『ふざけんなよ‥‥‥‥!なんでコレが爆弾になるんだよ!?』
小さな箱はリングケースで、
リングケースは少年の母親のものだった。
『やるしかないよな』
意を決して少年は箱を開く
『ッ!?』
指輪の
『えっ‥‥‥‥!?』
解体するための
「‥‥‥‥?」
識道は違和感を感じたが、その正体に辿り着く前に轟音と爆風が迫り来た。
いずれにせよ、
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「苦しい‥‥‥暑い‥‥‥」
柔らかな感触を味わいながらも苦しみの言葉を吐き出して朝を迎えた。
あの夢の中でどれだけ動こうが疲れや痛みは基本的に肉体にフィールドバックされない、どんな原理かは聞いた気がするがはっきりとは記憶にない。
つまりこの感覚は現実の肉体で起きている苦痛そのものということ______意を決して目を開く、
「おはよう少年」
「………………」
何故がバニーガールが布団に潜り込んでいた。
《font:》‥‥‥‥痴女だ、警察呼ばなきゃ。携帯どこだっけ? 《/font》
「ちょっと! ストップ! 不法侵入じゃないって! 私だよ! アウスパイト!」
ほら合鍵! そう言って女___アウスパイトは合鍵をどこからともなく取り出した。
「バニースーツで人の布団に潜り込むような人は知り合いにいません」
そう言いつつ毛布を剥ぎ取って包まる。あったかい‥‥‥‥
「悪かったって! 夕飯にケーキとチキン買うからそれで許して!」
「はあ!? そんなんで許s『ぐぎゅるるる』「あららら、じゃあ廊下で着替えてくるね!」おい待て!」
ちくしょう、有耶無耶にされた! しかしなんでこんな時に腹が鳴るんだ?
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「それで? なんでウチに来たわけ? あ、飲み物何が良い?」
冷え込んだキッチンにて二人は並んでいた。識道の手には電気ケトルが握られている。
「ミルクティーがいいかな‥‥‥‥理由に関してはちょっと不審者が家の周りを彷徨いていてね、丁度家の鍵を職場に忘れちゃったし、最近私のいる世界も雲行きが怪しい感じでさ」
「
トースターにパンを一枚だけ挿し込みながら疑問を呈す。
「焼いといて‥‥‥‥生憎店は登録してなくてね、オマケに尾行までされちゃってたみたいでさ、そもそも次出かける時が危険じゃん? 戸締りできないんだよ?」
「確かに‥‥‥‥それで? 怪しいってどう言う風に? あと焼くから冷蔵庫から卵とハム取って」
追加のパンを挿し込むと今度はフライパンに油を垂らしながら識道は話を促す___ついでに朝食の材料も取ってこさせる。
「はいはい‥‥‥‥これかな? 話を続けるとね、私の母校が去年から予備学科って言う学科を新設したんだけどさ、この学科、ちょっと奇妙なんだ」
「あんがと、どういうとこが奇妙なんだ?」
ハムをフライパンに敷く、生でもいいがカリカリでも美味しいからだ。
「まず授業料がかなり高額なんだ、でも以前からあった付属の小中学校は私立なのにかなり安い、と言うかほぼタダみたいな値段。寄宿舎の利用も本科の生徒のみで立ち入りできる範囲も限られている」
「お、双子だ‥‥‥‥本科って? あと焼き加減どうする?」
卵を割り入れる______もう一方には殻が入ってしまった。悲しい。
「私完熟で! 本科は私がいた学科で完全スカウト制の授業料タダ! なんと寄宿舎も無料!! そして私は抽選で編入できた!!!」
「寄宿舎も!? てか抽s『カチッ』あ、お湯沸いたからお茶淹れちゃって」
電気ケトルのスイッチが切れる音、ティーポットとティーバックは既に用意されていた
「切り替え早いねぇ、まあそこで色々学んで人脈を築いて自分の店を手に入れて今に至るわけだよ」
「‥‥‥‥学校がおかしくなるだけじゃ理由が薄くない?」
「あの学校元は政府の補助金と卒業生の寄付金で動いてたみたいなんだよね、今の広大な敷地も設備も利用可能になったのは去年からだし」
「まあ怪しいな‥‥‥‥『チン!』そろそろお皿とマグカップだして」
焼けたトーストが控えめに飛び出す。いい焼き色だ。
「はいどうぞ! ‥‥‥‥予備学科の教員も新規に雇用された外部の人間な上、卒業したばかりの後輩が教員として就職してるし」
「できたから早く運んじゃってー」
「図書館のファイルに人体実験の書類とかあったし」
危うく識道は皿を落としかけた。
「あっぶねー それを最初に知りたかったな‥‥‥‥てか予備学科の授業料って多分シノg「国も関わってるので合法だね!」なおさら
そんな会話の中席につく二人だが識道はすぐに席を立った。
なんのことはない、箸を出し忘れていただけだ
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「「ご馳走様でした」」
