キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達- 作:寿垣遥生
さて、こちらの方は3話目で原作の2話にあたります。今回はまたちょっと不穏な空気になりますが、うたちゃんがさらに蓮へと踏み込んでいくのでね…どういう行方になるのかお楽しみに。
また後書きでお会いしましょう!
side蓮
「ふぅ…やっと終わった。」
俺は荷物の整理整頓を終えて一息つく。しかし、今日は本当に色んなことがあったな…はなみちタウンに来て早速咲良やヨーヨイと出会ってプリキュアに変身するという天下一品のこってりラーメンのごとく濃厚すぎる1日を過ごした。引越して早々これはこの先何か波乱が待ってそう…というかもう既にやばいことが起きちゃってるけどな。
(しかし、まさかアイドル嫌いの俺がステージに立ってアイドルのように歌って踊ってファンサして…夢みたいだ。俺はヒップホップ系だからジャンルは違うけど、親父や母さんもあんな臨場感を数多く経験してたんだな。それと、今現役でアイドルをやってるニカ姉も…)
その中で俺はプリキュアになりアイドルになった時のことを思い返す。アイドル嫌いの自分がまさか両親や姉の歩んできた道を追いかけることになるとは思わなかったけど、あの臨場感は本当に忘れられねえな…小さい時に両親が感じてたアイドルの輝きを自分が体験してアイドルを夢見ていたあの時の気持ちが甦ってきた。
(でも、アイドルはダメだ…あんな隠し事をしなくちゃいけなくてファンから何かあると恨みを買う仕事とか。やっぱないない…俺がアイドルなんて。)
「蓮、何か考えごとかヨイ?」
「いや、大丈夫だ…俺、疲れてんのかな?とりあえず、テレビでも観て疲れを癒すか。」
俺は夜ごはんの時間になるまで部屋のテレビのスイッチを入れてから何か番組を観ることに…この時間帯なら恐らくどのチャンネルもニュースをやってるだろうが、まあ何も観ないで考えてばかりいるよりはマシだろう。
『キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!』
『キミとブレイクダンス、ハートの熱気!元気アツアツ、キュアブレイキン!』
「えっ…マジ?うそ…俺と咲良がテレビに出てるぅ!?」
俺はテレビのニュースのVTRを観て驚く。右上のテロップには『人気急上昇!!謎の新人アイドル』と書いてあって咲良や俺が戦ってる様子だけでなく俺のライブシーンまでもが取り上げられている。一体誰がこの映像を…このニュースをやってるテレビ局なのか?しかもナレーションでは『いきなり出てきた新人アイドル』と紹介されてるし…咲良はまだしも芸能界から身を引いた俺がまた世に出るなんて。困ったな…(まあ、俺は姿が全然違うから咲良よりもバレないと思うが…)
『今、SNSでこの映像が話題になっています。キュアブレイキンのライブのみならずキュアアイドルのライブも今や今やと待ち遠しい様子です。』
「なあ、ヨーヨイ…これ、誰が撮ったんだ!?どうして俺がテレビに出てるんだよ!」
「すこし落ち着けヨイ、犯人は分かってる。犯人は…」
「ちょっと何の騒ぎ?声が丸聞こえなんだけど!」
「うわああああっ!?」
ヨーヨイが犯人を明かそうとしたその時、ニカ姉がひま姉を連れて部屋のドアを開けて入ってくる。俺は咄嗟にヨーヨイを背中に隠して何とか誤魔化そうと努めた。
「何を慌ててるのかしら…今日のあんた変よ?」
「へ、変じゃねえし…大丈夫だって。」
「あっ、蓮ちゃんもニュースを観てたんだね?そうそう、SNSで話題になってるけど新しいアイドルが出てきてて笑華ちゃんとも今まさにその話をしてたんだ。」
「へぇ…アイドルアンチの蓮が急にアイドルに興味を持ち出したと思ったら現役で売れっ子アイドルの私がいるのに他のアイドルに浮気するなんてね。」
「ちげぇよ!たまたまニュース観てたらこれやってて…」
「図星?まあ、こんな新人のアイドルなんか私の敵じゃないわ!私は何と言っても世界的アイドル『Pretty Fruits』のセンターで1番人気だし!?オホホホホホ!」
ニュース映像を観てニカ姉は高笑いをする。でも、こんなぽっとSNS経由で出てきたアイドルがいきなり話題になってたら売れっ子とて内心は動揺してるだろうな…(そのアイドルの1人が俺だと知ったらどんな反応するのやら?)
