キミとアイドルプリキュア♪ -朱蓮のダンサーとアイドル達- 作:寿垣遥生
そんなこんなで今回はオリジナル回をお届けします。生徒会副会長の杏美から届いた妹からの贈り物…この正体は何なのでしょうか?果たして、杏美の妹は蓮の何を求めているのやら…
とりあえず、本編をお楽しみに!後書きにてまたお会いしましょう。
side蓮
それから俺達は学年が違うこころと別れ、自分の教室に入ってからうたとななと一緒に生徒会副会長である水谷先輩から渡された封筒の中身を確かめることに…俺は覚悟を決めて封筒から中身を出すとそこには先輩の妹さんが書いたであろう手紙が入っていた。
『朱藤蓮先輩へ
はじめまして、私は生徒会副会長の水谷杏美の妹の水谷杏咲(みずたにあずさ)と申します。あなたは恐らく姉からこの手紙を受け取ることになると思いますが、こんな形ながら挨拶をお許しください。
実は私は以前からあなたのことは聞いていました。それと、クラスメイトのこころちゃんが先輩のお友達ということでこころちゃんからも色んな話を聞いています。朱藤先輩は学校の中でも屈指のイケメンで歌もダンスも上手いと評判で私はそんなあなたと話がしたいと思いました…もし良ければ、今日の昼休みに体育館裏に来て頂けないでしょうか?お待ちしてます!
1-C 水谷杏咲より』
「これ、ラブレターじゃない!?蓮って本当にモテモテだよね。」
「そうなのか?」
「うん、蓮くんはもう学年問わず女の子に人気なんだよ?でも、みんなどうしても遠慮しちゃうというか…だから表では誰も本人に気持ちを言えないんだって。」
うたやななは俺がモテてるとかどうのこうの話す。どうやら俺の知らないところでいつの間にか俺は神格化していたようだ…こんな勝手に持て囃されてると何となく嬉しいが、同時に怖いという感情もある。
「とりあえず、昼休みに体育館裏に行ってみる…恐らく生徒会副会長を通して手紙を渡してるんだからドタキャンとかそんなことはしないだろうしな。」
とりあえず、俺は昼休みに体育館裏に行く決心がついた。どこかでこの手紙が罠だと思ってる自分もいるが生徒会副会長である水谷の姉を加担させる悪質ないたずらとかは流石にお姉さんだけにすることはないと思ってる…まあ、思ってたのと違ったらそれはそれだ。そんな気持ちで臨むのであった。
~~~~~~~~
午前中の授業を終えた昼休み、俺はいち早く指定された体育館裏に移動してから水谷先輩の妹を待つ。しかし、ななも言っていたが…俺って知らぬ間にモテていて高嶺の花扱いを受けているとは。その中で告白しようとするのなら先輩の妹さんはかなり勇気というか度胸があるんだろうな…
「なあ、蓮…もしもその子から告白されたらどうするのかヨイ?お前、うたのことが好きなんだろ…まさか浮気とか?」
「いや、これに関しては俺もよく分からない。確かにうたのことは好きだ…でも、本当に告白されたら少し迷っちまうというか断りづらいんだよな。ストレートに断っても彼女にショックを与えてしまう…でも、ズルズル引っ張ったとしても恋を拗らせてうたと一緒にいる時が厄介だ。とりあえず、お前は妹さんと話してる間は黙っとけよ?俺が何とかしねえとな…」
「言われなく分かってる。とりあえず、判断は蓮に任せるヨイ…」
「ありがとう、ヨーヨイ。」
「すみません、お待たせしました!」
ヨーヨイと話し合いをしていると、ちょうど良いタイミングで水谷杏咲と思われる女子がやって来た。身長は低く童顔で髪型は黒のショートボブ…なかなか可愛らしい顔で美人な姉の面影もどこかに感じる。
「お前が水谷杏咲か?」