識道はすぐに席を立った、アウスパイトは皿を重ねている。
「じゃあ片付けてくる」
「私も手伝うよ」
「そうしてもらう程の量じゃないからいい」
「えーでも、「それならチキンとケーキのついでにプレゼントも買ってくれよ」もとからそのつもりだよ?」
我ながら図々しいな、と識道は内心自嘲したことを後悔した。
「ならいい!ありがと!」
ぶっきらぼうな言い方______ただの照れ隠しである
「ところでケーキってどういうのがいい?」
「二人で食い切れる分量のやつ、どうせ兄さんは今年も帰って来ない」
最近は顔も思い出せなくなってきているが仕方ないと識道は諦めている。
「‥‥‥‥種類のことを訊いてたんだけどなぁ」
「チキンは別に冷凍の唐揚げでもいいぞ、余りは弁当にも使えるし」
食器をシンクに置くと洗剤とスポンジを手に取った。
「クリスマスだからそこは手羽先とかでしょ、というか今冬休みだよね?」
「‥‥‥忘れてた」
「プレゼントは何がいい?」
「‥‥‥‥欲を言うならエアコン」
洗い終えたので濯ぎながら濡れた食器を乾かすために置いていく
「そういえば君、自室もリビングもエアコンを点けなかったね。お陰で寒さで死ぬことになると思ったけど‥‥‥‥何かあったの?」
「壊した」
「壊した!? それはまたなんで?」
「4日前に爆弾になってた、ダミーが幾つかあるタイプで近い場所から解体してったら‥‥‥‥」
「君の部屋とリビングのエアコンがダメになったわけだね」
「いやなんか知らんけど全部ダメになった」
「全部ゥ!? 君大分運が悪いね!?」
いやー全部かー、修理に出すにしても結構説明に困りそうだなー
そんなことを考えながらアウスパイトはこの世界で自分が動かせる金額を計算していた。
「別にエアコンはいいよ、代わりに買い物付き合って」
「歩きで行ける距離かい?」
「歩きと電車両方、どっちにしろ昨日食料品買い損ねたから行かないと」
「爆弾絡みかい?」
「爆弾絡みであってる。ところで洗い物終わったから後30分したら出発でいいよね?」
「それまでになんかやることある?」
「天気予報でも調べとい‥‥‥‥やっぱ先に新聞取ってきて」
「はーい「後そうだ!」ん?」
郵便受けに向かうために部屋を出ていこうとするのを呼び止めた。
「名前教えて名前! 外で呼ぶ時困る!」
「名乗ってなかったっけ?
おっかしいなー、そう笑いながらアウスパイトは今度こそ部屋を出た。
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新聞をとり終えて家に入り、廊下を歩きながらアウスパイトは一枚のタロットカードを取り出した。
そのアルカナは______悪魔
「『悪魔から死神へ』」
キーワードを唱えるとカードは機能の一つを発動した。
『おや、どうなさいましたかアウスパイト?』
「セルヴィさん、ちょっとレジロについて聞いておきたいんだけど?」
タロット同士の繋がりによる通話機能、今回は死神のアルカナの持ち主______セルヴィとの通話である。
「レジロと顔合わせした時、貴方もいたよね?」
『ええ、確かにいらっしゃいましたとも、盟主にも確認いたしましょうか?』
どこか戸惑うような、しかしはっきりとした返答だった
「シフト的に今は就寝前でしょ?無理しなくていいって!」
アウスパイトは慌てて止めた、もう歳なんだから休んでほしい
『もしや、彼の記憶のことですかな?』
「‥‥‥‥顔合わせの後も何度か自己紹介したんだけどね」
『‥‥‥‥既に彼は産みの親を始めとした何人かの顔を忘れています』
「じゃあ写真が全部アルバムの中にあったのは‥‥‥‥!」
とある時期から飾られていた家族写真が全て消えたことをアウスパイトは思い出した。
『貴方の場合はコードネームで呼び合うことが多いというのもあるでしょう』
______全てが全て、
「‥‥‥‥そうであることを願うよ」
『ではメリークリスマス、良き1日を』
祝福の言葉と共に不吉なやりとりは締め括られた。
「‥‥‥‥天気確かめなきゃ」
Side:??? /現実
どこかの星で大陸のどこかを航行する移動都市、その一室にて、
それというのも話は数時間前に遡る。
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「何をする気ですかドクター!?」
兎耳の少女が叫ぶ。
「え? 何をするって」
そう答える黒コートの人物___ドクターは答える。
「カップ焼きそばを口の中でつくるだけだよ?」
その手には包装が破かれたカップ焼きそばの容器が。
「そもそもどうやってお湯を捨てるのですか??」
何を言っているのですか? と聞くつもりが別の疑問が口を衝いて出た。今思えば少女______アーミヤも疲れていたのだろう。
「そのまま食べればいいだろう?」
水分補給もできて一石二鳥!