「でも、特にキュアアイドルちゃんは可愛いよね。正統派のアイドルというか…こんな子が身近にいたらもうモテそうだよ。もしも会えるんだったらテレビ局とかで是非会ってみたいなぁ〜♪」
その一方でひま姉はキュアアイドル…咲良に会いたいとワクワクする。ただ、残念ながらこれ一般人なんだよな…テレビ局では会えないのだが、夢を壊さないように黙っておこう。
「何よ…お姉ちゃんもキュアアイドルの虜になっちゃって。とりあえず、もう夜ごはんできてるんだからいい加減下りてきなさいよね…もうお腹ペコペコなんだから。」
「分かったよ、それじゃあ…『女王です、女王です。』…ちょっ!?」
これから夜飯を食べようとしたその時、腰に身につけていたブローチから着信通知が飛んできた。女王ということはキラキランドの女王様だろうな…
「何?変わった着信音ね…あんたの携帯のはこんな感じだっけ?」
「ごめん。ちょっと通話しないといけないから先に行っててくれ…すぐに行くから。」
「うん、食卓で待ってるね。」
とりあえず、俺はひま姉とニカ姉をまた下で待たせることにした。流石に家族の前でキラキランドやらヨーヨイやらそこの女王の存在を知られるとただでさえ俺達がアイドルとして話題になってややこしい事態になってるのにさらに変なことになるし…とりあえず、2人がいなくなってからヨーヨイを出した後に女王からの発信に応じる。
「通信用のキラルンリボンを付けて…これで繋がるヨイ。」
ヨーヨイが通信用のキラルンリボンをブローチに装着すると、ブローチから光を帯びた妖精が姿を現した。これがキラキランドの女王なのだろうが、威厳というか神々しさと共に優しいようなオーラを感じる。
「ピカリーネ様だヨイ。」
「ピカ、リーネ…」
「はじめまして。私はキラキランドの女王、ピカリーネ!…です。」
すると、女王のピカリーネさんはいきなり激しく光りつつ自己紹介をする。かなり眩しすぎて目がびっくりしたぜ…太陽の光よりもやばかった。
「ご丁寧にどうも…朱藤蓮です。」
「ピカリーネ様、この男がアイドルプリキュアのキュアブレイキンになりました。あと1人、咲良うたがキュアアイドルになりましたが…うたとは話されたんですか?」
「先ほどお話ししましたよ。しかし、ヨーヨイもよく見つけましたね…キラキランドの希望を。」
「はい、これで我が国も元通りになる日が少しは近づいたかと存じます…」
「期待してますよ。」
ヨーヨイはピカリーネさんの前に跪いて普段とは違う話し方で返事をする。普段はチャラいこいつも礼儀作法はできるんだな…まるでチャラ男キャラの芸能人のようだ。彼らも表ではチャラチャラしてても裏ではめちゃくちゃ礼儀正しいからな…
「あの、ピカリーネさん…俺、ヨーヨイから簡単な話は聞きましたけどキラキランドで何があったんですか?詳しくお話を聞かせてください。」
「分かりました。蓮、聞いてください…キラキランドでは皆が幸せに暮らしていました。しかし、ある日…ダークイーネと名乗る恐ろしい者が現れ、輝きの源『ビッグキラキラリボン』をチョッキン。キラキランドは真っ暗闇になり、私達は閉じ込められてしまいました。」
「そんな…」
「ですが、私達には言い伝えがあります。このキラキランドの真っ暗闇に包まれし時、アイドルハートブローチを手にした救世主、アイドルプリキュアが光で闇を照らす。それこそがうたや蓮…あなた達です。」
ピカリーネさんはキラキランドの現状とアイドルプリキュアの言い伝えを詳しく俺に説明する。しかし、ヨーヨイから簡単に聞いた話と比べたら結構重みがあるな…俺が伝説の救世主。ただ、俺はもうこれをやってキラキランドとこの世界を救うと決めたんだ…もう迷わねえ!