「はい、そうですけど。いつもこころちゃんが先輩のお世話になってます!それで…今回は朱藤先輩にお話しがあってここへ呼びました。何か用事とかはなかったですか?」
「いや、大丈夫…俺も特に用事はねえからな。それで、水谷はどうして俺をここへ呼んだんだ?」
「えっと…実は、先輩に私一目惚れしていたんです。ある放課後にかっこよく歌ったりダンスをしているところやいつも誰にでも優しくしてくれるところを見て私はあなたの虜になりました…なので、明日私と放課後デートしてくれませんか?」
「えっ?」
水谷は顔を赤くして少しモジモジしながらも俺をデートに誘おうとする。ただ、今の流れだったら告白する感じだろうとはどこかで思ってしまった…まあ、いきなり告白するよりも仲良くしてからという策は王道の恋愛ドラマである先輩にいきなり告白イベントという負け確イベを回避してて悪くはないと思うが、うた達の前で歌とダンスを披露していたあの時やいつもの行動を観察されていたとは…コイツ、抜け目がない。
「その…やっぱり、ダメですか?私のような地味な女の子の誘いなんて…嫌ですよね?」
「いや、そんなことは思ってない。俺も別に友達と遊ぶ以外やることねえからいつ誘ってくれても問題ないぜ?でも、明日で良いのか?今日でも良いんだけどな…」
「今日はちょっと文芸部の部活があって…それで、明日はオフなのでお誘いしました。」
「なるほど。分かった…明日のデート乗らせてもらうぜ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!待ち合わせ場所は校門の前でお願いしますね。」
「ああ、当日はよろしくな。」
こうして俺は水谷からのデートの誘いを受け入れることにした。うたのことはもちろん愛しているが、こうして好意を寄せてくれる女の子の誘いを無下にすることはできねえしな…まあ、1回ぐらいなら悪くないだろう。神様だって許してくれるはずだ!
~~~~~~~~
それから学校が終わり、俺達はいつものようにグリッターというかうたの家に集まっていつも通り宿題をしたり、雑談をしたりする。もちろん、話題の軸はもうアレしかないだろう…
「ええっ!?蓮先輩、デートするんですか?あの手紙の送り主って杏咲ちゃんだったんですね…」
俺が水谷とのデートの約束を受けたとみんなに話すと、彼女のクラスメイトであるこころが1番驚いた。下の名前でちゃん付けってことは単なる知り合いじゃなくて同じクラスでの友達ということだろう…
「ああ。ところで、こころ…水谷ってお前から見てどういう子なんだ?同じクラスだし、相手もお前のことを知ってるっぽいんだが…」
「知ってるも何も杏咲ちゃんは小学1年の時からの幼馴染で親友ですよ。お姉さんで生徒会副会長をやってる杏美先輩…ううん、杏美ちゃんとも含めて6年ぐらい付き合いがあるんです。彼女はとにかく真面目ながらも元気で素直な子ですね…最近、蓮先輩のことを沢山質問するなぁって思ったらこういうことだったんだ。」
こころは自分と水谷の関係とか性格を俺に教えた上で俺のことをよく質問していた理由に納得する。どうやらこころと水谷姉妹は幼なじみで親友という間柄のようで案外世間は狭いんだなと改めて思う。
「そうなのか。」
「蓮くんって私達やご家族とか親戚以外の女の子とお出かけしたことはあるの?」
「いや、初めてかもな…上手くやってけるかなって不安なんだよ。俺、お前らや姉ちゃん達で異性は慣れてるとはいえ水谷とは面識がないというかそういう女の子とお出かけをしたことが無いから不安なんだ…」
「大丈夫だよ。蓮は優しい男の子だから嫌われたりとかしないはず…そうだよね、プリルン、メロロン?」