先程までのきょとんとした顔から一転、
名案といわんばかりの顔で返答するドクター。
しかし大事な事を失念している事にアーミヤは気付く。
「ソースはどうするのですか?」
違う、そうじゃない。
確かにソースの味のしないカップ焼きそば(ソース味)は美味しくないだろう。
問題はまた別、そもそも口の中で調理をするなという話であるのだが悲しいことに誰も止める者はいない。
今日のドクターの秘書も所用で席を外していた。
「しまった」
そう言ったドクターであったが、すぐに
「普通にお湯を注いで、捨てる時に飲めばいいじゃん!」
喜ぶべきだろうか? 口の中での調理は阻まれた。だが………………。
「天才ですかドクター!?」
何かが、間違っている。
「アーミヤも食べる?」
そうしてドクターはもう一箱差し出す。
「はい!」
笑顔なアーミヤ。その目の下のクマさえなければ素敵な笑顔だっただろう。
ここはロドスアイランド、致死率100%の病である
そしてこの惑星の名前はテラ______天災から逃れるために移動都市が発達した惑星である。
その後、ドクターにお湯を捨てる段階で秘書にバレ、そこからケルシーにバレ、カップ焼きそばを食べ切った後で叱られた。
ちなみに捨て湯はインスタントスープを作るのに使ったので無駄にはならなかった。*2
閑話休題
そして時間軸は現在に戻る
____明日は休日です、早く寝てしまいましょう。
昼食の件で滞った今日の仕事をこなしたアーミヤはシャワーも浴びずにベットに顔面から倒れこんだ。
そのまま彼女の意識は遠のいていく‥‥‥‥。
「ここは………………?」
知らない部屋____少なくともロドス内では無い部屋でアーミヤは目覚めた
おまけ
「『悪魔から愚者へ』‥‥‥‥もしもし
自分以外誰もいない食卓で女は一枚のタロットカードへ話しかけた。
『あれ〜珍しくアウスパイトじゃん どったの?』
タロットカードからは盟主______ペレグリヌスの声
「私の
『避難の段取りかな〜? 他の転生者達はもう別の世界にいるんだっけ? お店はどうするの?』
「二ヶ月後には辞める予定さ」
その声には少しの寂しさが込められていた。
『‥‥‥‥後悔は無いのかい?』
「生きていればまた目指せるさ、目をかけた後輩ともう戦えないのはちょっと残念だけれど」
『助けてもいいんだよ? ボク達を頼ったって構わない』
「あの娘が他者からの施しを甘んじて受けるような娘とは思えないからね‥‥‥‥それに」
『それに?』
「ごめん、
『は〜い』
人物紹介
レジロ/拝読者/識道 夜夢 男
身体的特徴
薄紫の髪と目(何故か誰も気にしない)
肉体年齢は10代後半だが背は低い
敬語だと胡散臭い
アウスパイト/搾取者/
/
身体的特徴
ブラウンのショートヘアに紫の目
肉体年齢は20代前半で背はやや高め
特典:■■
非公開
紹介
悪魔のタロットカードの持ち主
家族が
よくレジロ/識道にちょっかいをかけているらしい
なお今話では識道が暖房をつけられなかったことや彼女のいる世界が今は夏であることからほぼ反射的に識道の布団に潜り込んだ。
でなければヒートショックだったかもしれない。皆さんも気をつけよう
そういえばバニーに着替える前の本来の服は一体どうなったのだろうか?
ちなみに朝食前に着替えた服はタロットの収納機能で緊急時に備えてしまっておいたものを着用
とあるゲームの世界に転生し続けているようだ。
寒いのが苦手
Ausbeutung ドイツ語
近年はメリークリスマスをハッピーホリデーとかいうらしいですね