「俺が救世主…分かりました。この世界もキラキランドも俺がダークイーネやチョッキリ団の手から救います!真っ暗闇にはさせませんし、あなたも必ず元に戻しますよ。」
「ありがとう…それで、マックランダーをキラキラにした時、空からリボンが降ってきましたよね?」
「そうですね…このキラルンリボンってもしかしてキラキランドの復活に重要だったりするのですか?」
「はい、ダークイーネの野望を止めてキラキランドを元に戻すためにこのリボンを全部集める必要があるのです…ヨーヨイ、キラルンリボンブックを。」
「はい…」
「これにはめれば良いんだな?」
「ああ、大切な宝物だヨイ。」
ピカリーネさんから言われてヨーヨイはバッグから本を取り出す。これがこのリボンを保存するアイテムなのか…俺はキラルンリボンを本にはめ込む。まずは1つ、救済に向けて前進というところだろう。
「しかし、俺の動画がどうしてニュースで放送されてるんでしょうかね?ピカリーネさんは何かご存知ですか?」
「ええ、実はプリルンがプリキュアのステージの動画をネットにアップして布教活動をしていたようです…」
「ええっ!?じゃあ、SNSに俺のライブ動画が出回ってるのは…」
「そういうことだヨイ…俺の監督不手際です。申し訳ございません…」
ヨーヨイはピカリーネさんに頭を下げて謝る。そういえば、プリルンのやつ…何かカメラを持ってたような記憶があったけど、俺のライブというか全てを撮影してたのか。こっちの世界のアイドルのライブでもこういう輩はいるらしいのだが、これで俺のことが拡散されたのだから内心迷惑だ。
「あの…今回の場合だとプリルンはどうなるんですか?」
「そうですね…まず、言い伝えでステージの様子を撮影するのは禁じられています。なので、プリルンにはもう罰を受けてもらいました。今回は初犯なので頭をもっさもさにしたのみで許しています…」
「そうなんですね。」
俺はプリルンの罰の内容に安堵する。どうやらこっちの世界でもライブ映像の撮影やアップロードって禁じられてるんだな…ただ、頭もっさもさって罰が軽すぎやしねえか?ここだと逮捕されて懲役or罰金刑だぞ!?
「それと、蓮…うたにも言いましたが、プリキュアの正体があなただと知られてはなりません。」
「それはヨーヨイからプリキュアのことは秘密事項と言われてましたし承知してますけど…咲良はともかく俺は知られないでしょ?変身すると性別変わってますし。女になった俺を何も見ずに俺って分かったらそいつは天才ですね…(笑)」
「ですが、油断してはいけませんよ?ダークイーネは恐ろしい存在…何が起きるか分かりませんから。」
「ですよね…」
「とにかく、プリキュアには危険が伴うのです。心して活動してくださいね?」
「はい、分かりました…俺、頑張ります!」
そうして俺はピカリーネさんとの通信を切って夜飯を食べ、お風呂に入ってから今日のことを胸に刻み眠りについた。週が変わって月曜日からは新学年にして新しい中学校での学校生活が始まる…新天地でこそはとにかく何のしがらみもない普通の日常を過ごしていきたいと心から願うばかりだ。(チョッキリ団がこっちに攻め込んだり、プリキュアに変身したりした時点で普通の日常とも言い切れないが…)
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週が変わって転入初日、俺はいよいよ新天地の中学校へと足を踏み入れていよいよ教室へ入ることとなる…今日は2年に進級しての始業式、新しい気持ちで新しい場所にいかに順応できるかがここでの成功と言える。俺のクラスは2年A組だが、まさか咲良が同じ中学校どころか同じクラスってことはねえだろうな?でも、近所っぽいようなこと言ってたから同じ中学校ではないかと思っている…まあ確率的には同じ中学校であるのは95%、同じクラスなのは40%ぐらいだろう。
(とりあえず、ここではトラブルを起こさないように気をつけねえとな…それでひま姉には数多く頭を下げさせたし。ここでは平和に過ごせたら良いな。)
「おい、蓮…掲示板を見ろヨイ!お前とうたじゃねえか?」
「ん?…えっ、嘘だろ!?」
俺がヨーヨイの指差す方を見ると、掲示板にキュアアイドルのうたとキュアブレイキンの俺が並んであるポスターが貼ってあった。しかも、『キュアアイドル&キュアブレイキン研究会』とも書かれてあって、これには驚きを隠せないが、今はホームルーム中で大声出したら何事かと思われるので声を押し殺して反応した。
「…って、何でヨーヨイも学校に来てるんだよ?お前の存在がバレたら大事だろうが!」