うたは俺を励まし、それでプリルンとメロロンに本能的に共感を求めるもそこには誰もいなかった。彼女はどうやら忘れていたらしい…あの日以来プリルンとメロロンが行方不明になってたことを。
「うた、大丈夫かヨイ?今日はずっとこの調子だが、プリルンとメロロンはいねえんだぞ…しっかりするヨイ。」
「ごめんね、つい無意識で。どうしたんだろう、私…」
「うた…」
「うたちゃん…」
ヨーヨイに指摘されると、うたは少し暗い表情をして俺達に謝る。今日は何かとずっといないプリルンやメロロンに話しかけようとしていたシーンが多かったのだが…それだけ彼女の心に大きな穴が開いてしまったのだろう。こんな弱音を吐いた彼女を見たのは初めてな気もする。
「うた先輩、そんなに落ち込まないでください。キラキランドで私達を助けられる力を手に入れたらいつかまたプリルンとメロロンに会えますよ…それよりも蓮先輩がデートで成功するために何をすれば良いのかの会議を開きましょう!」
プリルンとメロロンのことで落ち込むうたを年下のこころが励ます。本当にこころは俺達よりも年下だが人間がしっかりしている…俺の次にリーダーシップがあると言えよう。流石はアイドルプリキュア研究会の会長を1年で張ってるメンタルの持ち主だ。
「こころ…そうだね。今は蓮と杏咲ちゃんのデートがキラッキランランになるようにしないと!精一杯応援するね。」
「お、おう…」
うたはこころの励ましで元気を取り戻し、俺のことを応援すると力強く宣言する。しかし、俺はこう言われて複雑な心境だ…俺が追いかけているターゲットから背中を押されるとはどう反応すれば良いのだろうか?俺はうたとの恋を結ばせたいのに…どうして彼女は俺の気持ちに気づけないんだ?このじれったさに心が痛んでいく。どうすれば良いんだ…俺?
side out
~~~~~~~~
「ザックリー、ただいま休暇から戻ってきました!いやぁ、南の島での2週間楽しかったなぁ♪」
その頃、チョッキリ団のアジトでは休暇を終えてザックリーがようやく帰ってきた。彼は休暇の2週間の間は南の島に旅行していて、かなり日焼けしてきたのかアロハシャツと短パンを身につけてたところ以外の肌がこんがりとなっている。
「あれ…カッティー、チョッキリーヌ様、スパット様?誰もいらっしゃらないんすね…」
「やっと帰ってきた…どこに行ってたんだい!私に黙って休暇とか良いご身分だねぇ?」
すると、どこからともなくザックリーが入ってきたのと同時に隠れていたチョッキリーヌが出できては彼の胸ぐらを掴んでは怒鳴りつける。よほどザックリーが肝心な時にいないことにストレスを感じていたのだろう。
「チョッキリーヌ様…いえ、黙ってたわけじゃないっすよ?スパット様からはちゃんと休暇の許可を得てたんすから!それで、カッティーはどうしたんすか?まだ俺は顔を見てないんですけど…」
「カッティーさんはもうここには戻って来ませんよ?」
ザックリーがチョッキリーヌにカッティーがいないことを質問するとスパットが裏から現れてからカッティーはもう戻ってこないことを告げる。これに聞かされたザックリーは驚きを隠せない。
「スパット様、どうしてっすか?カッティーが帰って来ないって…まさかチョッキリ団を裏切ったとか!?」
「まさにその通りです。カッティーさんはダークイーネ様の闇に堕ち、そのところをキュアズキューンとキュアキッスによって救われ、チョッキリ団を辞めてどこかへ行きました。」
「キュアズキューン、キュアキッス…新しいプリキュアはホープフルで懲り懲りなのにまた出たんすか?」
「そのまさかなんだよ!本当にあんたは何も知らないようだね?私も実物は見たことないけど、スパット様がおっしゃるには白と黒のプリキュアとかどうのこうの…次から次へと邪魔者が出て頭が痛いよ。」
チョッキリーヌはズキューンとキッスが現れたことに怒り、頭を痛める。ちなみに、ズキューンとキッスの実物に関してはスパットは実はあの時、現場で誰からも分からない場所から視察していた…なので、何が起きたかとか新しく現れた2人のこともある程度情報は頭に入れている。だが、ライブと決め技しか見てない状態なのかスパットはまだデータとかを調べられていないのが現状。そんな中でザックリーは通信手段もオフにして旅行に行ってたため何もかも無知な状態である。
「そうなんすか…だとしたら、俺が行ってそのズキューンとかキッスを倒してきますよ!」
「お待ちなさい、ザックリーさん…そんな無計画に挑んでもあなたが勝てる相手ではありませんよ?」
「なっ…何を言ってるんすか!?俺は休暇でリフレッシュしてきましたよ?今の俺なら強いクラヤミンダー作ってプリキュアもズキューンとかキッスとかもザックリやっちゃいますって!」
ザックリーは胸ぐらを掴んでるチョッキリーヌの手を振りほどいてからスパットに反論する。ザックリーもザックリーでプライドがあり譲れないものだ…こればかりはと思い彼は上司であるスパットとぶつかり合った。
「ザックリーさん、あなたは甘く見すぎてますよ…キュアズキューンとキュアキッスはまだ何もデータは取れていませんが、あの5人のプリキュアよりも強いのは確かです。とりあえず、ここは私に調査を任せてはもらえないでしょうか?データを取ってあなた達にそれを提供する…その方が効率良いと思いますが。」
「分かりました…そこまでおっしゃるならデータ収集とかお任せします。俺達が戦いやすいようにお願いしますね?」
「はい、言われくてもそうします…私にお任せを。」
そう返事をするとスパットは闇の空間へと消えていく…果たして、スパットはズキューンとキッスのデータを収集するためにどんな策を仕込むのか…魔の手はまた少しずつ歩み寄ろうとしている。
~~~~~~~~
side蓮
「お待たせしました、朱藤先輩!」
翌日の放課後、校門で待っていると水谷が待ち時間僅か1分でやって来る。本当にこの子は人をそんなに待たせない良い子だ…まあ、彼女に声も見た目も似た某アニメキャラはその逆を行こうとしているが。
「お前来るの早いな…まだ1分しか待ってねえぞ?」
「そう言われても…朱藤先輩とデートするのが楽しみだったので。ホームルーム終わってこころちゃんと少し話してからすぐ校門の前まで走りましたよ。」
「そうなのか。そこまで楽しみにしてくれるのは悪い気はしねえな…まあ、今日はよろしくな。水谷の行きたいところはどこへでも連れてってやるから…いくらでもわがまま言ってくれよ?」
「はい、今日は沢山楽しみますね。よろしくお願いします!」
そんなこんなで俺達のデートは幕を開けるのであった。水谷はもう心の底から俺とのことを楽しみにしていて、そのワクワクした感情が直に伝わってくる。明るい笑顔てさでいるこの子には辛い思いをさせたくないところだが…告白されたら断ることも視野に入れないといけない。本当にどうすれば良いんだ…俺は感情には出さずとも頭の中で葛藤した。
(移動中…)
学校から歩くこと10分、俺達は街の中のショッピングモールの中にあるうたとななとデートに行った時に服を買った服屋さんでまずは買い物をすることに…とりあえず、水谷に似合う服を見つけるのがノルマである。