「仕方ねえだろうヨイ。もしも学校にチョッキリ団とマックランダーが現れたらどうするんだ?俺がいねえとその危険を察知できねえだろうヨイ。」
「それはそうだけど…とにかく、公の場では喋ったり出てきたりすんじゃねえぞ?」
「分かってるヨイ、俺はプリルンよりは頭良いから。」
「それじゃあ、新しい仲間にそろそろ入ってもらおうか…中に入って。」
担任の富士見先生に呼ばれて俺がヨーヨイを隠してから2年A組の教室に入ると、このクラスの女子は俺のことを1点に見つめる。自慢ではないが、顔は整ってる方だからな…こうやってみんなに見られるのは悪くないことだ。しかし、後ろの隅に見知った顔があった…
(嘘だろ、咲良もA組なのか…しかも隣の席が空いてるし。どうせ隣に座れって言われるだろうな…)
「転入生の朱藤蓮くんです、朱藤くんからも何か一言。」
「朱藤蓮です、よろしく。」
「キャー、クールでかっこいい!」
「まるで俳優さんみたい♪」
俺が手短に挨拶をするとクラス内の女子が興奮する。俺としてはあまり人前で話すのが面倒だから手短に済ませたつもりだが、それがクールに見えてしまったのだろうな…まあ、元子役だけども。かっこつけたつもりはないだけに少し迷惑だ。
「静かに!とにかく、朱藤くんが困ってる時はみんなで助けつつ仲良くしてください。とりあえず、席は咲良さんの横が空いてるからそこに座って。」
「わ、分かりました…」
俺はやはり咲良の横に座ることになったのだが、先生から言われて断れなくなったので渋々ながら咲良の横の席に座ることにした。こんな公の場で堂々と拒否してたら面倒なことになるしな…
「同じ学校で同じクラスなんだ…よろしくね。」
「ふんっ…」
「…」
隣に座ると咲良が声をかけてきたが、俺はそれを無視する。咲良は少し困った表情を浮かべているが俺には関係ない。同じプリキュアってだけで友達でも何でもないんだ…そもそもこういう馴れ馴れしすぎてその上俺を不快にするやつは嫌いなんだよな。
「さて、今度の新1年生歓迎会でやることを決めたいと思います。」
「はいはいはーい!歌はどうでしょう?合唱とか!」
「合唱かぁ…みんなはどう?」
咲良が手を挙げてから今度あるであろう歓迎会ですることに合唱を提案すると、賛成ムードが教室内を漂う。こいつのオーラは本当に明るくてみんなを動かす力があるんだな…ムードメーカー気質なのだろう。
「じゃあ、合唱にしようか。」
「やったー、みんなありがとう♪」
(いや、俺は賛成してねえけど…)
「何を歌うかとかピアノの伴奏をしてもらう人とか決めないとね。」
「私、弾きます。」
すると、今度は青髪ロングの女子が手を挙げて立ち上がりピアノの伴奏を名乗り出た。教室内は拍手が広がり満場一致…しかし、こいつの表情には自信が溢れている。よほどピアノが上手いんだろうな…オーラだけでも伝わってきた。
(数時間後…)
それから午前中の授業が終わり、昼休みの時間を迎える。周りは友達同士で弁当を食べて楽しそうだが、俺は別に楽しいとは思わない。そもそも家族以外の人間を信じられない俺は友達を作りたいとは思わないし面倒なだけだ…
「朱藤、俺達と一緒に弁当食おうぜ!お前食う相手いねえんだろ?」
「いや、別に…」
そんなことを思っていると、チャラそうなのと眼鏡をかけた真面目そうな2人の男のクラスメイトに声をかけられて弁当を一緒に食べないかと誘われる。こいつらは雰囲気からして悪そうではないな…悪い気はしないかもと思ってしまう。
「そんな遠慮しないで。僕達と最近話題のアイドルの話とかしようよ!キュアアイドルとキュアブレイキンについて話したいなぁ…君の推しがどっちかとか聞かせて?」
「…!?」
俺が誘いに乗りかけようとした時、片方の眼鏡の方がアイドルの話をしようと誘ってきた。こいつらも結局は咲良と同類なのか…それもアイドルとして俺らの話をしようとするものだから尚更関わりたくない。
「悪い…俺、アイドルに興味ねえんだ。外で飯食ってくる…」
「えっ?」
「おいおい、冷たいじゃねえの…俺達と友達になろうぜ?なあ、一緒に…!?」
「しつけえな…言っておくが、俺はお前らのような気安くてしつこいやつは嫌いなんだよ!分かったら二度と俺に話しかけんじゃねえ…」
「ひ、ひい…」
しつこいチャラ男に対して腹が立った俺はやつの方を振り向いてから胸ぐらを掴み睨みを効かせて黙らせた。これには周りのやつらは俺から目を逸らしてヒソヒソ話を始める。俺はそんな居心地の悪い教室を抜け出すのであった…