「朱藤先輩、私ってどんな服が似合うと思いますか?」
「そうだな…お前はパッと見だが真面目で清楚そうだとは思ってるぜ。普段はどんな私服を着てるんだ?」
「普段ですか…お姉ちゃんと同じですけど目の前にある服を手に取ってそれを着てますね。だから、もうランダムなんですよ…すみませんね、大雑把で。」
「そ、そうか。(まさか水谷姉妹そろってこんなにも大雑把な人間だとは…ダサかったらどうするんだよ!)」
俺は水谷の私服事情を聞いて唖然とする。まさかこんなにも優等生な姉妹が大雑把だとは…しかも姉妹揃って。それだけオシャレへの執着心がないのだろうが、もう少ししっかりしてもらいたい。
「ちなみに着てるのはTシャツが多いですね…それにホットパンツを組み合わせてます。」
「なるほど。だったら思い切ってホットパンツじゃなくて長ズボンにしてみようか…それでこの黄色の肩出しの服とかはどうだ?お前には何となく黄色が合いそうだし。あと、このブーツも合わせたら似合うと思うぜ?」
「肩出し!?ちょっと恥ずかしいかもですけど、先輩が似合いそうとおっしゃるのなら着てみますね…あと、ブーツも初めて履くから緊張するなぁ。」
水谷は俺が指定した服を受け取ってから試着室の中で着替えていく。衣擦れ音がどこかそそられるがここで興奮してはならない…今回のデートはあくまでもリップサービスで相手はうたじゃないんだ!ここで本気にしてたら俺はうたと付き合う資格などない。
「先輩…どうですか?」
しばらくして着替え終わった水谷がカーテンを開けるとそこには俺が指定していた衣服を見事に着こなしている彼女の姿があった…かなりピチピチに絞られたジーンズに黄色の星が刻まれた肩出しの服の組み合わせ。あと、靴に関しては店内にあったブーツも調達し水谷に声が似た某アニメキャラっぽい感じにしてみた…
「ああ、凄く似合ってる。元気な水谷に合ってるコーデだと我ながら思うよ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!これ、買わせて頂きますね♪」
俺に似合ってると褒められた水谷は嬉しい表情を浮かべてこれを買うと宣言する。こうも気に入って喜んでくれたことは凄く嬉しいことだ…水谷と付き合ったらきっとこういう可愛い屈託のない笑顔をいつも俺の前に見せてくれることだろうな。
(…って、ダメだ!俺はうたが本命なのに気持ちが揺るぎかけやがる。でも、どうやって彼女を説得すれば良いんだ?)
「朱藤先輩…どうしたんですか?」
「いや、何でもねえ…とりあえず、服のお金は俺が払うから他に気に入ったのがあったらじゃんじゃん買ってくれ。」
「それは流石に悪いですよ…ただ、この一式に関してはお言葉に甘えさせて頂きますね。」
「これだけで良いのか?」
「はい。先輩が気に入った服さえあれば他に何もいりません…オシャレのセンスがない私が選ぶとろくなことになりませんからね。」
「まあ、お前がそう言うならそれで良いか…後で会計を済ませてくるから着替えて待っといてくれ。」
「分かりました…ありがとうございます!」
そして、水谷が着替えた後に俺は自分が選んだコーデの会計を済ませて店を後にする。本当にこの一式だけで良かったのかは少し疑問に思うが、本人の意向ならそれに従うまでだ…しかしながらコイツはわがままを言わない良い子でやはり姉の水谷先輩の育ち良さを継承してるんだなと思ってしまう。それから俺達はゲーセンで遊び、クレーンゲームとかプリクラとかカーレースのゲームとかメダルゲームを楽しんだ。
「楽しかったぁ…もうお姉ちゃんと一緒にショッピングモールを回るより楽しいです!」
ゲーセンでのひと時を終えてからショッピングモールを出て駅前まで移動すると水谷は買った衣服一式とクレーンゲームの景品の入った袋を片手に今日の出来事を大いに喜ぶ。姉の水谷先輩とも一緒に遊んでて仲も良好だし、本当にこの子は屈託のなく心が清らかな女の子だ。
「そうか。でも、お前のお姉ちゃんとの時間も大事にしろよ?家族の時間ってのは凄く大事だからな…無駄にすんじゃねえぞ?」
「分かってます。朱藤先輩はご家族との時間とか楽しんでますか?お父さんとかお母さんとか…」
「ああ、ごめん。俺…親父も母ちゃんも亡くなってるんだわ。でも、姉ちゃん達とは楽しい時間を過ごしてるよ。仕事は忙しい中だからなかなか遊べないけど、一緒の時はお出かけとかしたり家の中でテレビ観たりゲームしたりしてるぜ?」
「あっ、そうでしたか…すみません。私、朱藤先輩の家庭のことを知らなくて。ご両親は亡くなられてるんですね?」
「謝らなくて良いよ。俺が両親いないことは学校のやつらはあまり知らねえから悪気がないことは分かってる…だからそんな気にすんなよ?笑顔でいようぜ!」
「そうですね。ありがとうございます!」
俺が言ってはいけないことを言ってしまったと落ち込む水谷を励ますと、彼女の曇り顔は吹き飛んでまた太陽のような笑顔を取り戻す。やっぱり、彼女には笑顔でいてもらいたいものでコイツの笑顔にはうたと同じものを感じたのだ…告白された時の答えは決まってるもののこの笑顔は守っていきたい。だから、絶望しないように自分の答えを伝えられるようにはなりたいと思っているものの…恋って難しいな。
「すみません、先輩…ちょっとお手洗い行ってきます。楽しいものだったからずっと我慢してたので…ちょっと待っててください!」
「そんな焦んなって、まだ日が暮れるまで時間はあるからさ…行ってこいよ。」
「ありがとうございます。それでは、行ってきますね…」
そう言ってから水谷は駅前の公衆トイレへと駆けて行った。まあ、デート中に漏らさなかったことは運が良かったのではないだろうか?しかし、楽しすぎたあまりトイレに行くことを忘れてたとは…本当に恋する乙女の愛の強さって凄いなと思った。
(ん?女性がチャラ男に絡まれてる…ナンパか?)
俺が水谷の待ちながら辺りを見渡していると歩道の真ん中でウェーブのかかった黒髪ロングをサイドで三つ編みに結っていて黒のワンピースにその上からピンク色のシースルーのボレロを着た女性がチャラ男2人に迫られてるのが目に見えた。その女性はとても困惑している…とにかく助けないと!
「なあ、姉ちゃん…ちょっと俺らとお茶していかねえか?」
「えっと…」
「君、本当に綺麗な黒髪をしてるね…ちょっぴりつり目だけど顔が整ってて美人だし、おまけにスタイルも良いから優良物件じゃない?ねえ、僕達と一緒に遊ぼうよ…悪いようにはしないからさ?」
「いや、助けて…」
「ごめん、待ったかい?いやぁ、すみませんね。この子、俺の彼女なんで…ナンパするのはやめてもらえませんか?」
「えっ?」
彼女が助けを求めようとしたちょうどそのタイミングで俺はチャラ男達の前に彼氏面してこの場に割って入る。女性は何やら困惑している様子だが、とりあえず目線で話を合わせるようにと目で訴えた。
「彼女?マジかよ…」
「これは引いた方が良いんじゃない?失礼しました!」
チャラ男2人は俺の嘘に騙されてから顔を真っ青にして逃げ去った。本当に気が弱いチャラ男達だな…こんなメンタルでよく女性をナンパできるなと思ってしまう。普通だったら彼氏面するやつに喧嘩を売るものだろ…チキン野郎共め!