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それから俺は弁当を完食してから考え事に耽る。しかしながら、またやってしまった…俺は新天地ではトラブルを起こさないと決意してあっという間に目標が不成立。でも、暴力を振るわなかっただけはマシだろうな…あの時、頭の中で先生や殴った相手の保護者に頭を下げていたひま姉の様子を思い出したから我慢できた。もう家族に辛い思いはさせたくないからな…それだけでも我ながら偉いと思えた。
(しかし、クラスから孤立しちまったな…友達も作りたいと思ってたけど、俺がこのまま何も変わらなかったらできるものもできねえよ。でも、誰かに裏切られるよりかはマシか…)
「見つけた…ここにいたんだね?」
すると、真意は不明ながらも咲良が俺のいる場所へとやって来た。その表情は心配そうな感じで本当に馬鹿なんじゃないかと思ってしまう…俺がここまで嫌っても平然と接せれるどころかむしろ心配するとか珍しくて何も言えない。普通、あんな醜態を見たら話しかけたくもないだろうに…おかしなやつだ。
「何の用だ?俺はお前らみたいな低俗なやつらとは話したくもねえよ…分かったら帰れっての。」
「私、謝りたいことがあって蓮くんを探してたんだ。蓮くん、あの時はごめんなさい!」
「何がだよ…急に謝られても何が何だかよく分かんねえって。」
「実はあなたのこと、前から知ってたの…蓮くんってあの『子役三姉弟』の朱藤蓮くんでしょ?」
「知られた…というか知ってたのか。だから、初めて会った時も名前聞いただけで『蓮くん』って?」
「うん…それで、あなたが怒ってることって私がアイドルの話をしたことにだよね?あれからその理由を調べたんだ…蓮くんはアイドルの両親がいなくなったからそのトラウマでアイドルを嫌いになったって。それを知らなくて私は…!」
「お前が同情したところで何になるんだよ…」
「えっ?」
「咲良が同情したところで親父と母さんは生き返らねえんだよ!そんな生半可な同情をされても嬉しくも何ともねえ…」
「そんなつもりはないの。私は蓮くんと友達になりたいし、一緒にプリキュアとして戦ってほしくて…」
「プリルンからもお願いプリ、うたとお友達になってほしいプリ!」
「お前は俺のことをたくさん調べたつもりでも、何一つ分かっちゃいねえ!家族を失う辛さも、世間から叩かれる辛さも…そんなことと縁のねえやつらからの優しさなんて不快なだけだ!同じプリキュアだからといって仲良くするつもりは一切ねえから…二度と話しかけるな!」
「蓮くん、待って!蓮くん!!」
俺は呼び止める咲良のことを無視してまた別の場所へと移動する。本当に馬鹿なやつだよ…無鉄砲に敵に突っ込むところも、俺の心に土足で踏み入るところも、いつも優しいところも。こんなのと一緒にいたら気が狂っちまう…俺はそれがとにかく怖かった。まさか子役時代のことを知っていてアイドル嫌いになった経緯も調べられていたとは…でも、そんな風に励まされても親父と母さんは帰ってこないどころか失った7年も戻ってこないのだ。
「蓮、これで良いのかヨイ?うたは謝ってたぞ…素直になった方が良いんじゃねえかヨイ?」
「俺は素直だよ…咲良の馬鹿さ加減にはうんざりしてたんだ。こんなやつから励まされても何の助けにもなんねえ…」
「でも、同じプリキュアなんだぞ!?同じ境遇同士手を取り合ってやっていかねえとチョッキリ団もダークイーネも倒せねえヨイ!」
「そんなのは俺1人で充分だ!生半可な馬鹿はいらねえ…俺が1人で野望は全て止めてやるよ。」
「蓮…」
俺はヨーヨイの説得にも応じることなくさらに奥深くのところで昼休みを過ごした。しかし、咲良のことを考えると胸の奥が痛くなる…どうしてあんな馬鹿野郎のことを考えてしまうんだろうか?いつの間にか俺はあいつの優しさに何かを感じているらしい。でも、それに甘えられねえジレンマ…それが俺を苦しめるのであった。そして、俺は後に知ることになる…咲良がどんな存在であるのかを。
いかがでしたか?蓮の新天地でのデビューは孤立する結果となりました…またトラブルを繰り返しましたね。プリキュアとしてはあらゆることに順応はできてますけど、新しい学生生活は上手くいかずです。うたちゃんが助け舟を出しましたけど、実は蓮の子役時代を知っていたのです…それは何故なのか?次回で明らかになります。
当初ではこの3話でシリアスを抜けれるかと思いましたけど、思ったより原作とオリジナルの調合が凄い濃厚なのでまだ抜けそうにありません。ただ、次の4話でこそ抜けれるのでね…原作のようにハチャメチャな雰囲気を5話からマジで出せます!本当にお楽しみあれ。
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