「怖がらないで…もう大丈夫ですよ。悪い男達は行きました。」
「蓮、ありがとう…」
「えっ?」
すると、黒髪の女性はお礼を伝えるも何故か俺の名前を知ってるのか『蓮』と名前が出てきて驚いた。この人って俺と初対面だよな?何故だ…
「あの。どうして俺の名前をご存知で…」
「あっ、ごめんなさい。私の知ってる蓮って男と似てたから勘違いして…あなたも蓮って言うのね?」
「ええ、そうですけど。(この人、めちゃくちゃ美人だな…まるでどこかのご令嬢だ。しかも身長高いしスタイル良いし…こりゃあモテるのも納得だな。)」
俺は思わず目の前の女性を見て見とれてしまう。艶やかな黒髪、ピンク色の宝石のような瞳、少しつり目でセクシーな唇…こんなお姉さんがいたら見とれてしまうのも無理はない。
「私の顔を見てどうしたの?恥ずかしいんだけど…」
「ああっ、すみません!俺のしたことが…ついあなたに見とれてしまって。でも、手は出しませんのでご安心ください!さっきは彼氏のふりをしてご迷惑をおかけしました。ああいう風にしないとあのような男達は分からないと思うので…」
「私の方こそ改めて、助けてくれてありがとう。あのままだったら私、あの人達に何をされてたか分からなかった…あなたが声をかけてくれたおかげよ。」
「それは良かったです。ところで、あなたはここで何をされてたんですか?こんな街中で突っ立っていたら目立つでしょうに…」
「実はお姉様とお出かけをしていて…お姉様がはなみちタウンで遊びたいって言うから連れて来たんだけど、お姉様がどっか行っちゃって1人になってたの。お姉様ったらどこに行ったのかしら?」
「お待たせ〜、色々買ってたら遅くなっちゃったよ…」
俺と女性が話をしていると、白に近いブロンドのボブヘアーをしていて赤と黄色の瞳をしてどこか優しそうなお姉さんが黒髪の女性に声をかける。服装は白を基調としたシースルーのトップスにライトグリーンのスカートの組み合わせで首にはチョーカーをつけている。手にはマクドナルドや近くのホットドッグ屋さんから持ち帰ってきたと思われる袋を沢山持っていた。
「お姉様、どこへ行ってたんですか?心配しましたよ。」
「ごめんね。美味しいものが沢山あったからつい…ねえ、横にいる男の子は誰?」
「この人は私がナンパされてるところを助けてくれた蓮…くんです。」
「ナンパ?メロロン、大丈夫だった!?酷いことされてない?」
「メロ…ロン?」
すると、ブロンドヘアーの女性は妹である黒髪の女性のことを『メロロン』と呼んで心配する。えっ…メロロン!?いや、あのメロロンは確かプリルンと一緒にキラキランドに行ったはず…まさか、だよな?
「お姉様、外でその呼び方はやめてくださいと言ったじゃないですか…ほら、用が済んだら今日は帰りますよ?蓮くん、私の姉がごめんなさい。本当に今日はありがとう…それじゃあね!」
「あっ、はい…」
「ちょっ、メロロン!?」
そして、メロロンと呼ばれた黒髪の女性は姉の女性を連れてこの場を去って行く。俺は呼び止めようと思ったが、メロロンのことやらあの女性のことで頭がいっぱいになり呼び止めることができなかった…あの女性とメロロンって関係があるのだろうか?本当に謎が深まるばかりだ。
「あの姉妹…何者だヨイ。黒髪のやつは初見で蓮の名前を呼び当てたっぽいし、しかも『メロロン』と姉が呼んだ。まさか…」
「いや、それも僅かにありそうだ。田中さんやお前や希望さんは妖精ながらも人間になる力があるからな…でも、そうだとしたらどうしてメロロンは黙ってこっちに帰ってきたんだ?それと、あのお姉様と呼ぶ女性は…プリルン、なのか?」
「いや、プリルンがあんなお姉さんになれるわけがねえヨイ!そんなことあってたまるか!!」
「だよな…」
「あの朱藤先輩…さっきから独り言を言ってどうしたんですか?」
すると、いつの間にやら水谷がトイレを終えて戻ってきていたようでヨーヨイとの会話を怪しまれる。俺は咄嗟にヨーヨイをバッグの中に隠して、水谷の方に向き直った。
「いや、別に何でも…とりあえず、喫茶店にでも寄るか?そこでゆっくり話そうぜ?お前の話とか色々聞かせてくれよな!」
「ま、まあ…何でもないなら良いんですけど。とりあえず、私も先輩と話をしたかったので…引き続きよろしくお願いします。」
そんなこんなで俺達のデートはいよいよ最終局面の喫茶店へと向かうことに…メロロンやらプリルンのことはひとまず保留として今は水谷を楽しませないとだな。最後の最後まで精一杯のおもてなしをしてみせるぜ!
おまけ・sideこころ
時は遡って帰りのホームルームを終えた時のこと、私が荷物をまとめて今日もうた先輩達と帰ろうとしていた。今日は蓮先輩が杏咲ちゃんとのデートで不在…心のモヤモヤが抑えられない。
「こころちゃん、今日…朱藤先輩とのデート楽しんでくるね!こころちゃんからのアドバイスを胸に刻んで頑張るよ♪」
「そ、そうなんだ…頑張ってね、杏咲ちゃん。じゃあ、また明日…」
「うん。またね、こころちゃん!」
私は杏咲ちゃんよりも先に教室を出る。そして、うた先輩達と合流しようとするがその中で蓮先輩のことをどうしても考えてしまう…蓮先輩の笑顔、蓮先輩の優しさ。これが頭に浮かんで心がキュンキュンなのかズキズキなのかよく分からない鼓動を刻んでいた…
『こころのダンスはマジで最高だよ。お前と一緒に踊ってるとめちゃくちゃ楽しくてたまらねえんだ…これからもずっと一緒にいてくれよな?』
(蓮先輩のこと、好きなのは私なのに。杏咲ちゃんに取られると思うと切なくなるよ。蓮先輩は可愛くて優しい子に弱いから杏咲ちゃんに告白されたら…どうしよう?)
私は心のモヤモヤを抱えたまま、うた先輩達と合流するのであった…その時にうた先輩となな先輩から心配されたのは言うまでもない。とりあえず、杏咲ちゃんには悪いかもしれないけど救いがあってほしいと心から願うのであった…ごめんね、親友の幸せも祈れないこんな私で。でも、蓮先輩は誰にも譲りたくない…杏咲ちゃんだろうと誰だろうと。
水谷杏咲(みずたにあずさ)
(脳内)CV:橘杏咲
身長:146cm
体重:41kg
誕生日:9月9日
年齢:満13歳
こころのクラスメイトにして幼馴染にして親友。蓮のかっこいいところに一目惚れし、姉の杏美経由でラブレターを渡す計画を決行しデートの約束に取りつけることに成功しデート真っ最中!性格は優しく元気さも兼ね備え、素直でまっすぐなところも取り柄。ただ、まっすぐすぎて少し人を傷つけることも…ただ、基本的には屈託のない笑顔を振りまく良い子だ。
水谷杏美(みずたにあずみ)
(脳内)CV:花宮初奈
身長:164cm
体重:46kg
誕生日:8月8日
年齢:満15歳
蓮の1つ上の先輩ではなみち中学校の生徒会副会長にして杏咲の姉。性格は少し天然なところもあるが基本優しく朗らかで気さくなところもあり男女問わずモテている模様。
いかがでしたか?杏美の妹の杏咲から届いたのはラブレターで約束された場所に来るとデートの約束を蓮にしてきました。蓮も断ると相手を傷つけると判断してここは受けることに…うたちゃんに恋する中で複雑な心境ですけど、何はともあれデートを2人は楽しんでいる模様。ただ、そこで蓮は謎の美人姉妹(?)に遭遇…この2人に違和感を覚えた蓮もひとまずデートへと戻ることに。しかし、その裏でこころちゃんにはどうやら蓮に対しての恋心が…蓮の恋模様はより複雑に。どうなるのかはまた次回の後編をお楽しみください!
感想、お気に入り登録、高評価の3点セットをしてまた次回お会いしましょう。それでは…